自賠責保険の等級認定のルールでは、障害の種類に序列があります。例えば、脚は切断が最も上位で、次いで機能障害、変形、神経症状・・と続きます。では、醜状痕は?となりますが・・この序列の順位によって後の賠償金に影響します。本件では、認定理由が「感覚麻痺は醜状痕から当然に生じるもので、それは醜状痕の認定に含みます」と、ルール通り双方を併合せず、神経症状より醜状痕を優位と結論しています。

 これでは、逸失利益の獲得が厳しくなります。モデルさんのように容姿が収入に影響するような職業でない限り、醜状痕の逸失利益は0円と判断されます。痛み=神経症状の場合は、14級9号で5年間、12級13号で10年間との相場があり、逸失利益が計算できるのです。

 本件は、不利に思う自賠責保険の認定内容ではありますが、自賠責保険ならではのメリット=自動的に(少ないが)逸失利益が加算されること、相手車両より責任が重い自車に責任を問おうにも同僚災害となり、自分の会社相手に賠償請求が難しい点(自車の対人賠償は免責です)などから、自賠責保険の結果で解決せざるを得ませんでした。

 せめて、共同不法行為として相手車と自車の両方から自賠責保険金75万円を確保し、労災でも14級を取って矛を収めました。
 

酷いキズより、痛みの神経症状での後遺障害の方が賠償金が高くなるのです
  

14級4号、5号:肘部 デグロービング損傷・大腿部 採皮痕(20代男性・東京都)

【事案】

業務で特殊車両の助手席に搭乗中、優先道路を走行してきた自動車と衝突した。横転したため、全身を強く打ち、上腕骨を骨折、肘あたりに大きな傷を負った。以来、患部の感覚が低下した。
 
【問題点】

大腿部より植皮が行われたため、瘢痕認定の基準の大きさにはとくに問題なかったが、整形外科の医師からは後遺障害診断書の記載を拒否されてしまったらしい。
 
【立証ポイント】

瘢痕の件で形成外科の主治医に面談し、後遺障害診断書を依頼すると、実は既に作成されていた。ただし、内容に不備が多く、その場で修正を依頼して自覚症状と醜状痕の面積を詳細に記載してもらった。また、事務所で二度に渡り写真撮影を実施した。

ご本人・ご家族としては、醜状痕での認定ではなく、神経症状である12級13号を目指していた。逸失利益の獲得には、神経症状での認定が必要となるからである。自覚症状を丁寧に書き添えたが・・

結果は、醜状痕14級4号の認定となった。弊所の予想通り、神経症状については、いつも通りの文言「知覚低下の症状については、前記障害と通常派生する関係にある障害と捉えられることから、前記等級に含めての評価となります。」が添えられていた。

なお、肘への皮膚移植の為に採皮した大腿部にも、醜状痕14級5号が認定された。