後遺障害立証の場面でやっかいなのが、自覚症状の代表「痛み」です。

 診断書では単に「疼痛」と書きますが、仮に「激痛」と書いたらより酷い痛み・・とは判断されません。痛みは客観的に程度を計り辛いのです。痛みやしびれ、異常感覚は神経症状の括りで12級13号と14級9号、2段階で評価されます。この二つの等級も、「すごく痛い」or「それなりに痛い」で判別されるわけではなく、画像や検査数値で客観的に判断できる12級と、自覚症状のみだが治療経過などから説明できる(信用できる)14級で分けられます。

 等級判断はもちろんですが、現代の医学は、痛みの程度を客観的に正確に数値化する技術に及んでいません。患部にあてるだけで痛みを数値化できるテスター・・・    「はいっ、イタミハカール !」・・ドラえもんのポケットを期待するしかありません。  

痛みのスケール

 痛みのレベルは、被害者の感受性に左右されやすく、言葉や文字による説明だけでは、主治医に対しても、客観的な理解が得られません。そこで、 3 種類の痛みのスケールを紹介しておきます。ガン患者と医療スタッフの間で、実際に使用されているものです。   ( 1 ) NRS = Numerical Rating Scale 、数値的評価スケール、

「最大の痛みを 10 とした場合、今の痛みはどのあたりですか?」痛みが全くない状態を 0 、患者が想像できる最大の痛みを 10 で表します。

    ( 2 ) ...

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 現在、秋葉事務所の担当している脊髄損傷(頚髄損傷、中心性脊髄損傷 含)による被害者さんは3名です。受傷直後の相談者さんも2名おります。

 脊髄損傷は一般的には不可逆的、治療による改善が望めない不治のケガです。神経が完全に断裂していない場合、麻痺の強弱はありますが、リハビリでわずかの改善を目指すしかありません。近年、IPS細胞の培養による組織移植によって、あらゆる臓器の取替えが期待されています。将来、人間の体も故障したパーツごとに取り替え、予備部品がストックできるようになるのでしょうか。

 それでも、脳細胞や神経は完全にコピーできるものか懐疑的でした。それら人体の精密部品は完全に解明できないところもあり、素人目にも難しいと思っていました。ところが、今朝のニュースで、実験段階に及んでいることを知りました。以下、産経新聞より抜粋します。  

将来は慢性患者の治療も iPS移植、脊髄損傷に光明

    国がこれまでに承認したiPS細胞による再生医療の臨床研究は、薬など他の治療法が存在する病気が対象だった。だが、脊髄損傷は再生しない神経細胞が傷付くことで起きるため、薬では治せない。慶応大の細胞移植は成功すれば唯一の治療法となるだけに、患者の期待は非常に大きい。

 移植は脊髄を損傷してから数週間の患者を対象に行う。神経細胞は切断された場所だけでなく、周辺でも炎症を起こして死滅し、症状が悪化していくため、早期に移植した方が治療効果が出やすいからだ。

 ただ、慶応大の岡野栄之(ひでゆき)教授は「将来は損傷から長期間が経過した慢性患者の治療もiPS細胞を使って行いたい」と話す。安全性の確認を最優先に、さまざまな知見を蓄積し、適用対象の拡大につなげていく考えだ。

 国内では約20万人に及ぶ慢性患者が不自由な生活を強いられながら、治療法を待ちわびている。今回の臨床研究は、こうした人たちに光明を届けるための第一歩となる。

<産経新聞(伊藤 壽一郎 氏)より>  

iPSで脊髄損傷治療 慶応大が大筋了承、来年にも移植

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 弊所では病院同行を原則とした医療調査を行っています。被害者さんの症状を客観的に診ているのは医師に他なりません。やはり、現場に足を運ぶ事が一番です。

 しかし、同時に病院同行は諸刃の剣でもあります。例えば、診察の場において、患者以外の介入を嫌う医師も一定数おります。また、病院内部のルールも病院ごとに違うことがあります。安易な介入は病院との関係を壊してしまいます。医師面談や検査依頼、診断書依頼について、様々なパターンに対応できる者を派遣しないと心配なのです。手前味噌になりますが、メディカルコーディネーターを名乗る以上、どのような医師・病院であっても、ほぼ対応可能です。年間200~300件の病院同行を9年も続けているのです。その蓄積は伊達ではありません。

