屈筋腱(くっきんけん)

(1)病態

 手の掌側にある屈筋腱が断裂すると、筋が収縮しても、その力が骨に伝達されないので、手指を曲げることができなくなります。

 切創や挫創による開放性損傷、創のない閉鎖性損傷、皮下断裂があります。屈筋腱の損傷では、同時に神経の断裂を伴うことが高頻度で起こります。このときは、屈筋腱と神経の修復を同時に行うことになり、専門医が登場する領域です。

 手指の屈筋腱は、親指は1つですが、親指以外は、深指屈筋腱と浅指屈筋腱の2つがあります。親指以外で、両方が断裂すると、手指が伸びた状態となり、まったく曲げることができなくなります。深指屈筋腱のみが断裂したときは、DIP関節だけが伸びた状態となり、曲げることができません。しかし、PIP関節は、曲げることができるのです。   (2)治療

 指関節の可動域制限があり、拘縮が進む場合、オペを検討する必要があります。屈筋腱損傷の治療は、手の外傷の治療のなかで最も難しいものの1つで、腱縫合術が必要です。年齢、受傷様式、受傷から手術までの期間、手術の技術、手術後の後療法、リハビリなどにより治療成績が左右されます。

 治療が難しい理由としては、再断裂と癒着の2つの問題があります。手術では、正確かつ丁寧な技術が求められ、手術後の後療法も非常に重要となります。   (3)後遺障害のポイント    以下に上げた実例は、損傷の程度がひどく、オペによる回復もわずかでした。損傷がオペで修復可能で、指の曲がりが改善、機能障害を回避できたとして、痛み・不具合などの症状の一貫性から14級9号を確保したいところです。    以下、序論 ...

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 診断書を依頼して、その場で記載する医師もおりますが、平均的には2週間で記載の印象です。日々の診察や治療で激務を強いられる医師にとって、診断書の記載ほど面倒なことはないと思います。患者側としては、頭が下がる思いです。

 どんなに多忙であっても、常識的には2カ月後が限度と思います。また、依頼時に「現在、診断書が溜まっていて、3カ月かかります」と言ってくれる医師は、まだ誠意があると思います。それ位であれば、じっと待っていますが、中には何度催促していても、なしのつぶて、数カ月待たす医師が存在します。単にルーズでだらしない医師と言えますが、まるで、依頼側が諦めるのを待っているかのような悪意を感じることもあります。以下、秋葉事務所での「長期間・診断書待ち」の順位です。   【第1位】14カ月 (脊椎・神経科)

 数えきれないほどの催促電話(医事課に対してですが)、催促の手紙2通、そして催促の面談2回・・・医師は毎回、「わかりました」と応じてくれますが、書きません。しかも、自身の病欠で入院の期間2カ月ほど挟むことに。その後、仕上がった診断書他、意見書ですが、それは精密に細かい字がびっしり、ほとんど虫眼鏡でしか読めませんでした。これを書くのは大変だったと思います。   【第2位】8カ月 (リハビリ科)

 最初の依頼の段階で、「診断書のフォームは?それがないと書けない」などと、敬遠ムード。こちらとしては、奥ゆかしく、まず主治医の記載許可を経て、文章課に診断書一式を揃えて提出のつもりでした。もちろん、翌日には診断書・受付窓口に記載要領をまとめて提出しました。

 その後、何度も電話しても、一向に診断書を書く気配がありません。毎度、催促電話を受ける医事課の担当者も、「先生に伝えます」とは言ってくれますが、明らかにお困りの様子でした。おそらく、このまま、”書かないで済まそう”としているとしか思えません。半年後になって、代理人名でお手紙を投函しましたが、反応なし。そこで最終手段です。できればこんなことはしたくないのですが、その病院の理事長と院長先生宛に、それぞれ簡易書留でお手紙を投函しました。そのお手紙の内容は、「〇〇先生はもはや記載する意志がないと思いますので、別の医師の診断を仰ぎたい」です。この最終手段の後、2週間で診断書が届きました。    【第3位】6カ月~ (脳神経外科)

