死亡診断書には正式なフォームがあり、記載方法も毎年、厚労省がマニュアルを発行しています。医師はこのマニュアルに沿って記載をしています。国から記載要領が指示されているのです。自賠責保険もこのような診断書作成マニュアルを作成して医師に配れば、世の後遺障害申請者はどれだけ助かることでしょう。後遺障害診断書は毎度、医師の主観・独断で書かれますから、医師が保険や労災の基準を知らなければ、的外れな診断書が頻発することになります。私達もこれで苦労しているわけです。

 やはり、死亡診断書は重要かつ特殊な書類なのでしょう。マニュアルの記載と医師法に沿って確認してみましょう。     (1)死亡診断書、2つの意義

1、人間の死亡を医学的・法律的に証明するため

 客観的な証明書類でなければなりません。人の死亡を証明するに、証明者(医師)による偏見的・独創的な視点では困るわけです。

2、日本の死因統計作成の資料とする

 行政側にとって重要な統計データになります。国が記載方法を指示する理由はここにあります。医師法上も、死亡に限らず診断書の記載はまず、医師の義務であることがわかります。  

第19条2 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。

  (2)死亡診断書と死体検案書の使い分け

 死亡診断書と死体検案書、名前が違いますが、書式名もそれぞれ併記され、書式は全く同じです。では、どのように使い分けるのか?

○ 死亡診断書

 診療経過中の患者が亡くなり、そしてその死に立ち会った場合。

○ 死体検案書

 ・医師自らが診察していても死亡に立ち会わなかった場合

 ・医師が診察していた時の病気とは関係ない原因による場合

 ・医師自らが診療していなかった患者の死亡の場合続きを読む »

 脳が収まった頭蓋骨と顔面部の境に薄い骨があります。下図の赤い線の部分です。この頭蓋底骨は、頭部への強い衝撃で穴が開く(多くはひびが入る、亀裂骨折)ことがあります。ビール瓶で殴っても折れる可能性があるようです。

 頭蓋骨の底面である頭蓋底は、ちょうど眼の下に位置して、でこぼこで厚さの違う骨で構成され、 多くの孔が開き、視神経、嗅神経、聴神経、血管が走行している複雑な構造となっています。 したがって、この骨折によって、これらの神経の損傷が併発することがあります。

 交通事故受傷後のめまい、失調、平衡機能障害、眼では、視力や調整力の低下などの症状ですが、 傷病名が頚椎捻挫であれば、バレ・リュー症候群として、つまり、頚部神経症状として後遺障害が審査されます。先の諸症状を訴えても、多くは、14級9号が限界となります。視覚、嗅覚、聴覚の障害が交通事故の後遺障害として審査されるには器質的損傷、つまり、骨折があることを立証しなければなりません。ここで発生する最大の問題点が、頭蓋底骨折の見落としです。 続きを読む »

 最近、脊髄損傷で半身の硬直と痛みを訴える被害者さんがこれを服用して、効果があったと報告がありました。早速、調べてみましよう。

 麻痺の種類は大きく分けて、痙性麻痺(けいせいまひ)と弛緩性麻痺(しかんせいまひ)です。痙性麻痺は文字通り、しびれがあり、四肢が硬直して動かない、動きづらい、痛みなどの症状となります。弛緩性麻痺は力が入らない、自分の意志で動かせない、細かい動きができないなどの症状を示します。それぞれ、脊髄損傷や脳障害を契機とする場合や、四肢への直接的な神経障害で起こります。それぞれ辛いものですが、痛みや硬直を伴う麻痺には、ダントリウムが服用されます。痙性麻痺の硬直を緩和し、麻痺をコントロールする対処薬です。   【薬理】

主成分はダントロレンナトリウム水和物(Dantrolene sodium hydrate)、多くは25mgカプセル剤です。骨格筋の収縮を抑えることにより、筋肉のこわばり・麻ひなどを和らげる薬です。また、骨格筋や中枢神経のカルシウムイオン濃度を抑え神経伝達物質のバランスを補正します。通常、全身こむら返り病や脳血管障害などに伴う痙性麻ひの治療に用いられます。また、悪性症候群(高熱が出る、筋肉がけいれんする、意識がもうろうとする)の治療に使用します。   【効能】

