肘頭骨折(ちゅうとうこっせつ)   (1)病態

 転倒の際、肘を路面に強打した時に頻発します。痛みや腫れが生じ、肘の可動域制限と異常可動がみられ、単純XP撮影で骨折が認められます。

   肘への衝撃により骨折が生じますが、肘頭骨折とは、橈骨ではなく、尺骨の近位端部の骨折です。また、肘頭は、上腕三頭筋により上方へ引っ張られているので、骨折により転位が生じます。

   (2)治療    骨折した肘頭の骨の欠片が多数のときは、AOプレートを用いて固定されています。転位の少ないものは肘関節を90°曲げた状態で4週間程度のギプス固定が行われ、転位の大きなもの、粉砕骨折では、手術が適用になります。

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 食事に困ります。水戸、日立、土浦など大きい街を除けば、駅前にカフェどころかコンビニもない。駅前唯一の食堂もたいていは閉まっています。

 水戸市の赤塚駅や、笠間市にある友部駅などが典型的です。駅舎・ロータリーはきれいで立派ながら、行き交う人がまばらで、常に閑散としています。水戸~東京間は都心に近い農業生産地ですが、若年層の都市への流出から、人口減少が止まらないようです。これは、東京に近い郊外の宿命です。

   本日も昼食は駅の売店になりました。クロワッサンとラテ、デザートは笠間市名産栗使用のモンブランを選びました。改札前のベンチは毎度、重宝しています。友部駅のNewdaysは、コンビニと言うよりは駅の売店です。ここでは、カップ麺にお湯を入れる事ができます。また、地元の有機野菜が置いてあり、今回はモロヘイヤとパラペーニョを購入しました。

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 肘関節脱臼 (ちゅうかんせつだっきゅう)

  (1)病態

 外傷性の脱臼では肩関節に次いで発症します。交通事故では、自転車やバイクを運転中、手をつくように転倒した際に発症しています。

 大部分は肘の後ろに抜ける後方脱臼です。後方脱臼では尺骨が上腕骨の後方に脱臼し、強い痛み、肘の曲げ伸ばしができなくなります。XPでチェックできるのですが、外見からでも尺骨が後方に飛び出していることが確認できます。

 前方脱臼は肘を曲げた状態で肘をぶつけたときなどに発症することが多く、上腕骨の先端が飛び出し、肘頭の骨折を合併することがほとんどです。脱臼に骨折を合併するときは、動揺関節や可動域制限などの後遺障害を残します。

  (2)治療

 治療は、全身麻酔下に徒手整復、肘関節を90°に曲げた状態で3週間程度のギプス固定がなされ、このレベルでは、後遺障害を残すことなく改善が得られます。

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 テニス肘とは通称で、正確な診断名は、上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)か、上腕骨内側上顆炎 (じょうわんこつないそくじょうかえん)のどちらかか、両方です。

  (1)病態

 本来のテニス肘には、バックハンドストロークで肘の外側を傷める外側上顆炎と、フォアハンドストロークで肘の内側を傷める内側上顆炎の2種類があります。いずれも、ボールがラケットに当たる衝撃が、手首を動かす筋肉の肘付着部に繰り返し加わることによって、微小断裂や損傷をきたし、炎症を発生するものです。

 前者では手首を背屈する筋肉がついている上腕骨外側上顆、肘の外側のでっぱりに、後者では手首を掌屈する筋肉の付着部、上腕骨内側上顆に発生するため、それぞれ上腕骨外側上顆炎、上腕骨内側上顆炎ともいわれます。

    テニス以外でも、包丁を握る調理師や手首を酷使する仕事で発症します。長時間のPC操作の繰り返しによっても、テニス肘は発症します。手首と肘の力を繰り返し酷使することで、筋や腱の変性や骨膜の炎症が引き起こされるのです。当然ながら、変性は、加齢によっても起こります。

 症状は、手首を曲げる、回内・外の動作で、肘に痛みが走ります。そして、雑巾を絞る、ドアノブを回す、ペットボトルのキャップを回すなどが、痛みでできなくなります。抵抗を加えた状態で手首を背屈させるトムセンテスト、肘と手指を伸ばし、中指を押さえる中指伸展テスト、肘を伸ばし、椅子を持ち上げるチェアーテストといった検査で、上腕骨外側・内側上顆部に痛みが誘発されます。炎症所見は、MRI、エコー検査で確認することができます。

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 休み明けの今週、上尾に出張相談、本日は八潮へ病院同行と、埼玉が続いています。肩関節に関しては難しい申請となっています。    交通事故で肩関節が脱臼しましたが、当然に直後に整復されています。その後、痛みや可動域制限が残存しています。認定を取るには、その原因と、何より画像所見が求められます。色々と検討、工夫をして申請に進めたいと思います。