 現在進行中です。常に診断書が遅い医師であったので、覚悟をしていていましたが、あまりの遅さに提出を待っている保険会社もキレ気味です。再度、面談してお願いしようと思います。    医師には診断権という権利があり、医師法上、記載の判断は、”記載すべきではない理由がない限り”記載する義務があります。義務とは言っても、書かない理由などなんとでも付けられます。つまり、医師次第なのです。  ほとんどの医師は忙しくても、なんとかご記載下さいます。しかし、だらしないを通り越して、↑ 2位の医師も存在します。知人の医師は、「患者を治すことが仕事で、診断書を書くために医師になったのではない!」と言い切りました。診断書など書きたくない、これが本音なのかもしれません。医師も人間なので、すべてが誠実とは言えず、残念ながら人間性に問題がある医師も存在します。そのような医師にあたってしまった患者、被害者さん達は大変なのです。もちろん、秋葉事務所の青筋も立ちっぱなしです。  

 

 

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 現在、道路交通法違反で刑罰の対象となる、あるいは行政処分として切符を切られることはありませんが、後部座席のシートベルトがより強く指導されると思います。

 その理由ですが、50年間の交通事故の歴史を振り返ります。現在、死亡事故は減少の一途をたどっていますが、その理由として、シートベルトの着用が挙げられます。信じられないことですが、昭和30~40年代、運転者の多くがシートベルトをしていなかったのです。私の父も、近距離ではしていなかったと思います。お巡りさんも一々切符を切らず、「注意だけ」が多かったと思います。それでも、継続的に取り締まりを強化した結果、昭和50年頃には運転手のシートベルトが普通になりました。  次いで、助手席です。私が子供のころ、助手席でシートベルトをしている人が珍しかった印象です。1970年代(昭和40~50年)の交通戦争時代は年間1万人以上が交通事故で亡くなっていました。その内、運転者は助かるも、助手席の死亡が多かったことから、助手席のシートベルト強化が進みました。警察、自治体、教習所の指導強化が続きましたが、やはり、取り締まりと罰金が効果的でした。

 そして令和の現在、後部座席への強化に時代が進んだと思います。本日、埼玉県で痛ましい死亡事故がありました。自動車vs対向車との衝突ですが、シートベルトをしていた運転者と助手席の人は助かりましたが、(おそらくシートベルトをしていない)後部座席の方は亡くなりました。

 ここ数年、タクシー乗車時に運転手さんから「恐れ入ります、シートベルトの着用にご協力をお願いします。」と丁重に呼びかけらます。まだ、お願いベースですが、いずれ過去の歴史のように、取り締まり・罰則強化に及ぶと思います。  

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 コロナが収束してもコロナから変わったものに、宴会や行事の減少が挙げられると思います。以前に比べ、新年会も減ったものです。それでも、ここ数年、神奈川県損害代理業協会様の末席を埋めさせて頂いております。

 毎年のごとく、会長の被り物でのご挨拶を皮切りに、列席のゲストの皆様のご挨拶で30分、ビールが温くなるころに乾杯です。恒例の抽選会も大盛り上がりでした。何より今年の目玉でしょうか、現職の国会議員2名が参加です。普通は、秘書さんが代理出席することがお約束ですが、これにはびっくりでした。

 進次郎さんのオーラはすごかった。 神奈川代協すげーです。   

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伸筋腱 脱臼(しんきんけんだっきゅう)

(1)病態

 手を握って拳骨を作ったときの拳頭部分は、中手骨頭を覆うように伸筋腱が存在しています。この中手骨頭は丸い形をしており、矢状索と呼ばれる組織が、伸筋腱が中央部からずれることのないように支えています。

 この矢状索が損傷すると、伸筋腱を中央部に保持できなくなり、拳骨を握ると、伸筋腱が中手骨頭の横にズレ落ちるのです。この状態を伸筋腱脱臼と呼んでいます。   (2)治療

 治療は手術により、矢状索損傷部の縫合、もしくは伸筋腱の一部を用いて矢状索を再建する方法が実施されています。後述の後遺障害14級9号の実例では、指関節の可動に問題なく、ひどい痛みでもないケースでした。当然、オペはしません。保存療法のまま症状固定日を迎えました。脱臼といっても軽重があるようです。

 指のオペができる病院・医師は限られます。脱臼が整復された後も、指の曲がりが改善しているか、硬直していないか、慎重に観察を続けます。異常があっても漫然と「様子をみましょう」とせず、専門医の診察を継続すべきと思います。どうも、「指ごとき」と軽く考える医師もいるように思います。  

(3)後遺障害のポイント    指の曲がりが改善し、機能障害を回避できたとして、痛み・不具合などの症状の一貫性から14級9号を確保したいところです。    14級を確保した実例 👉 14級9号:手指 伸筋腱脱臼(40代女性・静岡県)    以下、序論 ...

