医師は脊髄損傷における合併症とその予防に注意を払っています。代表的な4つは・・   1、褥瘡(じょくそう)・・・寝たきりの高齢者に要注意の床ずれです。

 動作不能の患者は寝たきりの状態になります。頻繁な体位変換、専用予防マットの使用、皮膚清拭が必要です。   2、尿路感染症

 排尿障害は閉尿(尿の出が悪くなる)や頻尿(回数が増える)に2分します。それぞれ症状に応じて、間欠導尿、排尿訓練、自己導尿訓練が必要です。カテーテルを用いるケースもあります。   3、呼吸器感染症

 痰の吸引、タッピング(背中を叩いて痰を切る)、肺理学療法を行います。   4、関節拘縮

 関節可動域訓練、安静時の良肢位保持。 脊柱の可動域が2分の1となれば8球2号の障害が認定されますが、これは関節拘縮を直接の傷病名とするものではなく脊椎・脊髄の器質的損傷を条件としています。    <検査>   1、MRI

 とにかく画像所見ありきです。医師も脊髄損傷を確認しないことには治療方法を選択できません。T1、T2でそれぞれ病変部を明らかにします。共に3.0テスラのような高精度が望まれます。また技師が脊髄損傷の撮影に慣れていることもポイントです。   2、ミエログラフィー

 脊髄(もしくは馬尾神経)の圧迫病変を探します。腰椎もしくは頸椎から造影剤を脊髄腔内に注入し、X線でその拡散の様子を透視・撮影します。造影剤が途中で完全ブロックする部分、つまり中枢側の病変位置を知りたい時に用います。近年MRIの高精度化で役割は薄れました。しかし、MRIではリアルタイムに前後・左右に屈曲・伸展させた時の髄腔の変化を撮影することができないため、MRIで画像所見が得られない場合、未だ有用とされています。   3、SSEP (体幹部の神経伝達速度検査)

 手や足の感覚神経に電気的な刺激を与えることによって、誘発される反応を記録するもので、手や足から脊髄、脳幹、大脳皮質に至る感覚神経の機能を見ます。頭、首、腰、などに電極を数個つけて、手や足の末梢神経を軽く電気刺激します。低周波マッサージ器の様なピリッピリッとした刺激痛があります。   4、針筋電図検査

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