相手損保が治療費を病院に直接払ってくれる、これを業界では「一括対応」と呼んでいます。高額な治療費を立て替えずに済む点で、被害者にとって大変に助かります。

 しかし、相手のお金で治療するのですから、治療内容を相手にすべてさらけ出す必要があります。その為、相手損保の担当者は「同意書を提出して下さい」となります。これは、お金を払う側の正当な権利です。ただし、同意書を得た相手損保は、病院に何かと質問や、書類を依頼することが可能となります。とくに治療が長びく場合、書面や面談等で、主治医に経過や症状を聞きます。およそ、治療経緯が良好であれば、治療費打ち切りの言質を取られることにつながります。油断できない点はここです。

 「加害者者側の医療調査」=治療費を払う側が治療の内容を調べてること自体、なんら問題はありませんが、いつも医師の回答が完璧に合っているかは疑問です。治療行為によって、改善が進んでいることを積極的に回答することが容易に想像できます。医師は、治療に全力を注ぎ、後遺症のことを軽視する傾向にあると思っています。だからこそ、症状をシビアに診断書に落とし込むため、秋葉事務所による「被害者側の医療調査」の存在意義があると思っています。    先日も、症状固定に向けて着々と進めていたところ、相手損保から医療調査の書類が届き、すでに医師が提出していることがわかりました。まったく悪意はないのですが、必要な記録が漏れておりました。秋葉側で再度、同じ書類を記載頂き、後遺障害申請の際に自賠責保険に提出しようと思います。もちろん、弁護士を通じて、そのコピーを相手損保に提出し、先の書類を更新させることも抜かりありません。    一括対応は大変に助かる制度ですが、このように、着々と相手損保のぺーすで進められ、不正確な情報が独り歩きすることもあるのです。厳しい見方をすれば、「他人任せ」は自らの立証責任を放棄しているとも言えるのです。  

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 反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)    読んで字のごとく、繰り返す脱臼です。脱臼ぐせとも言います、体操選手などアスリートに多く、力士では千代の富士を苦しめた症例です。   (1)病態

 肩関節は、肩甲骨の浅いソケットに、上腕骨がぶら下がっている頼りのないもので、関節部には骨の連結がなく、大きな可動域を有しているます。そのため、脱臼しやすい構造となっています。10・20代の若年者の外傷性肩関節脱臼では、とくに反復性を予想しておかなければなりません。つまり、若年者では初回脱臼後、これを繰り返す、つまり反復性に移行する確率が高いことが注目されています。体操選手も一度脱臼すると、脱臼ぐせが残る方がいるそうです。    縄抜けの術? 👉 肩の後遺障害 4 肩関節の脱臼    肩関節は、肩甲骨面に吸盤の役割をしている2つの関節唇という軟骨に、靭帯と関節の袋である関節包が付着し、これが上腕骨頭を覆うことによって安定化しています。脱臼時に関節唇が肩甲骨面から剝離し、これが治癒しないと、脱臼する道ができてしまっているため、再び脱臼するような力が加わると脱臼を繰り返すことになるのです。極端な例では、背伸びの運動でも肩関節が外れてしまうことがあります。

(2)治療

 脱臼の整復操作後の話になりますが、整復されても脱臼を繰り返してしまう場合には手術適用です。状態によって、直視下手術か鏡視下手術の選択になります。    続きを読む »

 肩関節は、肩甲骨の浅いソケットに、上腕骨がぶら下がっているだけの頼りのないものです。関節部には骨の連結がなく、大きな可動域を有しているのですが、そのことが原因で脱臼しやすい構造となっています。   (1)病態

 バイクや自転車を運転中の衝突等で、転倒した際に体を支えようとした腕が、横後ろや上方に無理に動かされたときに、上腕骨頭が不安定となり、関節面を滑って脱臼となります。