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 伸筋腱損傷 (しんきんけんそんしょう)

(1)病態

 伸筋腱が断裂すると、筋が収縮しても、その力が骨に伝達されることはなく、手指を伸ばすことができなくなります。つまり、曲がったままになります。切創や挫創による開放性損傷と、創がなくて生じる閉鎖性損傷、皮下断裂があります。

 皮下断裂は、突き指などの外力によって生じるもので、これが圧倒的多数です。開放損傷により、手の甲で腱が断裂したときは、MP関節での手指の伸展が不良となります。手背部の伸筋腱は、腱間結合という組織で隣の伸筋腱と連結しているので、完全に伸展することはできませんが、一定程度までの伸展は可能です。骨折と違い、強い疼痛を伴うことはありません。

 DIP、PIP関節の背側での皮下断裂は、放置すると伸筋腱のバランスが崩れ、スワンネック変形やボタンホール変形という手指の変形に発展します。

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 長年、弁護士先生と仕事をしてきましたが、言葉使いから態度まで、弁護士は非常に気を遣っていると感じます。

 例えば、理不尽な要求する相談者さんや、わからず屋の依頼者さんであっても、腹を立てることなく、言葉に気を付けて丁寧に受け答えしています。私なら、すぐブチ切れますが、弁護士さんは我慢しているようです。何か、不適切な言葉や態度をした場合、弁護士会にそれがたれこまれると、懲戒などの処分を受けます。自律的に倫理機能を持つ団体と言えます。

 弁護士は代理権というその強大な権利から、総じて責任が重く、行動すべてを律する必要があるようです。法律に関する説明はとりわけ責任が生じます。例えば、あってはならないことですが、行政書士が依頼者さんに間違った説明をした場合、それが依頼者に重大な損害とならない限り、処分にまで至りません。損害賠償も発生しないことが大多数です。謝って修正すれば済むことが普通です。しかし、弁護士は間違った事を言ってはいけない「専門家」とされています。法律問題は、後から「間違ってました。すみません」では済まない事が多く、経済的損害に直結するからです。

 したがって、法律問題の回答に対して慎重にならざるを得ないのです。調べて裏付けを確認するまで、うかつに回答できません。じれったいことではありますが、言葉に対する責任の重さから致し方ないと思います。また、賠償金の見込みなどを質問されても、不確定な数字の明言は避ける傾向です。私などは、ズバズバ金額を言ってしまうので、それは気を付けるべきと思っています。    ご質問に対して、ズバリと明言、スピード感を持って回答を心がける秋葉事務所ですが・・それは、弁護士と比べて、行政書士の権利と責任に格段の違いがあるからなのかもしれません。  

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 温泉番付、東西の横綱は「草津」と「別府」、これは江戸時代から言われていることです。草津は、自家用車で度々訪問してきましたが、別府行は飛行機なので、足が遠のいていました。テレビやネットで度々、映像を観てきましたが、このお正月、遂に訪問の機会を得ました。

 やはり、定番の地獄めぐりはコンプリートしておきました。よく整備されています。韓国からの旅行者が多かったように思います。   続きを読む »

 手指の機能障害(多くは可動域制限)による後遺障害等級    手指の障害の傷病名別の各論に入る前に、手指の機能障害について、まとめて等級を整理しておきましょう。   (1)機能障害の3パターン

 機能障害とは、① 骨折・脱臼後の変形などから物理的に関節が曲がらなくなる可動域制限と、② 神経麻痺・断裂などで自らの意志で曲げることができなくなる可動域制限があります。それぞれの計測に際して、前者は他動値で判断され、後者は自動値で判断します。

 問題は、すべての医師がこの理屈を理解していないことです。多くの被害者さんは、未計測や誤計測で等級を取りこぼしていると思います。実際、間違った計測値や、自動値が未計測の診断書の方が多いくらいです。つまり、秋葉事務所の出番となります。

 機能障害では、他に ③「動揺性」といって、関節がぐらぐらになるものもあります。膝関節に多く、靭帯損傷後に残存する障害です。指の場合は、指の靭帯が切れて、関節の保持ができなくなる状態ですが、多くは手術で固定します。この場合、指の可動域に制限が加わりますが、動揺性よりは可動域制限に収めるようです。そのせいか、手指の動揺性による機能障害について、自賠責、労災共に基準が細かく明示されていないようです。かなりレアケースなので、指関節の動揺性の場合は、その程度を下図(2)「廃したもの」に照らして判定されるものと思います。   (2)等級表 続きを読む »

