【事案】

旅行でペンションに宿泊中の事故。地下の乾燥室で作業中に棚が転倒、頚部に直撃して受傷した。救急搬送後、レントゲンで第5頚椎の棘突起に骨折があり、外傷性頚部症候群の診断名もついた。帰宅後、リハビリ通院が続いた。

【問題点】

加害者はペンションとなるが、オーナーが加入していた施設賠償責任保険(設備に問題があり、第三者(ここでは宿泊客等)に損害を与えた場合、肩代わりして支払う保険)で治療費の対応をしていた。しかし、休業損害や慰謝料も含めた賠償交渉、後遺症に対する補償について交渉が進まなかった。そのうち、相手は弁護士を介入させてきた。ここに至って、県内複数の弁護士に相談するも、このような事故では相手にされなかった。

【立証ポイント】

知人保険代理店さん経由で、秋葉事務所への依頼となった。迷わず長野県の病院へ同行し、主治医に後遺障害診断書の記載について相談した。折れた棘突起に深刻な変形・転位はなく、癒合は問題ないので、しびれ・疼痛の残存を主訴に記載頂く。次に、自賠責保険と同じ要領で診断書・診療報酬明細所、画像CDを集積し、連携弁護士を通じて相手保険会社の自社認定に付した。

14級9号を認めて頂いたが、やはりと言うか、相手保険会社は交通事故ではないことを理由に、赤本基準の慰謝料・休業損害に難色を示した。そこは交通事故で鍛えられた百戦錬磨の弁護士、じっくり交渉を進めて、最終的には相手も折れた。

保険会社は、賠償保険の相場を自賠責と同水準に想定している。しかし、施設賠が相手であろうと、民事上の賠償の考え方は同じである。弁護士基準をベースに、納得の金額で解決を果たした。

(平成29年4月)