 また、転倒した際に、肩の外側を強く打ったときや腕を横後ろに持っていかれたときなどにも生じます。肩関節脱臼の90%以上は、上腕骨頭が身体の前面に移動する前方脱臼です。

 前方脱臼以外にも、転倒した際に、体の前方に腕を突っ張ったとき、肩の前方を強く打撲したときに生じる後方脱臼、上腕を横方向から上に無理に動かされたときに生じる下方脱臼があります。   (2)治療

 関節を戻すのは力業です。医師数名がかりで関節を戻します。激痛を伴うので、あらかじめ麻酔を打つことになります。関節を元に戻した後は、外旋位固定が3週間続けられるのが一般的です。

 保存療法では、腕を固定して剥離した関節唇を圧着させて自然回復を待ちます。固定法にもいくつか種類があり、患者さんの状態や医師の治療方針を考慮して適切な方法を選んでいきます。肩関節脱臼を起こさないようにするためには、リハビリテーションによるインナーマッスルの強化も有効です   (3)後遺障害のポイント   Ⅰ.

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 肩甲骨骨折(けんこうこつこっせつ)

 肩甲骨は、背中側の肩の部分についており、骨の中でも比較的薄い板状骨です。他の骨とは、関節を形成しておらず、他のどの骨よりも自由に動かすことのできる骨です。外力に弱い構造ですが、多くの筋肉群に囲まれて補強されています。   (1)病態

 以下、3つの兆候が揃うと、ほぼ骨折しています。

① 肩の後方部分に、経験したことのない激痛が走る

② 肩の後方部分が青黒く変色している

③ 肩・肘を全く動かすことができない    交通事故外傷では、交通事故では、地面に肩から叩きつけられる、肩甲骨に直接的な打撃を受けるなどして、骨折します。多くは、肩甲骨体部の横骨折か、縦骨折ですが、直接に打撃を受けたときは、鎖骨骨折、肋骨骨折、肩鎖靱帯の脱臼骨折を合併することが多いです。その他、肩峰や烏口突起部の骨折も経験しています。     肩峰骨折の例 👉 12級5号:肩峰骨折・肩鎖関節脱臼(10代男性・千葉県)     ひびが入った(亀裂骨折)程度では、町医者のレントゲンで見落とす可能性があります。レントゲンの正面像では、肋骨の裏側に隠れて肩甲骨が写りません。上記の①~③があれば、迷うことなく、総合病院でCT検査(↓3DCT)を実施して下さい

  (2)治療

 肩甲骨骨折で手術をすることは少なく、三角巾、ストッキネット、装具等で3週間程度肩を固定するなどの保存的治療が選択されています。その後は、振り子運動などの軽いリハビリ、温熱療法=ホットパックの理学療法が実施され、肩甲骨単独の骨折であれば、後遺障害を残すこともなく、多目に見ても、3ヶ月程度の治療期間です。   続きを読む »

 ここ3年に渡り、アジア圏を超えて世界規模で、日本の(当時の呼び名)ニューミュージックがバズっています。昭和の時代、外国の音楽が輸入されることは、それを媒介する音楽関係者、スポンサーが不可欠でした。輸入されてこないアーティストや曲を知る機会が限られていたのです。ところが、今やYOU TUBEにUPされたら、即座に世界中からアクセス可能です。一夜で世界規模のスター誕生が起きます。すごい時代になったと思います。

 最近では、アメリカで成功した韓国のポップスですが、当然にシティポップにも注目、多くのカバーを目にしました。そして、この夏、最も注目を受けたのは、ダンスグループのニュージーンズのハニさんの歌う松田 聖子さん「青い珊瑚礁」です。YOU TUBEの再生回数は1か月で合計100万回に接近し、瞬く間に韓国のカラオケチャートで1位、恐らく一般チャートにも入っていると思います。話題は日本海を超えて、日本のテレビにも出演しました。