 今年、ご相談・ご依頼頂いた皆様、連携事務所の皆様、関係各所の皆様、一年間、ありがとうございました。

 おかげさまで事務所開設15年目が過ぎようとしています。今年の受任数は、ようやくコロナ前の平均値に戻った感があります。来年以降もコツコツ増やしていきたいと、次年の抱負を抱いているところです。

 今年を振り返ると、業界では様々な問題、自然・人災含め災害が多かった年でした。一方、私どもの業界は、交通事故の発生数そのものが年々低下していますので、縮小傾向と言えます。それでも、よくぞ検索してたどり着いたと思われる、様々なご相談、ご依頼の電話・メールが今年もありました。かなりレアと言うか、ユニークな相談もありました。守秘義務から、ご披露できないのは残念です。

 20年前と違い、数多くの弁護士がネットで検索できる現在、交通事故をわざわざ行政書士事務所に相談するなど、それはそれは珍しい現象だと思います。よくよく話を聞くと、弊所の専門性を期待しての相談もありますが、それ以上に弁護士事務所にそっけない対応をされた方々です。その原因は、おそらく「お金にならない」事件と判断されたようです。確かに、弁護士含め私たちは民間企業です。利益から受任の判断をすること自体、仕方ない側面もあります。それでも、被害者さんは困っているのです。何とかしなければ、と受任する件もあります。報酬は少なく絞らざるを得ないのですが、「誰かがやらなければならない」仕事なのです。

 損害賠償としては利益が見込めず、弁護士の仕事にならなかった件、それは自身加入の保険への請求や、労災などです。書類を出せば自動的にお金が降りると思っていたが・・そんな簡単ではないことに気づき、秋葉への相談になったようです。そこは、弁護士と違い、保険請求のプロを自任しています。今年もよい結果がいくつか生まれました。秋葉につながった被害者さん達は幸運で、まだまだ多くの方に声が届いていないと痛感しています。

 大手弁護士事務所のようにリスティング広告で、年間1億円を超える宣伝費など不可能です。また、仕事の性質上、秋葉事務所は、すべての交通事故・被害者に必要とも思っていません。一定の方々に声が届くよう、地道に周知運動をしていくしかありません。この点、開設以来変わらない姿勢ながら、もう一工夫できないものか、と考えております。「足らん足らんは工夫が足らん」と言います。コロナの残響が止んだ今、次年度こそ創意工夫の年にしたいと思っています。    皆様も、どうぞよいお年をお迎えください。

 

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 先日、今年の業界ニュースとして、ビックモーター事件、大手損保社のカルテル問題を挙げました。昭和では許されていたことが、ことごとくNGなっています。悪いことはわかるのですが、長年のしきたりや慣習だから、必要悪だから・・と容認してきたことが、令和では「不適切にもほどがある」となったのです。

 営業畑の話では、今年の年末に以下のニュースを目にしました。自爆営業は、売上ノルマを達成するため、従業員が商品を購入することを指します。季節商品と言えるクリスマスケーキなども、その悪癖によって、販売関係者が余ったケーキを買わされると聞きました。悪いこととは思っていても仕方ないとされてきた事の一つと思います。

 自爆営業が多い業界、生保・損保ともに保険会社です。販売の現場では、何かとキャンペーンで特定の保険販売にはっぱをかけられます。そして目標に達しない場合、自ら(家族、親戚、友人含む)保険に入るのです。しばらくしたら、解約することも多いので、まったくもって、数字を合わせるだけの姑息な帳尻合わせと思います。そんなことは、わかっているのですが、長らく仕方ないとしてきました。

 おそらく来年、保険販売の現場から多くの問題が浮上すると予想します。訴訟沙汰も起きるかもしれません。営業マンが上司からノルマ達成のため、「自分で保険に入れ」と言われたら録音すべきでしょうか。逆に、上司は直接に自爆営業しろとは言わず、「察しろ」とするはずです。熱湯風呂で「押すなよ、いいか押すなよ」(本当は「早く押せよ!」)のやり口です。大組織こそ、より巧妙なやり口になると思います。   <以下、時事ドットコムニュースさまより引用>

「自爆営業」禁止、指針に明記へ 自腹でノルマ達成はパワハラ―厚労省

 従業員がノルマを達成するため自腹で不必要な契約を結ぶといった「自爆営業」について、厚生労働省が対策強化に乗り出すことが25日、分かった。労働施策総合推進法に基づく指針に自爆営業がパワハラに該当する場合があると明記し、企業の対応を促す。

