佐藤イラストsj年間120件の病院同行は伊達じゃない!    先日、依頼者とともに個人整形外科へ同行したときのことです。後遺障害診断書と今までに撮影したレントゲンを依頼したところ、後遺障害診断書はすんなりOK。しかし、画像については改めて医師面談の予約を取ってからでないと渡せないとの事でした。本来、患者さんの個人情報なので、本人が希望すればいいのではないか?と心の中で思いつつ、医師の指示に従い再度予約を取り、医師面談へ。  ところが、「今まで被害者側の調査員から画像を要求されたことがないし、今まで治療費を支払っていたのは保険会社だから、患者側に画像を出すことはできない。」と態度が急変してしまったのです。(前回、お邪魔したときは医師面談さえしてもらえれば画像は出せると仰っていたのに…。)

 そこで、今回の事情を説明すると、「保険会社の担当者に画像を提供していいか聞いてみて許可が出れば、出しますよ。」と態度が軟化しました。事務の女性も被害者請求の事が分かっていないだろうと思い、担当者への伝言をお願いし、待合室で待機することに。数分後に院長からお声が掛かり、「保険会社の許可が出たので今回は特別に画像を渡します。」と画像を頂く事が出来ました。

 もちろん患者さんに優しい病院や、医師もたくさんいらっしゃいますが、後遺障害申請に協力的な病院や医師はそうそういらっしゃいません。さらに保険会社とのやりとりも関係してきます。加害者は保険会社という大きな味方に守られていますが、被害者は一人で戦わなければならないのです。少しでも被害者の味方が増えるように、また被害者が一人で戦わずに済むような世の中になるといいですね。今後、交通事故で苦しむ被害者が少なくなるように、私も日々精進していきます。

 20070418  医師は診断書や画像の手配が面倒なのです・・特に保険会社がらみの患者は  

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 続いて、JA(農協)、マイカー共済(全労災)の共済2社、通販社を見てみましょう。    内容的には国内社のBタイプとほぼ同じです。しかし、家族限定に関しては特約を設定していない会社(ソニー、チューリヒ)もあります。年齢条件不適用特約はあくまでイレギュラーな救済措置です。約款のどこにあるのか、探すのに一苦労でした。  

会社名

約款

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 まずは国内社からです。

 各社、概ねBタイプを標準としています。富士火災、AIU、全労災は古いAタイプを残したまま?と思います。それぞれ、内容・条件の違いではなく、約款構成・説明の違いです。

 ※ 家族限定(本人・配偶者限定)では2つの場面が想定されます。2段書きとなっている約款は、上段「本人限定で新たに配偶者・子供が増えた場合、本人・配偶者限定で新たに子供が免許を取った場合に、異動手続き漏れを救済する特約」と、下段「家族から外れた運転者が事故を起こした場合を救済する特約」です。

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 ご存知の通り、任意保険には「年齢条件」があります。高い年代ほど割引率が増し、掛け金が安くなります。 しかし、契約時に定めた年齢条件に合致しない運転者が事故を起こした場合、原則、保険金はでません。しかし、自動車保険の性質上、事故でケガをさせた場合の賠償金には一定の救済措置があります。ケガをさせられた方は、相手が任意保険の年齢条件に違反したことなど無関係ですから、保険が効かなかったら大変です。

 おさらい ⇒ 年齢条件違反でも保険は使える?

 それでは、一覧表に入る前に、久々に「年齢条件不適用特約」について、各社の最新約款を確認してみましょう。目まぐるしく改定の進む約款ですが、この特約は落ちついた感がします。しばらく改定はないでしょう。右側に家族限定等の不適用特約も加えました。 表を見る前にA、Bの内容をおさらいします。   A:『年齢条件特約の不適用に関する特約』

1.「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。 2.『対人賠償』と『対物賠償』のみ補償 3.「家族か否か」、「免許を取ってからの期間」などの条件はありません。 4.年齢条件に適合した本来負担すべき保険料と、実際に負担した保険料との差額に応じて保険金は減額されます。(全年齢と35歳未満不担保の掛金差はおよそ100:50なので、保険金も半分だけ払うイメージ) 5.最初から「記名被保険者・本人が年齢条件を満たしていない」契約の場合は、そもそも適用できません。   B:『運転免許取得者に対する「賠償損害」自動担保特約』

1.「新たに免許を取得した家族」が「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。適用には保険会社の承認が必要です。 2.補償の対象となるのは、 ...