 例えば、医師面談の場で、わずか二言三言で、医師から症状を聴き取り、要望を伝達します。次の患者が並んでいる診察室で、長々と話す事はご法度、まず、医師の怒りを買います。要点を絞り明瞭簡潔、準備された発言とすべきです。また、保険会社側の調査ではなく、あくまで患者の権利のためであることの理解を得ることも重要です。これには、誠実性が問われます。また、面談を断られても、手紙で伝達する、患者と事前に打ち合わせて望む、ご家族の助けを借りる、医事科の協力を取り付けるなど、柔軟に作業を進めます。また、医師を見限る=転院も手段として残しておきます。残念ながら、まったくご協力頂けない、むしろ患者の権利を損ないかねない医師もわずかながら存在するのです。

 最近の相談でも、「依頼した弁護士が病院同行をしてくれたのはいいですが、医師が怒って、診断書記載が宙に浮いてしまった・・」との相談がありました。弁護士先生自ら病院同行して頂けることは、有難いことだと思います。しかしながら、経験不足から医師の不興を買った可能性があります。また、医師面談が不調であっても、二の矢三の矢を放つほど策を持ち合わせていないようです。繰り返しますが、患者以外の介入など歓迎されるはずもなく、保険会社側の医療調査員も毎度苦労をしています。さらに、重大事件のケガでもあるまいし、弁護士の登場など医師もびっくり、できるだけ相手にしたくありません。およそ、医師は弁護士が大嫌いです。弁護士=医療過誤(の追及)と拡大解釈しかねないほどです。弁護士向けの研修会では、病院同行を試みる弁護士先生に、(医師が弁護士に対して)過大なプレッシャーがあることを伝えています。

 医師・病院に対する「接し方」というものがあるのです。医師の立場や病院のルールを尊重することが第一です。これもよくあるケースですが、弁護士事務所が交通事故案件を受任した場合、即、事務員から病院にカルテ開示を依頼してしまうことです。多くの病院にとって、カルテ開示請求は大変緊張感を伴った事件です。「何か、治療上、問題があったのか?(ケチをつけられるのか?)」と、思ってしまうくらいです。病院によっては、医事課の事務長を通して、主治医から院長まで稟議がかかります。それだけ、カルテ開示は重大事なのです。それを、弁護士がまるで、住民票をとるような気軽さで病院に迫るものですから、病院側も怒ります。まず当然に、「何に利用するのですか?」と回答します。むち打ち程度でのカルテ開示申請など、そもそも非常識なのです。かつて、病院に対して、「何故、すぐに出せないのか!」と電話で怒鳴った弁護士さんがいました。その後、病院との関係修復に大変苦労させられたものです。病院を敵に回して、どうやって保険会社と戦うのでしょうか。    交通事故業務を扱うには、医療業界の常識を知る必要があります。さらに、医師との折衝には、気遣いはもちろん、柔軟な対応と経験が必要です。医師も人間、様々なキャラクターがあり、マニュアル対応では限界があります。どのような場面でも、医師や事務方の表情を読み、病院の思惑を察知する・・「機に臨み、変に応ずる」=臨機応変が必要なのです。これは、ある意味、営業マンの仕事に近いと思っています。医師面談を志す者は知識・経験のみならず、営業力・人間力を磨く必要があります。その点、いくら弁護士先生や行政書士などの資格者であっても、営業センスのない者に任せることは危険であると思う次第です。

 

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 何としてでもわが子に病院を継がせたい、その気持ちはわかります。そもそも、昔から技術職は世襲が普通で、秘伝の伝授のような感覚を持つものでした。医術はその最たるものだったと思います。  ちなみに、漫画家の手塚 治虫 先生は、医大を卒業、ご存知の通り医師免許をもっています。手塚家も代々医師が多く、3代遡る曾祖父は手塚 良仙 先生、有名な緒方 洪庵 先生の適塾の出身で、福澤 諭吉 氏と共に同塾で学びました。功績として、江戸で天然痘の種痘所を開設した中心メンバーで、予防接種の礎となりました。その後、軍医で西南戦争に従軍、赤痢で病没しています。その生涯は、手塚作品の『陽だまりの樹』にドラマチックに描かれています。他に医師を題材とした作品は、無免許医の『ブラックジャック』が有名ですね。  話を戻しますが、現代であっても、親が医師であれば、若手医師にとって家にベテラン医師がいる恵まれた境遇となります。あらゆる職業で、世襲そのものは決して悪い事ではないと思います。私の解釈では、不正をしてでも(つまり、能力が担保されない子に)無理に世襲させることが諸悪の根源であり、機会均等は原則、ルールは常にフェアであるべきと思います。能力が担保されない医師に苦労させられるのは患者です。私達も仕事柄、問題のあるドクターを何度も目にしています。では、一切の不正を廃し、跡継ぎが医師試験に受からない院は廃業させるべきでしょうか・・。

