顔面醜状痕、顔に傷が残るのは辛いものです。老若男女によって、その障害によるダメージはそれぞれ格差があると思います。10年前の基準では男女で差があり、3cm線状痕では、男子は14級、女子は12級としていたのです。それが、男女差別として改正されたのは以下の通りです。
 
 ⇒ 醜状痕は残らないほうがいい
 
 現在、医療の進歩から、形成術、美容整形術でかなり消すことができるようになりました。本件の場合は瘢痕でしたが、手術によってわずかな線状痕まで回復させる見込みがありました。面積から7級となる瘢痕も、12級の線状痕まで治すことができそうでなのす。

 しかし、損害賠償金の請求上、これはかなり賠償金が減ることになります。自賠責保険の保険金額ですら、7級は1051万円、12級は224万円です。つまり、手術前に症状固定して1000万円もらってから、20~30万円自腹となる手術費を払う方が圧倒的に賠償金が手元に残ります。多くの被害者さんは、たいてい「完全に治るまで示談しない!」と治療を続けますが、12級まで治してしまうと・・224万円まで減るのです。だったら、手術は示談してから(賠償金をもらってから)が得ではないですか。
 
 この損得勘定は、あさましい考えでしょうか?
 
 私達はこう考えます・・・己の治療方針と賠償方針を選択するは、被害者の権利です。
 
私達の仕事は、その情報提供をすることです。
 

7級12号:顔面醜状痕(10代女性・山梨県)

【事案】

自転車で信号待ち停止中、信号無視で交差点に進入してきた車が青信号で進入してきた車と衝突、その衝撃で歩道に乗り上げてきた車に跳ね飛ばされた。まったくの”とばっちり事故”。全身を強く打ち、多発骨折、顔面にも傷を負った。

【問題点】

受傷後1ヶ月(退院して早期の段階)でご両親から相談を受けたため、病院同行し、傷跡の確認を行った。赤みが広範囲に広がっていたが、赤みが引いた段階でどの程度まで目立つか、予測が立ちにくかった。

【立証ポイント】

本人、ご両親としては、当然にすぐにでもきれいに治したいというお気持ちが強かったが、今後のプランをいくつか説明し、早期に症状固定として、手術は後遺障害申請の結果が出るまで待つという方針となった。

「若い」ゆえにどんどん傷が目立ちにくくなっていったが、弁護士立会の下、薄く残った瘢痕を全て足した面積で判断してくれたため、7級の基準値となった。

ご本人・ご両親としては、「お金」<「完治するまで保険会社に支払ってもらう」という考えに傾きがちだが、弊所のプランを信じて付いてきて下さった皆様の決断力の勝利となった。12級認定では目も当てられないことになっていたため、担当した者としては冷や冷やした案件であった。

  

12級5号:鎖骨骨幹部骨折(10代女性・山梨県)

【事案】

自転車で信号待ち停止中、信号無視で交差点に進入してきた車が青信号で進入してきた車と衝突、その衝撃で歩道に乗り上げてきた車に跳ね飛ばされた。まったくの”とばっちり事故”。全身を強く打ち、多発骨折、顔面にも傷を負った。

【問題点】

事故から3ヶ月で痛みはあるものの、可動域制限まではなかった。鎖骨を直接確認するわけにもいかないため、ご両親から見て変形しているようであれば、既に中止となっている整形外科への受診を検討する必要があった。

【立証ポイント】

ご本人、ご両親から「変形はなさそう」というお話だった。念のため、別の病院で症状固定する際、服の上から触らせてもらったところ、変形で等級が取れると確信したため、急遽整形外科の予約を取っていただき、医師面談にて両肩が1枚に入れるレントゲン撮影を依頼した。変形のみの申請となったが、問題なく12級5号認定、顔面醜状痕7級と併合されて、併合6級に。