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 秋葉事務所では早期の症状固定を推奨しています。

 正確に言うなら、適切な時期での症状固定を逃さないよう、呼びかけています。もちろん、無理に治療途上で症状固定をすれば、後の治療費の目処が建たず、被害者に不利益が生じます。当然ですが、まず、医師の判断を土台に医学的見地から検討すべきでしょう。私達は不当に後遺障害等級を重くしようと画策しているわけではありません。つまり、すべての要素を総合して、適切な時期を被害者自ら決めるべきと思っています。

 周囲から誤解の声が生じないよう、以前から説明する必要があると思っていました。これを今年最後の投稿にします。    とくに機能障害(関節の可動域制限の場合)では・・ 

 症状・回復程度がプラトー、つまり言葉上、回復の限界を指しますが、より実情的には、症状が一進一退になった状態です。関節可動域でですと、骨折の場合は骨癒合後の機能回復訓練(つまり、リハビリ)を経たレベルでしょうか。この時点で症状固定を検討します。被害者はこれを漫然と徒過することなく、後遺障害の申請をすべきです。すみやかな症状固定は、自身の利益に叶うだけではなく、周囲から歓迎されるからです。   ① 回復期の適切な時期、それも早ければ、明瞭な画像や数値が出やすく、審査側は判定がしやすくなります。時間が長いほど症状がぼやけます。中途半端な回復の懸念だけではなく、既往症や新たな病気やケガ、加齢が影響するからです。

② 対応している保険会社も症状固定・等級申請→早期解決を歓迎します。よく誤解されますが、保険会社は後遺障害の軽重による支払い保険金の大小より、解決スピードを重んじます。後遺障害等級が重いことなど担当者の責任ではないからです。サラリーマンである彼らの評価は、後遺障害等級の程度より、案件の処理速度なのです。

③ なにより、被害者は後遺障害等級が下がれば賠償金が減ります。「治るまで治療費を払わせるんだ!」との気持ちはわかりますが、大抵、後遺障害の賠償金額より、その間の治療費が(一部の例外を除き)はるかに安いのです。賠償金を得た後、健康保険を使ってじっくり回復努力を続ける方が明らかに得です。    症状固定日を定めることは、最終的には「被害者の権利」と、私は考えています。   kansetu_1    近時に再手術が必要なケース、治療方針が大きく変更、新たな治療を試みるケース等、例外はあくまで例外です。慢性的な症状改善のための長期リハビリや東洋医学の施行、なんとなく経過観察、ましてや完全回復を目指す・・これらのために、症状固定日を先延ばしする必要はないと断じます。

 とくに、可動域制限は症状固定後も多くのケースで回復が進みます。逆に、リハビリをサボれば改善は逆戻りします。回復努力を怠れば廃用性拘縮(動かさないので曲がらなくなる)まっしぐらです。また将来、加齢と共に制限がぶり返すこともあります。将来の回復・悪化はあくまで予想に過ぎません。また、関節角度の計測ですらその時の調子の良し悪しで上下します。なぜか計測者の力の入れ具合?にも左右されます。この通り、可動域制限の計測数値自体、曖昧なものです。(等級の判定は計測された数値に見合った変形や転位、器質的損傷の残存等、画像所見が前提です。)

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山本さんイラストsjつづき   ① 関節部分を骨折している場合について

 より具体的にいえば、関節部分の(1)骨折後の骨の変形や(2)骨折後の癒合不全、(3)骨の転移、等が原因として関節の可動域が制限されることがあります。   (1) 関節部分の骨折があり、その後の骨の癒合がうまくいかず、変形してしまい、関節の動きが制限されてしまっても無理はない状態などをいいます。   (2) 靱帯が剥がれてしまい、骨折しただけでなく、靱帯のバネの働きによって骨が引っ張られてしまったことが原因で、骨の癒合がうまくいかないこともあります。 この癒合不全により、関節を動かす際にどこかで引っかかったりする場合があり、物理的に関節が動かなくなることがあります。   (3) 骨折後の骨の転移(骨がズレること)により、関節が曲がらなくなることがあります。     弊所やその他交通事故に詳しい法律事務所や行政書士事務所はこれら(1)~(3)についてを画像(XPやCT等)で確認します。 c_g_l_62  骨幹部が折れても関節に影響はなく、痛みで曲げられないことは初期にはあるかもしれませんが、痛みは徐々に引いていきますので、ある程度になりましたらリハビリをする必要があります。    そのリハビリをさぼってしまうと、痛みで体を動かさないで筋肉が拘縮してしまい、可動域に制限が生じることがあります。これを一般的に廃用性拘縮といいますが、廃用性の拘縮については、治療努力が認められず、また、頑張れば骨は問題ないので生涯にわたって治らない怪我ではないとみなされてしまう恐れがありますので、ご注意ください。  

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新たな請求漏れが起きる仕組みを解説します。まず、改定(搭乗者傷害が人身傷害に吸収される)前後の約款を比べてみましょう。

(前の記事:請求漏れの危険性①

25損J証券  損保ジャパン「ONE STEP」 平成25年証券

 搭乗者傷害が人身傷害に吸収された ↓

26損J証券  損保ジャパン「THE クルマの保険」 平成26年証券

さて、新約款では搭乗者傷害がなくなりました。それでも、人身傷害保険に含まれる特約として、事故で5日以上入通院した場合、旧搭乗者傷害保険の名残りである「部位症状別払い」に同じく、即時に定額の10万円or20万円が発生します(しかし、この改定で、骨折以上の重傷による高額保険金(最高100万円)が無くなってしまいました)。契約自動車に乗っている時のケガであれば、搭乗者傷害保険は相手からの賠償に関係なく支払われるので、代理店さんも習慣的に忘れることなく、請求の案内をします。 続きを読む »

