通勤災害のレアケースについて、実例から検証します。  

(Q)電車内で喫煙している高校生に注意し、暴行を受けた場合は通勤災害はおりる?     (A)正義感からの行動ですが、残念ながら通勤災害の認定は困難となります。    労災保険法7条では、

 通勤災害とは・・・「労働者の通勤による負傷、障害または死亡を言い、」

 通勤によるとは・・・「通勤と相当因果関係があること、つまり通勤に通常伴う危険が具体化したこと、」

 このように難解な定義をクリアしなければなりません。

 本件の場合、被災者の故意によって生じた災害、通勤の途中で怨恨をもって喧嘩を仕掛け、負傷した場合は、通勤していることが原因となって災害が発生したものではないので、通勤災害とは認められないとしています。通勤中ではありますが、通勤とは関係ない揉め事によるケガになるのです。

 ところが、車で出勤途中の労働者が、犬を轢きそうになって犬の飼主に暴行された事例は、通勤災害が認められています。

 「自動車で通勤する労働者が、通勤の途中で犬を轢きそうになることは、通常発生し得るできごとであり、また、この様なできごとに遭遇した場合において、当該犬の飼主が反射的に暴行におよぶこともあり得ることであるから・・・通勤と暴行に相当因果関係が認められる。そして本件では飼主との間に私的な怨恨関係が認められず、被災者に加害者の暴行を誘発するような言動が一切行われていない。」

 認めるにしても、認めないにしても、まったくの解釈論に聞こえます。このような、理屈如何によって適否が決まってしまうのです。 したがって、先の喫煙の件を通勤災害とするには、被災者の通勤経路上の被災場所で、これまで頻繁に、犯罪が発生していたかどうか、加害者と被災者の間に私的な怨恨関係がなかったかどうか、被災者に災害を誘発する言動があったか、なかったのか、これらが問題となるのです。

 すると、よくある例ですが、満員電車で肩がぶつかり、口論の末、暴行を受けてケガをした場合はどうでしょう? 通勤経路上はOK、頻繁に肩がぶつかる場所ですからこれもOK、私的な怨恨関係は微妙ですが、行き当たりの人同士ですから大丈夫とします。しかし、口論の末ですから、暴行を誘発する言動は成立し、「社会通念上、通勤に通常伴う行為」から外れてNG=適用できなくなります。

 では、口論せずにいきなり殴られれば、これは、反射的な暴力ですからOKとなるはずです。

 審査は厚生労働省のお役人様ですから、車内喫煙を注意することが、社会通念上、通勤に通常伴う行為であると認識させない 限り、通勤災害は適用されないことになります。レアケースは常に弾かれ易く、また、通勤災害の適用がケースbyケースと説明される所以と思います。  

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(Q)共稼ぎの妻を会社に送り、迂回して出勤の途上、交通事故受傷しました。通勤災害と認めらるか?    弊社の従業員の田中さんは夫婦共稼ぎをしています。 昨日、田中さんは妻を会社に送り届けた後の通勤途上で交通事故受傷しました。 田中さんの自宅を起点にすると、彼の妻の勤務先は弊社を通り過ぎて約1km先となります。 つまり、寄り道=回り道をして交通事故受傷しているのですが、この場合、通勤災害の適用は可能でしょうか?   (A)労災は、「合理的な経路なのか、」を検討します。本件の場合、迂回の距離が問題になるようです。    3つの例から検討します。   ① 自宅から同一方向で妻の勤務先が約450m離れているとき、 マイカー通勤の共稼ぎ夫婦で、妻の勤務先が同一方向にあって、しかも夫の通勤経路からさほど離れていない場合は、 2人の通勤をマイカーの相乗りで行い、妻の勤務先を経由することは通常行われることであり、合理的な経路として取り扱うのが妥当であると判断しています。

② 自宅から同一方向で妻の勤務先が3km離れているときは、 妻の勤務先が同一方向にはあるが、迂回距離が3kmと離れており、著しい遠回りと認められるところから、 これを合理的な経路として取り扱うのは困難と判断しています。

③ 別のケースで、自宅から同一方向で妻の勤務先が4km離れているときは、 これは②の事例に従って却下されたのですが、被災労働者は労働保険審査会に対し、「当時、妻は妊娠8ヵ月の身重であり、満員のバスに乗れる状況になかった。」として異議を申し立てました。

 結果、妻は妊娠8ヵ月の身重の状態であり、バスに乗るにも十分に注意しなければならなかった時期であったことを勘案すれば、被災当日、最短の通勤経路から多少離れて妻を勤務先まで送ったことは、やむを得ない必要な行為であったとして、 通勤災害を認定したのです。

 このように、迂回の距離がかなりあったとしても、迂回の理由によって認められるケースもあります。    本件の場合、同一方向かつ、距離が1km以内ですから、認定されると考えます。   ※ 注意が必要なことは、迂回距離の1Km、3Kmは、労災が絶対的な基準として公表しているものではありません。「寄り道は○km以内」と明確な基準を設定しているものではなく、③のように迂回の理由を含め、通勤路の距離や通勤手段などから総合的に検討、個別判断していると思います。   

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 通勤災害の「寄り道」についてケーススタディを続けましょう。   (Q)帰宅途中、美容院に寄った後の交通事故受傷は通勤災害となるでしょうか?