 現状の世襲率が低下すれば、地域医療の窓口たるクリニック、かかりつけ医の減少は確実です。これは直接、患者にしわ寄せとなります。そして、医療業界全体の盤石な体制にも逆らうことになるかと思います。二代目が通うことになる私大医学部の莫大な授業料は減少し、その系列病院の経営にも影響必至です。国公立大、有名私大の医学部に入学できる学生は選ばれた少数です。世襲医師の数を保っているのは、実は二流三流、無名医大の存在なのです。そこにはとんでもない額の学費が動いていると思います。医大や諸医師会への寄付金などもあります。どの業界に同じく、公正・不正問わず、あらゆる利権が渦巻いていることは想像に難くありません。行き着くところ、巨大な医療業界や医師免許制度の抜本的な見直しなのですが、それでも医師会はその政治力を背景に、簡単に利権を損なうような改革はしないでしょう。

 病院も民間企業であるところ、商店に例えれば、代々老舗のお店にとって新規参入者など認めたくないものです。一族の利権・マーケットを守るためには、アンフェアと言われようが、どこの馬の骨ともわからない(大学OBの子ではない)、コネのない(権力者、親族の口利きもない)、取引のない(寄付金を払っていない、ことも含まれますでしょうか)者は、できれば排除したいはず。商売の許可・資格を得るための学校なら、試験で足枷したい・・・このような扱い・慣習はどの業界でもまったく同じです。不公平とは考えず、公益などを持ち出した理由ある秩序と割りきっているかと思います。この構造は歴史が示す通り、そう変わるものではありません。歴史の長い国にとって、”見えない世襲制”とでも言いましょうか、階級制度は表向き廃止されても、脈々たるものが存在し続けています。今回の医大への一斉調査は、「せめて試験制度は公正さを保つこと」、これに留まるように思います。

 親は医師ではないが、志を持って努力している医学生にはエールを送りたい気分です。「2代目のボンボンに負けるな!」「心技伴った良い医者になって!」と。  

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 正式な統計データがあるわけではありませんが、お医者さんの世襲率は9割に及ぶと言われています。実際は9割もいないと思いますが、お医者さんを親に持った子供さんの医学部への進学率は当然に高く、むしろ、親御さんが医者なのに医者になっていない子供さんは珍しい位です。

 私達も日々、個人開業医へ病院同行していますが、個人開業医はほとんど代々同族継承です。他の商店や企業に同じく、家業として継承されています。よく比較される弁護士事務所ですが、多くのボスが事務所の継承問題に頭を悩ましています。つまり、子供が易々と司法試験に受からない現実があるからです。すると、弁護士事務所ボスは、「医者はいいよなぁ~」と愚痴をこぼします。何故か、医者の子は医師免許にほとんど受かるからです。

 このような前置きから、昨今ニュースとなっている東京医大の入試不正問題にすんなりつながると思います。試験で作為的な操作があるのだから、裏口入学はもちろん、医師免許そのものに不正があっても不思議でないと、皆が思うことでしょう。大学病院側の言い分ですが、今回の女子受験者に対する扱いの背景について、医師となった女子が一定の専門科に偏重してしまう、夜間勤務医、僻地勤務医が減ること等、医大側は堂々と釈明しました。これら諸問題は、医療の現場では既に常態化しています。医大側の言い訳は、一見、全体の福祉にかなう様に聞こえます。しかし、それは別の方法、制度改定で対策すべきで、絶対にフェアでなければならない試験でこっそり調整するなど、問題のすり替え甚だしいと思います。そして、この言い訳は表向きで、誰もが裏金の臭いを感じるはずです。  