自動車保険でありがちの請求漏れは、搭乗者傷害です。人身傷害保険が発売される前から多かったと思います。

25損J証券  損保ジャパン「ONE STEP」 平成25年証券

とくに、自動車対自動車の事故で負傷し、0:100で相手が一方的に悪く、相手の加入している任意保険会社から100%の賠償が得られた場合です。

この場合、相手から全額補償されたので、自分の保険を使わずに済んだ!、で済んでしまいがちです。しかし、搭乗者傷害保険は相手からの賠償金の支払いに関係なく、重複して支払われます。別個に自分が掛金を払って加入している傷害保険だからです。

その後、人身傷害特約(保険)の登場で、補償がダブることになりました。

契約車 搭乗中 他車 搭乗中 歩行中 自転車 他の交通機関 保険金 計算方法 重複 払い 人身傷害保険 〇 △ (特約で選択) △ (特約で選択) 実額 × 無保険車傷害 特約 〇 〇 〇 実額 × 自損事故特約 〇 〇 × 定額 × 搭乗者傷害保険 〇 × × 定額 〇

人身傷害の登場で、やや混乱しました。そこで、各社はここ数年の間、このダブりを解消するため、人身傷害の約款に、無保険車傷害と自損事故、搭乗者傷害を組み込む約款改定を進めてきました。

損保ジャパンも「旧ONE STEP」から「THE クルマの保険」に変更する際、細かな統合・修正を加えて約款をすっきりさせました。

しかし、冒頭の搭乗者傷害の請求漏れは無くならず、別の理由で加速したようです。理由は人身傷害が実額補償であることに端を発します。つまり、0:100事故で、相手からの賠償金にて被害の全額が回収できた場合は、多くの場合、人身傷害の支払いは発生しません。「自分の保険を使わずに済んで良かった」までは、いつものパターンです。しかし、以下の証券ではどうでしょう?

26損J証券

人身傷害の欄、「人身傷害 死亡・後遺障害 定額給付金」に注目して下さい。

これは、旧搭乗者傷害保険が吸収されたもの・・と理解している代理店さんが多いようです。私もそう理解していました。

この特約から最近、3件うっかり請求漏れする場面に出くわしました。ここに、歴戦の代理店さんですら気付かない落とし穴があったのです。

♪  I have a ...

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 産経ニュース、日経新聞の記事から    東京海上日動火災保険が、ハンドルやブレーキを自動操作する自動運転中の事故を自動車保険の補償対象に加えることが8日、わかった。

 来年4月から自動車保険の新規契約時や更新時の無料特約として、国内で初めて提供する。開発が進む自動運転車の普及を見据え、対応を進める狙いだ。補償は自動運転システムが誤作動や制御不能になった場合などを想定。ドライバーが全く関与しない「レベル4」を除く、レベル1~3の場合を対象とする。自動車会社や通信業者などの事故責任の最終的な特定の前に東京海上が保険金を支払い、特定が出来た段階で東京海上が業者側にまとめて賠償請求を行う。

 既存の自動車保険では運転者に過失がないケースでは保険が支払われないため、被害者が自動車メーカーなどに直接、賠償請求を行うしかなく、手続きなどの負担が大きすぎることが課題になっていた。   (11月8日 産経ニュース、日本経済新聞)

c_s_j_9  いよいよ実用化の自動運転車ですが、「車載のコンピューターの誤作動で事故が起きた場合、誰が責任をとるのか?」、この疑問が出発点です。業界に先駆けて、東海日動さんが先鞭をつけました。この特約は無料で付帯されるようです。誤作動を起こした自動運転車から事故に遭った被害者は、誰に賠償を求めるか(「加害運転者?それともメーカー?」)について、問題となっていました。この特約で第一に任意保険会社が担うことになります。これで、すみやかに被害者への救済がはかられます。次に、任意保険会社はメーカーに求償請求を行います。つまり、被害者側に立証の負担がなくなるのです。

 ちなみに自賠責保険の場合は、そもそも(自賠法3条から)加害者が「自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明」しない限り支払われるますので、法律上、メーカーが誤作動に責任がないと証明しない限り、保険適用は大丈夫です。自賠法はなにかと被害者に有利、東海日動が無料特約とした英断の根拠は、「まず、自賠で回収できるから」ではないかと・・・私達は職業柄、うがった見方をしてしまいます。

 自動車の進歩から、事故件数が減ったとしても、人間が運転する以上、事故は0にはならないでしょう。自動運転特約もこれからの補償です。おそらく、保険会社はメーカーのみならず、誤作動の責任の対象がソフトウェア会社やハッカーなど、求償先が多肢に渡り、(自賠責限度額を越えるような事故は)求償の負担が問題となるでしょう。結局、掛金に反映しそうです。

 今後も技術の進歩と、それに対応する保険に注目です。  

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山本さんイラストsj  前回の内容は主婦を対象としておりましたが、これとは別に、似て非なる主夫が交通事故に遭ってしまった場合、主夫も主婦の年収と同様の金額で逸失利益を請求できるのでしょうか。