脳血管障害後遺症、脳性麻痺、外傷後遺症(頭部外傷、脊髄損傷)、頸部脊椎症、後縦靱帯骨化症、脊髄小脳変性症、痙性脊髄麻痺、脊髄炎、脊髄症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、スモン(SMON)、潜水病、全身こむら返り病にも処方されます。

【用法】

痙性麻痺および全身こむら返り病:通常、成人は1日1回1カプセル(主成分として25mg)より服用し始め、1週ごとに1カプセル(25mg)ずつ増やし(1日2〜3回に分ける)、維持量を決めます。ただし、1日最高服用量は6カプセル(150mg)として、3回に分けて服用します。悪性症候群:通常、成人は1回1カプセル(25mg)または2カプセル(50mg)を1日3回服用します。年齢・症状により適宜増減されます。

【副作用】

眠気、注意力が散漫、めまい、無気力が生じることがあるので、車の運転などの危険を伴う機械操作などは控えます。まれに下記のような症状があらわれ、( )内に示した副作用の初期症状である可能性があります。このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。

•皮膚や粘膜が黄色くなる(黄疸) •全身がだるい、食欲低下(肝障害) •発熱、咳、呼吸困難(PIE症候群) •胸の痛み、咳がでる、呼吸困難(胸膜炎) •排便がない、腹痛、食欲がない(腸閉塞=イレウス) •顔色が青白い、冷汗、立ちくらみ(アナフィラキシーショック)

また、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出ることがあります。閉塞性肺疾患、心疾患、筋無力症状、肝疾患の場合は服用しません。また、妊娠または授乳中、他に薬などを使っている場合は、お互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もありますので、他に使用中の一般用医薬品や食品も含めて注意が必要です。

 <くすりのしおり様HPから引用>  

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 とりあえず、てんかん薬は今日まで。また、てんかんについて詳しく調べる機会を持ちたいと思います。

脳波の波形も読み取れるようにしたいです

  【11】レベチラセタム  (LEV)

 商品名:イーケプラ

 部分てんかんの発作に付加薬あるいは単剤として使用されますが、全般てんかんの発作、特にミオクロニー発作(※)にも有効です。併用している抗てんかん薬の血中濃度に影響を及ぼさないといわれています。腎機能障害時には投与量を減らす必要があります。ごく稀に眠気やいらいら感などの副作用がみられることがあります。

 経験では、他のてんかん薬に併用される傾向です。高齢者や他に薬を服用している方に用いられるようです。

※ ミオクロニー発作・・・体全体、あるいは頭部、足の両側の筋肉の一部が強く収縮する発作です。一瞬ぴくっとするだけなので、気付くことが遅れるようです。   【12】スチリペントール  (STP)

 商品名:ディアコミット

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 てんかん薬シリーズを続けます。代表的なお薬、デパケンの登場です。

【6】バルプロ酸ナトリウム  (VPA)

 商品名:デパケン、セレニカ、バレリン、バルプロ酸ナトリウム

 てんかん発作の代表的な薬で、第一選択薬として広く使用されています。気分障害の改善効果もあります。また片頭痛にも使用されます。徐放性製剤があり、1日の服用回数を減らし、胃腸系の副作用を減少させることなどを目的に使用されます。飲み始めに一時的に消化器症状や眠気が生じることがあります。体重が増えることがあります。高用量は妊娠には適しません。

 経験ではてんかん発作を起こした患者さんに最も数多く使われていました。商品名のデパケンで知られています。   【7】エトサクシミド  (ESM)

 商品名:エピレオプチマル、ザロンチン

 欠神発作(※)に有効な薬剤です。稀にしゃっくりなどの副作用があります。ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム、ニトラゼパム、クロナゼパム、クロバザムなど) 抗けいれん作用に加え、抗不安、催眠・鎮静、筋弛緩作用を持っており、てんかん以外の疾患の治療にも使用されています。他の抗てんかん薬の補助的な薬剤として使用されることが多い薬です。血中濃度と有効性の間にあきらかな相関が認められていません。ジアゼパムの注射はてんかん重積状態の第1次薬として使用されます。副作用には、眠気、ふらつき、流涎などがあります。