6大学医学部で不適切入試か 文科省が説明求める

   文部科学省が、全国81大学の医学部医学科の入試を対象に実施している調査で、調査のきっかけとなった東京医科大のほか、少なくとも6大学で「不適切な入試の疑いが高い」として同省が説明を求めていることが、関係者の話で分かった。

 文科省は23日に公表した中間報告で、「不適切な可能性が高い事案」として

(1)学力検査での得点が同等でも、面接試験で女性や浪人回数の多い受験生を不利に扱った

(2)調査書や出願時の書類評価で現役生にだけ加点し、多浪生と差をつけた

(3)合格圏外の同窓生の子どもらを合格させた

(4)補欠合格者への繰り上げ合格の連絡を得点順ではなく、下位の特定の受験者へ先にした

の4事例を示した

 また、「疑惑を招きかねない事案」として

(1)出願書類に保護者らの氏名や出身校を書かせ、面接で家庭環境や経済状況を詳細に質問

2)補欠合格者の決定が学長や学部長に一任され、公正性を証明する資料がない

(3)合否判定資料に受験者の氏名・年齢・性別・出身校・備考(同窓生・教職員)などの情報が記されているなど

 の5項目も挙げた。

 柴山昌彦文科相は不適切入試の疑いが高い大学の名前は明かさず、大学側の自主的な公表を求めた。ただ、関係者によると、少なくとも6大学があてはまると判断され、文科省が「合理的な理由があるのか」などと説明を求めている。

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 本日は国立病院で介護設備について打合せ。被害者さんを前に、病院職員さん、作業療法士、建築士の先生も交え、大変勉強になりました。交わされる介護機器の名前を一々確認した次第です。

 最新の設備を見学できた事は有意義でしたが、家庭用の器具も日進月歩のようで、各メーカーから多種多様の器具が発売されているそうです。覚え易い器具を一つ紹介します。これは寝たきりや身体麻痺の方が、ベットからの寝起きに使うリフト、通称「つるべぇ」です。NHK大河ドラマ「西郷どん」岩倉具視役の怪演が話題の笑福亭 鶴瓶 師匠を彷彿とさせますが、介護関係の方にはお馴染みの器具です。

 同様のリフト器具は複数のメーカーから発売していますが、この通称がむしろ通っています。トイレ・お風呂用、玄関用、天状吊り下げ型や自走式もあるようです。  

 (株式会社モトリーさまHPより)

   

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 もう、これは毎年300件の病院同行をしている経験からのため息です。    交通事故外傷で、珍しい傷病名であるはずの診断名、例えば、脊髄損傷、TFCC損傷、手根菅症候群、関節唇損傷、胸郭出口症候群・・・これが、町の個人開業医の診断書からみられるのです。もちろん、診断した医師の診断名が正しいこともあります。しかし、半分以上は疑いをもってみています。おそらく、保険会社の対人担当の熟練者や自賠責保険・調査事務所の皆さんも同じく、毎度のごとく懐疑的に見ているはずです。

 つまり、医師が必ずしも検証を重ねた診断名をつけているわけではなく、恐らく「○○の疑い」の域を出ていない診断名だと思います。毎度、肩腱板損傷、膝の半月板損傷の診断名に際し、その手術適用を視野に専門医を訪ねます。専門医は症例数が桁違いで、多くの患者さんを診ていますし、手術数も相当です。ところが、専門医ほど診断名の断定に慎重なのです。まず、CTやMRIだけでは判断しません。初診で患者から、問診(質問)で入念に症状を聞き取ります。続いて触診などを行い、もう1度、画像を撮ります。丁寧にMRI画像と比較しています。初診では断定せず、数日の検査・検討の後に診断名と治療方針を打出します。

 豊富な経験と高度な診断力を持つ専門医ほど、軽々しく予想的な診断はしないのです。その点、なんで個人開業医の先生は、簡単に診断名を口にする、あるいは、診断書に書くのか・・・。診断名を聞いた患者は、すっかり自身を○○損傷と信じ込みます。これが、後の賠償問題を紛糾させる原因となります。てきとうな、否、疑いレベルの診断名によって被害者と保険会社が対立、保険会社から医療調査で真偽をせまられると、当の診断した医師は手を返したように「○○の疑いかなぁ?」と逃げ腰になります。こうして、はしごを外された患者は取り残されるのです。