 結論から言いますと、主夫であっても、主婦の逸失利益で計算することは理論上可能であり、また、過去の例で認められたケースもあります。

 しかしながら、主夫の証明は主婦よりも非常に厳しいのが現状です。

 証明内容の根本としては、その家族の家計を担っているのが奥様であり、他方、旦那様は、端的に言ってしまえば、内助の功に専念しているかどうかがあげられます。

 具体的には、

① 家事をしている実態の説明 ② 奥様が一家を支えるだけの収入を得ていること ③ 奥様の収入により養われていること ④ 世帯主が奥様であること

 があげられるとみております。なお、これらは過去に認められた際に実際に証明に成功した場合を基にしておりますので、確定的な要件ではありません。

 ①については、ある弁護士さんは具体的にタイムスケジュールで表し、どこで買い物をして、いつ子供の迎えに行くのか、料理をどのようにしているのか、家の掃除をどのようにしているのか、等を説明させて、交通事故でどこに支障が出ているのかを具体的に精査した上で立証します。

 なお、等級申請から始める場合には、これらを文章でまとめて(申述書)、被害者請求の際に同時に提出します。弊所も医証を集める際には生活の実態を確認してから弁護士に託します。

 ②③については、奥様の源泉徴収票により、証明できます。つまり、源泉徴収票に記載されている所得額と、その配偶者欄に旦那様の名前が記載されていることを確認して証明します。

 ④については、住民票で一番上が奥様であれば証明がよりやりやすくなります。 しかし、住民票については、動かしていない場合や、そもそも別々であることもあり、実態が反映されていない可能性がありますので、ご注意ください。    以上から、主夫の証明で必要な書類として、家事の実態を説明した文書(申述書)、源泉徴収票、住民票等があげられます。    交通事故に詳しい弁護士やその他士業に相談する場合、実際に契約をする場合には、上記各書類を用意することをお勧めします。 続きを読む »

山本さんイラストsj  専業主婦、パート主婦、兼業主婦、等々主婦の形態は近年多様になってきました。

 交通事故で後遺症となった方は、逸失利益を保険会社に請求する場合、年収が計算の根拠となります。

 請求はご自身が行ってもよいですが、後遺障害等級が認められた場合、交通事故に詳しい弁護士に依頼して解決をすることを我々はお勧めしております。そして、主婦の場合、365日休みがないと考えられており、また年収は裁判所の基準ですと、約350万円になります。詳しい数値は弁護士に確認してみてください。

 この点、毎月実施しております相談会では、「主婦の逸失利益は、専業主婦でないと請求できないのでしょうか」という質問が多く出てきます。これに対しては、ある懇意にしている弁護士さんは、専業主婦だけでなく、パートをしている主婦の場合でも上記裁判基準(約350万円)で請求できると説明しております。但し、仕事で得られる年収が上記裁判基準(約350万円)を超えている場合には、その高い方の年収を基準に請求するとしています。

 つまり、主婦の場合、主婦を基準とした逸失利益か、仕事で得られる年収を基準とした逸失利益のどちらか高い方を請求することができるのです。

 なお、休業損害を請求する場合も、仕事で得られる年収(月給)で計算するか、主婦の年収から計算するかで請求額が変化しますので、どちらがより得になるのかが気になる方は弁護士等に電話や相談会でご相談ください。

※ 休業損害の金額は交渉となりますが、それを待たず、保険会社は最低でも主婦には1日=5700円を支払います。 c_s_t_24  主婦として請求するためには、結婚して主人と同居しているか、子どもがいるか、家族と同居して主に家事をやっているか等を説明(証明)すれば、基本的に信用されます。

 これまでの記載内容はあくまで主婦を対象として述べております。それでは、近年でも増えつつある主夫が交通事故に遭ってしまった場合、主夫も主婦の年収と同様に逸失利益を請求できるのでしょうか。    このことについては次回に述べたいと思います。  

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 このシリーズで訴えていること=「人身傷害を先に請求する場合、過失分だけですよ」に対して、もの申してしるわけですが・・細かいことを指摘しているなぁ、と印象を持たれている方もいらっしゃるでしょう。しかし、長らく自動車保険に関わってきた者として、いかにアンフェアな改定なのか、憤りをもってしまうのです。車両保険を例に改めて問題を浮き彫りにしたいと思います。  

「車両先行」・・車両保険を例にとります。

   車両保険はご存知の通り、契約している自身の自動車の修理費を支払うものです。事故で相手がおり、それぞれに責任があった場合、相手から差し引かれる自己の過失割合分を支払うことになります。

 この過失相殺の交渉は、事故状況の食い違いや、双方の意識の違いから、長期化することが少なくありません。そこで、車両保険に加入している契約者は、相手からの回収を待たずに、自身が加入している車両保険に修理費全額の補償を先行して請求します。これを業界では「車両先行」と呼んでいます。

