【事案】

歩行者横断禁止の直線道路をオートバイで直進中、横断してきた歩行者を避けようとして、停車中の自動車に衝突・受傷した。救急搬送され、上下顎骨骨折・下顎口唇挫創、歯牙欠損の診断となった。

治療を続けた結果、噛み合わせが悪くなり、咬合障害とそしゃく障害、顎のしびれが生じていた。また、治療の必要は歯(補綴歯)は3本となった。さらに、口元に傷跡(線状痕5㎝)が残った等の症状が残存した。

【問題点】

相手が歩行者であるので、個人賠償責任保険の加入を探る必要がある。また、相談者は通勤中の事故の為、労災申請も必須としなければならない。まずは、労災から治療費や休業損害確保を目指した。

【立証ポイント】

噛み合わせ・咀嚼障害の原因究明のため、CT、MRI検査を主治医に依頼した。画像上、骨折部位の偽関節が確認できたため、症状固定の際には後遺障害診断書に画像所見の記載を主治医に依頼した。他方、歯牙欠損も含め、顎の骨の変形等により咬合がうまくできず、補綴治療を継続する方針となったが、一旦暫定的に症状固定として、将来発生する予定である治療費を請求できるように見積もりを作成して頂くことになった。

自賠責調査事務所に被害者請求する場合とほぼ同じように診断書・レセプト(開示請求)・後遺障害診断書・画像を収集し、相手方の個人賠償責任保険に対して後遺障害の自社認定を依頼した。このパターン、連携弁護士との歩調は慣れたもの。

申請から約8ヶ月の審査の結果、下顎骨骨折後のしびれで12級13号、そしゃく障害12級相当、歯牙欠損13級5号がそれぞれ認定、ここまでで併合11級となった。最終的に傷跡(線状痕)9級16号が最高等級となり、併合8級となった。

※併合の為、分離しています。

(令和元年10月)