腓腹筋(ひふくきん)断裂・肉離れ

(1)病態

 ふくらはぎは、下腿骨の脛骨と腓骨の後方に位置するのですが、下腿骨後方は、コンパートメントと呼ばれる隔壁で、浅部と深部に分けられています。

 ふくらはぎは、浅部にある筋肉、腓腹筋とヒラメ筋で構成されており、この2つの筋肉は下腿三頭筋と呼ばれています。下腿三頭筋はアキレス腱に連結しています。   ※ コンパートメント・・・筋肉を覆う筋膜組織で構成された隔壁で、筋間中隔とも呼ばれます。   (2)症状

 ふくらはぎの痛み、内出血、ふくらはぎの一部に凹みが見られる。   (3)治療

 XPで骨折を確認し、次ぎに、超音波検査、MRIで筋肉の損傷状態を確認します。治療は、消炎鎮痛剤、局所注射、固定、物理療法で炎症を抑えますその後、運動療法で筋肉の伸張性を高め、筋肉を柔軟にし、筋力強化を行います

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 脳損傷、靭帯損傷など、軟部組織の障害立証にMRIは欠かせません。事故による骨折と、陳旧性(元々あった)骨折の区別にも有用です。したがって、治療先にMRI検査をお願いすることは、秋葉事務所の日常です。

 ところが、MRI検査ができない場合もあります。それは、骨折後、骨折部を金属で固定したケースです。MRIの高い磁力によって、金属がハレーション(光る)を起し、患部が見えなくなってしまします。病院側も、骨折の癒合を優先しますから、靭帯や半月板などの損傷は後回し、「MRIは抜釘後(金属を取ってから)にしましょう」となるのです。

 また、それ以外の事情として、「入れ墨」があります。入れ墨の染料ですが、昔は朱色に水銀の成分があり、他にも色によって鉄、亜鉛、銅があるそうです。これらが、MRIの高磁力の照射で発熱、火傷の危険となるのです。実際、熱傷の事例報告が存在します。近年のインクには、金属アレルギーを考慮して、金属が使用されていないものが多いようで、各インクの成分表も公開されています。それでも、病院の検査前の問診で、入れ墨の有無が問われ、それで検査不能と判断します。あるいは、覚悟した患者さんに対しては、熱を感じた時に速やかに検査を停止するなどしているようです。病院によっては、重症度次第でもありますが、火傷のリスクよりもMRI診断の有用性の方が高い場合は検査の強硬もあるそうです。

 それより何より、その筋の患者さんの場合は、低温火傷にでもなったら、「因縁」が最大の問題となります。病院側としては、できれば検査したくないのです。

 

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  (1)病態

 上・下肢の筋肉、血管や神経組織は、筋膜や骨間膜に囲まれており、この閉鎖された空間、構造をコンパートメント、あるいは筋区画と呼んでいます。

 下腿には、イラストで示すように、前部、外側、深後部、浅後部の4つのコンパートメントがあります。   ※ コンパートメント ・・・前腕部のコンパートメントは、屈筋群、伸筋群、橈側伸筋群の3つです。前腕部に生じたものは、コンパートメント症候群ではなく、フォルクマン拘縮と呼ばれています。

 前腕部では、屈筋群が非可逆性壊死に陥り、その末梢に拘縮や麻痺を生じることが多いのです。交通事故による大きな衝撃で、この内部に出血が起きると、内圧が上昇し、細動脈を圧迫・閉塞、筋肉や神経に血液が送れなくなり、循環不全が発生し、筋・腱・神経組織は壊死状態となります。この状態が長く続くと、元に戻らなくなってしまいます。

 元に戻らなくなることを、医学の世界では、非可逆性変化といいます。筋肉は4~12時間、神経は12時間を経過すると非可逆性となるのです。脛骨々幹部骨折に合併して、コンパートメント症候群を発症することがあり、かつての交通事故相談会では、1年間に1~2例程度を経験しています。   続きを読む »

