【事案】

自転車で横断歩道を走行中、信号無視の車に衝突される。救急搬送され、CTにて側頭骨骨折、くも膜下出血・脳挫傷が判明、約2週間の入院を余儀なくされる。

【問題点】

意識障害の記録を取り寄せたところ、意識障害はGCS満点、健忘が約1時間という内容であり、ほとんど意識は清明であった。これは、高次脳機能障害を認める3要件の1つを欠くことなる。また、救急搬送先の脳神経外科医が高次脳機能障害に理解がなく、経過観察もせずに、早々に治療終了と判断した。

【立証ポイント】

ご家族・ご本人とお話すると、意識障害の要件が揃っていれば7級を目標にするような症状がみられたため、すぐに病院同行し、高次脳機能障害を立証できる病院への紹介状を依頼した。

コロナ禍ということもあり、検査自体が困難な病院が多い中、なんとか検査・評価できる病院を探し出して、お連れした。ご家族の話では、短期記憶障害と遂行機能障害、注意障害があるため、その立証に必要な検査を医師・言語聴覚士と相談してスケジュールを組んだ。

検査結果から、上記3つの症状が裏付けられたが、予想は9級へ下方修正とした。家族の訴えを日常生活状況報告書に詳細に反映させ、いつも通り申請したところ、3ヶ月での認定となった。常々思ってはいたが、診る医師によって被害者の運命はこうも変わってしまうのかと痛感する案件となった。

(令和3年6月)

※併合の為、分離しています