 これで修理工場も安心して修理に取り掛かれます。そして、長い交渉、示談を待たずに、修理完了した自動車が自宅に戻ってきます。車両保険の安心感を実感する瞬間です。

 その後、全額の車両保険を支払った保険会社はいずれ交渉をまとめ、相手から過失分を回収することになります。 c_y_42相手がなかなか修理費をくれないことが・・

 ここまで説明すればお解かりでしょう。人身傷害の先行支払いは、そもそもこの安心感をもたらすものだったのです。それが、「過失分だけ、協議の上で払います?」となりました。これを、車両保険の例に当てはめれば、いかに、安心感を損なう約款改定か理解できます。「車両先行は全額OK」、「人傷先行は全額NG」と物損事故と人身事故の扱いに差別が生じたのです。人身傷害は発売以来、賠償交渉を待たず、過失分関係なく全額払われる、”夢の全額補償”が売りだったはずです。

 自動車の修理費に裁判基準、保険会社基準など、複数の基準はありません。しかし、人間の慰謝料や逸失利益には保険会社と裁判の二つの基準が存在します。そもそも問題の根源はこの2つの支払基準があまりにも乖離でしていることでしょう。保険会社も苦しい約款改定と自認しているはずです。   c_y_98    それにしても、損J日興、朝日、セコム、ソニー、そんぽ24、セゾンさん達のように、「賠償先行か人傷先行か、請求の順番に関係なく、裁判で決まった総額なら認める」といった潔い約款に比べて、東京海上日動のグループは執念深く、自社基準を押し通そうとします。

 あいおいさんは賠償先行の場合、裁判での金額は認めるとしていますので、この点は損J日興のグループに同じです。しかし、支払い限度を自社基準額とする地雷が埋まっています。また、人身先行では何かと「自社との協議」で値切りそうです。仮に、人身傷害に自身の過失分を人傷基準で先に請求・受領、後に賠償社から賠償金を受け取ったとして、その賠償金が裁判で決定したなら、ようやく不足分を裁判基準で追加請求することが可能となります。理屈ではそうですが、実際はうやむやになりそうです。

 三井住友さんは、臆病にも最初から「自社との協議」で支払いの抑制を図っています。これは賠償、人傷の請求の順番に関係ないので、最もこの問題から距離を置いた約款と言えます。これらは契約者に対して、アンフェアでいびつなルールとのそしりを受けるでしょう。    問題は”そしる”機会が少ないことです。”そしる機会”は実際にこの問題に直面する契約者さんに限定します。契約の際にここまで細かく他社と比較することなどないこと、頼るべき弁護士先生が保険に精通していないケースが多いこと・・、結局、保険会社はこれら契約者にとっての難題を承知なのでしょう。この問題は水面下の落とし穴なのです。  

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 なぜ、三井さん、あいおいさん、AIG、大同さん、イーデザインさん、SBIさんは契約者の「人傷先行」請求に対して、支払金額を”契約者の過失分だけ”(以下、過失分限定払い)にしたいのでしょうか?    普通に人身傷害を加害者・被害者双方の話し合いで賠償額を決める”償い”の保険ではなく、”予め決められた弊社の基準で支払う定額の”傷害保険としたいことは間違いないでしょう。しかし、それだけに留まらず、「人傷先行」によって、総損害額を裁判基準で持っていこうとする、契約者もしくは弁護士への対抗策ではないかと思っています。 teresasanma

 難解な話ですが、お付き合い下さい。

過失分限定払いは「人傷先行」策 潰し?

 相手から賠償金を受け取る前に人身傷害保険を先行して、損害額の全額を受け取り、後に相手から賠償金を受け取り、「契約者の権利を害さない範囲、つまり、裁判で決まった損害額の全額をオーバーする金額についてのみ、先に人身傷害を支払った保険会社は返してもらう」との規定が、平成24年2月の最高裁判例「差額説」で定まり、各社、約款をこれに対応させました。

 詳しくは ⇒ 「絶対説」と「差額説」

 以降、人身傷害に精通した弁護士さんが、この差額説判決をもとに、先に人身傷害保険に対して、人身傷害基準であろうと過失減額無しで全額を受け取り、続いて、相手に対して賠償額を裁判基準で獲得することにより、裁判基準で総額を確保しました。この、損害総額を保険会社基準ではなく、裁判基準に引き上げるといった、いわゆる「人傷先行」の作戦をとるようになったのです。

「人傷先行」策

 「差額説」判決の根拠となった、代位(求償)の規定、「被保険者または保険金請求権者の権利を害さない範囲内で」を生かし、先に人身傷害にせっせと請求します。とくに高額となる後遺障害の慰謝料と逸失利益を事故相手(賠償社)に請求する前に、人身傷害から確保します。まずは人傷基準とはいえ、自身の過失関係なしで100%を得ることができます。自身の過失が大きければ大きいほど威力を発揮します。

 そして、次に相手側に賠償請求します。裁判で決まった総損害額、(交渉や斡旋機関で決定した賠償総額の場合は、約款上、認めないので争いになりますが・・)その内から先に人身傷害特約で得た分を返します。その際、「契約者の権利を害さない範囲で」返せば良いので、以下のように訴訟基準の損害全額1000万円を確保し、それを超える300万円を人傷社に返せば済むことになります。

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 続いて、「賠償先行」の支払い保険金の算定方法をみてみましょう。これは(5)の部分です。その前に(4)ですが・・これは前項で、「人傷先行」の場合は契約者の過失分しか払わんよ、とした為、「代位」=求償の規定に例外規定を設けたようです。これも、人身傷害の先行払いについて、支払い抑制?の準備をしているようで・・あまり気分の良いものではありません。

