【病態】

 PIP関節はMP関節脱臼に同じく背側への脱臼が普通です。また脱臼の際に骨折を伴うことが多いのが特徴です。つまり脱臼骨折ということになります。中節骨の近位端(=基部:根本の関節に近い方)が脱臼すると、基節骨の掌側に骨片が付着したままになります。理由は側副靭帯が引っ張っているからです。(下図)

PIP脱臼20140418_0000

【整復】

 まずは徒手整復してシーネ、テーピングで固定します。PIP関節脱臼は多くの場合、靭帯の損傷を伴っています。固定期間が長いと関節硬縮が起こりやすいので徒手整復後は早めに可動域訓練に進ませます。
 脱臼骨折の場合は、骨片との癒合が得られるよう観血的手術も必要となります。靭帯に引っ張られて分離した骨片をきれいにくっけることはなかなか難しいのです。固定には専用のアルフェンスシーネが便利なようです。

pip  sine
 

【後遺障害】

 PIP関節の可動域を確認します。2分の1制限で「用廃」=12級10号となります。整復と骨片の癒合がなされていれば可動域制限は起こり辛く、それでも可動域に問題があれば、側副靭帯や伸筋腱損傷をチェックする必要があります。靭帯の観察にはレントゲンではなくMRIが望まれます。靭帯の断裂や骨片が癒合しなかった場合の疼痛は理論上12級13号となりますが、多くは14級9号の判定です。もしくは最近の相談例では遊離骨片の残存を14級6号「1手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの」として認定されていました。「指先の切断と同じ認定?」ちょっとびっくりしました。

部位

MP 関節主要運動

PIP 関節主要運動

手指

屈曲

伸展

合計

屈曲

伸展

合計

正常値

90 °

45 °

135 °

100 °

0 °

100 °

用廃

45 °

25 °

65 °

50 °

0 °

50 °

手指の関節は、母指にあっては、指先に近い方から IP 、 MP 関節、母指以外の手指にあっては、指先に近い方から DIP 、 PIP 、 MP 関節といいます。