(1)病態

 腓骨の単独骨折を解説します。腓骨骨折は、近位端骨折、骨幹部、遠位端骨折の3つに大別されます。

赤○印、上から近位端、骨幹部、遠位端

 腓骨は、脛骨と対になって下腿を形成している骨で、長管骨に属し、脛骨の外側に位置しています。右膝外側を手で触れると、ボコッと飛び出している部分がありますが、それが腓骨の近位端部です。

 膨らんでいる近位端は、腓骨頭と呼ばれています。腓骨頭の先端にはとがった腓骨頭尖があり、脛骨に接する部分に腓骨頭関節面を有しています。

 交通事故では、バイク、自転車と自動車の出合い頭衝突などで、膝の外側部に直撃を受けたときに、腓骨近位端骨折もしくは腓骨頭骨折を発症しています。

 腓骨頭部には、坐骨神経から分岐した腓骨神経が走行しており、腓骨神経麻痺を合併することがあり、そうなると、大変厄介です(腓骨神経麻痺の詳細は、その傷病名で追って解説します)。中央部の骨折は、骨幹部骨折と呼ばれています。

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 脛骨の骨折により、左右の脚長差が生じる短縮障害ですが、イリザロフ法や人工骨の挿入など、整復術の発達もあって、およそ改善させることができます。秋葉事務所でも、3cmの短縮障害はみたことがありません。

 1㎝の短縮障害(13級8号)はたまに認定を得ています。1㎝程度の短縮では、左右の股関節がバランスを取ってくれるので、普通に歩けます。深刻な障害ではないからこそ、13級止まりなのかと思います。

 子供さんの場合は、成長期を通して骨が爆発的に成長しますので、その過程で左右差が解消するようです。それでも、ご両親にとっては将来の障害が心配、なかなか症状固定に踏み込めないのです。本件でも、症状固定のタイミングはじめ、治療と等級確保の両立に腐心しました。   回復と損害賠償の両立は常のテーマです  

13級8号:脛骨遠位端解放骨折・短縮障害(10代男性・埼玉県)

【事案】

道路を横断中、左方より走行してきた自動車に衝突され、足首を骨折した。開放骨折後の骨端線損傷と診断され、経過観察を続けた。   【問題点】

骨癒合が過度に進んでいるため、骨長調整手術を行うことになった。主治医からは「成長が止まった段階まで経過観察しなければ何とも言えない。」との説明を受けたため、ご両親もどこで一区切りつけるのか迷っていた。主治医の見解やご両親のお気持ちも理解できるが、保険会社が10年近く面倒みてくれるはずがない。どこかで「症状固定」としなければならなかった。   【立証ポイント】

症状固定のメリット・デメリットを説明し、ご本人やご両親、主治医が納得するタイミングを模索した。事故から丸2年というところで折り合いがついたため、後遺障害診断時に自覚症状、開放創と脚長差の計測を依頼した。見込み欄には「今後も定期的に経過を観察する必要があり、成長に伴い、骨長に左右差が生じた場合には、再手術の可能性がある。」という関係者全員(相手保険会社は望んでいないと思われるが)が納得する文言を記載いただき、審査に付した。

子どもの骨折(しかも骨端線損傷)では十分な回復が見込め、14級9号に留まる可能性もあった。しかし、「解放骨折」の重傷性から、脚長差の後遺障害が認められた。他に13級以上の認定がなかったということも要因(その場合には、併合扱いになるため、審査が厳しくなる印象がある)の一つではないかと考える。

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膝蓋前滑液包炎(しつがいぜんかつえきほうえん)