 ただ、この件ですが、最初の救急先で脱臼が見逃されています。その初診のレントゲン正面像を観てみると、私のような素人でも脱臼はわかりました。確実に左右関節の関節裂隙に差があります。それで骨折?、謎の診断がつきましたが、その医師は脱臼に気付かなかったのでしょうか・・医師の誤診は決して珍しい事ではないと痛感する次第です。    来週は、神奈川から茨城県水戸、都内、静岡県と連日の病院同行が控えています。夏の病院同行は体力の消耗が激しいものですが、台風の影響が心配です。交通が乱れなければよいのですが・・。

 いずれにしても、着実に成果を挙げていきたいものです。

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肘から腕、肘関節と手関節、橈骨と尺骨の仕組みを理解しましょう。

(1)肘関節・手関節の仕組み    肘部では、上腕骨の遠位端部が尺骨に受け止められるように肘関節を形成しており、橈骨は、イメージとして尺骨に寄り添っているだけです。ところが、手部となると、橈骨の遠位端部が、舟状骨、月状骨、三角骨と手関節を形成しており、尺骨は、それに寄り添っているだけなのです。

 肘関節では橈骨が、手関節では尺骨が、かなり不安定な構造となっています。肘は、肩関節で方向づけられた手が、人体周辺のあらゆる空間で機能できるような働き、つまり、肘関節は、上肢の長さを調節することで、手を最適に配置する役割を果たしているのです。前腕部には、橈骨と尺骨という長管骨が2本あり、手のひらを上に向けた状態では、前腕の親指側(外側)に橈骨、小指側(内側)に尺骨が位置しています。

 手のひらの回内・回外運動は、肘関節特有のものです。肘を曲げ、手のひらを上に向けた状態から下に向ける動作を回内、反対の動作を回外といいます。回内では、橈骨と尺骨が交差して×印を形成します。逆に回外で、手のひらを上に向けると橈骨と尺骨は平行に並びます。

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(1)病態

 小児の上腕骨顆上骨折で、重大かつ深刻な合併症として発生しています。骨折に伴う腫脹により、動脈の血流障害を生じ、前腕屈筋や正中神経・尺骨神経麻痺などをきたす病態で、見逃すと、筋肉の変性や神経麻痺が残り、大きな後遺障害を残します。初期症状として有名な5つのPを注意深く観察しなければなりません。   ① Pain(疼痛)

② Pallor(蒼白)

③ Paresthesia(知覚障害)

④ Paralysis(運動麻痺)

⑤ Pulselessness(脈拍消失)    小児に多く発症します。上腕骨顆上骨折の手術後、お子さんが骨折部のひどい痛みを訴え、手指が蒼白で、手首で脈がとれないときは、自宅に戻っていても、治療先に急がなければなりません。元の治療先が頼りなければ、近隣の医大系の総合病院に駆け込むのです。動脈閉鎖後、6~8時間でフォルクマン拘縮が生じるので、この時間内に対処しないと、取り返しのつかないことになります。    (2)治療

 治療先は、骨折の整復やギプスで圧迫などの阻血の要因を除去します。これでも、改善が得られないときは、緊急的に筋膜切開を行い、内圧を減少させます。

 積極的な治療は早いに越したことはありません。「様子を見ましょう」と手をこまねいていると、拘縮は治らなくなります。町の整形外科では、この症例に対処できません。一早く専門医を受診しなければなりません。

  (3)後遺障害のポイント   Ⅰ.

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 恐らく、東日本の露天風呂で最も有名ではないでしょうか。ここは、日本人なら誰もが郷愁を感じます。ノスタルジー部門であれば、まずNo.1でしょう。

   遅ればせながら、今年、初入湯の乳頭温泉。温泉に関しては個性を愛でる志向から、マイナー湯まで網羅していますので、意外とメジャーどころは漏れています。期待通りの乳白色かつシルキーな肌触り、底からぷくぷく自噴泉、景観も日本の原風景・・ますます、外国からのお客さんも激増すると思います。

 宿は再現された張りぼての建物ではなく、出来るだけ往時の状態を保っています。文化財として、いつまでも残ってほしいものです。人気から日帰りは喧騒あり、やはり、宿泊でじっくり攻める湯と思います。とは言え、閑散期の平日以外、予約が取りづらい宿でもあります。  

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 事務所をほぼ1週間閉めましたが、休み中も電話やメールは一日一件程度ありました。