 当社に勤務するOLの堀越さんは、今月末で退職します。その2日前に社内で送別会をやってくれました。軽く飲食があり、流れ解散で午後5時頃に会社を出ました。そして、堀越さんは途中の乗換駅近くの美容院に立ち寄り、美容院を出て帰宅の途中に交通事故で受傷しました。

 美容院は大変込み合っており、2時間も待たされたとのことですが、本件は通勤災害となるでしょうか?   (A)S58-8-2基発第420号で「出退勤の途中、理・美容のため理髪店もしくは美容院に立ち寄る行為は、特段の事情が認められる場合を除き、労災保険法第7条3項但書に規定する、日用品の購入その他これに準ずる日常生活上、 必要な行為に該当するものとする。」との行政解釈が示されました。

 信じられないことに、少し前までは、男子の理髪店での散髪は「日常生活上、必要な行為」として認められていながら、女子の美容院は認められていなかったのです。労働局のお役人は、そのことを、「美容院は女子が美しくなるところ?」と理解していたようです。エステ、ネイルであればそうなりますが・・。

 (ちなみに、飲食も社内、かつ、短時間であり、送別会自体は会社の行事、つまり”業務”に入りますので、退社後の「通勤中の事故」であることに問題はありません。)    問題は「特段の事情」になるか?です。

 理髪店や美容院で1~2時間の待ち時間は日常茶飯事ですから、これは問題になりません。

 論点は美容院に行く目的と頻度となります。基本的に、お役人は、床屋さんは月に1回程度行く日常の身だしなみと考えているようなのです。頻度は髪型などから個人差がありますが、ここでも生真面目に検証されます。   ・お見合いの前日に特別な髪型にしてもらい、ついでに美顔術まで受けた?

・お正月を前に日本髪を結いに行った?

・・・これらは、非日常・イベント的な行為ですので、通勤災害から外れます。

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 4年前の古いニュースからで恐縮です。 ご存知の通り、アジア各国の中間層に自家用車の購入・所持が増大しています。中国もかつては富裕層に限られたマイカー所持でしたが、当然に中間層の所得が向上、自動車は上向き産業となっています。  自動車の増加に付随して交通事故問題が浮上することは、歴史の必然です。今後、自賠責保険の整備と自動車保険の販売増がアジア各国で軒並み進んでいくことでしょう。日本は人口減の局面ですので、すでに自動車登録台数も下り坂となっています。自動車保険も成熟産業から斜陽産業へ・・保険の個人マーケットでは、国内損保の目は海外へ向いているのです。

 中国は日本のように、自賠責保険がどこの会社であっても関係なく、どの保険会社(任意社)でも一括払いができる・・この融通が利きません。ご存知の通り、任意社は、先行して対人賠償の対応・支払を行い、後に自賠責保険に求償します。一見、当たり前のようで、これは被害者にとって請求先が2ヶ所にならずに済む、便利な制度なのです。

 一方、中国では、自賠と任意、それぞれの会社に請求することになります。よって、自動車保険の契約者は、事故のときに面倒なので、自賠と任意を(一括払いし易くするため)同じ会社にしていました。これは、海外の保険会社の参入に致命的な問題です。自賠責は共産主義国のバリバリ国営企業です。いくら任意保険の販売の許可を得ても、中国の国民は自賠責と違う会社を選びません。したがって、自賠責保険の参入なくして、中国の自動車保険のマーケットなど、無きに等しいものだったのです。

 しかし、時代の趨勢でしょうか、中国はもはや「開放政策」などと呼ばなくなったくらい、市場の解放が進み、海外との貿易額はヨーロッパの資本主義国すら上回ります。4年前、ついに、自賠責保険の販売を日本の保険会社へ許可しました。欧米と日本の保険会社にとって、中国における自動車保険の自由化を果たしたと言えます。  

大手損保、中国で自賠責保険に参入へ 東京海上などが認可取得

  日本の大手損害保険会社が中国の自動車損害賠償責任保険(自賠責)市場に参入する。東京海上ホールディングス(HD)など大手損保3グループは日本での自賠責にあたる「交通強制保険」を取り扱う認可を12日までに中国当局から取得。損保各社は国内市場の伸び悩みを補うため、有望な中国市場の開拓を急ぐ。

損害保険ジャパンなどが傘下のNKSJHDと、三井住友海上火災保険などのMS&ADインシュアランスグループHDも進出の見通しが立った。いずれも中国当局から「商品販売」の認可を得て正式に販売を始める。

中国では事故を起こすと、任意保険と自賠責保険の申請手続きをする。別々の保険会社だと申請に手間がかかるため同じ会社の保険に入るのが普通だが、これまで日系損保は任意保険しか扱えず、苦戦を強いられてきた。欧米系損保は日本に先んじて認可を得ている。

中国の損保市場は2010年の約3900億元(6兆4000億円)から、13年には約6400億元(10兆5000億円)と急拡大している。  <日経新聞より引用>  

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 これは、出社時間が問題とるケースです。   (Q)2時間早い出勤でも通勤災害となるでしょうか? 