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 持病のてんかんもありますが、交通事故外傷の世界では、高次脳機能障害を伴う頭部外傷、脳外傷の被害者さんにみられます。事故後、発作が起きた場合はもちろん、脳波検査で異常波が検出されれば、投薬を中心に医師の定期的な診察が続きます。医師の多くは、最初の発作から2年の観察を続ける必要を示唆します。てんかんは、私達の仕事上、安易に症状固定に進めなくなる厄介なものです。

 どのような薬が選択されているか? 医師の定期的な診察だけではなく、薬の性質と役割から、再発の危険性と症状固定日の想定をすることになります。久々の薬シリーズですが、てんかんの代表的な薬を確認したいと思います。文中、てんかんの類型、種類に関する専門用語を調べました。業務日誌は、事務所の勉強会・発表の場でもあります。

【1】フェニトイン  (PHT)

 商品名:アレビアチン、ヒダントールアレビアチン

 部分てんかん(※)の発作、全般てんかんの強直発作などに有効です。てんかんが重なる状態に注射として使用されます。てんかん発作を誘発する脳内の電位依存性ナトリウムチャネルを阻害するなどして興奮性伝達を抑制、神経膜を安定化させる効果があります。また、血中濃度が変動しやすい性質があり、血中濃度のモニターが役に立ちます。  稀にアレルギーを示す人がいます。量が多いと眠気、ふらつき、複視などの副作用が生じることがあり、歯ぐきが腫れることがあります。

 過去の依頼者さんの経験では、発作を繰り返す患者さんに処方されています。

※ 部分てんかん・・・意識障害の伴うタイプと伴わないタイプがあります。痙攣などの運動が身体の一部にみられ、しばしばそれが他の部位に連続的に広がっていく運動性の発作は、口周などに痙攣が始まることが多く、手足→口周→同じがわの身半分→全身などにひろがり、全身に痙攣が及んだところで意識を失うのが一般的です。また身体の一部に起こった異常感覚がほかにひろがる感覚性の発作もあり、腹痛、下痢などの自律神経症状が発作的にみられるようなものもあります。   【2】カルバマゼピン  (CBZ)

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 毎日、交通事故・被害者の皆さまに役立つ情報を発信して、7年になります。

 時折、交通事故と関係ない無駄記事を挟みますが、業務日誌は営業日に欠かさずUPしています。まずは、10年継続を目指して励行しています。この数年で交通事故に詳しいホームページは雨後の竹の子のごとく量産されて、もはや、被害者さんの目移りは普通となりました。そのような環境でも毎日更新しているHPはほとんどないと思います。まして、宣伝先行であり、純粋な情報発信は皆無に近いと思います。

 今日は、恐縮ですが宣伝をさせて頂きたいと思います。    ズバリ、秋葉事務所の強み、売り、です。    「交通事故に詳しいですよ」、「自賠責保険・後遺障害に特化していす」、「交通事故専門です」などは、皆が口を揃えている商売上の使い古された宣伝文句に成り下がったと思います。医学書を写した知識の羅列など、もはや当たり前なのです。被害者さんは、それが実力か単なる宣伝力か、見抜かなければなりません。その点、弊所は理屈ではなく実績と実動を強調しています。複雑に絡んだ糸を解くがごとく、被害者にとって実利ある解決に導くには、第一にその傷病名を受任した実績・経験がものを言います。それは実績ページをご覧になればご納得いただけると思います。ほとんどの事務所は、相談数や受任数について、客観性のない手前集計の数字を誇るだけで、中身が不明です。実例・経験の掲載となると、数件、多くて数十件でしょう。500件に及ぶ掲載は私達だけです。

 加えてもう一つ、私達は実動作業を重んじております。それは、なんと言っても現場に行くことです。現場とは事故発生現場のことではなく、病院を指します。交通事故外傷を経験した被害者さん達は、治療と後遺症を証明する画像や診断書の重要性を痛感しています。それらケガ・後遺症の証拠を正確に、余すところなく、被害者側が積極的に収集して、相手(保険会社)に突きつけなければなりません。それには、病院同行が最も確実な作業なのです。病院同行・医師面談は基本全件に実施しています。病院同行が馴染まない案件は別方法をとりますが、受任の90%は病院同行・医師面談によって、最良の診断書を取得しています。

