近年、自転車の加害事故の増加がニュースになっています。自転車は道路交通法上、軽車両とされ、自動車と同様に道路交通法で規制される”車”です。交通事故賠償の世界での自動車との違いは、「自賠責保険があるか、ないか」ではないでしょうか。

 自転車対歩行者、あるいは自転車同士の事故は交通事故相談の中でも、実はかなりの数なのです。私達が注目することは、やはり、個人賠償責任保険です。相手に保険があること、すなわち、回収の問題をクリアできるのです。加害者のお財布から治療費や慰謝料を取ることは非常に難しく、相手に資力がなければ「ない袖は振れん」と・・お手上げです。どんな敏腕弁護士でも苦戦必至、あるいはあきらめとなります。

 保険さえあれば・・解決の目処がつくのです。

日々、保険の勉強が大事です
 

個人賠14級9号:頚椎捻挫(40代女性・東京都)

【事案】

歩行中、横断歩道で信号待ちしていたところ、自転車から衝突を受ける。直後から頚部痛や頭部痛、膝や肩の痛み、めまいや不眠に悩まされる。
 【問題点】

相談時には肩の痛みや頚部痛が特にひどいことから、これらが事故から半年後にまだ症状が残存しているようであれば後遺障害診断書にまとめて頂くことを勧める。また、頚部はMRI撮影検査を実施して頂いたが、肩についてはまだ実施されていなかったので(本件では骨折はしていなかった)、原因究明のために、撮影して頂くことを勧める。

本件は自転車事故であり、当然ながら自賠責の加入がない。しかし、本件では幸いにも加害者が個人賠償責任保険に加入しており、治療費は確保できていた。

【立証ポイント】

めまい、不眠等、神経症状は多肢にわたったが、後遺障害診断書は、純粋に頚部と肩部・膝からくる疼痛のみをまとめて頂いた。今後の交渉にあたって、自賠責の被害者請求と同様に、診断書・レセプト、後遺障害診断書を集積して、弁護士に託した。相手保険会社の自社認定の結果、14級が認められ、これを前提に交渉が継続中。