一時期と違い、違法(弁護士法72条)ながら、行政書士がこそこそ賠償問題に介入するケースは減ったと思います。私どもは基本、弁護士と連携して業務を遂行していますので、その法律的な境界線は守っています。しかし、そもそも弁護士を介入できないこともあります。時に、保険会社の少ない支払い基準であろうと、相対交渉がベターとなるケースです。本件の場合も、事故状況はあいまいに、保険会社を刺激せずに穏便に進める必要がありました。それでも、綱渡りの進行で、依頼者さん共々神経をすり減らしました。

行書だもの(by ゆうじ)  

8級1号:視神経管骨折・失明/7級12号:顔面醜状痕(30代男性・千葉県)

【事案】

路上で横臥していたところ、自動車にひかれた。頭部は頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫との診断。顔面は右頬骨骨折により、顔面神経麻痺を併発、さらに、視神経管骨折により、片目を失明した。 続きを読む »

 醜状痕の後遺障害認定は、医師が診断書に図示、長さや大きさを計るだけ、写真でも添付すれば、面接さえ省略の認定です。

 ところが、傷の大きさが基準ギリギリであったり、色の濃さ、つまり目立つか否か、審査員の判断次第といった微妙なケースもあり、認定結果が分かれることがありました。今までも、微妙なケースでは、連携弁護士の付き添いで面接をしたものです。

 近年は、明らかなキズの場合など、診断書の図示だけで認定されます。あるいは、定規をあてた写真の提出が要請されます。さらに、コロナの影響も加わり、自賠責側は面接を割愛する傾向です。

 本件の場合、だからこその油断があったのかもしれません。余裕で上肢・下肢とも14級認定の予定が、初回申請では「大きさ」が認めらず、再計測&再申請を強いられました。面接がないからこその慎重さも必要と感じた次第です。   14級と言えども簡単にくれないものです  

非該当⇒14級4号・5号:上肢醜状痕・下肢醜状痕(10代男性・神奈川県)

【事案】

横断歩道上で持ち物を落とし、しゃがんで拾っている最中、対抗右折車の衝突を受けた。上腕骨を骨折し、全身に擦り傷を負う怪我となった。

【問題点】

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右投げ右打ち佐藤です

 西武ライオンズは7月7日、今季限りで松坂大輔投手が引退することを正式に発表しました。昨年、中日ドラゴンズから古巣である西武ライオンズに復帰したが、首の痛みと右手の痺れが強くなったため、7月に頚椎内視鏡手術を受け、復帰を目指してリハビリをしていたようです。ニュースでは、お皿やグラスを注意して持たないと落としてしまうくらい指の感覚がなくなってしまったようです。感覚がない中でどう投げれば制球ができるかと考えていたようですが、特に中指の感覚がなくなったというのが今回の決断に至った理由みたいですね。

 交通事故業界でよく目にする頚椎の手術は、椎弓形成術や前方固定術、後方固定術があり、固定術の実施若しくは3個以上の椎弓切除術または形成術の実施で11級7号が認定されます。最近では、松坂投手が受けたような内視鏡を使用した手術等も増えてきているようです。そもそも内視鏡を使用した手術のメリットはなにかと言われると、傷口が小さく目立ちにくい、術後の疼痛が軽度で早期退院が可能、術後のカラー装着が不要、体内に異物を残さないため、感染リスクが少ないなどが挙げられます。松坂投手の場合、復帰を考えての選択だったため、当然の選択だったと思います。交通事故の場合だと、11級7号は認定されず、12級13号若しくは14級9号の選択になるのではないかと思われます。

 1998年選抜での延長17回の死闘(相手は強豪校のPL学園)や夏の決勝でノーヒットノーラン達成などテレビの前で熱狂したことを思い出します。プロ野球に活躍の場所を移した衝撃のデビュー(155キロのストレートで片岡選手を三振にとった)やイチロー選手との初対決(そのときはあのイチロー選手が3三振でした)、斎藤和巳投手との投げ合いなど、印象に残る試合が数多くありました。 少年野球から現在まで物凄い数の球数を投げてきたと思います。本当に長い間お疲れ様でした。「自信から確認に変わる」まで物凄い努力を重ねてきたのではないでしょうか。