 当社のOLの大原さんが、通勤途上の交差点を横断中に交通事故受傷しました。大原さんは会社の始業時刻の1時間30分から2時間も前に出社しています。 始業までの時間、資格試験の勉強をしており、仕事をしている訳ではありません。会社の担当者は「何故、そんなに早く出勤しているのか」と、しつこく聞いてきます。このような事情でも、通勤災害の適用ができるでしょうか?

  (A)本件は通勤災害としての認定がされるでしょう。

 小姑の嫁いびりのような質問です。 会社の総務、庶務、労務課にはこの手の担当者が多いので、いつも閉口しています。 通勤とは、「労働者が就業に関し、自宅と就業の場所との間を合理的な経路・通勤方法により往復することを説明する。」と説明されています。 本件では小姑じみた担当者が、”就業に関し”を問題としているのです。

 通勤では、往復行為が業務と密接な関連をもって行われるとの要件を満たさなければなりません。 しかし、業務に直接関連のない目的の早出や、逆に時間後も会社に残っていることは、よく見られるケースです。ここで、”就業に関し”があてはまるか、「社会通念上、就業との関連性を失わせると認められるほどの長時間かどうか」を検討します。

 S51-9-1基収第793号では、私用と考えられる組合の用務のために通常の出勤時間よりも1時間30分早く家を出た労働者が、途中被災したケースについて、「被災労働者が、労働組合の集会に参加する目的で、通常の出勤時刻より約1時間30分早く住居を出た行為は、社会通念上、就業との関連性を失わせると認められるほど所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻に行われたものとは言えないので、当該行為は通勤と認められる。」との判断を示しています。

 また、S49-11-15基収第1881号では終業後、2時間5分の組合用務で会社に残り、その後の通勤経路で被災したケースが通勤災害と認定されています。今度は退社時間について、 ”終業に関し”を検討しますが、出勤も退勤も同じ条件とされています。 ...

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 通勤経路の逸脱? これも定番の相談です。寄り道の内容から検討されます。    実際、私の損保時代、お客様が加害者で、仕事帰りの会社員に大変なケガ(高次脳機能障害)を負わせてしまった交通事故がありました。その被害者さんにも大きな過失(70%)がありました。この場合、加害者から全額の賠償金が得られませんので、労災請求は必須です。しかし、「帰宅の寄り道の性質から認めてくれなかった」そうです。きっと、何か基準にひかっかったのでしょう。それも大した理由ではないと思います。些細なことで運命を分ける、”労災不適用・被害者”としか言いようがありません。     (Q)下車駅を乗り越し、徒歩で帰宅中の交通事故受傷は通勤災害となるでしょうか?

 先日、会社の営業部の山本さんが4時間の残業の後、帰宅途上に会社近くでラーメンを食べ、電車に乗って帰宅しました。 細かいことですが、会社では夜食としてカツ丼を提供していました。 車内で寝過ごして、下車駅を1つ乗り越してしまいました。 下車駅に戻る電車待ちが30分以上であったところから、徒歩で帰宅中、交通事故受傷したのです。 山本さんの通勤災害の適用は可能でしょうか?

(A)通勤経路の逸脱について、合理的な理由が成立すれば、通勤災害は適用されます。    本件も労災の杓子定規な体質に付き合って、2つのポイントから検証しましょう。   ① まず、下車駅を乗り越し、徒歩で自宅に向かったことが、合理的な経路、方法であったのか?   ② また、カツ丼を食べているのに、ラーメンを食べたことが、日常生活上必要な行為であったのか?    >① 本件の場合、下車駅を乗り越したのは、単に居眠りをしていたのが原因ですから、通勤行為は継続しています。 「次の電車を30分も待つ位なら、徒歩で帰宅する。」は、理由が合理的なので逸脱にはならないでしょう。

 その他「最近メタボが気になって、健康の為に一駅前で降りて歩いて帰る」・・・日常的にそうしていれば、OKとなります。「駅前に駐輪していた自転車が盗まれて、仕方なく歩いて帰った」 ・・・これも、”やむを得ない事由”から問題がなく、合理的な説明になります。

 合理的な説明さえ通れば、通勤災害は適用される可能性があります。何か、請求者の説得力にかかっているように思えてきます。   >② 残業が深夜に及び、仮に会社で夜食をとったとしても、それなりの時間が経っています。これも程度問題からOKと思います。

 私がもし役所で労災を担当していたら、「ラーメンとカツ丼を同時に食べる人だって結構いるじゃないの、 残業で腹が減ったから食った、ただそれだけのことで、どこにそんな深刻な問題があるのよ?」と議論を終えます。そんなに暇ではありません。

