あまり、原因調査の依頼はこないものですが、死亡など重大事故、事故状況が食い違う場合は、どうしても現場検証が必要です。本日は長野県へ出張、事故現場の実調、撮影を行いました。    ※ 原因調査とは、主に事故現場を実調、事故状況を調べることです。    事故現場の把握だけでしたら、グーグルマップのストリートビューで足ります。昔と違って、便利になったものです。また、警察の調査を経て送検後、刑事事件が終わっていれば、実況見分調書を取り寄せます。これで、事故状況は精密に分かります。後の交渉や裁判において、この実況見分調書を含む刑事記録が客観的な証拠になります。

 それでも、事故状況によっては、違った視点で調べたい件もあります。刑事記録だけに頼らず、被害者側が自ら事故調査を実行することは重要です。刑事記録のような中立的な視点こそ証拠能力が高いとは言え、被害者側の視点から調べ、検証すべき事故があると思います。

 弊所ではビデオをよく用います。写真より動画で観ると、事故のイメージが変わることが少なくありません。今回も、双方車両の進入角度、衝突までの視点の経過を明らかにすべく、同速度での動画撮影を試みました。      明日は祭日ですが、長野から事務所を経由、さらに千葉県へ自ら運転です。バスで行くには時間がかかる旭市まで・・慣れない運転が続いてクタクタです。  

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   前回 👉 妊婦の死亡事故 、胎児への罪    「妊婦の死亡事故」に関する記事に、追補する必要を感じましたので、以下、任意保険の面から続けます。   (1)事故による、胎児の流産・死産、中絶の場合      お母さんに対して、通常の慰謝料に表のように加算されます。これは人身傷害保険の規定ですが、この金額を基準として、対人賠償でも考慮されているはずです。その他、傷害保険に同様の規定は、各社・保険によってまちまちです。    続きを読む »

 どうしても、取り上げなければならないニュースが入ってきました。妊婦の死亡事故ですが、直後に胎児だけは帝王切開で出産できました。胎児に、事故の影響と思われる障害が残ってしまった痛ましい事故です。

 まず、お母さんは普通に死亡事故による賠償請求の対象として、問題はお腹の赤ちゃんへの損害をどう見るか・・です。民法では以下の通り。    第721条 : 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。    法律通りに解釈すると、赤ちゃんの慰謝料や逸失利益を請求する余地は、生きて生まれれば、その障害が”事故によるもの”であるなら、認められることになります。

  ◆ 「胎児を既に生まれたものとしてみなす」ということについては、解釈として法定停止条件説と法定解除条件説という2つの説があります。

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 弊所にも様々な被害事故の相談が入ってきます。交通事故は、加害者vs被害者の構図となり、その責任関係も過失相殺と言う相場がある程度確立したものです。しかし、交通事故以外の事件については、確固たる相場がありません。もちろん、類似事件の裁判判例を参考に判断します。実際は、裁判まで至らない事件がほとんどで、双方の話し合いで解決することになります。

 近年、被害事故の相談では、富士急のドドンパがありました。ジェットコースターのような遊具には、確かに一定の危険があります。実際、ジェットコースターでむち打ちになる人は多いのです。かつての常識では、「自分の意志でジェットコースターに乗って、首を痛めて、富士急に賠償金を要求する?」なんてことはなかったと思います。富士急は相次ぐ被害申告に対し、お見舞い金5万円などで対応していました。このように、施設側に責任を求める主張が多くなった・・権利意識の変化を感じます。

 例えば、道で転倒してケガをした場合、その責任は転んだ本人であることが常識であるとします。ところが、段差があった、道路の整備が不十分だった、そのせいで転倒した・・道路を管理する市町村の過失はないのか? との言い分です。昭和生まれの私に、そのような権利意識はなく、単に転んだ自身の過失としか考えません。しかし、他者に賠償責任を問う相談が増加しており、相談を受けた弁護士は個々に施設側の過失を検討することになります。もちろん、道路管理者の責任を考えることは、再発防止の観点からも大事です。それを別として、ほとんどは転倒者の責任である・・これはわりと世界の常識と思います。。