 「青い珊瑚礁」は、ご存知1980年、松田 聖子さんデビュー3曲目にして、大ヒットを記録しました。一方、当時の韓国は日本文化遮断中の軍事政権下でした。韓国の歌手はこぞって日本のテレビに出演していましたが、韓国の人達は外国の音楽、とくに日本に触れる機会が無かったようです。それから40年、時代は変わったものです。

 私は、昭和の音楽番組、その代表的な「ザ・ベストテン」などはあまり観なかったと思います。なぜなら当時、「ベストヒットUSA」など洋楽に傾倒していた時期で、シンディー・ローパーやマドンナ、カイリー・ミノーグをチェックしていました。対してアイドル歌謡など、ちょっとさげすんでいた、言わば反抗期だったのかもしれません。ところが、後年、アイドル歌謡の中でも、松田 聖子さんや中森 明菜さんの歌唱力やジャンルを独走する独創性を思い知らされました。やはり、良いものは良いのです。それも、40年を経て外国に評価されているのです。

 ハニさんはベトナムとオーストラリアの二重国籍で、韓国のグループに所属しています。これからも、日本のアイドル歌謡のカバーをすると思います。他のアーティストも続くはずですから、アイドル歌謡(と言うジャンル)が復活すると思います。今年の紅白歌合戦では、きっとハニさんの「青い珊瑚礁」を観る事になると予想します。    👉 https://www.youtube.com/watch?v=hL0sp9eePcA

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 腱板疎部損傷 (けんばんそぶそんしょう)

(1)病態

 腱板疎部=ローテーター・インターバルは、棘上筋と肩甲下筋の間に存在する隙間であり、関節包が存在していますが、腱板が自由に収縮・伸展・回転するための遊びの部分であり、棘上筋と肩甲下筋のつなぎ目に位置していて、転倒時の打撲などで、捻挫や軟部組織の損傷を受けやすい部位です。    腱板疎部損傷の症状は、若年層の不安定型と、35歳以上の拘縮型の2種類です。   ① 不安定型は若年層、平均23歳に多発し、主たる症状は損傷部である腱板疎部の著明な圧痛で、外転、外旋位で運動痛が増強します。その他には、肩のだるさや、肩から上肢にかけてのしびれ感など肩の不安定性に起因する訴えが多く、 他覚的には肩関節の下方への緩みが認められます。XPでは、挙上位で、肩関節のスベリが見られます。   ② 拘縮型は、年齢層が比較的高く、平均35歳以上であり、肩関節の拘縮=挙上、外旋の可動域制限と運動での疼痛が主な症状となっています。    腱板疎部の損傷は、腱板周囲の組織つまり肩甲下筋や棘上筋の不均衡や鳥口上腕靭帯を含めた関節包や関節上靭帯や滑液包炎あるいは上腕長頭筋などに影響を与え、腱板の血行障害、加齢による変化、関節包内圧の変化などが加わると、不安定肩や五十肩に代表される凍結肩に発展します。   (2)治療 と(3)後遺障害のポイント    おおむね、前回の「腱板損傷」と同じですので、戻ってご参照下さい。    👉 ⑤ 肩腱板損傷    肩甲骨の動きを改善する、後方の関節包のストレッチを行い、前後の緩みのバランスをとることで症状は改善するのですが、保存的治療を十分に行っても肩関節機能の改善の得られないときは、腱板疎部縫縮術が行われ、改善を得ます。しかし、拘縮型で3ヶ月以上、放置され続けたものでは、手術で改善が得られることは期待できません。漫然と様子をみるのではなく、早期に専門医の診断を受ける事が大事です。    次回 ⇒ 続きを読む »

 肩腱板損傷(かたけんばんそんしょう)    まずは、肩腱板周辺の構造から。肩関節は骨同士が軟骨で接する関節面が小さく、腱板と呼ばれるベルトのような組織が上腕骨頭の大部分を覆うようにカバーしています。そのため、肩は自由度が高く、自由に動かせることができるのです。腕を持ち上げるバンザイでは、腱板は肩峰、肩甲骨の最外側や靱帯からなるアーチの下に潜り込む仕組みとなっています。アーチと腱板の間には、肩峰下滑液包=SABがあり、クッションの役目を果たしています。   (1)病態