 確かに労災の不正請求を排除するために、厳格な判断が必要かも知れません。この程度のことでも、日常生活上必要かを丁寧に検証するのでしょう。

 お役所はいつの時代も杓子定規、肝に銘じなければなりません。    

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 通勤災害で多く寄せられる定番の質問です。   (Q)退勤途中、食事をした後に交通事故受傷したが、通勤災害になるでしょうか?    社員の山本さんが帰宅の途上で、交通事故受傷し入院したのですが、通勤経路にあるラーメン店に立ち寄り、食事をした後の交通事故受傷でした。退社は定時の5時30分、徒歩で400mほど離れた有楽町駅に向かう途中です。夕食まで待てないのでラーメン一杯、瓶ビールを一本空けました、時間にして30分くらいです。  その後、有楽町駅から電車で戸塚駅に向かい、そこから徒歩で自宅に戻る途中に交通事故受傷したのです。 なお、山本さんには妻子がおり、いつもなら夕食は自宅で摂っていると思われます。     (A)これは労災保険法7条の2、「通勤の逸脱、中断」に該当するかが検討されます。    まず、原則、寄り道は”通勤の逸脱・中断”ですので労災はダメです。    例外扱いとなる寄り道について、3つの点から検証してみましょう。   1、7条の2の但書には、「日常生活上必要な行為であって、労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの、」については、通常の通勤の経路に服した時点から通勤災害の適用がなされることとなっています。

 例えば、お弁当屋さんでの惣菜の購入や、クリーニング店でYシャツを受け取るための合理的経路による回り道は、”日常生活上必要な行為”に該当します。また、病院など治療機関への立ち寄り通院も”やむを得ない事由”に入ります。治療行為は歯医者含め、だいたい範囲内ですが、OLがエステやネイルに寄る、また、単なるマッサージは除外されると思います。これは”やむを得ない事由”ではなく、”自分へのご褒美”だからです。(我ながら上手い事を言う)

 飲食店での食事、飲み屋は単なる寄り道で、通勤行為からの逸脱ですから該当しません。

 スポーツジムや習い事(※)、映画・観劇なども、明らかな寄り道、”通勤行為からの逸脱・中断”とみなされます。 ※ 例外的に職業訓練学校はOkのようです。     2、飲食が寄り道となる一つの判断基準に、「腰をかけての飲食か?」が問われるようです。本例は「腰をかけて」になるので、この点から基準を外れます。

 おおむね、売店でのパンの立ち食いや、自販機で缶ビールを買って飲む程度は、通勤行為の逸脱とはみなされません。では、すべて「腰をかけて」いなければOKでしょうか? 例えば、立ち飲み屋ですが、これは程度問題で、飲酒量(おおむね1杯程度ならOK?)や滞在時間によって判断されるようです。

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Q 営業の佐藤さんは仕事を終え、「いつもの飲み屋で待っているよ、」と同僚に声をかけ、先に仕事を上がりました。いつもの飲み屋は佐藤さんの行きつけの店で、日比谷線八丁堀駅出口前にあり、佐藤さんの通勤経路上となります。その飲み屋に向かう途中の横断歩道で交通事故受傷したのですが、通勤災害の適用は可能でしょうか?

A 終業後、飲み屋に向かう途中の事故受傷であっても、事故場所が通勤の経路上にあれば、通勤災害の適用が可能です。

 確かに、飲み屋に出かける目的で会社を後にしているのですが、労災保険では通勤行為について、そこまで厳格に個人の意思を捉えているのではありません。 外形的に判断すれば、紛れもなく通勤途上となりますので、適用がなされます。

 ただし、飲み屋に寄った後は、通勤経路上であっても、寄り道となり、通勤目的から外れますので、適用できなくなります。     Q 妻の入院している病院から通勤の途上、交通事故受傷したが、通勤災害となるでしょうか?

 これは、妻の付添看護のため、夫が寝泊りしている病院から徒歩で通勤の途上に事故受傷したものです。 自宅ではありませんが、通勤災害の適用は可能でしょうか?

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Q 出勤を断念し、家へ帰る途中の事故受傷は、通勤災害となるのでしょうか?

  A これは、通勤行為の中断となり、通勤災害は認められません。

 本件は、遅刻が確実となったことから、会社に電話、有給の請求をして、再び家に戻る途中の事故受傷です。これには合理的な理由がなく、通勤行為を中断した後の被災事故は、就業の予定もないため私的行為となり、通勤災害とはなりません。

 同じケースでも、列車事故により到底、勤務先に向かうことが不可能な場合や、交通事情による遅延等は、通勤災害として認められます。     Q 出社後、眼鏡を取りに戻る際に事故受傷しましたが、通勤災害となるでしょうか?