 後遺障害に関して、自信から確信に変わる日が果たして来るのか分かりませんが、松坂投手を倣って今後も精進していきたいと思います。  

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 本例は秋葉事務所が単なる医療調査、保険手続きの事務所ではないことを示す好取組です。

 行政書士他、弁護士でない者が賠償交渉に関わることは弁護士法上、違法となります。では、交通事故の解決において、賠償交渉以外、何もすることはないのでしょうか?

 実は、医療調査の段階から戦いは始まっているのです。対損保との交渉以前の証拠集め、これが往々にして勝負を決することを熟練の弁護士こそわかっています。だから本例のように、弁護士はわざわざ秋葉に医療調査を依頼するのです。勝てる武器(等級認定)を揃えますから。

 本例は逸失利益の請求に備える調査を完遂しました。後は弁護士の活躍に期待です。   医療調査が勝負を決めます!

12級相当:上肢醜状痕、14級9号:頚椎捻挫(10代女性・神奈川県)

【事案】

信号の無い十字路にて優先道路を走行中、一時停止無視の車に側面衝突され横転したもの。その際、多数のガラス片が左上腕に刺さり、広範囲の挫創となった。また、衝撃にて首の痛みも発生していた。

【問題点】

上肢の挫創に関しては、腕の写真を提出すれば醜状痕の等級は問題ない。問題は神経症状。後の賠償交渉上、醜状痕での逸失利益請求は弁護士が苦労する。相手の保険会社が「腕のキズでは収入が減らない」という理屈で逸失利益を否定してくるからである。その点、神経症状の残存は、判例の蓄積から5年の逸失利益が相場と安定感がある。なんとしても神経症状の14級9号も揃えたい。 続きを読む »

 「被害者なのだから、治療費は全部相手に払わせる! 1円たりとも自己負担しない!」、この気持ちはよくわかります。    ただし、交通事故治療では例外があります。完全に治すことで、後遺障害の保険金や賠償金は減るのです。その減った額は、相手に出させる手術費よりはるかに大きいことがあります。多くの場合、賠償金>手術費用となります。つまり、手術は保険金・賠償金を得た後に、健保でも使って自己負担した方がはるかにお得なのです。

 医師からみると不毛な考え方かもしれません。しかし、この選択こそ、被害者自らが決定する権利ではないでしょうか。私達の仕事はその情報提供です。

 解決を早くして、安寧な日々を早く取り戻して頂きたいと思います。  

12級相当:上肢醜状痕(30代女性・神奈川県)

【事案】

信号の無い十字路にて優先道路を走行中、一時停止無視の車に側面衝突され横転したもの。その際、左上肢がサイドガラスを突き破り、車体と路面に挟まれる形で左腕はズタズタ、前腕から手指にかけて広範囲に裂傷・挫滅となり、デブロービング損傷となった。内部は、長母指、深指、浅指の各屈筋腱、長掌筋が断裂し、正中神経も挫滅、各関節の機能障害必至の状態となった。

【問題点】

皮膚移植を行ったが、皮膚のダメージは深刻で、醜状は広範囲に残存している。整形外科の医師からは、「半年で症状固定するのは早い」と、形成術の話を何度もされていた。確かに、手術費用が相手保険会社の負担なら出費はなく、何より自由診療での手術は術式に制限なく安心な面も多い。しかし、醜状痕の12級は形成術によって14級か非該当に格下げとなる可能性がある。損害賠償が絡む治療には”損得勘定”が必要なのです。

