久々に登場です!

 「県民共済に加入しているが、入通院分しか請求していない。」といったお声をよく耳にします。弊所が携わっていれば、保険加入の有無、補償内容について確認し、必要書類についてもお渡しできるので請求漏れはほとんどないかと思います。しかし、自賠責で後遺障害が認定された場合に、共済で「どれくらい貰えるのか」について解説してくれる人がほとんどいないのが現状のため、本日はざっくりとした共済への請求についてご説明します。

 因みにですが、入通院の請求については、わざわざ共済用の診断書に書名・捺印をもらわなくても、保険会社から頂いた事故証明書、診断書・診療報酬明細書一式を提出すれば、ほとんどの場合OKです。これを知っているかどうかで、先生に書類をお願いする手間や診断書代を無駄にしなくて済みますね!

 まず、県民共済は自賠責や労災とは違い、13級までしかありません。「私は14級9号だったから認定外か…。」と思ってしまうかもしれませんが、そうではありません。これから説明しますが、自賠責も労災も共済も等級の内容についてはほとんど同じ(認定基準は多少違いますが)です。なぜ共済は等級がひとつ少ないかというと、自賠責でいう1級と2級の内容が両方とも1級になっているからです。(ざっくりとして説明です。)そのため、自賠責の3級が共済の2級・・・というようになっているため、自賠責の14級9号は共済の13級9号に該当するのです。

 では、いくらもらえるのでしょうか。共済は割合が定められており、以下の通りです。

※:共済の支払いは労災の考え方に倣っております。(過去の記事参照)

労災保険の一時金(障害特別支給金)、併合の場合

1級(100%)、2級(90%)、3級(80%)、4級(70%)、5級(60%)、6級(50%)、7級(45%)
8級(30%)、 9級(20%)、10級(15%)、11級(10%)、12級(7%)、13級(4%)

 具体的な金額については、「生命共済ご加入のしおり2020.4」を基に計算してみましょう。

月々の掛金 1,000円  2,000円 3,000円 4,000円 1,000円

年齢条件 15歳~60歳 15歳~60歳 15歳~60歳 15歳~60歳 60歳~65歳

1級の金額 300万円 600万円 900万円 1200万円  300万円

(A、B、Cさんは全員生命共済2,000円に加入している設定にします。)
 
 Aさん(45歳男性)は交通事故により「頚椎捻挫」で14級9号が認定されました。その後、共済に後遺障害診断書(写)と認定票を提出すると、共済では13級9号とみなしますので、600万円×4%となり、24万円を手にすることができるでしょう。

 Bさん(50歳女性)も交通事故により「鎖骨骨折」で併合11級(12級5号・12級6号)が認定されました。Aさん同様に手続きをすると、無事に併合10級(11級5号・11級6号)が認定されました。
600万円×15%なので、90万円。一方、11級が2つでもあるので、600万円×10%×2で120万円。90万円<120万円なので、90万円を手にすることができるでしょう。

 Cさん(30歳男性)も交通事故で「高次脳機能障害」で9級10号、「耳鳴り」で12級相当が認定されました。共済への手続きを終えると、無事に併合7級(8級10号・11級相当)が認定されました。
600万円×45%なので、270万円。一方、8級は600万円×30%で180万円。11級は600万円×10%で60万円。合わせて240万円です。270万円>240万円となりますので、240万円が振り込まれるでしょう。

 このように「非該当」と「等級を受けている」では、こんなにも違いが出てくるのです。大きなお怪我だった場合には、尚更です。一つ低い等級がついてしまっただけで、最終的な金額がとても残念なことになってしまいます。事故に遭ったら、早めに専門家に相談して進めていくことをおすすめします。