 そして、病院同行の膨大なデータから、独自の病院情報を集積・保持するに至りました。以下は年間200~300件の病院同行を7年以上、続けてきた事務所が持つ、整形外科・個人開業医の病院情報、各県の保持数です。  

 東京 43 埼玉 27 神奈川 16 千葉 12    群馬 4 茨城 3 静岡 10 山梨 15 長野 4

   総合病院や大学病院の情報は把握し易く、地域の大病院は概ね承知していますので、上記数から除いています。整形外科以外、専門医も別枠です。あくまでリハビリ通院の対象となる、地域の整形外科だけのカウントです。この整形外科・個人開業医は実際に院長に面談することで評価が定まります。この数だけでも、大変な苦労と時間がかかりました。    病院ごとに、「診断力」「リハビリ設備」「診断書作成」「人間性」の4項目の評価をデータ化、蓄積を続けています。    相談会では、これらのデータを基に治療先の選定、転院について、責任をもった回答を可能にしています。とくに、むちうちの後遺障害認定は、一定期間まじめにリハビリを続けた治療実績から判断されます。すると、理学療法の設備がない病院は最初から「リハビリ設備」×、診断力に乏しく、様子を見ましょうと言って薬だけ大量にだす病院は心配ですから「診断力」△、後遺障害診断書を書きたがらず、書いてもテキトーな先生は「診断書作成」×、どうも保険会社寄りで「捻挫の治療は3ヶ月まで」と決めている病院は「診断力」「人間性」×、逆に患者離れ悪く、なにかと保険会社にマークされている病院も「人間性」×、はなから面談拒否や、ひねくれ者で性格の悪い先生は当然に「人間性」×です。交通事故に理解があり、協力的な先生は「診断書作成」や「人間性」が○になります。このように、項目ごとに評価をしています。

 実は”行ってはならない病院”情報が最も重要で、ほとんどこれが被害者の運命を分けることになります。こんなデータを蓄積している事務所は私達だけでしょう。例えば、甲府では、「地元のどんな法律事務所より、この地域の病院に詳しいです!」と断言しています。

 どんな優秀な弁護士でも、医師が1度書いた診断書を直す事は至難の業です。どんなに後遺障害に詳しい行政書士であっても、「どこで検査できるか」「どの病院に通うべきか」、地域の医療情報に暗く、必要な検査ができる病院に誘致できなければ、その知識は絵に書いた餅になります。実動なく、机に座って被害者さんに指示するだけ・・これで解決できる簡単な事案なら苦労はしませんが・・。   続きを読む »

 違いが曖昧な用語について整理したいと思います。知っているつもりが、具体的な説明に窮してしまう専門用語はいっぱいあります。立ち止まって勉強する毎日です。  

脳死と植物状態

 脳死とは、呼吸・循環機能の調節や意識の伝達など、生きていくために必要な働きを司る脳幹を含む、脳全体の機能が失われた状態です。事故や脳卒中などが原因で脳幹が機能しなくなると、回復する可能性はなく二度と元に戻りません。薬剤や人工呼吸器などによってしばらくは心臓を動かし続けることはできますが、やがて(多くは数日以内)心臓も停止してしまいます(心停止までに、長時間を要する例も報告されています)。植物状態は、脳幹の機能が残っていて、自ら呼吸できる場合が多く、回復する可能性もあります。脳死と植物状態は、根本的に全く違うものなのです。

 ←脳全体  続きを読む »

 秋葉事務所は、単なる書類の取りまとめを行っている事務所ではありません。画像分析と医療調査、そして解決までのプランを示すこと、つまり、交通事故解決の中核的な作業を担っています。

 今日はタイトルにあるように、医療調査の基本軸である、病院同行・医師面談について語りたいと思います。    「被害者側の医療調査業」とは、行政書士資格をとっただけで”交通事故専門”を名乗る事務所とは一線を画しており、交通事故に強いと宣伝する弁護士事務所に勝る専門性を自負しています。弁護士事務所から信頼いただき、ご依頼を受ける専門家は一朝一夕では生まれません。被害者側の医療調査は簡単な仕事ではないのです。まず、病院同行するメディカルコーディネーターの研修期間は1年以上かけます。どうにか研修生を卒業となるのでは、年間120件の医師面談を3年以上が絶対です。それでもまだまだ経験不足、実戦経験を積む毎日です。