A 退勤ではなく、出勤行為の連続で通勤災害となります。

 労災は、1日について1回のみを、通勤と認めているのではありません。パートの主婦が昼休みに自宅に戻って食事を摂ることは、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤すると認められています。

 本件では出社後、眼鏡を忘れたことに気がつき、眼鏡がないと仕事にならないと判断、取りに戻ったケースです。出勤途中に忘れ物を取りに戻っても、出勤行為中となります。 合理的な経路を逸脱しない限り、通勤災害として認められます。

 なお、先のケースで、会社から「眼鏡を取りに帰るように」との指示がなされた場合、これは業務災害となります。 ...

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 被害者請求の方法について、復習したいと思います。(先月の山梨代協セミナーから抜粋)

後遺障害部分の損害が、重度の障害になると、 賠償金全体の平均85%・・・逃した魚は、本当に大きいのです。

   損害賠償を氷山に例えると、眼に見える部分が傷害部分=治療を完了するまでの損害です。後遺障害部分の損害は、海の中で見えませんが、総損害額に占める割合は、12級以上ともなれば、85%となります。 赤本基準で、ムチウチで非該当、14級9号、12級13号を比較してみましょう。

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最終更新:2020.1.15

毎度、繰り返していますが、交通事故の重傷事案の解決に一番大事な書面は、後遺障害診断書に尽きます。

その診断書は医師が記載することになりますが、正直、完璧な診断書は少ないと思います。記載不足、不正確、余計な記述あり、左右を間違える、記載要領が自己流で的外れ・・・残念ながら、これが普通です。改めて復習したいと思います。近時の秋葉事務所が開いた研修会レジュメから抜粋しました。

後遺障害診断書は医師に任せればOK? 不備だらけの診断書

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 最近、基本的な問い合わせ、質問が多い傾向です。私達にとっては日常業務の基本でも、被害者さんにとっては、生まれて初めて遭遇する交通事故かもしれません。当たり前ですが、被害者さん達にとって、基本的なことであっても難関となる問題です。

 被害者請求の方法について、復習したいと思います。 (先月の山梨代協セミナーから抜粋)   被害者請求、必要書類と手続き

① 自動車損害賠償責任保険支払請求書

 これは、被害者請求の表紙となるもので、請求者と振込銀行を明示し、実印を捺印します。 ② 印鑑登録証明書

 請求者本人を確認するための印鑑登録証明書です。 ③ 交通事故証明書

 郵便局から申請すれば、1週間以内に送達されます。 ...

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 後遺障害申請のタイミングについて、復習したいと思います。 (先月の山梨代協セミナーから抜粋)   原則として、受傷から6カ月を経過すれば申請する。

ダラダラと漫然治療を続けてはならない。 却って認定率が下がる。

ムチウチでは、受傷から3、4カ月で、強引な治療の打ち切りが行われている。

 例外を除いて、事故受傷から6カ月を経過すれば、いつでも申請することができます。 自賠責は6ヶ月にこだわらないと言っていますが、一定の治療努力の果てに残存した症状が後遺障害です。  例外とは、頭部外傷後の高次脳機能障害、PTSDなどの非器質性の精神障害は、少なくとも受傷から1年間の治療の継続と経過観察が重視されています。 逆に切断肢(腕や脚の切断)は見た通りですので、受傷直後に申請しても問題ありません。  西洋医学においては、治療の延長線上に、治癒と症状固定の概念を有しています。治癒とは、文字通り、治ったことであり、症状固定は、現在の治療を継続しても、短期的に改善が得られることはなく、治療を中断しても、悪化する可能性が考えられない状態となったことです。 ...

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 最近、基本的な問い合わせ、質問が多い傾向です。私達にとっては日常業務の基本でも、被害者さんにとっては、生まれて初めて遭遇する交通事故かもしれません。当たり前ですが、被害者さん達にとって、基本的なことであっても難関となる問題です。

 後遺障害の定義について、復習したいと思います。 (先月の山梨代協セミナーから抜粋)  

後遺症と後遺障害は、同じようで違います

   自賠法に規定されている後遺障害認定基準の詳細は、公開されていません

 一般に馴染みのある言葉は、後遺症であって、後遺障害ではありません。 交通事故受傷では、一定の期間、治療を続けて回復を目指すことになりますが、治療を完了しても、スッキリしない症状を残していることが普通であり、これらの症状は、後遺症と呼ばれています。

 では、後遺障害とは、自賠責保険で後遺障害等級が認定された後遺症のことです。 交通事故による後遺障害は、1~14級、140種の後遺障害が35系列に分類され、自動車損害賠償保障法に細かく規定されています(別紙:後遺障害等級)。労災の規定に準拠したものですが、後遺障害の認定基準に関する詳細情報は開示されていません。

 後遺障害ですが、上位等級となれば、就労復帰も実現できない深刻な状態ですが、10~14級の中には、5年も経過すれば、限りなく、元通りとなるモノも、数多く存在しているのです。

 常識的には、後遺障害といえば、植物人間や手足の切断を連想しますが、保険のプロである皆様は、「一生を棒に振ってしまうモノだけが後遺障害でない」ことに、認識を新たにする必要があります。    

