信号待ちの交差点は大変に危険です。猛スピードでなくとも、車が目の前をビュンビュン走っています。通常、その車が歩道に乗り上げてくる事など予想しないでしょう。そう、予想していなからこそ、危ないのです。

 弊所での実例を挙げます。
 
【1】 信号待ちで煙草を一服 ~ 自転車Aさん

 13年前の事故です。自転車で通勤中、いつもの交差点で止まり、煙草を一服。この日は風もあって、ライターの火が揺らめき、なかなか火がつきません。その時、居眠り運転の軽自動車が車道かす~っと歩道に乗り上げてきました。何人かは急いでよけましたが、たばこに集中しているAさんは衝突まで気付かず・・右脚がぐちゃぐちゃに。診断名は脛骨・腓骨骨幹部骨折、股関節脱臼骨折・・後遺障害は腓骨神経麻痺、短縮障害で併合7級になりました。以来、杖を必携、右脚を引きずっています。

 たばこにすぐ火がついたなら・・悔やまれます。現在ならスマホを操作中で・・類似事故が起きるはずです。
  
【2】 最悪のまき込まれ事故  ~ 歩行者Bさん

 出勤は目前、会社前の交差点で信号待ちをしていました。すると、直進自動車が信号無視の自動車と出合い頭衝突、そして、その反動で直進自動車が歩道に突っ込み、Bさんにまっしぐら! Bさんはあまりの不意によけきれず、自動車と後ろのビル壁に脚を挟まれました。左脚は潰され、診断書名は大腿骨・脛骨粉砕骨折、膝関節の機能障害で併合9級となりました。

 とばっちり事故ですが、あんまりの結果です。ちなみに、共同不法行為になりますが、過失責任は信号無視の自動車が100%と思います。ただし、この自動車、任意保険は入っておらず、かと言って、過失のない直進自動車にも責任追及は難しく・・結局、自身加入の自動車保険の無保険車傷害保険に請求することになりました。
  
【3】高架から自動車が降ってきた!? ~ 自動車運転中Cさん

 この例は直接の交差点事故ではありませんが、前の【2】同様、巻き込まれ型です。自動車で直進道路を走行中のCさん、急に空から自動車が降ってきた! 並走する高架線で2台の自動車が衝突し、その内1台が側壁を乗り越えて落ちてきたのです。避けようがありません。

 鎖骨、胸骨、肋骨、左橈尺骨、仙骨、腸骨などバキバキに骨折、4度の手術を経て後遺障害は併合10級に(よくこれで済んだ)。まったく不運としか言いようがありません。
 
 【3】は別として、交差点で漫然と信号待ちしているのは危険です。少しでも緊張感があれば、避けられるかもしれません。避けられずとも、重傷を軽減できたかもしれません。交差点に限らず、道路では常に周囲に注意を払う必要があると思います。