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 先日、顔面麻痺の被害者がいらっしゃったのですが、顔面麻痺の検査方法がありましたので、記載してみます。    柳原40点法とは、1976年に柳原尚明先生をはじめとする顔面神経麻痺の臨床研究に携わるグループにより作成され、1976年および1984年の国際顔面神経シンポジウムで報告されたものです。柳原40点法は、※「安静時の左右対称性と9項目の表情運動」を4点(ほぼ正常)、2点(部分麻痺)、0点(高度麻痺)の3段階で評価されます。微妙な場合は、中間の3点、1点を採用する場合もありますが、合計点数を計算するには偶数の方が簡便で検者間の誤差が少なくなるため、より妥当な偶数点に変更し、2進法で評価します。柳原40点法は、顔面表情の主要な部位の動きを個別に評価することで、検者の主観をおさえて再現性を高めるとともに、経時的な部位別評価をすることができます。40点満点で10点以上を不全麻痺、8点以下を完全麻痺、あるいは20点以上を軽症、18~10点を中等症、8点以下を重症とします。また、36点以上で中等度以上の病的共同運動(口を動かすと、一緒に目が閉じてしまうなどの症状)のないものを治癒と判定するようです。

 柳原40点法を使用することにより、顔面神経麻痺発症初期に麻痺程度を診断することで予後評価が可能であり、的確な治療法の選択にも有用であることが報告されているようです。発症から1~2ヶ月の経過観察で機能予後をある程度判定できるため、術前評価法として神経再建をすべきか否かの判断の一助となっているようです。しかし、評価基準が3段階のため、術後評価としては実際には大雑把すぎるというのが問題であり、今後の課題でもあるようです。   ※ 10項目としては、「安静時の左右対称性」、「額のしわ寄せ」、「軽い閉眼」、「強い閉眼」、「片目つぶり」、「鼻翼を動かす」、「頬をふくらます」、「口笛」、「イーと歯を見せる」、「口をへの字に曲げる」があります。    後遺障害認定においては、この柳原40点法は参考程度にしか捉えられず、診断名、画像所見によって主に判断されていることが予想されます。「現場で使用する検査」と「立証で使用する検査」に乖離があるのは仕方のないことですが、問題はこの乖離を現場の医師が知らないという点です。交通事故(労災事故もですが)において、この問題が解決する日は来るのでしょうか。まだまだ秋葉事務所の活躍の場がありそうです。

 

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 本例は高次脳機能障害ですが、この障害の多くは、五感をつかさどる神経にも同時に障害をもたらします。また、頭部外傷はそれなりの重傷事故です。整形部門のケガや醜状痕など、複数の障害が重なることは珍しくありません。

 複数の障害が残った場合、自賠責保険の等級は併合して等級を繰り上げて調整しています。12級が2つで併合11級の算定ですが、では、12級が3つなら・・・これも併合11級です。12級がいくつあっても併合のルールはこうなります。しかし、障害が複数残れば、当然、その苦しみは加算されます。この点、自賠責保険は一律の基準で慰謝料と逸失利益を計算しますので、複数の苦しみが正確に反映されないことがあるのです。

 本件では、すでの9級の高次脳を確保しています。他に13級以上が1つあれば、併合8級です。しかし、8級より等級が上がらずとも脊椎で11級、醜状痕で9級、嗅覚・味覚でそれぞれ14級をしっかり確保しました。これら苦しみ加重を、賠償請求で実際の損害に反映すべきと思います。これこそ、「個別具体的な事情を損害賠償額に変換させる」弁護士の仕事です。連携した弁護士に期待しています。   私達はその下準備が仕事です

  11級7号:胸椎圧迫骨折(30代女性・東京都)   9級16号:顔面線状痕   14級相当:味覚・嗅覚障害    

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 今週、眼医者さんで眼底検査の予定です。健康診断の高血糖の結果から、医師の勧めがありました。恐ろしいのは糖尿病による網膜症で、自戒の為にも説明をUPしました。