 一方、訴訟社会であるアメリカでは、常識とは裁判で勝った方になります。その代表例が、有名な「マクドナルド訴訟」です。ドライブスルーで買ったコーヒーを膝にこぼし、火傷の損害をマクドナルドに訴訟を起こして、原告が勝った件です。当時のCNNのニュース報道を覚えています。CNN実施による世界の意識調査では、日本含め他の欧米諸国、ロシア、中国、インドでも、「それ、こぼした奴が悪いんじゃね?」が主流でした。アメリカだけが、「コーヒーが熱すぎるマクドナルドのせい」になったのです。    「マクドナルド訴訟」、アメリカの訴訟社会を印象付けた代表的な判例です。改めて振り返ってみたいと思います。事件から30余年、アメリカの悪影響か?日本人の権利意識も、アメリカ化が進んでいるように思えます。   <ウェキペディアさまから引用>

(1)事件の概要

 1992年2月、ニューメキシコ州アルバカーキのマクドナルドで、ステラ・リーベック(当時79歳)さんとその孫がドライブ・スルーでテイクアウト用の朝食を購入した。その後、マクドナルドの駐車場で停車しているときにコーヒーを膝の間に挟み、ミルクとシュガーを入れるためにコーヒーの蓋を開けようとしたが、誤ってカップが傾いてしまい、コーヒーがすべてステラの膝にこぼれてしまった。コーヒーは服にしみて火傷となり、近くの病院で治療し、第3度の火傷であると診察された。   (2)司法判断

 ステラさんは、火傷の直接的な原因が自分の行動にあることは認識していました。しかし、火傷の一因となったコーヒーの熱さは異常であり、この点についてマクドナルドは是正すべき義務があり、また治療費の一部を補償するべきであるとして訴訟を起こしたのです。当初のステラさんの要求は、治療費1万1千ドルに対する3万ドルだけでした。これに対して、マクドナルドは800ドルの支払いを申し出たが、ステラはこれを断って弁護士を雇い、裁判を起こしました。

 陪審員による評議の結果、次の理由でステラ・リーベックに20%、マクドナルドに80%の過失があるとした。実は、訴訟と同様の苦情が過去10年間に700件あったこと、マクドナルドのコーヒーが客に提供される際の温度は華氏180〜190度(摂氏約85度)だが、家庭用コーヒーメーカーのコーヒーは華氏158〜168度(摂氏約72度)であったことから、コーヒーを渡す際、マクドナルドはなんら注意をせず、またカップの注意書きも見にくいことその上で、填補賠償認定額20万ドルの80%にあたる16万ドルを本来の填補賠償額として、またマクドナルドのコーヒー売上高の2日間分に相当する270万ドルを懲罰的損害賠償額として、それぞれ支払いを命じる評決が下された。

 損害の内訳ですが、ステラさんには皮膚移植手術を含む7日間の入院と、その後2年間の通院が必要であり、娘はそのため仕事を辞めて介護にあたった。そして、治療費は1万1千ドルにも上り、治療が終わっても火傷は完全には癒えず、その痕が残った(おそらく後遺障害の醜状痕、日本のルールでは14か12級)。また、マクドナルドは裁判中に「10年間で700件というのは0に等しい」と発言するなど、裁判において陪審員の心証を損ねたことが影響したと言われている。

 スコット判事は評決後の手続で懲罰賠償額を「填補賠償額の3倍」に当たる48万ドルに減額を命じ、最終的にはマクドナルドが合計64万ドルの賠償金支払いを命じる判決が下された。その後、和解が成立し、マクドナルドは60万ドル未満(非公開)の和解金をステラに支払った。   (3)事件の余波

 10年間に販売するコーヒーの数は、1日の売上が135万ドルという認定が正しいとすれば25億を超えるため、リスクマネジメントから考えれば25億分の700は0に等しいというのはあながち間違いではない。その上、他のコーヒーの温度に関する訴訟において「コーヒーの温度が高いほどドライブ中の保持温度が高くなり、ドライブ・スルーの本来の意義から言えば、温度が高い場合の利点が大きい」という結論も出ている。

 この事件の後、米国マクドナルドはコーヒーカップに「HOT(熱い)!