 

(4)本条(2)の場合には、当社が人身傷害保険金を支払った場合であっても、第11条「代位」の規定にかかわらず、当社は、保険金請求権者が賠償義務者に対して有する権利については、これを取得しません。

  <翻訳>  これは、元々、人傷先行の場合、普通に11条「代位」で、「払った保険金は私どもが相手から返してもらいます」と、相手に対する求償権をうたっているところ、「(2)人傷先行にて、自社との協議や裁判で先に過失分を決めて支払う」ので、支払った過失分につき、求償分が発生しないとを予定している一文と解します。

 だからこそ、「被害者(契約者)の過失分を少なめに判断(?)して払うだろうな」とゲスの勘繰りをしてしまいます。  

(5)賠償義務者からの損害賠償金の支払いを先行した後に、保険金請求権者が人身傷害保険金を請求した場合であって、賠償義務者との間で判決または裁判上の和解において損害の額が確定し、その基準が社会通念上妥当であると認められるきは、当社は、その基準により算出された額を本条(1)の損害の額とみなして、第4条「お支払いする保険金の計算」(2)に規定する計算式を適用します。 ただし、これにより算出される額は、本条(1)の人身傷害条項損害額基準に基づき算定された損害の額を限度とします。

<翻訳>  「賠償先行なら、裁判での金額を認めます」との裁判基準差額説の説明ですので問題ないと思います。これは、損保ジャパン日本興亜と同じくフェアなルール設定です。  (詳しくは ⇒ 損JNKのルール

 ただし、ここにも人身傷害基準を盾とする毒が潜んでいます。(5)の後段、「ただし、」以下の一文です。 続きを読む »

 それでは、該当の約款を見てみましょう。

 各社、記述に違いがありますが、比較的、容易なあいおいさんを確認します。 とにかく、人身傷害の約款は難解で、弁護士先生すら悩ませています。契約者が正確に読解することはほとんど不可能に近いと思います。  

第5条 損害の額の決定 (1) 当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額は、被保険者が人身傷害事故の直接の結果として、次の①~③のいずれかに該当した場合に、その区分ごとに、それぞれ別紙に定める人身傷害条項損害額基準により算定された金額の合計額とします。 ただし、賠償義務者がある場合において、区分ごとに算定された額が自賠責保険等によって支払われる金額(自賠責保険等がない場合、または自動車損害賠償保障法に基づく自動車損害賠償保障事業により支払われる金額がある場合は、自賠責保険等によって支払われる金額に相当する金額をいいます。以下この(1)において同様とします。)を下回る場合には、自賠責保険等によって支払われる金額とします。 ①傷害 治療が必要と認められる場合 ②後遺障害 後遺障害が生じた場合 ③死亡 死亡した場合 (2)賠償義務者がある場合には、保険金請求権者は、本条(1)によるほか、次の算式によって算出される金額のみを、当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額として請求することができます。 損害の額=本条(1)の各区分ごとに算定された金額の合計額-賠償義務者が保険金請求権者に対して法律上の損害賠償責任を負担するものと認められる部分 (3)本条(2)の「賠償義務者が保険金請求権者に対して法律上の損害賠償責任を負担するものと認められる部分」とは、本条(1)の各区分ごとに算定された金額に対し、次の手続きに基づいて決定した賠償義務者の責任割合を乗じた額(この額が自賠責保険等によって支払われる金額を下回る場合には、自賠責保険等によって支払われる金額とします。)の合計額をいいます。 ①当社と保険金請求権者との間の協議 続きを読む »

 度々、テーマにしてまいりました、人身傷害ですが、近時の約款改定で各社、様々な変更を進めています。    今夏の弁護士研修でも取り上げた、不合理な約款の一つを挙げます。これは些末な改定ではすまない内容です。何せ、発売以来、最大の売りにしてきた、「自分の過失分を引くことなく、損害の全額が補償される」=夢の保険が壊れたからです。以下の表の国内社、及び通販系ではアクサ、SBI、チューリッヒが類似の約款としています。

 加害者に賠償金を請求する前に、人身傷害保険で自己の慰謝料や休業損害を先に受け取ることができます。そして、後遺障害が残れば、その慰謝料と逸失利益も相手と示談して賠償金を得る前に全額が受け取れる、非常に安心感に溢れる保険でした。   c_y_101  しかし、以下の会社は、「相手がいる場合、(相手からその責任分をいずれ受け取れるのだから)自己の過失分しか払いません」としました。相手に任意保険がある場合、いずれ、相手から相手の過失分に相当する賠償金を受け取れるとは思いますが、先行して全額の補償が得られないことになります。

 下表は「賠償先行」、「人傷先行」の場合、それぞれ裁判基準か人傷基準かを一覧表にしたものです。

 何のことやらわからない方は、こちらで復習を ⇒ 人身傷害特約 支払い基準の変遷

損 保 約 款 賠償先行     人傷先行  全 額  過失割合分 あいニッセイ 28-4-1 訴訟基準 訴訟基準 協議・裁判・調停 AIU 26-7-1 訴訟基準 訴訟基準 協議・裁判・調停 富士火災 27-10-1 訴訟基準 訴訟基準 協議・裁判・調停 大同火災 27-10-1 訴訟基準 訴訟基準 続きを読む »

堀越さんイラストsj堀越が調べました!