 肩腱板は、肩関節のすぐ外側を囲む、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉で構成されています。このうち、交通事故による傷害ということでは、圧倒的に棘上筋腱の損傷もしくは断裂となっています。これは、事故にあい、転倒した際に、手をついた衝撃で肩を捻ることが多いからです。

 棘上筋腱は上腕骨頭部に付着しているのですが、付着部の周辺がウィークポイントとなっており、損傷および断裂が非常によく発生する部位となっています。

左が部分断裂、右が完全断裂の図です

 腱板の断裂では、激烈な痛みと腫れを生じます。特に、肩を他人に動かされたときに、特有な痛みが生じます。部分断裂の場合には、腕を伸ばし、気をつけの姿勢で、ゆっくり横に腕を上げていくと肩より30°程度上げたところで痛みが消失します。完全断裂のときは、自分で腕を上げることはできず、他人の力を借りても、疼痛のため肩の高さ以上は上がりません。医師は、肩が挙上できるかどうか、肩関節に拘縮があるかどうか、肩を挙上したときに肩峰下に軋轢音があるかどうかをチェックし、棘下筋萎縮や軋轢音があれば腱板断裂と診断しています。断裂が存在する場合には、XPでは、肩峰と上腕骨頭の裂陵が狭くなり、MRIでは骨頭の上方に位置する腱板部に白く映る高信号域が認められます。

 また、断裂がある場合に、肩関節造影を行うと、肩関節から断裂による造影剤の漏れが認められます。エコーやMRIにおいても断裂部を確認することができます。なお、腱板は肩峰と上腕骨頭の間に存在し、常に圧迫を受けているので、年齢と共に変性する部分もでてきます。    肩腱板損傷にまつわる年齢変性との関係 👉 肩腱板損傷の認定、過去記事から 発端編    続きを読む »

 これは10年以上前の認定と比べて、という前提になりますが、関節の可動域制限による機能障害の認定は、より、画像を精査した上での認定になったと思います。以前は、該当する診断名と後遺障害診断書の可動域の数値から、容易に12級や10級が認定されていたと思います。鎖骨を例にとると、その肩関節の可動域制限は骨折等の痛みが長く続いた結果、動かさない事による関節拘縮を原因とするものです。多くの場合、それは半年~数年で回復が見込めます。対して、自賠責保険の考え方は、「物理的に曲がらなくなった」ことを、画像から判断します。そもそも、生涯治らないものが後遺障害なのです。この点、ひと昔前に比べ、厳密な判断を徹底しているように思います。

 本件も遠回りの認定となってしまいました。今後も、機能障害の認定について、より慎重な判断が求められると思います。

審査精度が向上しているとも言えます   

非該当⇒14級9号:鎖骨骨幹部骨折(40代男性・埼玉県)

  【事案】

自転車で走行中、左方から右折してきた車に衝突され受傷。初回申請で後遺障害申請をするも、結果は非該当であった。   【問題点】

骨癒合は良好であったが、抜釘後も疼痛と肩の可動域が回復せず、屈曲・外転ともに12級レベルの数値となった。ひどい骨折であったため、可動域制限も認定される可能性があると踏んで、初回申請を実施したが、わずか2週間ほどで門前払いの非該当となった。 【立証ポイント】

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 同じ治療内容でも、使う保険制度や状態によって、治療費の値段は変わります。一般常識から外れることですが、これは医療業界の常識です。

 医療費は点数で計算します。注射が〇点、レントゲンが〇点とし、点数を加算して治療費は決まります。健康保険では1点=10円、労災は1点=12円と、公的保険の金額は、ほぼ全国的に決まっています。ただし、第3者行為の傷害、多くは交通事故になりますが、これは自由診療の扱いになります。自由ですから1点をいくらで設定しても良いことになります。平均すると20円が多いようです。つまり、多くは健康保険治療の2倍ということになります。