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 先週末、判決がでました。生活保護費の減額は違法か適法かが争われた注目の裁判でしたが、最高裁は27日午後、減額は違法とする判決を下し、国側の敗訴が確定しました。

 これまでも、全国で31件、原告の数およそ1000人に上る生活保護引き下げの取り消しを求める訴訟となっていました。高等裁判所の判決が言い渡されたのは12件。「違法」が7件、「違法ではない」が5件と判断が分かれるなか、最高裁は27日「違法」とする統一的な判断を示しました。今後、類似の裁判において、指標になると思います。    憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」

 日本国憲法第25条の「生存権」とは・・国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、最低限の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とした法律です。     この精神から、国の財政(の悪化)に関わらず、一旦決まった金額は下げてはいけない・・ことになります。    憲法25条から、優しい日本が実現できていると思います。しかしながら一方で、ろくに納税していない外国人にまで支給するケースは問題視されています。私もネパールの方で、生活保護の支給を目当てに一族が続々と来日しているケースを目にしました。また、計画的に離婚してシングルマザーとなり、生活保護を受けている方もいました。実態としては、分かれた夫と夫婦同然の生活をしているのです。

 このような、制度の悪用を防ぐ手立てを強化する必要があると思います。また、度々議論される、「国民年金との逆転現象」は喫緊の問題です。真面目に年金を払ってきた人への年金支給額に、生活保護の支給額が接近しています。これは、年金など払わずに老後は生活保護を受給した方が得である・・とんでもない不公平を構成するのです。現在、年金を支払っていない層が、次々と老後になって生活保護を受給することになれば・・もう、支給額の減額は避けられない事態になります。財源には限度があります。結果として、”途中から下げられないのであれば、最初から下げる” 運用になりかねません。    将来の支給額はどうなるのか、対して憲法の精神をどこまで守るのか・・・実は、この問題は始まったばかりと思っています。  

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 先日、今年の業界ニュースとして、ビックモーター事件、大手損保社のカルテル問題を挙げました。昭和では許されていたことが、ことごとくNGなっています。悪いことはわかるのですが、長年のしきたりや慣習だから、必要悪だから・・と容認してきたことが、令和では「不適切にもほどがある」となったのです。

 営業畑の話では、今年の年末に以下のニュースを目にしました。自爆営業は、売上ノルマを達成するため、従業員が商品を購入することを指します。季節商品と言えるクリスマスケーキなども、その悪癖によって、販売関係者が余ったケーキを買わされると聞きました。悪いこととは思っていても仕方ないとされてきた事の一つと思います。

 自爆営業が多い業界、生保・損保ともに保険会社です。販売の現場では、何かとキャンペーンで特定の保険販売にはっぱをかけられます。そして目標に達しない場合、自ら(家族、親戚、友人含む)保険に入るのです。しばらくしたら、解約することも多いので、まったくもって、数字を合わせるだけの姑息な帳尻合わせと思います。そんなことは、わかっているのですが、長らく仕方ないとしてきました。

 おそらく来年、保険販売の現場から多くの問題が浮上すると予想します。訴訟沙汰も起きるかもしれません。営業マンが上司からノルマ達成のため、「自分で保険に入れ」と言われたら録音すべきでしょうか。逆に、上司は直接に自爆営業しろとは言わず、「察しろ」とするはずです。熱湯風呂で「押すなよ、いいか押すなよ」(本当は「早く押せよ!」)のやり口です。大組織こそ、より巧妙なやり口になると思います。   <以下、時事ドットコムニュースさまより引用>

「自爆営業」禁止、指針に明記へ 自腹でノルマ達成はパワハラ―厚労省

 従業員がノルマを達成するため自腹で不必要な契約を結ぶといった「自爆営業」について、厚生労働省が対策強化に乗り出すことが25日、分かった。労働施策総合推進法に基づく指針に自爆営業がパワハラに該当する場合があると明記し、企業の対応を促す。

 自爆営業を巡っては、自動車保険の契約や共済加入を強いられるといったケースや、コンビニエンスストアで売れ残ったクリスマスケーキを買わされる、飲食店で注文ミスによる代金を負担させられるなどの事例が報告されている。

 厚労省は対策として、(1)優越的な関係を背景とした言動(2)業務上必要かつ相当な範囲を超える(3)労働者の就業環境が害される―の3要素を満たす場合は、パワハラに該当すると明確化する。パワハラと判断されれば、企業は対策を講じる義務が課される。

 自爆営業に関しては、政府が6月、対策強化を盛り込んだ規制改革実施計画を閣議決定。厚労省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の議論では既に委員の賛同が得られており、年内にも指針への明記が正式決定される見通しだ。  

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注目の判決?