 ペット保険について調べてみました。まず第一に、動物は人間と違って、診療はすべて自由診療となります。ペットの治療費は全額、飼い主負担で高額となります。保険が望まれるようになったのは自然な流れと思います。

 ペット保険は、約27年前にイギリスで、愛犬のためにある女性が設立した保険会社から始まったそうです。現在では各国でペットに対する保険が数多く普及されているようですが、その背景には、我々のペットに対する価値観が変化しつつある傾向にあるように思われます。

 現在、日本には数多くのペット保険会社が存在します。そこで、ペットに対する保険についての通院・入院・手術等に対する損害保険について、3社を例にあげてみました。各ペット保険会社を比較してみますと、金額、システム、プラン等はさほどの変化はありませんが、大きな違いは、日額あたりの支払の限度額や利用できる日数に限度がある商品なのか、年間あたりの支払の限度額だけが設けられている商品なのかであります。   <主なペット保険の比較表の例>

アイコム損害保険 どうぶつ健保ふぁみりぃ

通院(限度額・限度日数)  日額1万4千円・20日間 日額1万2千円・22日間 入院(限度額・限度日数)  日額1万4千円・20日間 日額3万円・22日間 手術(限度額・限度回数)  1回14万・2回 年間の保険金支払い限度額  84万円 続きを読む »

 鉄道会社の賠償請求は・・・敗訴 ⇒ 自社の損害 ⇒ 損金? or 新しい保険で損害補填?    まさに、新保険誕生の土壌作りが今回の裁判だったのではないでしょうか。以下、yahooニュースの記事を続けます。    訴訟の意図は「敗訴」と「悪人の不在」

 この裁判は「認知症という社会問題と企業の対応の仕方」といった問題を浮かび上がらせた。しかし、JR東海の意図は違う、と私は考える。JR東海の意図は損金処理の下地作りだ。むしろ、JR東海は敗訴を想定して訴訟を起こし、一審の勝訴こそ想定外、二審も不服、最高裁判決の敗訴で安堵した。むしろ、JR東海は敗訴するために訴訟を起こした。負けて勝つためだ。

 そもそも資本金1000億円を超え、売上高1兆円以上、約2500億円の利益を得るJR東海が、1つの家族に対して、たった720万円程度の損害補償を求めるという行為を疑う。事故は不可抗力であり、この程度の金額なら損金処理で済ませてもよさそうだ。いじめと批判されても仕方ない。ちなみに最高裁判決があった3月1日のJR東海の株価は2万365円で、前日より150円高。翌日3月2日の株価は2万750円と上昇した。最高裁敗訴は企業イメージにとって良くないけれど、株価は下がらなかった。

 仮に、JR東海の目的が約720万円の損害補償ではなかったと考えてみよう。JR東海が金銭の代わりに欲しかったモノ。それは「損金処理の裏づけ」ではなかったか。JR東海にとっては小さな金額でも、損金処理をするためには「損害賠償の請求先がない」という事実が必要になる。上場企業として、損金処理には確固たる説明責任がある。事故の被害者はJR東海であり、本来は事故を起こした責任者が補償すべきだ。しかし、相手に悪意も責任能力がなければ、自社で処理するしかない。

 そこでJR東海は裁判を起こした。敗訴が前提にある。訴訟の意図は、この事故に対する「責任者の不在」だ。最高裁判所はJR東海の意図通り「JR東海の過失はなく、遺族にも過失はない」という判決を出した。今後、これが判例として有効になる。同様の人身事故が発生して損害が出たとしても「最高裁が認めたから損金処理しますよ」となる。最高裁判決だから株主も文句を言えない。    大企業が遺族をいじめるという意図ではなかった

 JR東海は最高裁判決で敗訴した。それでいいのだ。意図通り。まさしく「負けて勝った」。もともとJR東海は事故で亡くなった男性や遺族に対し、怒りも恨みはなかったはずだ。とはいえ、裁判の相手に対して訴訟の真意は説明できない。結果的に事故を起こした家族がスケープゴートになってしまった。その意味では「JR東海の家族イジメ」の批判を受けても仕方ない。判決後の様子が報じられていないけれど、JR東海からこの家族に対して、何らかの精神的ケアがあればいいのだが。

   ここまで、あくまでも私の考察に過ぎない。しかし、この仮説が当たっているとすれば、「鉄道会社向けの人身事故損失に対する保険商品」は必要だろうか。

 8月29日付けの読売新聞報道によると、東京海上日動火災保険は9月から鉄道会社向けに、人身事故が起きたときの損失を補てんする保険商品を販売するという。人身事故による車両や施設の補修、復旧にかかわった職員や外注先への人件費、電車の運休による営業損失、振り替え輸送委託先への支払いなど、最大10億円まで補償する。