 交通事故で自身に過失がある場合、最後に過失分を差っ引かれますから、治療費が高額ですと手元に入る賠償金が減ることになります。そこで、健康保険や労災の使用で治療費を圧縮すると、手取りの賠償金が増える結果になります。まず、それがスタンダードな考えかたです。

 ところが、自由診療はあくまで自由、第3者行為でも健保並みに10円程度の設定をする院が存在しました。本件はその例で、非常に珍しいことだと思います。立証の内容は基本通りの作業でした。   治療費の安い病院?  

12級13号:脛骨近位端粉砕骨折(60代女性・埼玉県)

【事案】

自転車で歩道を走行中、駐車場から発進してきた自動車に衝突され、受傷した。直後から強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

こちら側にも過失が出るため労災の適用を促したが、職場の理解が得られなかった。また、ひどい骨折だったため再生治療を勧められるが、どこまでを交通事故として面倒みてもらうのかについての線引きも重要な項目であった。   【立証ポイント】

治療費について確認したところ、なんと自由診療報の方が労災治療よりも安い?という珍事が判明したため、自由診療での一括対応とした。

抜釘後にMRI検査を依頼し、関節面の欠損及び外側半月板損傷が明確に立証できたため、ご本人・主治医と相談し、症状固定とすることとなった。主治医から「今回の手術は土台作りであって、将来的には人工関節になるだろう。」という説明もあったため、後遺障害診断書の見通し欄にその旨を記載していただき、万全な診断書が完成した。今回は画像所見が明らかであるため、わずか1ヶ月で12級13号が認定された。  

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 近時の認定例をUPします。それぞれ、毎度の14級9号認定ですが、それぞれにストーリーがあります。確実な医学的証拠のない、打撲・捻挫・挫傷の認定こそ、それを立証する事務所の実力が問われます。さらに、「人」が審査するものですから、「運」も影響すると思うところです。       身も蓋もない事を言いますが・・まぁ、そういうものです。    14級9号:頚椎捻挫(50代男性・東京都)   14級9号:頚椎捻挫(30代女性・静岡県)   続きを読む »

 真夏、それも気温37度の病院同行は体力を奪われます。先日は珍しく土曜日朝の病院同行で修善寺へ。昨日の静岡市は38度を超えたと言うので覚悟していましたが、伊豆半島に入ると気温は少し下がります。時間帯も早いので駅の気温は33度位でしょうか。修善寺駅は霧吹きが設置されていました。サクサク医師面談を終え、帰路につきました。

 インバウンドの旅行者も多く、賑わっていました。ここ1か月、完全な休日をとっていないように思います。夏休みはもうすぐです。頑張りましょう!  

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 申請する段階まで調査を進めれば、たいてい認定等級が何級であるかはわかります。それは、高次脳機能障害の場合、ほとんど外したことはありません。ところが、本件は5級を想定して作業を進めてきたのですが3級の結果に。認定後は食い違った内容の精査となりました。なぜ、3級に押し上げることができたのか・・。

 また、認定後の問題もありました。今までは、すぐに保険金を振り込んできたものですが、今年から3級以上の精神面での障害は、後見人の設定が必要になったことです。ただし、裁判所の判定は「保佐人」に留まりますので、困ったことになったのです。そのようなイレギュラーはありましたが、これも対応して無事に支払いを受けました。

 残された課題は、認定予想を外した事への検証、新しいルールへの対策・・・つまり、弊所の仕事は結果オーライでは終わらないのです。   自身の過失が大きい事故で困っている被害者さんは多いはずです。  

3級3号:高次脳機能障害(70代男性・埼玉県)

【事案】

自転車で交差点に進入したところ、自動車に衝突される。頭部を強打し、軽度意識障害がある中で救急搬送され、脳挫傷、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、後頭骨骨折の診断が下された。   【問題点】

