本日は可動域制限の追加計測の立会いです。お忙しいDr.に再び計測の労を取らせてしまい恐縮ですので、短時間でささっとお願いします。

 さて、手首から前腕部や肘の受傷で、手首や肘に可動域制限が起きた場合、それぞれ対応する後遺障害は下表の通りです。さらに前腕部には回内・回外という計測項目があります。多くの場合、手首もしくは肘の可動域制限と比べて高い方の等級が認定されます。まず骨折の部位と様態が手首と前腕、両方の可動域に影響を及ぼすかを検証します。そしてよほどひどい骨折で癒合状態も最悪、または前腕部全体に及ぶひどい神経麻痺でなければほとんどの場合、回内・回外の等級とは併合しません。ここでも関節可動域の基本「癒合状態」が判断の前提となります。

 経験ではTFCC損傷の被害者さんは回外がきついようです。TFCC損傷でも軽度の損傷、もしくは手術で修復が進んだ場合、掌屈・背屈はかなり改善します。実際、尺屈(参考数値)のみに制限を残し、掌屈・背屈は正常値になってしまった被害者さんがおりました。このままですと14級9号止まりです。この被害者さんは医師からも「治って良かったんだよ」と言われ、諦めていたところで相談にいらっしゃいました。その後、私が病院同行して回外の計測を追加依頼し、12級6号を確保しました。普通、医師はこのような考えまで及びません。後遺障害は医師にとって別分野なのかもしれません。

kansetu_15 kansetu_16

部位

主要運動

参考運動

手関節

背屈

掌屈

合計

橈屈

尺屈

正常値

70 °

90 °

160 °

25 °

55 °

8 級 6 号

10 °

10 °

20 °

10 級 10 号

35 °

45 °

80 °

15 °

30 °

12 級 6 号

55 °

70 °

125 °

20 °

45 °

 
kansetu_17?「短く前にならえ」して肘を固定し、手のひらを左右に開きます。

部位

主要運動

前腕

回内

回外

合計

正常値

90 °

90 °

180 °

10 級 10 号

25 °

25 °

50 °

12 級 6 号

45 °

45 °

90 °

 医師の仕事は当たり前ですが「治療」です。後遺症など残さず、治すために頑張っているのです。治せなかった、残ってしまった症状について精査することは仕事の範疇ではありません。これについて専門的に取り組んでいる私達の存在意義は・・・毎度、可動域制限の場面で際立ちます。頼っていただきたいと思います。