 先日、10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で自転車側に過失100%を認める判決が下されたというニュースがありました。ニュースからの情報しかありませんため詳細は分かりませんが、少し記載してみたいと思います。   ~下記文章は11月18日の産経新聞より抜粋~

 事故現場は信号機のある交差点。男性が運転する乗用車の対面信号は青を示していた。向かって左側に塀があり、見通しは悪い。男性はアクセルペダルを踏まず、徐行して進入。すると左側から赤信号を無視した10歳児の自転車が飛び出してきて、車とぶつかった。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはなかった。

 乗用車の運転手は児童側に修理費用を求めて提訴。大阪簡裁は「本件事故の原因は児童にある」との判断を示し、児童側の過失を認定した。判決のポイントは3つ。1つ目は乗用車側が交差点の手前で速度を落とし、徐行していた点。

 2つ目はドライブレコーダーの映像から認定した児童側の運転の状況だ。自転車は歩道上を徐行せずに走行し、児童は前方の信号が赤であることを確認しなかった。

 3つ目は、車側の事故の予見可能性。この点について裁判所は、現場が見通しの悪い交差点で、赤信号を無視して自転車が飛び出してくることを予見できるとはいえないと指摘した。 児童側は判決を不服として控訴したが、大阪地裁で行われた控訴審でも「児童と男性の過失割合は100対0」と認定された。児童側は上告している。    今回の事故を判例タイムズで照らし合わせると、基本的には【236】自転車80:自動車20となり、そこに児童の修正要素-10が加わり、自転車70:自動車30になることが予想されます。これはお互いに走行していた場合を想定しており、今回の事故では、自動車側がほぼ停止状態にあったということから自転車が勝手に突っ込んできたということになります。また、子どもがケガをしなかったということもポイントかと思います。

 当初ニュースを見たときには、画期的な判例が出たと思いましたが、よくよく調べてみると、個別具体的な判断がなされただけであり、この判例をもって基本過失が変わるとは思えません。ちなみにですが、これがバイク対自動車だった場合は【161】0:100となります。やはり免許の有無が関係しているのかもしれません。今後、自転車にも免許が必要になったならば、過失にも変化が生じてくると思います。  

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 民法改正案、参院で成立しました。夫婦別姓制(選択性)の導入比べ、異常なスピード感を感じます。子供の権利が絡む問題で、長らく議論されてきましたが、優先順位を高く考えたのでしょうか。

 まず、基本的なことを簡単に。親権とは、未成年の子供の利益のために、監護や教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限であり義務の総称です。親権を持つとは、子供の意思決定権を親が持つことです。その親権を父母の双方が持っていることが、共同親権です。日本の法律では夫婦が離婚した場合、親権は父母のどちらかに帰属することになります。つまり、一方は親権を失います。欧米では離婚後も双方がともに親権を持つと認める国が多いようです。    本日は他コンテンツの参照ばかりで恐縮ですが、概要を抑えておきましょう。     <ちょっと専門的な解説 👉 ウィキペデアさまより>  共同親権(英:Joint custody)とは、両方の親に親権が与えられる親権形態である。共同親権は、共同身体的親権、共同法的親権、またはその両方を合わせたものを指す場合もある。

 共同法的親権では、子どもの両親が、例えば教育、医療、宗教的な養育などに関する主要な意思決定を共有する。共同親権では、共有親権または共有居住権とも呼ばれ、子供は両方の親と同等または同等に近い時間を過ごす。

 離婚や別居の後、両親が共同親権を持つだけでなく、子供の共同法的親権を持つこともあれば、一般的には、片方の親が単独で法的親権を持ちながら、共同法的親権を持つこともあり、まれに、片方の親が単独で法的親権を持ちながら、共同法的親権を持つこともある。