上の赤は膝蓋前皮下滑液包、下の赤が脛骨粗面皮下滑液包

  (1)病態

 膝蓋前滑液包は、皮膚と膝蓋骨、膝のお皿の間に位置しており、膝に対する摩擦を和らげ、膝関節の可動域を最大にする役目を果たしています。

 交通事故では、多くが自転車で転倒、膝を強く打ったときに発症しています。頻繁な膝の曲げ伸ばしで発症することもあって、Housemaid’s Knee(女中膝)とも呼ばれています。   続きを読む »

珍しいケースですが、生活保護受給者が交通事故の被害にあったとき、どのように進めていけばいいのでしょうか。    まず、基礎知識として、保険会社から受け取った慰謝料は収入とみなされるため、自治体に生活保護費を返還する必要があります。しかし、慰謝料全額を返還するという訳ではなく、「保護金品に相当する金額の範囲内」と定められているため、受給した生活保護費の範囲内で問題ありません。

 そのため、交通事故被害者になった場合は自治体(福祉事務所)に連絡し、担当するケースワーカーから返還額について指示を受けるのが望ましいと思います。   ~生活保護法第63条(費用返還義務)~

 被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。    返還する費用は「交通事故発生日から最終治療日までの間に受給した生活保護費と利用した医療・介護サービス費用」です。例えば、上記期間に受給した生活保護費が50万円、保険会社から受け取った慰謝料が100万円の場合、50万円を返還し、50万円が収入となりますので、50万円を得たことを申告する必要があります。

 尚、手元に残った金額によっては、生活保護の停止・廃止となる場合もありますので、その点は注意が必要です。よく言われているのは、半年分以上の収入があった場合には生活保護費の廃止、それには至らない収入があった場合には停止というものです。    まずは、解決までのストーリーを描くことが大切です。後遺障害が見込まれるのか否か、治療期間はどれくらいかかりそうなのか、過失はどれくらいになりそうなのか等、判断するポイントがいくつもありますので、知識のある専門家にお問い合わせいただくことが望ましいと思います。

 

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 酷暑止まぬまま9月に突入です。今日は防災の日、2023年9月1日は関東大震災からちょうど100年です。今後30年間に、同クラスの地震の発生確率は70%!、それは明日かも知れないのです。

 アニメ「鬼滅の刃」の時代設定は大正初期です。恐らく、関東大震災(大正12年=1923年)の起きる前に物語は完結しているはずです。なぜなら、劇中、浅草のシーンで、凌雲閣(りょううんかく)が見られます。当時、日本一の高層ビル(12階)は震災で崩壊し、解体されました。

 もし、都心でこのクラスの地震が起こったら、首都機能は麻痺、あらゆる交通は不通になり、治療機関も野戦病院となります。交通事故業務など、当然に中断となります。それ以前に、まず自分たちの命の保全が優先されます。情報の確保、避難の段取り、あらゆるシミュレーションが必要となります。

 コロナからようやく経済活動の復活をみた今年ですが、今度は震災渦を覚悟しています。またしても、業務が滞ってしまうのでしょうか? 近年では東北の震災が参考になりそうです。当時はガソリン不足、電気の使用制限、生活物資の流通が滞るなど、信じられない事が続きました。ただし、それらは数日で回復を見せましたので、日本は災害復旧が得意な国だなぁと、感心したものです。

 交通事故の発生も一瞬は滞りましたが、東北の復旧で建設ラッシュになり、物流、人の動きが活発化、交通事故の発生数はすぐに回復しました。その点、3年間のコロナ渦の方が、交通事故の発生数に大きな減少を見た気がします。テレワークでの通勤減少、旅行制限、イベント自粛・・人が動かないのですから、当たり前に交通事故は減ります。前回のスペイン風邪から100年、パンデミックが一番の痛手かもしれません。     事務所は、水の備蓄(2ℓのペットボトル×25本)、非常食3日分を備えています。今日、amazonで懐中電灯を買い足しました。日頃の備蓄はもちろん、何よりも心構えです。防災意識を常のテーマとしていきたいと思います。    

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(4)後遺障害のポイント   Ⅰ. 2014年の無料相談会で、この傷病名が記載された診断書を発見しました。