 自爆営業を巡っては、自動車保険の契約や共済加入を強いられるといったケースや、コンビニエンスストアで売れ残ったクリスマスケーキを買わされる、飲食店で注文ミスによる代金を負担させられるなどの事例が報告されている。

 厚労省は対策として、(1)優越的な関係を背景とした言動(2)業務上必要かつ相当な範囲を超える(3)労働者の就業環境が害される―の3要素を満たす場合は、パワハラに該当すると明確化する。パワハラと判断されれば、企業は対策を講じる義務が課される。

 自爆営業に関しては、政府が6月、対策強化を盛り込んだ規制改革実施計画を閣議決定。厚労省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の議論では既に委員の賛同が得られており、年内にも指針への明記が正式決定される見通しだ。  

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 TFCC(Triangular Fibrocartilage Complex = 三角線維軟骨複合体)

 TFCCは、尺骨三角骨靭帯、尺骨月状骨靭帯、掌側橈尺靭帯、背側橈尺靭帯、関節円板、尺側側副靱帯、三角靱帯の複合体です。

 秋葉事務所では長年取り組んできた症例で、全国からご相談が絶えません。数多くの症状、術式パターン、そして様々な認定例・・一口では捉えられません。決して簡単ではないと思います。  

(1)病態

 TFCCは、手関節の小指側、橈骨・尺骨・手根骨の間に囲まれた三角形の部分にあり、橈尺骨のスタビライザーの役目、回内・回外時の尺骨遠位端のクッションやベアリングとして働いています。TFCCは、関節円板といわれるもので、骨では硬すぎるので、成分は、三角線維軟骨複合体で、膝の半月版に相当する軟骨組織です。交通事故で転倒した際に、手をつくことで多発しています。

 実際に、事故直後にTFCC損傷と診断され、サポーターやギブス固定、さらには関節鏡視下手術により改善が得られる被害者の方は、一握りです。TFCCは三角線維軟骨複合体であり、XPで確認できません。ドアノブを回す際や、窓ふきで尺屈(小指側に曲げる、バイバイの動き)で激痛に気づきます。

 また、TFCC部が切れたり、はがれた場合、尺骨の骨頭(手首の小指側)が前後にぐらぐら動く(動揺性)も2例、経験しています。

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 先日、所用があって、汐留まで。復路は都営浅草線の新橋駅までは地下伝いなので、寒空を避けることができます。その地下街の途中の広場に爆音が鳴り響いていました。6人組アイドルグループのミニライブが催されていたようです。

   100人位の人だかりです。それほど有名アイドルではないようです。テレビなどに出ることなく、地下でイベント・・まさに地下アイドル!後方でオタ芸?で踊っているファンが数人、そっちの方が面白かったです。

 さて、日本にこのようなアイドルの卵というべき女子グループがどれくらいあるのでしょうか。調べてみると、事務所に所属しているだけで500組もあるそうです。それ以外を含めると、一体、何千何万の女の子がスターを目指しているのでしょうか・・大変に狭き門です。もう、東大合格や甲子園出場レベルの難易度と思います。

 わずか1分の足止めでしたが、狭き門に挑むその心意気に想いを馳せつつ、足早にその場を去りました。早く帰って、たまった洗濯を片付けなければなりません。夢を目指す娘達と違い、こっちはひっつめの主婦のように生活に追われています。  

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 弊所への死亡事故の相談は、年に平均1~2件でしょうか。最近では、令和5年に2件、今年も2件、受任となりました。

 死亡事故では、秋葉の医療調査はほとんど生じません。99%弁護士の仕事になります。それでも、わずかに書類収集を担うこともあります。また、原因調査と言いますが、事故現場の実調をすることもあります。事故状況の詳細は、後に弁護士が開示する刑事記録で足りますが、被害者側としても検証すべきことがあります。今年、解決の2例を挙げておきます。   わずかでもお役に立ちたいと思っています   死亡:急性硬膜下血腫(80代女性・神奈川県)   死亡:胸腹部外傷(40代男性・埼玉県)  

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 ひと昔前と違って、ネットで検索すれば、あらゆる傷病名の解説にたどり着く事が可能です。交通事故で痛めた、ご自身のケガについて容易に調べることができます。ただし、それが医師の診断を伴った診断名であったとしても、自賠責保険は、画像から判断します。画像上、損傷が明瞭にわかるものでなければ、認定をくれないのです。