 基本的に被害者さんの診察に同席し、一緒に主治医からお話を伺います。そして、検査のリクエストを行い、診断書の記載内容まで踏み込んでいます。なぜこの作業を重視するのか?・・・医師は治す事が仕事であり、治療者の観点から患者の障害を評価します。それは時として、保険会社側が要求する情報と食い違ってしまうからです。具体例を挙げましょう。     (実例)鎖骨骨折後、鎖骨の変形に関する評価   医師 「鎖骨の癒合はよく、問題ありません。そろそろ症状固定でもいいですよ。」

被害者「先生、任せている行政書士さんから、鎖骨の変形で後遺症が認められると聞きましたが・・」

医師 「これ位は日常生活に影響ないよね。変形とまでは言えないよ。」

被害者「そうですか・・・」 やっぱりダメかと、とぼとぼ退散します。

・・後日の診断日、今度は秋葉が同行しました・・

  OLYMPUS DIGITAL CAMERA続きを読む »

 仕事柄、毎日のように診断書をみていますが、どうして医師は左右間違えて書くのでしょうか?    ケガをした脚は右脚なのに、左脛骨骨折。 足関節の可動域制限は骨折した左足首なのに、左右逆に角度を書く。 醜状痕は右腕なのに左腕にキズを図示。 右耳難聴なのに左耳聴力低下。 

 信じられないと思いますがこのような間違いは頻繁に起こります。だからこそ、診断書の記載内容はよく見てから受け取るべきで、まして保険請求や障害審査の場合は慎重に確認してから提出すべきです。もちろん、単なるミスであることがわかれば、保険会社や審査機関は修正のために返してくれます。しかし、不自然でなければそのまま審査されることもあり、ぞっとする話です。なぜ、専門家である医師がこうもよく間違えるものか・・間違いの原因を考えてみましょう。   1、忙しい

・・医師は毎日、多くの患者を診ています。当然ですが、まず症状を良く観察すること、適切な処置をすること、要するにケガや病気を「治す」ことが最優先なのです。診断書の記載は、言わば雑務でしかありません。急患が入れば、昼食もとらずに診察を続け、夜はくたくたに。したがって、診断書は週末にまとめて記載する医師が多いようです。溜ってしまえば、診断書を書くまで数ヶ月も待たされることもざらです。やはり、診断書の記載は気が抜けてしまうのでしょうか。 c_h_77 2、患者に向かって右は人体の左側?

・・医師は患者と正面から向かい合って診断をします。したがって、医師から患者に向かって右は人体の左側です。カルテの記載も画像読影も基本的に左右逆の状態が続きます。これも左右の間違いが多い理由の一つではないかと思います。 20140508_6 3、医師が書いていない?

・・ここに書く事が躊躇われますが、診断書を医師が書いていないことがあります。医師によっては手術をするような重傷患者を診ることなく、軽傷の診察が中心となります。整形外科の個人開業医や内科の個人クリニックがそうです。打撲捻挫や風邪の類で診断書を毎日のように依頼されます。すると、それらの記載を看護士や事務方に任せてしまうことが珍しくないのです。おじいちゃん先生の記載のはずが、丸文字=もろ女子!をよく目にします。もちろん、医師が最終的に記載内容の確認後、署名・印をすると思いますが、それすら怪しい病院もあります。そのような場合、患者を診ていない者が記載するので、やはりミスは起こりやすくなるはずです。    いかがでしょうか。自らの保険金、障害等級、それらの軽重もあるかと思いますが、自らの運命を決める一枚はこのような危うい状況を経ているのです。最近も、提出の直前に左右が逆に書かれた診断書に気付きました。医師の間違いに患者が気付かなければ・・・診断書を精査する私達の仕事ですが、潜在的ながら重要であると改めて思いました。

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佐藤イラストsj年間120件の病院同行は伊達じゃない!    先日、依頼者とともに個人整形外科へ同行したときのことです。後遺障害診断書と今までに撮影したレントゲンを依頼したところ、後遺障害診断書はすんなりOK。しかし、画像については改めて医師面談の予約を取ってからでないと渡せないとの事でした。本来、患者さんの個人情報なので、本人が希望すればいいのではないか?と心の中で思いつつ、医師の指示に従い再度予約を取り、医師面談へ。