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 自賠責の後遺障害審査で非該当、もしくは想定より低い等級しか認定されなかった・・納得のいかない被害者さんは、異議申し立て(再請求)を検討します。相談の一定数は異議申し立てとなります。    さて、異議申し立てに関するノウハウですが、ネット情報は玉石混合ながら、多くに一致しているポイントはこれです。  

 新しい証拠を提出すること

   新しい医証が提出されて初めて、もう1度、審査・調査する必要が生じるのです。前回、提出した内容での審査は終わっているのです。前回と同じ書類を再提出して、「もう1度よく見てくれ!」「前回の判断は間違っている!」とまくし立てても、自賠責側は基本的に聞く耳を持っていないのです。確かに、微妙な判断で左右される障害の場合、再検証による認定内容の変更はあります。しかし、それはレアケースと心得えるべきです。

 認定結果に諦めがつかず、毎年のように異議申し立てをしている人もいるようです。まるで、ライフワークです。何度、同じ書面で勝負しても無駄でしょう。また、新たな診断書、新たな検査結果を追加したとしても、既提出の診断内容を覆すほどのものでなければ、これも同じことです。総じて、”初回申請で勝負を決められなかった不利”を噛み締めることになります。

 相談会では、他事務所に再申請を依頼したものの失敗したケースから、その異議申立書を目にすることがあります。よく出来ているものもありますが、一方、費用をとっていながら疑問を持たざるをえない書面も目にします。失敗例から学ぶ、ではありませんが、残念な例を挙げたいと思います。   ○ 誰でも「すごく痛い」と言います

 被害者が自らの症状を切々と語ります。いかに、後遺症で苦しんでいるか・・。審査側も人の子、確かに感じ入ることはあるかもしれません。しかし、自賠法に則り、他覚的所見(医師の診断)から導き出される症状・数値が基準を満たさなければ、無駄となります。

 多くの被害者は、感情をぶつけるだけの異議申し立てを、永劫に繰り返すことになります。 ○ 弁護士は医師ではありません

 ある弁護士の書面ですが、医学書から学説を引用し、自賠責判断が間違っている事をつらつら書きつづっています。緻密な分析はまるで研究医、文章は裁判の準備書面のように構成されています。さすが大したものだと感心しますが、これではダメです。自賠責側も顧問医がおります。自賠責でも2度目の申請ともなれば、顧問医が分析・判断することになります。それが、弁護士の分析と一致していれば可能性は開けますが、それだけでは足りません。

 そもそも、弁護士は医師ではありません。自賠責の顧問医は、被害者を実際に診ている主治医の新しい意見、専門医の診断書、検査結果を付せば、真剣に検証するでしょう。それらを欠いた、医師ではない素人の分析など、いくら論理的に文章を積み上げても、「新たな証拠」にはならないのです。

 論理的に積み上げた分析は、ジャッジする第3者(=裁判官)が存在する訴訟での手法です。自賠責の審査はあくまで片面的審査です。自賠責側と意を同じくしなければ、等級は覆りません。自賠責を論破してドヤ顔?実に弁護士らしい陥穽に落ちてしまうのです。   続きを読む »

 ここまで毎度のごとく、人身傷害をディスってきました。裏を返せば、発売当時、保険に関わる者すべてが「本当にいい保険がでたものだなぁ」と大歓迎の保険だったのです。  

「夢の全額補償」 と 「安心の実額補償」

   「夢の全額補償」とは、自身の過失に関わらず、損害の全額が支払われる、しかも、相手との示談を待たず、支払ってくれる・・保険の常識を覆すものです。三井住友さん、あいおいニッセイ同和さんはこれを捨て去りましたけど。

 「安心の実額補償」とは、死亡で○○万円、通院1日あたり○○円と、保険金額が決定している状態で契約する従来の保険ではなく、治療費や休業損害を実費で支払うことです。これによって、充実した補償が得られるはずですが、問題は、慰謝料や逸失利益といったものまで保険会社の基準で計算されてしまう点です。

 人身傷害は元々、アメリカのNo Fault保険をベースに日本版を開発したものです。訴訟社会のアメリカでは、交通事故も当然に長い争いとなり、少なからず訴訟に発展します。No Fault保険は、相手との示談を待たずに、当面の補償が得られる画期的な保険なのです。ただし、No Fault保険には慰謝料や逸失利益は含まれません。この部分は簡単に決まるものではなく、多くは交渉や訴訟の末に決まるものです。その金額も人によって差が莫大です。よって、保険会社が安易に自社基準で決定するに馴染まないのです。ところが、日本の人身傷害は、これらを入れてしまった・・これが、支払保険金算定の問題(訴訟基準差額説、人身傷害基準差額説)として残ってしまったのです。

 私は、人身傷害はその商品開発自体に問題があったと思っています。

 実は、保険会社の立場も理解できるのです。保険会社はそもそも人身傷害を補償保険として売りたかった、ところが勢い余ってか、慰謝料や逸失利益など賠償保険と重なる項目を混ぜてしまった・・。