 このような診断名を巡る争いが、交通事故賠償の世界では日常茶飯事です。医師の診断名を信じるな!とは言いませんが、専門医でもない、あくまで最初に観る一般の整形外科医は、もっと謙虚な態度で診断すべきと思っています。実際、優れた医師ほど専門性を要する患者には、セカンドオピニオンを含め、自身より専門性の高い医師にコンサル(紹介)を行います。経験・実力のある医師や、誠実な医師ほど安易に診断名をつけないのです。

 

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 抗生物質をシリーズで続けます。現在はペニシリンの一言では語れないほど、多くの種類があります。交通事故外傷での処方・服用もありますが、私達の業務で問題としている、開放骨折後の感染症には、これから挙げる5種の薬が利かないやっかいな菌が存在します。その対処薬はいずれUPしますが、その前に基本的な5種をおさえておきたいと思います。   ① クラビット(第一三共)

剤形:錠剤、細粒剤、点眼剤 薬価:500㎎1錠 452.7円 有効成分:レボフロキサシン ジェネリック:レボフロキサシン「日医工」(日医工)など

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 死亡診断書には正式なフォームがあり、記載方法も毎年、厚労省がマニュアルを発行しています。医師はこのマニュアルに沿って記載をしています。国から記載要領が指示されているのです。自賠責保険もこのような診断書作成マニュアルを作成して医師に配れば、世の後遺障害申請者はどれだけ助かることでしょう。後遺障害診断書は毎度、医師の主観・独断で書かれますから、医師が保険や労災の基準を知らなければ、的外れな診断書が頻発することになります。私達もこれで苦労しているわけです。

 やはり、死亡診断書は重要かつ特殊な書類なのでしょう。マニュアルの記載と医師法に沿って確認してみましょう。     (1)死亡診断書、2つの意義

1、人間の死亡を医学的・法律的に証明するため

 客観的な証明書類でなければなりません。人の死亡を証明するに、証明者(医師)による偏見的・独創的な視点では困るわけです。

2、日本の死因統計作成の資料とする

 行政側にとって重要な統計データになります。国が記載方法を指示する理由はここにあります。医師法上も、死亡に限らず診断書の記載はまず、医師の義務であることがわかります。  

第19条2 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。

  (2)死亡診断書と死体検案書の使い分け

 死亡診断書と死体検案書、名前が違いますが、書式名もそれぞれ併記され、書式は全く同じです。では、どのように使い分けるのか?

○ 死亡診断書

 診療経過中の患者が亡くなり、そしてその死に立ち会った場合。

○ 死体検案書

 ・医師自らが診察していても死亡に立ち会わなかった場合

 ・医師が診察していた時の病気とは関係ない原因による場合

 ・医師自らが診療していなかった患者の死亡の場合続きを読む »

 脳が収まった頭蓋骨と顔面部の境に薄い骨があります。下図の赤い線の部分です。この頭蓋底骨は、頭部への強い衝撃で穴が開く(多くはひびが入る、亀裂骨折)ことがあります。ビール瓶で殴っても折れる可能性があるようです。

 頭蓋骨の底面である頭蓋底は、ちょうど眼の下に位置して、でこぼこで厚さの違う骨で構成され、 多くの孔が開き、視神経、嗅神経、聴神経、血管が走行している複雑な構造となっています。 したがって、この骨折によって、これらの神経の損傷が併発することがあります。

 交通事故受傷後のめまい、失調、平衡機能障害、眼では、視力や調整力の低下などの症状ですが、 傷病名が頚椎捻挫であれば、バレ・リュー症候群として、つまり、頚部神経症状として後遺障害が審査されます。先の諸症状を訴えても、多くは、14級9号が限界となります。視覚、嗅覚、聴覚の障害が交通事故の後遺障害として審査されるには器質的損傷、つまり、骨折があることを立証しなければなりません。ここで発生する最大の問題点が、頭蓋底骨折の見落としです。 続きを読む »

