この書類の作成ですが、請求書は治療費請求とほとんど変わりません。しかし、休業日額の算定にあたり、面倒な「別紙」の作成が必要です。これは通常、会社に記載してもらいます。ここでも、会社担当者、顧問社労士の経験が作用します。すぐに書いてくれる会社もあれば、社労士先生や労基と相談しながら長々とかかるケース、提出後も補正がかかるケースが少なくありません。被害者さん独力では苦労するはずです。
 

 なお、一日あたりの休業給付額は、およそ賃金の60%程度の計算になります。それを補うわけではありませんが、別枠で「特別給付20%」が加算されます。これは大変にお得です。なぜなら、交通事故など第3者による被害では、相手から賠償金が入ることがあります。交通事故の場合、相手の自賠責保険や任意保険の休業補償にあたります。それらと労災・休業給付の2重取りはできません。それら賠償金は労災支給額から控除されます。しかし、この特別給付は控除の対象ではなく、丸々、請求者に支払われるからです。

 

 また、休業給付は、最初の3日間は控除されます。つまり、10日休んでも7日分の支給になります。

(1)給付日額の計算
 
① 休業給付
 
給付基礎日額・・・平均賃金= 発病・負傷直前の賃金締切日から遡って3ヶ月の賃金総額 ÷ その3ヶ月の歴日数 
 
 「給付基礎日額」とは、労働基準法の平均賃金に相当する額を指します。
 
 平均賃金とは、業務災害・通勤災害の発生した日、または医師の診断によって疾病が確定した日(賃金締切日が定められている場合は、傷病発生日の直前の賃金締切日)の直前3か月間に、その労働者に支払われた賃金総額(ボーナスなど臨時の賃金は除く)を、その期間の暦日数(≒カレンダーの総日数)で割った額です(上記の計算式)
 
<計算例> 上の説明では却って難しくなりますので、以下をご覧下さい。
  
・4月3日に労災事故でケガをして、入院となりました。会社の給与〆日は月末日です。
 
・直前3か月の賃金総額・・・1月給与(28万円)+2月給与(28万円)+3月給与(34万円)=90万円
 
・ その歴日数・・・1月(31日)+2月(28日)+3月(31日)=90日
 
 給付日額は・・90万円 ÷ 90日 =10000円
  
 休業給付は・・10000円 × 60% × 休業日数(休んだ日数-3日)で計算されます。

 
② 休業特別給付  労災制度の恩恵です!
 
 給付基礎日額 × 20% × 休業日数(休んだ日数-3日)で計算されます。
 
 これで、休業による損失の80%を確保できたことになります。

 
 

(2)申請書

① 休業給付請求書(左:表面 右:裏面) (16-6) (8号) 


 
 今までの要領で記載できます。しかし! ↓ の別紙1、2は、会社あるいは顧問社労士に頼ることになります。前述の平均賃金・給付日額を計算して記入します。
 
(16-6 別紙1 ) (8号 別紙1 )

(16-6 別紙2 ) (8号 別紙2 )
 
 この休業給付の書式完成が最も会社頼りになるので、特に別紙の1と2は会社の協力がないと大変に苦戦するのです。別紙1は平均賃金の計算、別紙2は休業した日の明細です。

 私達も会社担当者さんに聞かなければわからないことが多く、結局、会社や顧問社労士先生に問い合わせして記載します。