 一般的に、膝離断性骨軟骨炎は、スポーツによるストレスの繰り返しで発症するものであり、交通事故とは関係のない傷病名と理解していました。初診の救急病院の診断書には、左鎖骨骨折、右膝捻挫と記載されています。右膝離断性骨軟骨炎は、最後に診察を受けた医大系膝関節外来の専門医が診断したものです。

 これで、ピンときました。初診の整形外科医は、XPで右膝をチェック、骨折がなかったので、右膝捻挫と診断したのです。「静かにしていれば、その内、治る?」 これでスルーされたのです。

 「なにか、スポーツをやっておられました?」・・被害者は、趣味でジョギングをしていたのですが、事故後1カ月でウォーキングを開始した頃から、右膝に痛みを感じるようになり、3カ月を経過してジョギングに復帰すると、突然の激痛で膝が曲がらなくなったとのことです。ネット検索で医大系病院の膝関節外来を受診、右膝関節離断性骨軟骨炎と診断され、関節鏡視下で修復術を受けたとのことです。

 受傷6カ月で症状固定、膝関節に機能障害はなく、圧痛と動作痛が認められました。左鎖骨骨折で12級5号は問題ないとして、右膝関節は神経症状で14級9号が認定されました。膝に関しては事故との因果関係に疑問が残りますが、14級が併合されても等級が上がりません(併合12級)ので、”ついでに”認定された印象です。   Ⅱ.

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 膝離断性骨軟骨炎(しつりだんせいこつなんこつえん)

 骨の間に欠片が挟まると、痛み、運動制限を生じます。

  (1)病態

 膝関節の中に大腿骨の軟骨が剥がれ落ちてしまう障害のことです。

 血流障害により、軟骨下の骨が壊死すると、骨軟骨片が分離し、進行すると関節内に遊離します。   (2)症状

 初期では、運動後の不快感や鈍痛の他は、特異的な症状の出現はありません。関節軟骨の表面に亀裂や変性が生じると疼痛も強くなり、日常の歩行でも支障を来します。

 さらに、骨軟骨片が関節の中に遊離すると、膝の曲げ伸ばしで、引っかかり感、ズレ感を生じ、関節に挟まると、激痛を発症、膝がロックして動かなくなってしまいます。

 一般的には、スポーツで、走行、跳躍、肘の回転などを繰り返し行うことで、関節に負担が蓄積して発症すると考えられています。

 関節遊離体は、1~2cmの大きさです。

 関節液の栄養を吸収して大きくなることがあります。自然に消える、小さくなることはありません。   (3)治療

 ロッキング症状、激痛があるときは、関節鏡視下で、生体吸収性ピンを用いて遊離、剥離した骨軟骨片を、欠損部に元通りに修復するオペが実施されています。

 遊離した骨軟骨片の損傷や変性が著しいときは、自家培養軟骨の移植術が行われています。   ◆ ...

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 さんさんと輝く太陽の下が湘南のイメージですが、本日は日が落ちた夜八時、帰宅ラッシュとなったJRのつり革にしがみつき1時間、サザンの「希望の轍」が鳴って茅ヶ崎駅に到着です。      さらに、駅から歩く事15分、クライアントさま宅にて出張相談です。重傷で入院中、かつ面会が難しい場合、取り急ぎ、ご家族との打合せをします。初動の段階で手をこまねいている場合ではないからです。    交通事故に限らず、何事も最初の一手が大事です。初期のつまずきによって、解決が難航することは珍しくありません。今回は代理店さまの協力を得て、スピード対応となりました。早いことは常に良い事です。