 一度も経験のない眼底検査、この際何でも経験してみたいと思います。  

【1】眼底検査とは  <日本予防医学学会様HPより引用>    眼底検査とは、瞳孔の奥にある眼底を眼底カメラで撮影し、眼底の血管、網膜、視神経等を調べる検査です。眼底とは眼球の後内壁面を覆う網膜のことで、瞳孔を通して観察し写真撮影することができます。私たちは網膜の働きでものを見ますので、その出血や変性などは重大な所見です。また、糖尿病性網膜症(※)や緑内障などの失明に至る恐れのある病気を早期に発見できます。さらに、眼底にある動脈を観察して、高血圧性変化や動脈硬化の程度を調べます。

  ※ 糖尿病網膜症(糖尿病性網膜症)とは <メディカルノートさまHPより引用>

 糖尿病の合併症として発症する疾患です。腎症や神経障害とともに糖尿病の三大合併症のひとつとして知られています。糖尿病では血管障害が引き起こされますが、これに関連した網膜病変です。最近の厚生労働省の調査では、国内の糖尿病が強く疑われる方は1000万人を越えていると推定されます。糖尿病の患者さんのうちのおよそ3分の1、約300万人が糖尿病網膜症に罹患していると推計されており 、非常にありふれた合併症であるともいえます。糖尿病網膜症は無症状で進行することも多く、最悪の場合には失明にも至ることがあります。患者さんのうち、およそ100万人に実際に視力低下や失明が起きていると考えられます。つまり、糖尿病患者さんの約10人に1人に、糖尿病網膜症による視力障害が出ているということになります。続きを読む »

 満を持して2年ぶりの上梓、交通事故110番の最新刊(上・下巻)が発売(6月7日)です。

 交通事故・後遺障害の3大重傷「高次脳機能障害・脊髄損傷・遷延性意識障害」 + 「死亡」を過去の判例から徹底分析!    同テーマの書籍は過去、数冊存在しています。しかし、弁護士ではない、業界No.1の実務家による書籍は唯一無二と思います。その切り口は、この業界の業界の元祖であり、いまだ最高峰のネット情報「交通事故110番」の面目躍如です。一切の忖度なく、弁護士の喉元に突きつけられた日輪刀の刃のごとき切れ味は、交通事故の3者(被害者、弁護士、保険会社)すべてを刮目させること間違いなしです。    けっこう高額ですが、専門家を名乗るなら、必携の2冊と言えるでしょう。      購入先 ⇒ かもがわ出版    アマゾンで購入できます ⇒ 『高次脳機能障害 判例の分析と検証』  

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 主治医の技術と熱意で、その手術により可動域制限なく回復できました。それはもちろん最良の結果です。しかし、後遺障害の専門を標榜する私達にとっては・・悔いが残りました。

 抜釘手術前であったら、可動域制限の8級2号を標準としていました。しかし、コロナの影響がここでもありました。詳しくは、以下の通りです。

 賠償問題上、抜釘手術による改善は等級認定後で良かったのです    

11級7号:頚椎脱臼骨折(50代女性・埼玉県)

【事案】

自動車搭乗中、センターラインオーバーの車に正面衝突され、さらに後続車の追突を受けた。直後から全身の痛み、上肢のしびれ、なにより、頚部の固定術(C5~6)によっての首の可動が失われた。  

【問題点】

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 本件では、珍しく認定等級の見通しを外しました。もちろん、すべての障害を漏らさず網羅した申請なので、等級を取りこぼすことはありませんが・・。

 人体の関節の機能障害では、その可動域制限が認められるには、医学的に(物理的にと言った方が?)関節が曲がらなくなる理由が必要です。最たるものが関節内骨折です。変形の具合によっては、関節の動きを邪魔するからです。ですので、関節部から離れた骨折、その関節の可動に影響ない癒合状態では、可動域制限は疑われるのです。