 共同親権の反対は単独親権であり、子どもは主に一方の親と同居するが、もう一方の親は子どもに定期的に面会する面会交流権を有する場合がある。共同親権は、一部の兄弟姉妹が一方の親と同居し、他の兄弟姉妹が他方の親と同居する分割親権とは異なる。   <時事通信社さまより引用>

 民法などの改正法成立により、父母双方が離婚後も子どもの親権を持つ「共同親権」導入への道が開かれた。新制度は2026年までに始まる見通しだが、離婚により子どもと離れて暮らす当事者らからは、導入を巡り賛否の声が聞かれた。

 「感無量だ」。神奈川県の会社員男性(47)は18年に離婚し、元妻と暮らす子どもと会えない日々が続く。子どもは会えない間に18歳を迎え、成人した。男性は改正法成立を「長年の思いが実り安心した」と歓迎する一方、「家裁がDV(家庭内暴力)被害の訴えなどについて正しく判断できるのか疑問だ。新制度が始まっても、共同親権が適用されないケースも出てくるのでは」と懸念を示す。

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道路交通法改正!    自転車による交通違反への反則金制度(青切符)の導入を柱とする道路交通法改正案が3月5日に閣議決定されました。成立すれば、青切符の反則金制度は公布から2年以内に施行され、今までくすぶっていた自転車の交通違反取締りが大きく変わると思います。

 今回提出された改正案では、青切符による自転車の取締りは16歳以上に適用され、112の違反行為が対象ですが、このうち重大な事故につながるおそれのある違反を重点的に取り締まることになるようです。尚、反則金の額は今後、政令で決まりますが、原付バイクと同等にする方針のようです。    具体的には、   ・信号無視(6,000円)   ・一時不停止(5,000円)   ・右側通行などの通行区分違反(6,000円)   ・自転車の通行が禁止されている場所を通ること(6,000円)   続きを読む »

 ご存知と思いますが、ニュースで勝手に婚姻届けを出された男性の事件が流れました。なんとも珍妙な事件ですが、詳しい弁護士先生に聞くと、そこそこ起きる事件のようです。

 何故このようなことが起こるのか・・・役所が「届出主義」と言って、法律の要件を満たす文章を提出された場合、必ず受理をしなければならない決まりとなっているからです。役所にしてみれば、不法に作成された婚姻届けを見抜くのは難しく、一々、窓口審査などしていられない事情もあります。そもそも、法は、故意に不実の婚姻届けをする悪意者など、想定できていないと思います。   (テレビ朝日Newsさまより)

被害者男性:「(婚姻の事実を)全く知らなくて。Xで(夫婦の記載が)見える戸籍情報を公開していて。本当にそうならヤバいと思って」、それで市役所に戸籍を取りに行くと、婚姻関係にされたことが事実だと判明。実際に提出された婚姻届を見せてもらいました。   被害者:「完璧に書かれた婚姻届ではなかったので、対策できなかったのかって、役所に怒りをぶつけてしまった」    当然、取り消してもらえるだろうと考えた男性。しかし、男性は思わぬ事態につきあたります。   被害者:「婚姻届で、僕が被害者じゃない扱いになる」    警察に相談すると、届け出が偽造されたとしても、被害者は市役所で、男性が被害届を出すことはできないというのです。    市役所に取り消しを申し入れると、家庭裁判所で夫婦関係にない証明をする必要があると言われてしまいました。   被害者:「家庭裁判で婚姻無効になるまで半年はかかる。だいたい1年は覚悟してと、弁護士に言われた・・・」

 

 結婚するには、戸籍法で定める婚姻届を役所に提出しなければなりません(民法739条1項)。民法は「届出なければ結婚なし」という届出婚主義を採用しています。

 法律では、「結婚」のことを「婚姻」といいます。届出がなければ、いくら事実上の夫婦生活が続いていても、法的な婚姻にはなりません。法律の根拠がない=「事実婚」と区別します。

 また、届出は、当事者双方および成年の証人2人以上から、口頭または署名した書面でしなければなりません(民法739条2項)。 条文は以下の通りです。    民法739条(婚姻の届出)