 残念ながら、秋葉事務所への相談は遅れがちです。初めて交通事故に遭った被害者さん、その多くは相手保険会社の主導で進められ、ある時疑問が生じてから動きます。また、その動きもネットで検索された華麗なHPに誘導されて弁護士へ。ところが契約までは熱心でも、その後は「診断書を待っています」とだけの対応に終始・・・事故初期の様々な手続きに難儀して、後遺障害の立証で右往左往、その時点でようやく、弊所HPにたどり着くようです。    「時すでに遅し」にならないよう、被害者さんが早めにたどり着くことを祈るばかりです。その点、各方面の紹介は有難く、何より、被害者さんが最初から安心して解決へ進めることになります。本件も安心のレールに乗せたいと思います。    

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 膝蓋骨々軟骨々折・スリーブ骨折 (しつがいこつこつなんこつこっせつ)    膝蓋骨シリーズ最後は、骨折、打脱臼を含め、後遺障害のポイントを解説します。    (1)病態

 膝蓋骨の裏の軟骨面は、大腿骨の前面の軟骨と関節を形成しています。これを、膝蓋大腿関節と呼びます。

 膝蓋骨々軟骨々折は、若年の女性に多く、膝蓋骨脱臼に伴うもので、膝蓋骨の内側に小さな軟骨片が残置しています。膝蓋骨が脱臼するとき、元の位置に戻るときに、大腿骨の外側の突起と膝蓋骨が衝突し、こすれあって、膝蓋骨軟骨々折が起こるのです。交通事故では、膝蓋骨脱臼後に軟骨々折を発症しています。   (2)症状

 膝の曲げ伸ばしで、痛みが生じます。

  (3)治療

 手術により、骨片を元の位置に戻すか、除去して固定します。スリーブ骨折は、10歳前後のサッカー、野球少年に多い膝蓋骨下端の剥離骨折で、骨片が小さく見逃されることが多いので要注意です。治療としては、保存的にギプスによる外固定を3~5週間行われています。   (4)膝蓋骨 骨折、膝蓋骨 脱臼、膝蓋骨 骨軟骨々折における後遺障害のポイント   Ⅰ.

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 膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)

左から、正常・亜脱臼・脱臼

  (1)病態

 膝蓋骨脱臼とは、膝のお皿が、膝の正面の本来の位置から外れることで、膝の構造・形態的特徴から、ほとんどは、大腿骨に対して外側に脱臼しています。膝蓋骨は膝の輪切り図では、大腿骨正面の溝にはまるような位置にあります。膝蓋骨が溝を乗り越えて外れることを脱臼、乗り越えてはいないが、ずれることを亜脱臼と呼びます。

 膝蓋骨は、太ももの側では大腿四頭筋という強い筋肉に、すねの側では膝蓋腱という線維につながり脛骨に連結しています。膝蓋骨は、曲がった膝を伸ばすときに、滑車のような役目で大腿四頭筋の筋力を脛骨側に伝えるサポートをしています。

 膝蓋骨脱臼は10代の若い女性に多く発症し、スポーツ活動中などに起こります。膝蓋骨脱臼は、ジャンプの着地などで筋肉が強く収縮したときや、膝が伸びた状態で急に脛骨を捻るような力が加わったとき、膝蓋骨を打撲したときに発症していますが、元々膝蓋骨が脱臼しやすい身体的条件、膝蓋骨に向き合う大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨の形成不全、膝蓋腱の付着部が外側に偏位しているなど、遺伝的要因のある人に起こりやすいといわれています。   (2)症状

 脱臼したときは、膝に強い痛みや腫れを生じます。脱臼を発症しても、多数例で膝蓋骨は病院に搬送される前に、元の位置に戻ります。 続きを読む »

 膝蓋骨々折(しつがいこつこっせつ)

(1)病態

 膝蓋骨は、膝関節の前方に位置し、膝のお皿と呼ばれる丸い骨のことです。膝蓋骨は、裏側の軟骨部で大腿骨と関節を有し、膝の曲げ伸ばし運動を滑らかに行い、膝関節の動きの中心としてサポートする役目を果たしています。