 また、骨折が関節に直接及ばなくても、腕や脚の骨折でその骨癒合を待つ間、関節を動かさないでいると、やはり、曲がりが悪くなります。しかし、その可動域制限は2次的な症状と判断され、「リハビリ不足」のレッテルから、後遺障害と認めないのです。例外として、関節を動かす神経が断絶した場合、その神経麻痺を原因に認める場合があります。    頚椎はじめ脊椎の可動域制限は、その可動をつかさどる部位でなければ否定されます。例えば、腰椎破裂骨折の場合、第4~5腰椎がひどく破壊されれば、もしくは3椎体以上にまたがる固定術で固定されたら、腰椎の可動域制限があって然りとなります。それが、第1~2腰椎では、”腰の曲がりに影響しない”と判断されます。横突起が折れた程度では、これも同じです。

 以上が、非公表ながら自賠責の認定基準であると把握しています。

 本例の場合、基準通り、頚椎の横突起は頚部の可動に影響しません。では、椎間関節は可動域に影響するのか?・・これが本例から判明しました。文字から椎間関節は、関節内骨折の響きがありますが、「頚椎部の運動障害」の根拠となる部位としては重要視していませんでした。神経症状狙いのところ、普通に可動域を主治医に記載頂き、審査に付しました。結果は以下の通りです。   これも貴重な認定例になりました  

8級2号:第7頚椎横突起・椎間関節内骨折(40代男性・東京都)

  【事案】

自動車の後部座席に搭乗中、交差点で信号無視の自動車の側突を受け、自動車が横転したもの。頚椎、鎖骨を骨折、頭部は硬膜下出血、顔面は切創、以後、強度の神経症状が続いた。

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 後遺障害ではなかなか珍しい傷病名ですが、近年増加しており、まとめてみたいと思います。    まず、パニック障害とは、不安障害に属するものであり、その他に「恐怖症」、「強迫性障害」、「外傷後ストレス障害(PTSD)」、「急性ストレス障害」、「全般性不安障害」、「一般身体疾患による不安障害」、「物質誘発性不安障害」、「特定不能の不安障害」に分類されるようです。「不安障害」というのは、精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。その中には、特徴的な不安症状を呈するものや、原因がトラウマ体験によるもの、体の病気や物質によるものなど、様々なものが含まれています。中でもパニック障害は、不安が典型的な形を取って表れている点で、不安障害を代表する疾患のようです。  

 不安障害の原因については、まだ十分に解明されていないのですが、かつては心理的要因が主な原因であると考えられてきました。しかし、近年では、心因だけではなく様々な脳内神経伝達物質系が関係する脳機能異常(身体的要因)があるとする説が有力になってきているようです。パニック障害では、大脳辺縁系にある扁桃体を中心とした「恐怖神経回路」の過活動があるとする有力な仮説があります。大脳辺縁系は本能、情動、記憶などに関係する脳内部位で、扁桃体は快・不快、怒り、恐怖などの常道の中枢としての働きをしています。内外の感覚刺激によって扁桃体で恐怖が引き起こされると、その興奮が中脳水道灰白質、青班核、傍小脳脚核、視床下部など周辺の神経部位へ伝えられ、すくみ、心拍数増加、呼吸促迫、交感神経症状などのパニック発作の諸症状を引き起こしてくると考えられています。

 尚、パニック障害は何の理由もなく突然パニック発作が出現することが典型的とされているようですが、「過去に何らかのきっかけがあった」、「発症前1年間のストレスが多い」、「小児期に親との別離体験をもつ」などの心理的要因があることが多いという報告があるようです。

 その他にも社会的要因にも原因があることが分かっています、現代だと「新型コロナウイルス」による影響が今後出てくるのではないかと思われます。  

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 高齢者が転んで入院すれば、即に認知症を発症するか症状が進行します。脚を骨折すれば二度と歩けなくなる、これはむしろ普通のことです。しかし、これが交通事故によるものなら、認知症や寝たきりの責任をすべて加害者に求めることができるのでしょうか?  