 最近、脊髄損傷で半身の硬直と痛みを訴える被害者さんがこれを服用して、効果があったと報告がありました。早速、調べてみましよう。

 麻痺の種類は大きく分けて、痙性麻痺(けいせいまひ)と弛緩性麻痺(しかんせいまひ)です。痙性麻痺は文字通り、しびれがあり、四肢が硬直して動かない、動きづらい、痛みなどの症状となります。弛緩性麻痺は力が入らない、自分の意志で動かせない、細かい動きができないなどの症状を示します。それぞれ、脊髄損傷や脳障害を契機とする場合や、四肢への直接的な神経障害で起こります。それぞれ辛いものですが、痛みや硬直を伴う麻痺には、ダントリウムが服用されます。痙性麻痺の硬直を緩和し、麻痺をコントロールする対処薬です。   【薬理】

主成分はダントロレンナトリウム水和物(Dantrolene sodium hydrate)、多くは25mgカプセル剤です。骨格筋の収縮を抑えることにより、筋肉のこわばり・麻ひなどを和らげる薬です。また、骨格筋や中枢神経のカルシウムイオン濃度を抑え神経伝達物質のバランスを補正します。通常、全身こむら返り病や脳血管障害などに伴う痙性麻ひの治療に用いられます。また、悪性症候群(高熱が出る、筋肉がけいれんする、意識がもうろうとする)の治療に使用します。   【効能】

脳血管障害後遺症、脳性麻痺、外傷後遺症(頭部外傷、脊髄損傷)、頸部脊椎症、後縦靱帯骨化症、脊髄小脳変性症、痙性脊髄麻痺、脊髄炎、脊髄症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、スモン(SMON)、潜水病、全身こむら返り病にも処方されます。

【用法】

痙性麻痺および全身こむら返り病:通常、成人は1日1回1カプセル(主成分として25mg)より服用し始め、1週ごとに1カプセル(25mg)ずつ増やし(1日2〜3回に分ける)、維持量を決めます。ただし、1日最高服用量は6カプセル(150mg)として、3回に分けて服用します。悪性症候群:通常、成人は1回1カプセル(25mg)または2カプセル(50mg)を1日3回服用します。年齢・症状により適宜増減されます。

【副作用】

眠気、注意力が散漫、めまい、無気力が生じることがあるので、車の運転などの危険を伴う機械操作などは控えます。まれに下記のような症状があらわれ、( )内に示した副作用の初期症状である可能性があります。このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。

•皮膚や粘膜が黄色くなる(黄疸) •全身がだるい、食欲低下(肝障害) •発熱、咳、呼吸困難(PIE症候群) •胸の痛み、咳がでる、呼吸困難(胸膜炎) •排便がない、腹痛、食欲がない(腸閉塞=イレウス) •顔色が青白い、冷汗、立ちくらみ(アナフィラキシーショック)

また、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出ることがあります。閉塞性肺疾患、心疾患、筋無力症状、肝疾患の場合は服用しません。また、妊娠または授乳中、他に薬などを使っている場合は、お互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もありますので、他に使用中の一般用医薬品や食品も含めて注意が必要です。

 <くすりのしおり様HPから引用>  

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 とりあえず、てんかん薬は今日まで。また、てんかんについて詳しく調べる機会を持ちたいと思います。

脳波の波形も読み取れるようにしたいです

  【11】レベチラセタム  (LEV)

 商品名:イーケプラ

 部分てんかんの発作に付加薬あるいは単剤として使用されますが、全般てんかんの発作、特にミオクロニー発作(※)にも有効です。併用している抗てんかん薬の血中濃度に影響を及ぼさないといわれています。腎機能障害時には投与量を減らす必要があります。ごく稀に眠気やいらいら感などの副作用がみられることがあります。

 経験では、他のてんかん薬に併用される傾向です。高齢者や他に薬を服用している方に用いられるようです。

※ ミオクロニー発作・・・体全体、あるいは頭部、足の両側の筋肉の一部が強く収縮する発作です。一瞬ぴくっとするだけなので、気付くことが遅れるようです。   【12】スチリペントール  (STP)

 商品名:ディアコミット

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 てんかん薬シリーズを続けます。代表的なお薬、デパケンの登場です。

【6】バルプロ酸ナトリウム  (VPA)

 商品名:デパケン、セレニカ、バレリン、バルプロ酸ナトリウム

 てんかん発作の代表的な薬で、第一選択薬として広く使用されています。気分障害の改善効果もあります。また片頭痛にも使用されます。徐放性製剤があり、1日の服用回数を減らし、胃腸系の副作用を減少させることなどを目的に使用されます。飲み始めに一時的に消化器症状や眠気が生じることがあります。体重が増えることがあります。高用量は妊娠には適しません。

