自賠責保険と労災、それぞれの等級が食い違うことは、申請前にある程度の予想はしています。それを踏まえた賠償交渉への対策が望まれます。
実は、弁護士からの相談で多いものは、「自賠責が12級、労災が10級なので、異議申立で自賠責も12級になりませんか?」、逆に、「自賠責が7級、労災が9級、労災の審査請求で7級になりませんか?」等々です。もちろん、等級変更の可能性はあります。それは、申請書類に遺漏があったり、労災の顧問医が独断に過ぎたり、いわば、認定基準以外の問題と言えます。まれに、審査側のミスもありますが、極めて少ないものです。多くの場合、認定内容を分析しますと、「それぞれ(食い違いますが)正しいジャッジです」との回答が多くなります。それでも、依頼者さんの納得が得られず、自賠責に再請求、あるいは労災に審査請求を強いられ、その手間と(無駄な時間?)がかかるようです。
秋葉事務所では、そのような無駄を極力排除しています。それは、申請前に「自賠責は○級、労災は○級を予想します。理由は、それぞれ認定基準が違い、かくかくしかじか・・。」さらに、食い違った場合の対策を申請前から進めます。したがって、依頼者さんの困惑や怒りは昂じません。
それでは、最後に「食い違い対策」をまとめてておきます。相談中・依頼中の弁護士他に、私達のような見通しと策が無いと見たら・・早めに見切りをつけるべきと思います。
◆ 等級の食い違いと賠償問題
任意保険の多くは、自賠責保険の等級から賠償金を計算します。裁判でも、賠償保険たる自賠責の等級をより参考にします。自賠責保険の認定結果はそれなりに重いのです。ただし、労災の低等級は、相手方の「(自賠責は7級だが)障害は労災に同じく9級では?」と言った反論の材料にされそうです・・・。
被害者側が反論を重ね、自賠責の等級が優位に進むことが多いのです。それでも、労災の低等級はややマイナス要素に、何より反論への反論=面倒になると思います。そして、慰謝料は自賠責の等級を維持も、労災の低等級の影響以上に実質審議の結果から逸失利益が減らされることも多いようです。
逆に、労災が優位等級の場合、被害者側はこちらの認定等級をプッシュすることになります。結果は上記に同じく、自賠責が強いようです。しかし、裁判こそ実質審議の場ですから、裁判官に「自賠責等級を上回る障害」をしっかり主張します。決め手は、おそらく事故から数年経過しているであろう現在の症状、治療の継続実績や最新の検査結果など、基本通りに証拠を揃えます。単に「労災は○級でしたから!」では、補強的な証拠に留まります。
◆ 自賠責保険の等級で勝ち逃げ?
裁判になると等級の維持が厳しい場合や、相手保険会社が等級の判断を裁判に持ち込もうとする危ないケースがあります。前回の実例にもあったように、症状固定から劇的に回復が進んだケース、自賠責保険の基準が有利に反映し、実状より重いとみられてしまう認定等級などが挙げられます。つまり、裁判含め交渉次第で、自賠責保険の認定等級の維持が困難と思われる件です。この場合、先に保険会社と自賠責保険の等級で(多少、妥協しますが)示談を済ませ、その後に労災の申請をかけました(労災・障害給付の時効は5年もあるので)。
「自賠責で勝ち過ぎた」などとは思いませんが、秋葉事務所ではこのパターンもしばしば・・連携弁護士と呼吸を合わせて進めています。
なお、裁判になってしまうと、労災・障害給付への申請を急かされることになります。なぜなら、裁判官が賠償金の請求額を決定する上で、労災支給分を控除する必要があるからです。

以上から、申請の順番と賠償方針、相手方の思惑など、等級認定の作戦をしっかり構築することです。今後、両者への申請を検討中の被害者さん、およびご家族の方は、申請の順番と認定後の賠償対策を慎重に検討して頂きたいと思います。
最近の例でも、ある弁護士先生が「労災を先に申請しましょう」としていた件がありました。おそらく、然したる理由や深謀もなく、先に労災給付金=既払い金をとってから、労災の方が甘いから・・程度の考えなのでしょう。実に危なっかしい誘導です。