 二次的な障害の発症・進行は、”間接損害”と呼ばれ、常に賠償上の難しい問題となっています。交通事故によって直接破壊された部位でなければ、また、直接の原因がなければ、その後遺症は自賠責保険の認定基準から外れます。すべての障害を、老若男女・十把一絡げで判定する自賠責保険の限界を感じるところです。自賠責は良くも悪くも平等、個別具体的な事情は後の賠償交渉で決着するしかありません。

 本件は、受傷初期からそのような事情をご依頼者に説明、症状固定をいたずらに伸ばすことなく、骨癒合をみて8か月目にしました。年齢と骨折箇所から、早期の症状固定と言えます。      秋葉は内孫、おばあちゃん子でしたから・・   11級9号:中足骨・基節骨骨折(90代女性・栃木県)   【事案】

道路を横断中、自動車の衝突を受けたもの。骨折箇所は、上肢は左上腕骨骨幹部、下肢の脛骨・腓骨は骨幹部、右肋骨、左骨盤、右足趾は母指・基節骨、第2~5中足骨。加えて頭部・顔面の打撲。   【問題点】

足趾(足指)を除いては、骨折箇所が関節に直接影響を及ぼさない所ばかり。上肢・下肢は骨幹部で、予後の癒合は良好。また、肋骨と骨盤(恥座骨)も癒合さえすれば、深刻な障害は残らない。しかし、高齢者である。上肢は肩関節、下肢は足関節の拘縮が進み、可動域制限が残存した。

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 多発骨折と言っても、癒合さえすれば問題を残さない部位があれば、深刻な後遺症となる部位もあります。傷病名が複数の場合、その整理をしながらの作業になります。症状固定時に残る後遺障害等級を想定した設計図を描くこと、これが専門家の仕事です。

 本件は、諸事情から回復が進まず、症状固定まで時間がかかりました。2年を待ちましたが、なんとか取りこぼしなく、設計図通りの認定を得て、弁護士に引き継ぎました。十分な逸失利益獲得へ準備は整いました。

 症状固定まで2年、大過なく認定へ   10級10号、12級5号:鎖骨骨折(30代女性・千葉県)   10級11号:足関節脱臼骨折(30代女性・千葉県)   続きを読む »

 今回は、醜状痕と脊柱の変形の両方が認定されたケースです。それに、神経症状の14級9号の認定が加わりました。   前回 ⇒ 実績投稿:神経症状の認定にこだわる ① 顔面の骨折、その逸失利益請求に備える

    実績投稿:神経症状の認定にこだわる ② 脊柱の骨折、その逸失利益請求に備える    もっとも、本件の場合、剛腕振るって認定をねじ込んだわけではなく、頚髄損傷の診断名から14級認定が容易でした。頚髄損傷(脊髄損傷)も軽重、症状の差があります。しびれも深刻な症状ですが、完全麻痺ですと一生手足が動かなくなります。奇跡でもなければ、ほぼ治りません。それに比べれば、痛み・しびれは軽減の余地がありますから、14級は妥当かもしれません(画像所見さえ抑えられたら12級13号ですが・・)。

医師の初期診断では、MRIを診ずに脊髄損傷(の疑い)の診断名は多いものです  

14級9号:中心性頚髄損傷(40代女性・埼玉県)

【事案】

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 醜状痕の後遺障害認定基準は ↓ にまとめてあります。     実績ページ:醜状痕    問題は、この表に合致しないケースです。今までもいくつかありましたが、面接による審査で柔軟に判定頂きました。本例もそれを期待しましたが、追加提出の写真から普通に基準に当てはめた判断でした。その認定自体、不当とまでは思いませんが、被害者さんの心情を思うと、もう少し悩んで欲しかったように思います。   面接審査が減る一方に感じます  

12級14号:顔面瘢痕(40代女性・埼玉県)

【事案】

歩行中、信号のない道路を横断中、原付バイクから衝突される。腰椎破裂骨折、頚髄損傷の他、顔面を強打した。

【問題点】

額に皮下血腫、顎下に4cm以上の線状痕があったが、線状痕については、正面からは分からない場所にあった。また、皮下血腫については、10円玉以上の瘢痕があったが、7級の「組織陥没」に皮下血腫の凹凸が適用されるのかが問題となった。