 私は、自動車で言えばバンパー、つまり、膝関節への直撃を和らげる衝撃吸収装置の役目も果たしていると考えているのですが、どの医学書にも、そのような記載はありません。膝蓋骨=膝のお皿が割れることで、内部の大腿骨&脛骨、靭帯や半月板など、膝関節を構成する重要なパーツが守られる?ことがあるようです。

 交通事故では、自転車、バイクと自動車の衝突で、車のバンパーで直撃を受ける、はね飛ばされて膝から転落する、ダッシュボードに膝部を打ちつけることで発症しており、膝部の外傷では、もっとも多発している骨折です。

  (2)症状

 症状は、強い痛みと膝関節の腫れが出現、膝を自動で伸ばすことができなくなります。骨折のパターンは、横骨折、縦骨折、粉砕骨折の3つです。    (3)治療

 骨片の離開のないときは、保存的に4~6週間程度のギプス固定がなされます。膝を伸ばす大腿四頭筋が急激に強く緊張する、つまり、介達外力により骨片が上下に離開した横骨折では、オペにより、キルシュナー鋼線とワイヤーで8の字固定が行われています。

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(4)後遺障害のポイント   Ⅰ.  秋葉事務所では、大人の脛骨顆間隆起骨折を、前十字靱帯損傷と捉えてアプローチしています。

 相談に来られる被害者さんの多くは、医師から「様子をみましょう」とだけ、さらに弁護士に委任したものの、終始「診断書を待っています」とだけ・・・無為無策で不安になった方々です。これら発見が遅れたもの、発見するも放置され陳旧化したものですが、まずはLachman(ラックマン)テストを行い、脛骨の前方引き出しの度合いを確認しています。

 膝を15~20°屈曲させ、前方に引き出します。前十字靱帯損傷では、脛骨が異常に引き出されます。

  Ⅱ.

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脛骨 顆間隆起骨折(けいこつ かかんりゅうきこっせつ)      (左図)右膝関節の正面骨格図、(右図) 𦙾骨近位端の後方図   (1)病態

 8~12歳の小児に好発、成人でも発生している前十字靭帯付着部の剥離、裂離骨折です。前十字靱帯損傷と同じですが、交通事故では、自転車やオートバイの転倒、田んぼや崖下への転落で発生しています。   続きを読む »

 お盆休みですが、金融機関である保険会社は暦通りに営業しており、総合病院も同じく開いてます。お盆の間に診断書の記載や書類の類は割と進むものです。今回は新宿へ。診断書類の依頼ですが、ちょうど買い物もありましたので、都合が良かったのです。

歌舞伎町のゴジラ

   歌舞伎町を抜けて青梅街道を西へ、損保ジャパンビルを見上げる歩道橋を渡ります。30年前、ここに通っていたんだよなぁ。当時の早朝、この歩道橋でリゲインのCM撮影に出くわしました。「24時間、戦えますか~ ...

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(4)後遺障害のポイント   Ⅰ. 後遺障害の対象は、膝関節の可動域制限と疼痛です。弊所の経験則では、脛骨顆部骨折の多くで「4分の3以下の可動域制限」=12級7号が認定されています。

 20年前までは、「2分の1以下の可動域制限」=10級11号も多く認定されていたそうですが、関節鏡術が進化したこともあり、10級11号は減少傾向となっています。いずれも、可動域制限の原因を画像で示す必要があります。3DCTで変形骨癒合を、MRIで軟骨損傷、併発した靭帯損傷の程度を立証しなければなりません。

 総じて、この部位の骨折からは軽重様々な障害を予断する必要があります。基本通り、受傷時~症状固定時までの画像を見守りながら、立証計画を策定します。後遺障害申請はくじ引きではありません。回復努力を第一としつつ、あらゆる認定パターンを念頭に観察していく必要があります。    可動域制限の実例 👉 12級7号:脛骨プラトー骨折(40代男性・千葉県)   Ⅱ.

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