 ところが、「今まで被害者側の調査員から画像を要求されたことがないし、今まで治療費を支払っていたのは保険会社だから、患者側に画像を出すことはできない。」と態度が急変してしまったのです。(前回、お邪魔したときは医師面談さえしてもらえれば画像は出せると仰っていたのに…。)

 そこで、今回の事情を説明すると、「保険会社の担当者に画像を提供していいか聞いてみて許可が出れば、出しますよ。」と態度が軟化しました。事務の女性も被害者請求の事が分かっていないだろうと思い、担当者への伝言をお願いし、待合室で待機することに。数分後に院長からお声が掛かり、「保険会社の許可が出たので今回は特別に画像を渡します。」と画像を頂く事が出来ました。

 もちろん患者さんに優しい病院や、医師もたくさんいらっしゃいますが、後遺障害申請に協力的な病院や医師はそうそういらっしゃいません。さらに保険会社とのやりとりも関係してきます。加害者は保険会社という大きな味方に守られていますが、被害者は一人で戦わなければならないのです。少しでも被害者の味方が増えるように、また被害者が一人で戦わずに済むような世の中になるといいですね。今後、交通事故で苦しむ被害者が少なくなるように、私も日々精進していきます。

 20070418  医師は診断書や画像の手配が面倒なのです・・特に保険会社がらみの患者は  

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佐藤イラストsj佐藤です。 前回記載できなかったものを列挙致します。   FLAIR:Fluid Inversion Recoveryの略で、IR法(反転回復法)の一種です。自由水(細胞内外を自由に移動できる水)の信号を抑制する撮像方法で、水を黒くしたT2強調画像です。T2強調画像では病変も脳脊髄液も高信号になり区別し難いことが多いのですが、脳脊髄液が低信号のT2強調像が得られるため、脳溝や脳室に接する病変の診断に特に有効です。   DWI(拡散強調画像):Diffusion Weighted Imageの略で体内の水分子の微細な拡散運動(ブラウン運動)を画像化したものです。拡散の低下した場所が白く写ります。超急性期の脳梗塞を描出できるので注目されています。脳梗塞の超急性期には神経細胞の浮腫が起こるとされており、細胞外液が細胞内に移行するために病変部の拡散が低下するとされています。その他に、脳膿瘍と脳転移との鑑別、類上皮腫とくも膜嚢胞の鑑別に有効とされています。脳炎の初期像の検出にも有用とされています。   Fat-Sat(脂肪抑制画像):T1とT2それぞれにありますが、T1では抑制前後を比較することで、病変内の脂肪成分が確認できます。T2では損傷や炎症などによる異常信号を見やすくする効果があります。関節などでは骨髄、皮下脂肪が抑制されるので炎症や骨折などの評価が容易になります。 プロトン密度強調画像:膝関節などで半月板、軟骨損傷などを見るのに有用です。T1強調画像とT2強調画像の中間的なコントラストを示します。

(東近江敬愛病院HP参照)   suiheidan    他にもMRA等ありますが、またの機会に説明させていただきます。  

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 2つの神経伝達物質を増加させうつ状態を改善   トレドミン錠形:錠剤 薬価:錠 25mg1錠 33.4円 有効成分:ミルナシプラン ジェネリック:ミルナシプラン塩酸塩「日医工」      落ち込んだ気分を高揚させ、不安を和らげる効果を発揮する薬です。有効成分のミルナシプランがはたらきかけるのは、脳内で神経伝達を担うセロトニンとノルアドレナリンという2つの物質。セロトニンには気分を楽にする作用が、ノルアドレナリンには意欲を高める作用があるといわれています。これらの濃度を高めることで、うつ病やうつ状態を改善する薬です。このような薬は、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)といわれます。

 <「薬の教科書」(宝島社)監修 立川 康之 先生 より >     山本さんイラストsj 効力がマイルドである薬であり、副作用が少ない安全性の高い薬です。しかし、効果がマイルドであるため、症状が重い場合にはあまり効かないことがあります。症状の軽いうつ病の場合には、トレドミンが処方される場合があります。  

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 神経伝達をスムーズにして憂鬱な気分を緩和させる   レクサプロ剤形:錠剤 薬価:錠 10mg1錠 218.1円 有効成分:エスシタロプロム  

 SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれるジャンルに分類され、憂鬱な気分や不安をやわらげる薬です。神経に情報を伝達する働きを持つ脳内物質の濃度を高め、神経の伝達をスムーズにさせることで、うつ病やうつ状態に作用します。効果が発現するようになるのは、服用を開始してから2~3週間ほど経ってから。そこから、症状によって服用量が徐々に増量されていきます。眠気や口の渇きといった、従来の抗うつ薬による代表的な副作用が起きにくいといわれています。

 <「薬の教科書」(宝島社)監修 立川 康之 先生 より >   

山本さんイラストsj SSRIの特異な副作用として「セロトニン症候群」があげられます。具体的には、混乱、発汗、体のぴくつき、ふるえ、けいれん、発熱等の症状神経過敏があげられます。また、不安感を生じたり、イライラしたりそわそわして落ち着かなかったり、さらには衝動的な行動をすることもあります。これらの症状が出た場合にはすぐに医師に相談ください。  

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 脳神経にはたらきかけてうつ状態を改善させる   ジェイゾロフト錠形:錠剤 薬価:錠 25mg1錠 101.3円 有効成分:セルトラリン    SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれるジャンルに分類され、うつ病やうつ状態、パニック障害に処方される薬です。脳内の神経を伝達するセロトニンという物質の濃度を高めることによって、不安な気持ちや緊張状態を緩和させます。24時間効果が持続するタイプの薬で、かつ副作用が出にくいのが特徴です。

 うつ病から立ち直っても再びうつ病に陥ってしまう症状を再燃と呼びますが、この薬はその再燃を抑制する効果が認められた、日本初の抗うつ薬です。薬の効果が実感できるまで2~3週間かかることがあり、そこから徐々に服用量を増量していきます。自己判断で服用を急に中止すると副作用が出ることがあるので、用量・用法は厳守するようにしましょう。また、うつ症状のある場合、服用開始時や服用量が変更された際は、体調や気分の変化に注意し、医師や薬剤師と連絡を密にするように心がけるとよいでしょう。

<「薬の教科書」(宝島社)監修 立川 康之 先生 より >     続きを読む »

 おだやかな作用の中間型抗不安薬

ワイパックス 錠形:錠剤 薬価:錠 0.5mg1錠 6.1円 有効成分:ロラゼパム ジェネリック:ロラゼパム「サワイ」(沢井製薬)

    抗不安薬と睡眠薬はまったく異なる薬というわけではなく、現在用いられているほとんどの薬が、ベンゾジアゼピン系とそれに似た化合物となっており、薬が効く仕組みの点からは同じ薬といえます。これらのうち、抗不安効果の高い薬を抗不安薬、催眠効果の強い薬を睡眠薬と呼んでいるのです。

 ワイパックスは、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬で、作用時間は中間型の約12~24時間となっています。肝障害のある人や高齢の人にも使われやすい薬です。不安を取り除く以外にも、筋肉の緊張をほぐす作用、けいれんを抑える作用も認められています。

 人によっては眠気が強く出ることがありますので、医師・薬剤師に相談するようにします。また、アルコールとの併用は悪影響を与えるため避けましょう。   <「薬の教科書」(宝島社)監修 立川 康之 先生 より >   山本さんイラストsj デパスの時にも説明しましたが、薬を飲む際には、アルコールの接種を控えることをお勧めします。抗不安薬であるワイパックスの場合も同様にアルコールとの効力・作用を互いに強めてしまします。ワイパックスとアルコールとは、相互に中枢神経抑制作用があり、増強すると、眠気等の低下を招く可能性、また、アルコール依存や薬物依存になりやすくなることもあります。

 薬と百薬の長を併せても薬のままとは限らないようです。  

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 うつや不安をおさえて気分を楽にする

パキシル

錠形:錠剤 薬価:錠 10mg1錠 100.5円 有効成分:パロキセチン ジェネリック:パロキセチン「AA」(あすか製薬)等      セロトニンは、人の感情に影響を与える脳内の神経伝達物質。足りなくなると不安を感じるようになったり、うつの症状が出たりします。パキシルは、このセロトニンの量を調節しているセロトニントランスポーターの働きを邪魔します。これによりセロトニンが増えて、神経の伝達が改善されます。その結果、うつ状態が良化し、気分が楽になると考えられます。