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 先週、仲本工事(享年81)さんのショッキングなニュースが入ってきました。全盛期のザ・ドリフターズについて、あまりよく知らない私でもお名前と顔が分かるほどの昭和の大スターですよね。ドリフのメンバーがまた一人いなくなってしまったのは寂しい限りです。仲本工事さん、ご冥福をお祈りいたします。

 まだ、亡くなってから日が浅いので、不謹慎と思われる方もいらっしゃると思いますが、近年、交通弱者の過失が大きくなるような事案のご相談も多く受けておりますので、仲本工事さんのケースも調べてみたいと思います。    仲本工事さんの事故現場については、ニュース等でも取り上げられており、「横浜市西区浅間町5丁目の交差点を横断中に車と接触、頭を強く打って意識不明の重体のまま運ばれて翌19日、急性硬膜下血腫でお亡くなりになった」との事です。現場をグーグルマップで確認すると、信号のない交差点で20mほど進めば、洪福寺交差点で横断歩道があるようなところでした。    【33】の場合、基本の過失割合は「歩行者30:自動車70」ですが、下記の修正要素を考慮して過失を決めていきます。

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歩行者は守られています    今回は歩行者側に問題のある事例を紹介します。年齢・性別を問わず目立つのが歩行者の信号無視です。ドライバー側からしてみれば、歩行者が違反を繰り返したとしてもお咎めなしというのは正直納得できません。違反切符を切られてもいいような気がしますが、それはさておき歩行者の赤横断と自動車の青信号進入の過失について見てみましょう。  

(前回同様、私の通勤経路内で最も信号無視をする歩行者が多い交差点です。)

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銀ブラではなく、銀座サク(サクサク歩いて通勤)    最近、運動も兼ねて最寄りの八丁堀駅よりも3つ前の銀座駅で降りて、歩くようにしています。猛暑のおかげで、事務所に到着する頃には汗だくになっていますが、たまに吹く風が心地よく、今後も続けられそうです。さて、今回は通勤中によく目にする歩行者VS自動車の事例についてまとめてみます。

 危険な場面に遭遇することが特に多いのは、「信号のない横断歩道」です。(下の写真は私が普段から横断している交差点です。)  

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 保険代理店時代、顧客さまで公共工事を受け持つ建設会社から、曳家(家をそのまま別地に移動せる工事)の保険契約の依頼が入りました。工事の依頼主はその家主ではなく、○県です。つまり、行政が代わりに行うので代執行になります。その工事を請け負った会社が、諸々の保険を手配したいとのことです。請負賠償責任保険・施設賠償責任保険・生産物賠償責任保険などに加入済ですが、万全を期すため、その家屋自体に保険をかけました。なんでも訳ありで、道路新設工事で立ち退きとなった家がどかないので、移動させるとのことです。○県からも慎重な対応が求められているようです。

 昨日の記事でも触れましたが、単にどかないだけの家屋を強制執行で移動させるなど、憲法・基本的人権が許しません。道路工事程度で”公共の福祉に反する”から強制執行・・などできないはずです。でも、この件には理由がありました。家主は立ち退き交渉に応じて、一旦補償金を受け取っていました。ところが、すぐさま引き出しておいて、信じられないことに「そんなお金は入っていない」としらを切り、居直ったそうです(子供かっ?)。これには○県も激怒、強制執行に踏み切ったそうです。その日、建設会社の担当者と一緒に私も立ち合いました。仕事<興味ですね。    朝から物々しい雰囲気です。○県の担当者と弁護士、警察も立ち合っています。そして、例の家主夫婦も自らの家が隣の空き地に引きずられていく間、行政の横暴を訴え続けています。定番の「聞いてないよー!」「訴えてやるー!」との叫びもありました。事情を知っている関係者は、一様にしらーっとした態度で無視しています。珍妙な場面です。ある意味、ダチョウ倶楽部のコントを見るようで、おかしくさえ思えてきました。

 一日中眺めている時間もないので、数時間で立ち去りました。後日、近くを通りましたが、その家は解体されていていました。近所でもすっかり有名となった、居直り夫婦は引っ越したそうです。中途半端な土地に家を移動されたことはもちろん、こんな騒ぎを起こして住み続けるメンタルはなかったと思います。