 その診断名として、足部ではリスフラン関節損傷をよく見かけます。本件も医師の診断名はガン無視で「非該当」となりました。何とか取り繕い、再請求で14級を付けましたが、毎度毎度、厳しいものです。

画像上、微妙なケースは私たちがお手伝いしないと・・等級を取るのは絶望的に困難かと思います  

非該当⇒14級9号:リスフラン関節損傷 異議申立(30代男性・東京都)

  【事案】

自転車で横断歩道を横断中、自動車の衝突を受け転倒、自転車と路面に足部を挟まれ足部を痛めた。レントゲンを撮影、骨折がなかったので挫創、打撲などの診断名が並んだ。   【問題点】

異常な痛みからMRI撮影し、それを受けて足部の専門医に転院、リスフラン関節損傷の診断名に至った。しかし、後の後遺障害申請で「非該当」の結果が返ってきた。 続きを読む »

第4位 羽田空港 自衛隊機・民間機の衝突事故  

   飛行機の過失割合はどうなるのか?    能登地震の翌日1月2日、羽田空港に着陸したJAL516便と、離陸のために誤って滑走路上に進入していた海上保安庁(海保)の航空機が滑走路上で衝突、その両機が炎上しました。JAL機の乗客・乗員379人は全員無事でしたが、海保機の6人の内5人が死亡でした。日本航空での死亡事故は123便墜落事故以来38年4か月ぶりのこと。海保機は、前日の能登半島地震の支援に向かう途中であったとのこと。2024年の幕開けは大災害・大事故でした。

   現在も原因調査が進んでいますが、航空機の地上での衝突事故、複合的な要素による事故と報道されています。事故の原因として、管制の指示ミスは絶対に問われると思いますが、JAL旅客機と自衛隊機の3者について、その過失割合はどうなるのでしょうか・・これが私の注目ポイントです。自動車事故に同じく、優先滑走路側のJALにも前方不注意で-10%となるのでしょうか?

 航空機事故では再保険で多くの保険会社が責任担保しますが、本件JALの幹事会社はAIGとのことです。    

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第3位 能登地震

   地震保険の保険金支払額 (2024年3月31日現在 損保協会集計)    1位~2位の事件は前年からの激震でしたが、能登地方は2024年の幕開けに大地震に見舞われました。あれから早くも1年です。年々、災害での保険金支払い額の記録更新が続く日本列島です。地震は、地震保険の付保率が地域ごとに違い、実は台風などの水害の支払いの方が甚大だったりします。 それでは、統計を見てみましょう。      現在も支払いが続いていますが、保険金支払いが落ち着いた3カ月で、744億円に上っています。多いのか少ないのか・・・では、かつての地震、その支払額は以下の通り。能登は7位です。やはり、1兆2894億円の東北がダントツです。   続きを読む »

第2位 大手4社カルテル問題

   社外で他社社員と会うな!    2023年末、金融庁より、保険料カルテル問題をめぐって損害保険大手4社に行政処分が下った。立ち入り検査を実施せず、各社が提出した報告資料に基づいて手続きを進める異例の処分で、東京日動、損保ジャパン、三井住友、あいおいニッセイ同和の4社が対象。各社は主に大手企業向けの共同保険や官公庁向けの保険で、提示する保険料の水準や団体割引率を担当者間で事前に調整したり、引き受ける条件や幹事会社をすり合わせたりした疑いがある。そして、年明けの2024年、その処分はそれほど報道されず粛々と進みました。

 昨年、いくつか代理業協会の新年会に参加しましたが、毎年列席するはずの主要4社の社員が見当たりません。どうやら、カルテル問題を受けて、「社外で他社の社員と接触しないように!」としていたようです。

 カルテルや談合は公平な経済活動を阻害するものです。一方、建築業界では、決して悪一辺倒ではないこともあります。大きな工事を引き受けた建設会社が、抱き合わせで利益の少ない仕事を入札するなど、話し合いから業界の秩序と公共性に寄与することもあるようです。損保業界でも、古い慣習ながら、掛金の競争から業界全体の地盤沈下を防ぐ目的が根底にあると思います。しかし、時は令和、「不適切にもほどがある」とされるのです。経営陣の多くは、昭和生まれですが、もう、昭和の常識は次々と変化しているのです。このカルテル問題はじめ、今までは黙認されてきたことが通じなくなった・・・損保業界においても一つの象徴に思えます。 

   つづく  

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