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 直ちに弁護士介入すべき事故もあれば、相手の反応を窺うように、まず、本人からの請求とすることがあります。    自賠責保険や労災が絡まない事故の場合、その後遺障害等級は誰が決めるのでしょうか? 多くの場合、企業・スポーツ施設は施設賠償責任保険を付保しています。加害者側である、その保険会社の”自社認定”の審査に付すことになります。すると、お手盛り審査ですから、最初から弁護士が介入するのは得策ではありません。施設側の保険会社は、被害者と穏便に(つまり、安い保険金額)相対交渉で解決する期待を持ちます。ですから、相手の等級回答を待ってから、弁護士介入が望ましいのです。これを、私達は「時間差介入」と呼んでいます。交渉事ですから、駆け引きは当然で、綺麗ごとだけでは済まないのです。    本件もその形を取りましたが、高望みなく、妥当な等級に落ち着きました。一方、施設側(裏に隠れた保険会社)も、最初から賠償保険の存在を隠し、安い傷害保険金のなめた提示をしてきたのですから、お互いさまです。    このような企業保険では、約款上、自動車保険のように担当者がじかに示談代行をしません。相手保険は加害者側企業の後ろに隠れて、操ることになります。その点からも、自動車保険の示談代行は便利です。お金を取っての示談代行は、非弁護士行為との指摘もありますが、保険会社の示談行為は、弁護士会が許している数少ない例です。このような企業の賠償保険でも、お互い駆け引きの無駄をなくすためも、示談代行OKとすべきかなぁ、少し思います。   現場調査でコースを回ってみたかった(経費で落ちますよね?)    

施設賠償11級7号:胸椎・腰椎圧迫骨折(50代男性・神奈川県)

  【事案】

ゴルフのプレイ中、キャディが操縦するリモコン式カートが背後から衝突、転倒したもの。直後から全身の痛みに悩まされる。診断名は胸椎と腰椎の圧迫骨折となった。

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 腰椎や胸椎の骨折から、脊柱の変形=11級7号は画像と診断名だけで認定は容易です。しかし、後の賠償交渉では、11級の慰謝料は問題ないとして、相手損保は逸失利益を0円回答してきます。これは、最初に東京海上日動さんが、「単なる変形では痛みは消失傾向」、「骨再生が進めば限りなく治るもの」との医学的論文を根拠に、逸失利益を否定する流れを作ったと思います。他損保もそれに倣って、逸失利益0円回答が目立ちます。

 もちろん、そのように緩解する(症状が緩む)患者さんもいるでしょう。しかし、個別具体的に症状をみる基本は変わりません。多くの患者さんの場合、深刻か否か程度の差はありますが、一定期間は痛みや不具合が残るようです。

 したがって、自賠責保険の後遺障害認定において、「腰痛は(脊柱の変形と)通常派生する関係にある障害と捉えられることから、前記等級に含めての評価となります・・・」の文言を、認定書の理由に必ず残してもらうように申請しています。これで神経症状が内包されている評価になります。後に弁護士はこれを基に、痛みの継続を逸失利益(喪失期間5~10年)の請求根拠としています。本件に関しても、後遺障害診断書の記載に際し、主治医に自覚症状の記載を怠りなくお願いしました。さらに、別部位での14級9号認定も加えて、万全の状態で連携弁護士に引き継ぎました。     併合とならない14級9号の認定であっても、障害によっては無駄にならないのです     11級7号・14級9号:腰椎破裂骨折(10代男性・千葉県)

【事案】

バイクで直進中、左側民家から自動車が発進、衝突したもの。第1腰椎の破裂骨折は手術で前後3椎体を固定、他は両恥座骨、鎖骨、肩甲骨をそれぞれ骨折した。 受傷初期からご相談を頂き、入院先に訪問した。重傷案件ではあるが、術後から元気で、以後もどんどん改善が進んだ。「これが若さか」。