 経験ではてんかん発作を起こした患者さんに最も数多く使われていました。商品名のデパケンで知られています。   【7】エトサクシミド  (ESM)

 商品名:エピレオプチマル、ザロンチン

 欠神発作(※)に有効な薬剤です。稀にしゃっくりなどの副作用があります。ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム、ニトラゼパム、クロナゼパム、クロバザムなど) 抗けいれん作用に加え、抗不安、催眠・鎮静、筋弛緩作用を持っており、てんかん以外の疾患の治療にも使用されています。他の抗てんかん薬の補助的な薬剤として使用されることが多い薬です。血中濃度と有効性の間にあきらかな相関が認められていません。ジアゼパムの注射はてんかん重積状態の第1次薬として使用されます。副作用には、眠気、ふらつき、流涎などがあります。

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 持病のてんかんもありますが、交通事故外傷の世界では、高次脳機能障害を伴う頭部外傷、脳外傷の被害者さんにみられます。事故後、発作が起きた場合はもちろん、脳波検査で異常波が検出されれば、投薬を中心に医師の定期的な診察が続きます。医師の多くは、最初の発作から2年の観察を続ける必要を示唆します。てんかんは、私達の仕事上、安易に症状固定に進めなくなる厄介なものです。

 どのような薬が選択されているか? 医師の定期的な診察だけではなく、薬の性質と役割から、再発の危険性と症状固定日の想定をすることになります。久々の薬シリーズですが、てんかんの代表的な薬を確認したいと思います。文中、てんかんの類型、種類に関する専門用語を調べました。業務日誌は、事務所の勉強会・発表の場でもあります。

【1】フェニトイン  (PHT)

 商品名:アレビアチン、ヒダントールアレビアチン

 部分てんかん(※)の発作、全般てんかんの強直発作などに有効です。てんかんが重なる状態に注射として使用されます。てんかん発作を誘発する脳内の電位依存性ナトリウムチャネルを阻害するなどして興奮性伝達を抑制、神経膜を安定化させる効果があります。また、血中濃度が変動しやすい性質があり、血中濃度のモニターが役に立ちます。  稀にアレルギーを示す人がいます。量が多いと眠気、ふらつき、複視などの副作用が生じることがあり、歯ぐきが腫れることがあります。

 過去の依頼者さんの経験では、発作を繰り返す患者さんに処方されています。

※ 部分てんかん・・・意識障害の伴うタイプと伴わないタイプがあります。痙攣などの運動が身体の一部にみられ、しばしばそれが他の部位に連続的に広がっていく運動性の発作は、口周などに痙攣が始まることが多く、手足→口周→同じがわの身半分→全身などにひろがり、全身に痙攣が及んだところで意識を失うのが一般的です。また身体の一部に起こった異常感覚がほかにひろがる感覚性の発作もあり、腹痛、下痢などの自律神経症状が発作的にみられるようなものもあります。   【2】カルバマゼピン  (CBZ)

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 毎日、交通事故・被害者の皆さまに役立つ情報を発信して、7年になります。

 時折、交通事故と関係ない無駄記事を挟みますが、業務日誌は営業日に欠かさずUPしています。まずは、10年継続を目指して励行しています。この数年で交通事故に詳しいホームページは雨後の竹の子のごとく量産されて、もはや、被害者さんの目移りは普通となりました。そのような環境でも毎日更新しているHPはほとんどないと思います。まして、宣伝先行であり、純粋な情報発信は皆無に近いと思います。

 今日は、恐縮ですが宣伝をさせて頂きたいと思います。    ズバリ、秋葉事務所の強み、売り、です。    「交通事故に詳しいですよ」、「自賠責保険・後遺障害に特化していす」、「交通事故専門です」などは、皆が口を揃えている商売上の使い古された宣伝文句に成り下がったと思います。医学書を写した知識の羅列など、もはや当たり前なのです。被害者さんは、それが実力か単なる宣伝力か、見抜かなければなりません。その点、弊所は理屈ではなく実績と実動を強調しています。複雑に絡んだ糸を解くがごとく、被害者にとって実利ある解決に導くには、第一にその傷病名を受任した実績・経験がものを言います。それは実績ページをご覧になればご納得いただけると思います。ほとんどの事務所は、相談数や受任数について、客観性のない手前集計の数字を誇るだけで、中身が不明です。実例・経験の掲載となると、数件、多くて数十件でしょう。500件に及ぶ掲載は私達だけです。