依頼者の過失が大きく、相手方保険会社からの一括対応が見込めなかったため、健康保険での治療が必須であった。過失や年齢のことも踏まえると、自賠責への請求で終わる可能性が極めて高く、救急搬送先からも早期の転院を迫られていた。   【立証ポイント】

事故2日後にご相談をいただき、今後のプランを説明。その後、弊所での面談を経て、入院先への訪問や医師面談を実施した。医師面談後、ご家族と2手に分かれ、1組はご本人と転院先へ、一方と弊所は市役所へ出向き、健康保険の手続きや破損したベンチ(市管理)の補償手続き等を済ませた。

高次脳機能障害の立証では、画像所見・診断名はクリアしていたが、意識障害が微妙なラインであった。しかし、性格変化や遂行能力、記憶力の低下等が出現していたため、国内最高峰の病院を紹介し、紆余曲折を経てなんとか受診できることとなった。検査の結果、知的機能が全般的に低下しており、中程度の高次脳機能障害であることは立証できたが、家族が一番困っている「幼児退行」については検査で立証することができない。そこで、日々の様子を写真や動画で残していただき、そのデータをUSBに収録し、添付資料として提出した。

こちらとしては、5級が認定されてくれれば勝利ラインと思っていたところ、自賠責窓口会社より「3級3号認定」の連絡があり、一同大喜びだったのだが、ここから思いもよらない事態が発生した。それは、自賠責の規定が変更となり、3級以上の認定では、後見人設定をしなければ自賠責保険金を送金することができないというものだった(事理弁識能力の問題であるため、脳に異常がなければ後見人は関係ないと思われる)。確かに中程度の高次脳機能障害ではあるものの、後見人を選定するほどの状態になく、裁判所の判断は「保佐人」とのこと。そこで、自賠責窓口の担当者に保佐人選定でも保険金を支払ってもらえるよう談判し、保佐人の手続きを進めることとなった。依頼人のご家族は、稀に見る優秀且つ円満だったため、保佐人設定の手続きはスムーズに終了し、保佐人からの再請求によって保険金がすんなり支払われた。

今回は依頼者の過失が大きいため、全てこちら側で行わなければならないという事態はあったものの、初動対応と早期の道筋作りによってご家族から大変感謝される解決となった。

 

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 本日はセミナーと被害者さんの面談で甲府へ。駅前の気温計は37°でした。この夏、先が思いやられます。

 南口は信玄公ですが、北口広場は信虎公の像です。      腰を掛ける度に水分補給でしのいでいます。

 夜は懇親会にて佐藤共々、ご馳走になりました。ありがとうございました。    スケージュールを消化し、終電で東京に戻ります。明後日は病院同行で、(本日38℃まで上がった)静岡へ。夏の病院同行は体力勝負です。    

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 秋葉事務所では見込み薄い等級申請のご希望に対して、消極的です。いえ、むしろ、止めるように言う事もあります。それだけ、後遺障害の認定が無理な件に対して、無駄な時間とお金を使ってほしくないと考えています。原則はそうですが、年に数回、ご自身の納得の為に受任することがあります。

 それは、可能性は低くとも、完全に医療調査が成されていない、必要な検査が漏れている、つまり、正しく申請されなかった件です。これに対しては、9回裏まで投げ切っていないと表現しています。やるべきことをやっての等級で解決を図るなら良いのですが、中途半端な申請とその結果を受け入れてしまうと・・心残りの原因になります。その為に再請求をすることがあります。これは、解決後の気持ちの整理につながります。

 昨日は久々にそのような相談でした。可能性は低くとも0%ではありません。必要な事をやり切って解決へ向かいたいと思います。交通事故は、被害者さんにとって一生に1度の惨事です。その解決に向けて、時にはロスタイムも必要な時があると思うのです。  