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 顔面醜状痕、顔に傷が残るのは辛いものです。老若男女によって、その障害によるダメージはそれぞれ格差があると思います。10年前の基準では男女で差があり、3cm線状痕では、男子は14級、女子は12級としていたのです。それが、男女差別として改正されたのは以下の通りです。    ⇒ 醜状痕は残らないほうがいい    現在、医療の進歩から、形成術、美容整形術でかなり消すことができるようになりました。本件の場合は瘢痕でしたが、手術によってわずかな線状痕まで回復させる見込みがありました。面積から7級となる瘢痕も、12級の線状痕まで治すことができそうでなのす。

 しかし、損害賠償金の請求上、これはかなり賠償金が減ることになります。自賠責保険の保険金額ですら、7級は1051万円、12級は224万円です。つまり、手術前に症状固定して1000万円もらってから、20~30万円自腹となる手術費を払う方が圧倒的に賠償金が手元に残ります。多くの被害者さんは、たいてい「完全に治るまで示談しない!」と治療を続けますが、12級まで治してしまうと・・224万円まで減るのです。だったら、手術は示談してから(賠償金をもらってから)が得ではないですか。    この損得勘定は、あさましい考えでしょうか?    私達はこう考えます・・・己の治療方針と賠償方針を選択するは、被害者の権利です。   私達の仕事は、その情報提供をすることです。  

7級12号:顔面醜状痕(10代女性・山梨県)

【事案】

自転車で信号待ち停止中、信号無視で交差点に進入してきた車が青信号で進入してきた車と衝突、その衝撃で歩道に乗り上げてきた車に跳ね飛ばされた。まったくの”とばっちり事故”。全身を強く打ち、多発骨折、顔面にも傷を負った。

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新型コロナウイルスの影響力

   2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、関東では、新型コロナウイルスの猛威が止まりません。本当に医療従事者の方々には感謝してもしきれません。そんなコロナ禍においても、病院に同行することが多いのですが、交通事故被害者においても新型コロナウイルスの影響が少なからず、出始めております。    今回の依頼者は、交通事故にて顔面を骨折しており、受傷初期から味覚・嗅覚障害に悩んでおられましたが、耳鼻科にて診察を受けるだけで、具体的なことは何一つしていませんでした。そのため、耳鼻科の主治医に紹介状を依頼し、いつもお世話になてっている専門院へお連れしました。(ここでは、初診の当日に検査を実施してもらうことができますので、再度の検査受診が不要なこと、耳鼻科ではトップクラスの実績を持っておられるため、安心してお任せすることができます。)

 病院の玄関前にて問診表を記載すると、味覚・嗅覚に異常がある方については、診察を受けることができないかもしれないという説明を受けましたが、無事に診察を受けたところ、「新型コロナウイルスの影響で、味覚の検査については、実施することができない。これは、本日限りの話ではなく、新型コロナウイルスが落ち着くまでは、当面そのように対応しているため、味覚の検査については、大きい病院でやってもらってほしい。」とのことでした。    その後、味覚・嗅覚異常があるので、病院から抗原検査を受けるよう指示されたようです。それから約1時間後、抗原検査の結果について「陰性反応」が出たため、嗅覚の検査だけ受けて帰宅することになりました。本来であれば、ろ紙ディスク検査を受けるはずが、抗原検査を受けることになるとは思わなかったため、再度の紹介状手配や、検査先の手配等、ふりだしに戻ってしまった1日でした。

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 そのうち、検査通院に際し、PCR検査での「陰性」結果が必須になってしまうのではないか、交通事故被害者の治療は二の次になってしまい、一刻を争う方が、新型コロナウイルスの影響によって不利益を被ってしまうのではないかと心配が尽きません。しかしながら、命が一番大切であることには変わりありません。命を第一優先に考え、その中でどのようにすべきか、一人一人が考えなければならないと考えさせられる日となりました。  

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