 加えてもう一つ、私達は実動作業を重んじております。それは、なんと言っても現場に行くことです。現場とは事故発生現場のことではなく、病院を指します。交通事故外傷を経験した被害者さん達は、治療と後遺症を証明する画像や診断書の重要性を痛感しています。それらケガ・後遺症の証拠を正確に、余すところなく、被害者側が積極的に収集して、相手(保険会社)に突きつけなければなりません。それには、病院同行が最も確実な作業なのです。病院同行・医師面談は基本全件に実施しています。病院同行が馴染まない案件は別方法をとりますが、受任の90%は病院同行・医師面談によって、最良の診断書を取得しています。

 そして、病院同行の膨大なデータから、独自の病院情報を集積・保持するに至りました。以下は年間200~300件の病院同行を7年以上、続けてきた事務所が持つ、整形外科・個人開業医の病院情報、各県の保持数です。  

 東京 43 埼玉 27 神奈川 16 千葉 12    群馬 4 茨城 3 静岡 10 山梨 15 長野 4

   総合病院や大学病院の情報は把握し易く、地域の大病院は概ね承知していますので、上記数から除いています。整形外科以外、専門医も別枠です。あくまでリハビリ通院の対象となる、地域の整形外科だけのカウントです。この整形外科・個人開業医は実際に院長に面談することで評価が定まります。この数だけでも、大変な苦労と時間がかかりました。    病院ごとに、「診断力」「リハビリ設備」「診断書作成」「人間性」の4項目の評価をデータ化、蓄積を続けています。    相談会では、これらのデータを基に治療先の選定、転院について、責任をもった回答を可能にしています。とくに、むちうちの後遺障害認定は、一定期間まじめにリハビリを続けた治療実績から判断されます。すると、理学療法の設備がない病院は最初から「リハビリ設備」×、診断力に乏しく、様子を見ましょうと言って薬だけ大量にだす病院は心配ですから「診断力」△、後遺障害診断書を書きたがらず、書いてもテキトーな先生は「診断書作成」×、どうも保険会社寄りで「捻挫の治療は3ヶ月まで」と決めている病院は「診断力」「人間性」×、逆に患者離れ悪く、なにかと保険会社にマークされている病院も「人間性」×、はなから面談拒否や、ひねくれ者で性格の悪い先生は当然に「人間性」×です。交通事故に理解があり、協力的な先生は「診断書作成」や「人間性」が○になります。このように、項目ごとに評価をしています。

 実は”行ってはならない病院”情報が最も重要で、ほとんどこれが被害者の運命を分けることになります。こんなデータを蓄積している事務所は私達だけでしょう。例えば、甲府では、「地元のどんな法律事務所より、この地域の病院に詳しいです!」と断言しています。

 どんな優秀な弁護士でも、医師が1度書いた診断書を直す事は至難の業です。どんなに後遺障害に詳しい行政書士であっても、「どこで検査できるか」「どの病院に通うべきか」、地域の医療情報に暗く、必要な検査ができる病院に誘致できなければ、その知識は絵に書いた餅になります。実動なく、机に座って被害者さんに指示するだけ・・これで解決できる簡単な事案なら苦労はしませんが・・。   続きを読む »

 違いが曖昧な用語について整理したいと思います。知っているつもりが、具体的な説明に窮してしまう専門用語はいっぱいあります。立ち止まって勉強する毎日です。  

脳死と植物状態

 脳死とは、呼吸・循環機能の調節や意識の伝達など、生きていくために必要な働きを司る脳幹を含む、脳全体の機能が失われた状態です。事故や脳卒中などが原因で脳幹が機能しなくなると、回復する可能性はなく二度と元に戻りません。薬剤や人工呼吸器などによってしばらくは心臓を動かし続けることはできますが、やがて(多くは数日以内)心臓も停止してしまいます(心停止までに、長時間を要する例も報告されています)。植物状態は、脳幹の機能が残っていて、自ら呼吸できる場合が多く、回復する可能性もあります。脳死と植物状態は、根本的に全く違うものなのです。

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