 行政と対立するにも、法的根拠は元より、正義が無ければ圧倒的な力に屈することになります。4630万円誤送金男も、刑罰が付かなかったとしても同じような運命になると思います。    

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 例の4630万円誤送金問題、進展がありそうですね。国や地方自治体が強制的に差し押さえする方法がありますが、個人口座から出金されてしまったら、時すでに遅きになるかもしれません。    さて、今回の事件のような行政庁と個人の紛争から、代執行を思い出しました。行政側が直接、個人に代わって行動を起こすことです。強制手続きとなりますが、誤送金問題は差し押さえ手続きなので、少し違う話ではあります。    行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)・・・法律上、行政上の強制執行に類します。義務者が行政上の義務を履行しない場合に、行政庁が、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することをいいます(行政代執行法1条、2条)。単に「代執行」とも言います。    めったにないことですが、よくある例としてゴミ屋敷や空き家問題があります。前者の場合、悪臭やネズミ・害虫の発生だけではなく、道路交通の遮断や火災などから、周辺住民に差し迫った危険があると判断されます。再三の警告に従わなければ、ゴミは強制的に撤去され、家主に撤去費用の請求が届きます。この場合、家主(国民)の人権は二の次にされるわけです。後者ですと、行政が税金で空き家を解体することになります。多くの場合、家主や相続人の不在・不明から、持ち主の意思が確認できないので仕方ありません。  では、あくまで行政の言う事を聞かない場合はどうでしょう。道路建設などの立ち退き問題で散見されます。いくら説得しても、補償金を提示してもどかないので、最終的にはその家を避けて道路を作るしかありません。道路の中央分離帯に不自然に家が建っている、そんな映像をテレビで見たことがあります。居座る住人のメンタルはすごいものがあります。この場合、個人の人権が優先され、さすがに強制執行まではできないのです。私の実家も足立区の高速道路建設で立ち退き、埼玉に引っ越した経緯がありました。住民で反対運動の機運もあったようでしたが、結局「国には逆らえない」と、皆、補償金を貰って引っ越したそうです。

 強制執行とは文字通り国民の権利を蹂躙することですから、法治国家では簡単にできません。それでも強制的に代執行を進めるには条件があり、行政代執行法に規定されています。以下、久々に復習しました。  

 行政代執行法について以下、条文を抜粋します。行政書士試験の記述問題に出題されそうです。   <要件> ○ 代執行の対象となるのは、法律等(法律のほか、法律の委任に基づく命令、規則及び条例を含む)により直接命ぜられた行為、又は法律等に基づき行政庁により命ぜられた行為のうち、他人が代わってなすことのできるもの(代替的作為義務)である(2条)。

○ また、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められることを要する(同条)。

<手続> ○ 代執行をなすには、原則として、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、あらかじめ文書で戒告しなければならない(3条1項)。

○ 義務者が、この戒告を受けて、指定の期限までにその義務を履行しないときは、当該行政庁は、代執行令書をもって、義務者に通知する(3条2項)。

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キックボードシリーズ第3弾!   👉 電動キックボード流行の兆し    👉 電動キックボードの取り締まり強化    先日の衆院本会議にて電動キックボードをめぐる新しい規制を盛り込んだ改正道路交通法が可決・成立しました。改正法では、「特定小型原動機付自転車」という区分が新設されています。ざっくりといえば、原付バイクと自転車の間のものといったところでしょうか。以前、2回にわたり電動キックボードについて触れましたが、どのように変わったのか早速みてみましょう。   ① 運転免許証の携帯が必要でしたが、それが16歳以上であれば不要となりました。そもそも運転免許証は16歳からしか取得できないため、年齢制限としては変わらないが、免許が要らなくなったため、より気軽に乗れるようになりました。