 それでも、事故の責任が100%自分にある事故や自爆事故の場合、今までは補償保険である自損事故保険のみ、あとは、自身で加入している傷害保険や共済しか頼れなかったところ、人身傷害で治療費や休業損害が実額で確保でき、さらに、自分が悪いのにも関わらず、慰謝料や逸失利益など賠償的なものまで払ってくれる・・これは画期的なことです。

 また、事故の加害者が無保険で(あるいは、最悪の無自賠)あっても、人身傷害で保障されるのです。無保険の加害者はたいてい支払能力がありません。今までは相手の自賠責、あるいは政府の保障事業への請求が残された手段でした。被害者は苦労して、その手続きをするしかなかった・・しかし、人身傷害が(裁判で勝ち取る額より低いとはいえ)慰謝料や逸失利益を払ってくれるのです。

 つまり、この2ケースの場合、人身傷害は被害者を助ける新たなセーフティーネットになったのです。その大恩ある保険会社さんに向かって、「慰謝料・逸失利益を裁判基準で払って」は、図々しいにも程があると思います。

 私が提唱しているのは契約者・保険者(保険会社)双方にフェアな契約、納得のいく支払基準にして欲しいことです。

 やはり、加害者が存在する場合、相手が無保険の場合、自損事故の場合、支払基準を分けるわけにはいかないでしょうか。

 それは、以前の記事 ⇒ 人身傷害特約 支払い基準の変遷 ⑱ 最終回 誰がために金は成る?  

第6条 損害額の決定(理想)

(1)損害の総額は当社の基準で算定します。

(2)相手からの回収金、もしくは相手との交渉で決まった総損額が(1)の金額を上回る場合、弊社と協議の上、(1)の規定に関わらず、その金額を総損害額とみなします。 ...

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 現在、人身傷害の支払基準は各社、一応の落ち着きをみせたようです。

 平成24年2月の最高裁判決「裁判基準差額説」を受けて、敗訴となったあいおいさんがいち早く約款を現在に近い内容に改定し、各社もそれぞれ知恵を絞って(?)、人身傷害基準での支払で済ますように工夫した結果です。他の2グループを復習します。   ○ 東京海上日動さん

なお、賠償義務者があり、かつ、判決又は裁判上の和解において、賠償義務者が負担すべき損害賠償額がこの人身傷害条項の別紙の規定と異なる基準により算定された場合、であって、その基準が社会通念上妥当であると認められるときは、自己負担額(被害者の過失分)の算定にあたっては、その基準により算定された額を(2)の規定(=人身傷害の支払保険金)により決定された損害額とみなします。    私が読んだ保険約款でもっとも難解な文章です。弁護士先生も理解に苦しんでいます。

 この条項で、「人身傷害を先行し、後に裁判で勝ち取った額から返す分は、裁判で決まった総額を基に計算します」と、裁判基準差額説に適応させましたが、判決で宮川判事が宿題とした・・「人傷か賠償か、請求の順番で被害者が得る保険金が変わるのはおかしい」という問題は解決していません。完全にスルーされています。事実、この数年間、連携弁護士はがいくつかの事案で、賠償先行の末、人身傷害に被害者の過失分を請求したところ、「上の規定は求償の場合であって、賠償先行し、そこで決まった裁判基準額を丸々払う規定など約款のどこにもありません」とはねつけられています。約款解釈ではそうなりますが、これは約款の不作為であって、納得できないものです。   ○ 三井住友さん

第5条(損害額の決定)

(2)賠償義務者がある場合には、保険金請求権者は、(1)の区分(=傷害、後遺障害、死亡)ごとに<別紙)(=人身傷害支払基準)に定める基準により計算された金額のうち、賠償義務者に損害賠償請求すべき損害に係る額を除いた金額のみを当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額として、当社に請求することができます。

 太字は、つまり、自身の過失分を指します。私達はこの条項を「過失分限定払い」と呼んでいます。この条項によって、人身傷害に先に請求しても、人身傷害発売以来の売りだった「夢の(過失減額のない)全額補償」はダメになったのです。三井住友さんやあいおいニッセイ同和さんは、人身傷害そのものを改悪させたと言っていいでしょう。さらに、

① 当社と保険金請求者との間の協議

②  ①の協議が成立しない場合は、当社と保険金請求者との間における訴訟、裁判上の和解または調停。    支払保険金はこの2行で決定すると・・つまり、「加害者との裁判で決まった額を認める」とはしていません。まず、協議、そして、まとまらなければ、「うちに保険金請求訴訟を起してね」と居直り約款で締めくくっています。なんとしてでも裁判基準では払いたくない強い信念を感じます。この点のみでは、損J日興は潔いと思います。    そして、両グループとも、無保険車傷害保険は人身傷害に組み込まれ、支払基準を同じくしています。

 つづく  

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 昨日の約款条項を、損保ジャパン日本興亜さん(平成30年1月版)から確認してみましょう。