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 これは今に始まった事ではないですが、医師と円滑にコミュニケーションをとる、つまり、人間関係が良好であることが、損害賠償上でも大事です。

 まず、医師も人間ですから、様々な性格の方がいるものです。当然に、「合う合わない」があると思います。ただし、後の損害賠償において、最も重要な後遺障害診断書を記載頂くのですから、人間関係を良好にしなければなりません。後遺障害診断書とは、医師が記載したくない書類第一位です。懸命に治そうと思って治療にあたるも、治せなかった証明書の記載となるので、その気持ちを理解すべきと思います。

 医師面談の際、その医師の態度で、それまでの被害者さんとの関係がわかります。上手く行っていない場合、こちらの仕事の難易度はうなぎのぼりです。逆に関係が良いと、スムーズに事は運びます。被害者さんのコミュニケーション能力も、交通事故解決の要素になると思います。

 よく、「菓子折り差し入れて」なんてアドバイスをすることがあります。    

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 胸鎖関節脱臼(きょうさかんせつだっきゅう)

  (1)病態

 胸鎖関節は、鎖骨近位端が胸骨と接する部分で、「肩鎖関節脱臼」において説明した肩鎖関節の反対に位置しています。胸鎖関節脱臼の発生原因としては、衝突や墜落などで、肩や腕が後ろ方向に引っ張られた際に、鎖骨近位端が第1肋骨を支点として前方に脱臼するケースが最も多いと言われています。肩鎖関節脱臼に比べて非常に発生頻度の低い脱臼です。   (2)治療

 完全脱臼で肩甲骨の骨折など重度の場合は手術対応で、ワイアーなどで固定します。骨がズレてしまう転位がなければ、そのまま保存療法になります。   (3)後遺障害のポイント   Ⅰ.

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 肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)

 鎖骨骨折に並び、秋葉事務所では認定例が豊富です。別途、実績ページをご覧下さい。     (1)病態    肩鎖関節とは鎖骨と肩甲骨の間にある関節のことです。転倒の際に手をついた時や、バイクで正面から衝突(ハンドルを握ったままで前方から強い衝撃を受けた)時に好発します。鎖骨が折れなかった場合に起きている印象です。肩鎖関節の脱臼によって、鎖骨と肩甲骨をつなぐ肩鎖靭帯が伸びてしまうことになり、鎖骨の遠位(肩側)が上に出っ張ってしまいます。これをピアノキーサイン(※)と呼びます。視認すればわかることですが、症例に慣れていないのか、町の整形外科では見逃されることが多々あります。    見逃された例 👉 12級5号:肩鎖関節脱臼(60代男性・神奈川県)   ※ 突出した部分を指で押すと浮き沈みするので「ピアノキーサイン」といいます。

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 八丁堀にオフィスを移転して、この夏で6年が経ちました。付随して、秋葉の住処として近隣のマンションを借りましたが、本日こちらの更新手続きも済ませました。あっと言う間の6年です。

 この仮の住処にもすっかり慣れたものです。オフィス街なので土日は静かですが、平日は賑やかです。このマンション1階やその四方に飲食店があります。遅くまで酔客の賑わいがあったものですが、コロナ中は閑散、コロナ後も22:00には閉まるようです。17時にオープンしたとして、2巡目3巡目のお客さんが来ないのかと思います。コロナが2次会の風習を駆逐した印象を持っています。

 さて、住みやすいマンションですが、集合住宅ゆえの困った問題はどこも共通です。ゴミの分別を頑なにしない人、階段・踊り場でのたばこのポイ捨て・・注意する張り紙が毎度に貼り替えられていますが、この2つは中々に改善しません。人が見ているところはしっかりしますが、見ていないと道徳心が薄れるようです。道徳心は己を美しくするものです。こればかりは内面の問題ですから、立ち入ることは難しいと思います。仮に注意しても、逆ギレされますので。集合住宅、人が集まって生活している場ならではの難しい問題はあります。  

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