② ヘルメット着用の義務(特例措置区画においては、元々ヘルメット着用は不要)がありましたが、努力義務に変更となりました。

③ 車道の左端を走行しなければいけませんでしたが、自転車通行可の歩道であれば走行が可能となりました。

④ 最高速度が15km/hでしたが、20km/hになりました。    基本的には、電動キックボードを自身で所有するというスタイルは流行らないと思いますので、自賠責加入等の話はさておき、最近では、1日1回は電動キックボードに乗っている人を見かけるようになりました。(弊所付近でもサラリーマンが乗っていました!)    電動キックボードは若年層が大半を占めると思いますので、悲惨な事故も頻発するでしょう。(恐らくほとんどの方がヘルメットを着用せずに乗車すると思いますので…。)私は電動キックボードに乗らないから大丈夫だと思っても、そこら中に電動キックボードが走っているということは、自動車やバイクを運転する方は、以前にも増してより一層注意して運転しなければいけないということです。保険料の値上げ等にも関わってきますし、今後の普及について目が離せなくなりそうです。    因みに私としては電動キックボード<セグウェイですが、全く流行らなかったですね。     続きを読む »

そんな決定権がお前にあるのか!?    今回は年齢変更でも変わらないことについて触れてみたいと思います。お酒やたばこ、公営競技(競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走)に関する年齢制限については、20歳のまま変更はありません。飲酒については、「未成年者飲酒禁止法」から「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」に、喫煙については、「未成年者喫煙禁止法」から「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」と題名が改正されました。競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走についても、競馬法、自転車競技法、小型自動車競走法、モーターボート競走法も同様です。    飲酒については国税庁に記載がありましたので、ご参照ください。尚、HPには未成年者との記載がありますが、こちらで20歳未満と変換しております。

20歳未満がお酒を飲んではいけない5つの理由

1. 

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新しい時代を作るのは老人ではない    令和4年4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下がりました。ニュースでもやっているので、ご承知の方がほとんどかと思います。世界的には成年年齢を18歳とするのが主流のため、そこに合わせていくようです。日本では、明治9年以来、20歳となっていましたから、150年近く民法が改正されることはありませんでした。この影響は日常生活の様々なところで実感していくこととなるでしょう。

 例えば、一番大きいのが「契約」でしょうか。今まで18歳・19歳の方と契約を結ぶときには、親御さんの同意が必要でした。同意なく契約をしてしまった場合には、民法5条の第2項によって取り消すことができました。(下記参照)   民法5条> 1.

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バイト時代の話も少し    昨年の6月に千葉県八街(やちまた)市で下校中の児童5人をはねて死傷させたというニュースを覚えていらっしゃいますか?とてもショッキングなニュースでしたが、加害者の運転手は飲酒による居眠り運転であり、車内にお酒が大量に見つかったという考えられない状態だったことを覚えています。被害に遭った児童たち、そのご家族や関係者のことを考えるとやるせない気持ちでいっぱいです。  この事故によって運転事業者への取り締まりが強化されることとなり、道路交通法が改正、令和4年4月・10月から順次施行されることとなっています。そもそも飲酒運転などあってはなりませんが、運転手個人に任せるのではなく、管理者がしっかりと管理し、予防することが盛り込まれています。早速みていきましょう。    既に緑ナンバーであるバスやタクシー等の事業者には適用されており、2011年5月から運転前後のドライバーへの点呼にて、アルコール検知器を使った検査をすることが義務付けられていました。因みに2019年には航空業界・鉄道業界にもアルコール検知器が義務付けられました。今回の改正法では、乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持、または白ナンバー車5台以上を保持する企業です。このとき、原付をのぞくオートバイは0.5台でカウントされます。    4月1日から義務付けられることは、「運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること」、「酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること」です。因みに「目視等で確認すること」とは、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で確認することを指すようです。基本的には対面が原則だが、直行直帰の場合など対面での確認が困難な場合には、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させ、測定数値を報告させる、カメラやモニターを用いて顔色の確認、携帯電話や無線を用いて声の調子等を確認するといった代替案が示されています。 また、記録については、①確認者名、②運転者名、③運転者の業務に係る自動車登録番号又は識別できる記号・番号等、④確認の日時、⑤確認の方法、⑥酒気帯びの有無、⑦指示事項、⑧その他必要な事項と定められています。    その後10月1日から義務付けられていることは、「運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うこと」、「アルコール検知器を常時有効に保持すること」です。そのため、4月1日から行わなければならない記録については、⑤アルコール検知器での確認が追加されます。   続きを読む »

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