 認知症患者が亡くなる程度の人身事故損害額は、企業の体力からすれば損金で処理できる程度。もし保険の補償が必要になるとすれば、その規模は、人身事故の結果、列車が脱線し、乗客に死傷者多数、線路際の建物も損壊、というレベルだろう。福知山線尼崎脱線事故のような規模もあるかもしれない。しかし、そのとき、最高10億円で済むだろうか。むしろ、企業におけるさまざまなリスクに対応する、もっと大型の保険になりそうだ。 続きを読む »

先日、注目すべき判決と新型保険発売のニュースを目にしました。

少し前の事故で覚えている方も多いと思いますが、”認知症患者が線路内に侵入し死亡、その処理で鉄道会社に損害を与えた事故”です。

鉄道会社が認知症患者の家族に損害賠償請求を起こしたことについて、世間ではその是非について、議論が絶えませんでした。判決が定まった後、その背景について、示唆に富んだ記事がyahooニュースに掲載されましたので、その抜粋を紹介したいと思います。

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認知症患者による鉄道人身事故損害請求訴訟

 JR東海が敗訴した民事訴訟を振り返る。この事故は2007年12月7日、東海道本線の共和駅で起きた。アルツハイマー型認知症の91歳、要介護4認定、認知症高齢者自立度IV認定の男性が徘徊し、ホーム先端のフェンス扉を開けて線路に侵入。列車にはねられて死亡した。事故の影響で東海道本線の列車20本に約2時間の遅れが発生した。

 JR東海は、振り替え輸送などの費用719万7740円について、亡くなった男性の妻と4人の子に対して損害賠償の民事訴訟を起こした。名古屋地方裁判所はJR東海の請求を認め、男性の妻と長男に全額の支払いを命じた。理由として、男性自身に判断能力がなく責任を負えないとしつつも、妻には男性の徘徊に対する予見と注意義務、長男には監督義務があったと認定した。

 男性の家族側は名古屋高等裁判所に控訴。家族側はJR東海の過失を指摘している。ホーム端のフェンスが施錠されていれば、男性は線路に降りなかったと思われるからだ。しかし、名古屋高裁の判決はJR東海の過失は認めなかった。一方、長男は別居していたため監督義務はなく、同居していた妻には注意義務があったとし、JR東海への支払額を359万8870円へ減額した。当時85歳だった妻も要介護1認定だった。それでも名古屋高裁は妻の監護能力を認め過失を認めた。具体的には、過去の徘徊の経験から、当時も徘徊を予見可能であり、徘徊を察知するセンサーのスイッチを妻が切っていたからであった。

 2016年3月の最高裁で、判決はJR東海の請求を退けた。家族側逆転勝訴、JR東海の逆転敗訴と報じられた。本件の主な争点は、認知症患者とその家族の監督・注意義務であった。高齢化社会の到来にともなって、認知症は社会問題であり、世間の関心を集めた。JR東海に対する弱者いじめという批判もあった。JR東海の立場を思慮した論考は少なかった。

 yahooニュースより (杉山 淳一様 記事) 

次回完結

最高裁で負けたJR。だが狙い通りだった?JRの狙いが凄すぎた

 

 

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 約款とにらめっこの8月でしたが、10年前と大きく違うことは・・各社、内容のバラつきが進んでいることです。

 保険会社は、昭和の時代から長らく「護送船団方式」と言って国の保護の下、「同じ内容・同じ掛金・同じ約款」で競争することなく、全社、守られてきました。その後、ご存知の通り、金融ビックバン・自由化を迎え、「自社の体力に応じて、補償内容・掛金を設定する」ことになりました。それでも、横並びが一瞬で解消することなく、同じような約款と大差のない掛金が続きました。

 しかし、近年、各社独自の特約の設定はもちろん、特に人身傷害特約での違いが顕著になりました。弁護士費用特約(以後、弁特)も然りです。 弁特は割りと簡素な約款でしたが、読み込むと各社、条件の違いが進行しています。    (例)タクシーやハイヤーなどのドライバーさんが仕事中、追突事故にあい、ケガをしました。相手との交渉を弁護士に依頼したいと思い、自身が加入しているマイカーの保険会社に問い合わせました。さて、仕事中の車両の事故でも弁護士費用特約は使えるのでしょうか? f_c_027

(答)このようなケースで弁護士費用特約が適用できるか? 約款を確認しましたが、免責規定に明記している会社もあれば、不明瞭な会社もあります。そこで、保険会社(サービスセンター)に直接聞いてみました。

1、ソニー ⇒ 「業務で使用する自動車は、常時使用する自動車となり、免責です。」

2、損保ジャパン日本興亜 ⇒ 「とくに免責事項になく、適応OKです」    私見では、「業務中および業務使用」の自動車にマイカーの保険が適用されるはずはない? との認識でした。しかし、このように保険会社によって違うのです。この違いが、保険約款の読み込みをより一層、ハードな作業にしています。    いずれ、「業務中および業務使用」の自動車に自家用車の弁護士費用特約が適用できるのか、について一覧表にしなければなりません。一覧表は弁護士さんから、非常にありがたいと好評ですので。  

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