受傷機転とは、「どような事故状況で、どのように受傷部位に衝撃が加わったか」を説明したものです。これを、自賠責保険の後遺障害審査では非常に重視しています。受傷部位・診断名ごとにその理由を説明します。不定期ですが、シリーズ化の予定です。本日は、よもやよもやの膝関節。 以前から、再々受傷機転の重要性を語ってきました。自賠責保険は、審査上、医師の診断名を鵜呑みにしません。必ず、レントゲンやCT、MRIの画像を確認します。ここで「確かに損傷がある」としても、直ちに等級認定しません。受傷機転に戻ります。①「このような事故状況で膝を強打するだろうか?」、②「この程度の衝撃で靭帯や半月板が損傷するのか?」と、極めて常識的な疑問を持ちます。
私達がよく相談者さんに説明する話法はこうです。「床に固いガラスの玉と柔らかいゴムの玉を落とすと・・・割れるのはガラスですよね」。ガラス玉は骨で、ゴム玉は靭帯を指します。つまり、膝に衝撃が加わったとして、骨折を回避できたのに、都合よく靭帯や半月板だけ痛めるのは、極めてまれなことだと思うわけです。例えば、自動車搭乗中に追突されて、踏ん張った拍子に膝を痛めた・・・この程度の衝撃で膝の靭帯が切れるはずはないと思われるでしょう。仮に、玉突き衝突で前車にも追突して、ダッシュボードに膝を打撃した場合、可能性は感じます。そこで、膝蓋骨(膝のお皿)が骨折していれば、靭帯や半月板の損傷は信用されます。ところが、骨に異常なく、都合よく靭帯だけが切れたとなると、にわかに信用できなくなるわけです。
一方、自転車搭乗中に交差点で左折自動車の巻き込みにあって、人体への打撃はほとんどなかったが、脚が自転車に挟まって膝関節をひねり、前十字靭帯が断裂した例はありました。これは、事故状態から十分に説明できるので、靭帯損傷は納得できるものです。 通常、医師はこれら受傷機転を考慮することなく、画像検査や問診・触診から損傷があれば、診断名にします。受傷の原因はどうであれ、診断を下すことが医師の仕事です。しかし、相手保険会社、そして、自賠責保険の調査事務所は受傷機転に納得いかなければ、医師の診断名を疑う、あるいは陳旧性(事故以前の古傷)病変と思うのです。これが、交通事故外傷にまつわる紛争化の原因なのです。 MRIを撮って、靭帯の不全断裂、もしくは軽度損傷が見つかりました。医師も画像から診断名をつけました。さて、この損傷は事故受傷によるものでしょうか? これを、ケガと事故の直接因果関係と呼びます。ここでも、最も参考とするのは受傷機転なのです。次いで、事故直後の行動でしょうか。例えば、中高年の男性が自転車で自動車と衝突・転倒し、膝を強打したとします。しかし、骨折なく、多少のスリ傷程度です。通常、靭帯が断裂した瞬間、「ゴリッ」「ボキッ」と音がします。アキレス腱断裂などは周囲にも音が聞こえます(剣道部のあるあるです)。関節内出血が起きれば、膝部が腫れあがって膨張します。 でも、それらがない。
何より、大の男がのたうち回る位に激痛です。まともに歩けません。それが、立って普通に歩けるのは何故か? これらの情報から、事故受傷が主原因ではなく「元々、経年性の損傷が半月板や靭帯にあった」との推定が働きます。とくに、変形性膝関節の兆候がある中年女性の場合、半月板がすり減っている人が多いものです。
事故現場から普通に自転車に乗って帰宅し、翌日になって痛みで病院に行ったら、靭帯損傷の診断名となりました。これも、実に不自然でしょう。対して被害者さん達は、事故直後はアドレナリンがでて痛みを感じなかった、仕事に遅れるので痛みをこらえて急いで会社に行った、痛みはあったが日曜だったので翌日病院に行ったと言い訳します。しかし、一般人にそんな我慢は無理です。訓練された軍人やスポーツ選手なら可能性がありますけど(ランボーやマイク・タイソンなら可能でしょう)。普通、事故の衝撃で靭帯が切れたら、歩けない程痛みます。それを現場検証に来た警察や周囲の人がほっておくでしょうか? 救急搬送が普通、自転車など漕げるはずがないのです。
ただし、すべてが嘘とは言えません。経年性で靭帯や半月板に劣化があったとして、無症状だった人が、事故の衝撃から痛みや不具合を発症することはあり得ます。そこは、自賠責も鬼ではありません。受傷直後~半年間、症状の一貫性があれば、14級9号(局部に神経症状を残すもの)のお茶を濁すような認定もあります。ただし、自転車を漕いで帰った人や、1週間後にやっと病院に行った被害者さんは、苦しい・・「非該当」になると思います。 このシリーズ、毎回の結論ですが、「自賠責保険はまず常識で判断」しているのです。 受傷者がアスリートなど特殊な例は除外。これら個別具体的な事情のある後遺障害は、裁判で後遺障害等級を勝ち取らねばなりません。

地味な仕事でしたが、十二鬼月クラスの認定です。



断言します、テロスより徒手による撮影がベターです。機会あれば、依頼者さまのご許可を頂き、徒手によるストレス画像をお見せしたいと思います。
自賠責保険は、その後遺障害の審査上、診断書の計測値を必ずしも真に受けていません。必ず、関節が曲がらなくなる理由を画像に求めます。つまり、画像上、骨が曲がって癒合した、関節面に不整が残った、靭帯の断裂が影響したなど、物理的に曲がらないことが確認できなければ、可動域の数値を疑います。もしくは、神経麻痺で動かない場合も、筋電図検査で数値を確認できなければ認めません。関節の角度だけで判断してはいないのです。
詳しくは、7年前の記事をご覧下さい。⇒
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膝の後遺障害立証こそ、その事務所の力量を示すと言っても過言ではないと思います
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動揺性、それが5mm前後であれば、多くは保存療法を選択します。リハビリでは、大腿四等筋を鍛えて弱くなった靱帯を助け、膝の安定性を確保することが目標となります。また、靱帯の完全断裂、又は1~2cmを越える高度な動揺性を示す場合、このレベルでは歩行に支障をきたすので手術(靱帯の再建術・・・膝蓋腱等から移植することもあります)の判断となります。
よく言えば「総合判断」、悪く言えば「曖昧」です。したがって、賠償上の判断基準と臨床上の計測・判断が繋がらない、または食い違うことが起きてしまいます。本例もその代表例です。これでは、明確な基準から正確な判断を求める、ある意味真面目な医師は記載に迷うと思います。一方、手で関節を引っ張って、なんとなく「前方1cm」と賠償上の目安に乗って記載して頂ける医師もおります。
機能障害は神経症状より優位な後遺症なのです!


iPS細胞は受精卵のように体を構成するすべての細胞に分化できる能力を持っている。そして患者の皮膚細胞から作製したiPS細胞を、治療に使う神経や筋肉などの細胞に分化させ、患者に移植することで病気や怪我で失われた機能を回復させることが可能になる。皮膚という完全に分化した状態の細胞に4つの遺伝子を組み込むことによって受精卵のような状態に戻し、受精卵と同様の万能性を作りだしたことが画期的とされ、生物学の常識を覆したと言われている。