第6条(損害額の決定)

(3)(1)および(2)の規定にかかわらず、賠償義務者があり、かつ、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって、判決または裁判上の和解において(1)および(2)の規定により決定される損害額を超える損害額が認められた場合に限り、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって認められた損害額をこの人身損害条項における損害額とみなします。 ただし、その損害額が社会通念上妥当であると認められる場合に限ります。

※ 緑字は弊社が定める損害算定基準に従い算定された金額=人傷基準 を指しています。    普通なら、ここで、「あぁ、ついに裁判基準を認めてくれたのだな」と思ってしまいます。    ところが、以下の8条で、「ただし、限度額があります。それも人身傷害の基準額です」と・・   第8条 (支払保険金の計算)

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毎度お馴染み、人身傷害ウォッチャーの秋葉です。 久々にこのシリーズを続けます。    以前まで・・・人身傷害の約款改悪シリーズ 夢の全額補償が破壊された ①    今回の問題ですが、以前から損保ジャパン日本興亜のグループは賠償先行でも人傷先行でも、裁判となれば、その基準を総損害額とみなす規定であることを評価して、「24年2月最高裁判例に応じた約款改定をして、潔い」としました。しかし、ある約款条文を見落としていました。これは既に、あいおいニッセイ同和さんが採用していた、上限規定です。これについては過去記事をご覧下さい。    人身傷害の約款改悪シリーズ 夢の全額補償が破壊された ③    この③で指摘していることは・・・「人身傷害の損害額について、裁判で決まった額を総損害額と認めますが、支払う人身傷害保険金は限度があり、その限度額は人身傷害基準で計算された額です」との条項によって、以下の不都合が起きることです。

 自身に過失が大きい場合、例えば80:20ですと、裁判で相手から20%を回収し、次いで自契約の人身傷害に80%を請求しても、人身傷害の限度額規定によって、この裁判基準の80%は確保できない、つまり、総損害額の全額確保はできない問題です。

 これが、損保ジャパン日本興亜の約款にも含まれていたのです。書き方が巧妙で、気付くのが遅れました。この条項は、日本興亜と合併を機とした約款改定(平成26年7月1日~27年9月30日)から確認できます。この約款によって、裁判基準額で人身傷害(無保険車傷害)を回収する方法が潰されています。具体的に説明します。

 加害者が無保険で過失割合は0:100、相手が一方的に悪い事故です。この場合、相手からの回収は諦め、自契約の人身傷害に請求することが、残念ながら普通のことでした。多くの交通事故相談でも、そのように回答しているようです。しかし、私達が以前から推奨してきた策は、「まず、相手と裁判して、(すんなり回収できれば解決ですが)、相手の支払可能の有無に関わらず、判決額を確保します。

 そして、その額を人身傷害、あるいは無保険車傷害に請求するものです。

 この、いわゆる宮尾メソッドを全国の弁護士に流布してきました。

 人身傷害の約款では裁判基準で支払うか否か、長い間、不明瞭な記載が続きました。これが平成24年2月の最高裁判例で定まったのですが、定まったのはあくまで、人身傷害の先行請求後の求償額についてです。これを受けて、各社、約款改定しましたが、どうもスッキリしません。東海のグループは求償規定のみで、賠償先行については記述無し(つまり、無視?)、三井住友のグループは「協議」で逃げて(?)います。

 また、無保険車傷害保険が人身傷害に併存しており、その支払基準は、そもそも「まず、保険会社基準で計算しますが、裁判となればその額を支払う」としていましたので、支払基準のダブルスタンダード状態だったのです。

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 先日の代理業協会のセミナーから、反響が大きかったテーマを少し取り上げます。    私の保険会社での研修時代は、SC配属時も含め、徹底的に知識を詰め込まれましたが、何故か後遺障害の知識だけはポッカリ穴が空いたように、学ぶ機会がありませんでした。あたかも後遺障害だけを避けているかのようです。

 また、ある代理店さんから聞きましたが、「秋葉事務所は保険会社の支払を増大させる、リザルトを悪化させる立場の人間」であり、拒絶感をもっているそうです。しかし、講義を聴いた皆様はお分かりと思います。保険とは適正な支払と、それに応じた掛け金によって、制度が保たれているものです。支払いの増大は、掛金値上げ、あるいは補償内容の縮小で調整するものです。本来、保険会社が払い渋りをする必要などないのです。それなのに、保険会社や代理店さんが、自らのお客様に対して後遺障害を秘匿し、不当に低い支払いをすることは、むしろ、このバランス・均衡を阻害するものです。

 そして、真にリザルトを悪化させる者は不正請求者のはずです。この者達が共通の敵であり、保険会社や代理店さん、そして交通事故に携わる者すべてが、協力してその排除に注力すべきなのです。適正な保険金支払と、リトン・ベイシス・ロスレシオから適正な保険料が算出されること、これこそ、人智が生み出した保険と言うシステムだと思います。  

排除すべき被害者御三家

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