 従来の抗うつ薬に多い、口の渇きや便秘などの副作用が少ないのが特徴で、現在、うつ病の主要薬として広く処方されています。   <「薬の教科書」(宝島社)監修 立川 康之 先生 より >   山本さんイラストsj 神経伝達物質とは、神経の接合部のシナプスで神経から神経に情報を伝えるために分泌される物質をいいます。セロトニンはそのうちの一つであり、セロトニンの量が減ると前頭前野のはたらきが悪くなると考えられています。前頭前野のはたらきが悪くなると、意欲や自発性、社会性(理性的な行動をとること)が低下します。  

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 作用時間が長いベンゾジアゼピン系抗不安薬

セルシン 錠形:錠剤、散剤、シロップ剤 薬価:錠 2mg1錠 5.9円 有効成分:ジアゼパム ジェネリック:ジアゼバム「ツルハラ」(ツルハラ製薬)等      ベンゾジアゼピン系の抗不安剤です。ベンゾジアゼピン系の薬は複数ありますが、体内での作用は基本的には同じで、抗不安作用、睡眠作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用などがあります。

 リーゼとの違いは、作用時間が長く24時間以上続くタイプであること。筋緊張緩和作用、抗けいれん作用が強く肩こりや頭痛、熱性けいれんの予防にも使われます。その薬効の高さから、精神科だけではなく、内科や整形外科などでも広く処方されています。

<「薬の教科書」(宝島社)監修 立川 康之 先生 より >   山本さんイラストsj 抗不安薬とは、不安やそれに関連する心理的・身体的症状の治療に使う薬をいい、精神安定剤と呼ばれる事もあります。

 上記作用の通り、1剤で複数の症状に対応できるため、とても便利な薬ですが、他方で、一つの症状のみ抑えたいときには、余分に作用が出るため、副作用も生じやすいことがあります。  

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 作用がおだやかで高齢者にも安心   リーゼ2錠形:錠剤、顆粒剤 薬価:錠 5mg1錠 6.7円 有効成分:クロチアゼパム ジェネリック:クロチアゼパム「トーワ」(東和薬品)等

   心身症(消化器疾患、循環器疾患)における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害などの改善、自律神経失調症におけるめまい・肩こり・食欲不振の改善に使われる薬です。また、手術前の過剰な緊張をやわらげるためにも用いられます。

 特徴は、おだやかに作用し、持続時間が短いこと。また、めまいやふらつきといった副作用が出にくいため、高齢者にも向いています。神経症やうつ病など、精神的な要因で体に不調の出る心身症にも使われます。

 そのほか、筋肉をほぐす作用から、緊張型頭痛、腰椎症、肩こりなどに応用されることもあります。

 急に服用をやめるとリバウンド(反跳性)不眠が起きることがあります。眠れなくなったり、眠りが浅くなったりし、熟睡感が得られない状態です。これを避けるためには、医師の指示通り、ゆっくり薬の量を減らすことが大切です。自己判断で薬を飲むのをやめたり、量を減らすことは避けましょう。

<「薬の教科書」(宝島社)監修 立川 康之 先生 より >   山本さんイラストsj リーゼはチアノジアピン系の薬で、以前に説明しましたデパスもチアノジアピン系であり、効果や、急に服用をやめると不眠の副作用があらわれる等の点で共通しています。

 どのような薬でも、医師や薬剤師の指示をよく確認して服用をやめる必要があると考えられます。  

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 不安感をやわらげ、うつ病や心身症を改善

デパス 錠形:錠剤、細粒剤 薬価:錠0.5mg1錠 9.0円 有効成分:エチゾラム ジェネリック:エキゾラム(日医工)等

 

 おだやかに作用して、不安や緊張感をやわらげ、気持ちを落ち着かせる、チエノジアゼピン系と呼ばれるジャンルの緩和精神安定剤です。抗不安薬や心身安定剤とも呼ばれています。作用的には、ベンゾジアゼピン系というタイプと似ています。安全性が高く、依存しづらいのも特徴です。また、筋肉をほぐす作用があるので、緊張型頭痛や頸椎症、腰痛症、肩こり、けいれん症の病気などにも使われています。

<「薬の教科書」(宝島社)監修 立川 康之 先生 より >   続きを読む »

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