 深刻な交通事故は無かったのですが、詐欺被害や暴力被害、離婚、その他諸々の相談です。多くは、弁護士が対象となる事件ですが、弁護士費用を払ってまで依頼するのか否かが最初の選択です。したがって、概要をお伺いして、簡単なアドバイスで終わることが多いようです。

 お盆期間に限りませんが、詐欺被害の相談は多いようです。詐欺の多くは、「取られたら終わり」となります。相手から返してもらうことは至難の業です。たいていは、行方をくらまし、逃げます。仮に刑事事件となって、相手が捕まっても、相手のお財布にはお金はありません。裁判で判決を取って、さらに(もし、財産があれば)差し押さえの手続きが必要です。この間の弁護士費用は50万円を超えます。しかも、お金を取り戻す可能性は低い。したがって、費用対効果から泣き寝入りが少なくありません。

 もはや、詐欺大国となった日本ですが、詐欺に気を付けると言うことは、安易に人を信用しない社会になることです。すぐ人を信用する、赤の他人でも信用する・・これらは日本人の美徳でもあります。治安がよく、安全が只と言われた美徳が失われていくように思います。    自動車保険の世界も・・詐欺が多いのです。  

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 困った・・マルエツ閉店に続き、コインランドリー突然の閉店。近所から生活のインフラが徐々に消えていきます。事務所周辺の八丁堀は東京駅から徒歩圏内でありながら、昔ながらの家並みが残る生活圏でした。もちろん、ビジネス街として5~10階のビルが並んでいますが、隙間隙間に、民家や3~4階ビルがわずかに残っています。今後、続々とビルが数十階に建て直されますから、マンション以外の住処は無くなっていくと思います。

 現状でも、昼間のビジネス人口に比べ、夜間や連休の人並は少ないものです。コンビニだけは徒歩圏内に10軒以上ありますが、普通のスーパーマーケットが乏しくて困っています。そのスーパーも小型化、無人レジ化の傾向です。つまり、腰を据えた生活環境からどんどん離れているのです。

 一方、外国人旅行者はコロナ前を上回るほどに街に溢れています。東京駅から近く、ディズニーランドへも数駅の八丁堀はホテルも多いのです。それも、比較的安ホテル中心ですので、外国人の滞在が増える理由です。ですので、出来るだけ、旅行者の方々のケアを心掛けている次第です。例えば、駅の階段でスーツケースを持ち上げるの苦労している女性がいれば、持って上がります。飲食店でメニューに苦戦していれば、注文を助けてあげるなどです。

 かつて、私のバックパッカー時代、どこの国でも親切な住民がおりました。お金がないと(田舎で両替ができなかった時)ご飯をおごってくれたり、道を案内してくれるなど・・何かと助けてくれたお返しと思っています。そのような機会はコインランドリーでもありました。近所のコインランドリーが閉店したので、少し離れた新規のお店へ出向きました。ここでも変化があり、以前のお店のように洗濯機と乾燥機が分かれていません。洗濯物を放り込めば、すべて自動です。確かに便利ではありますが、少し割高になるのが痛いです。  話を戻します。このコインランドリーに外国人の旅行者家族が来ていました。欧米人は長い期間旅行する傾向ですので、現地での洗濯は欠かせません。支払いに対して、どうやらプリペイドカードを購入していたようでした。隣の洗濯機を操作している時に、お父さんらしき人から、「僕らは旅行者だから、もうプリペイドカードを使わないので、使って」と渡されました。「どうも」と言って受け取りました。洗濯が済んだら、移動するのだと思います。そのプリペイドカードを入れたら、700円入っていました。彼らがランドリーを出るところを追いかけ、すかさずお財布から700円を取り出し、「返すよ」と言って渡しました。一瞬、怪訝な顔でしたが、「700円残っていたよ」と言って、受け取ってもらいました。

 些細な事ですが、お互い合理的なやり取りに顔がほころびました。変化が進む八丁堀ですが、外国人旅行者との交流が日常です。ちょっといい話となりましたので、報告しました。  

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 上腕骨遠位端骨折 (じょうわんこつえんいたんこっせつ)    上腕骨の遠位端部は、前腕の尺骨と橈骨とで肘関節を形成しています。    より細かく診断名をつけると、上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折と呼ばれることもあります。     (1)病態と治療    遠位端骨折は、骨折部位によって診断名がより細かく付けられます。主要2つを説明します。     続きを読む »

 上腕骨骨幹部骨折 (じょうわんこつこつかんぶこっせつ)    上腕部、長管骨の中央部付近の骨折を骨幹部骨折といいます。簡単に言いますと、二の腕の骨折です。  

(1)病態

 交通事故では、バイクの転倒で手や肘をついたとき、転落などで直接に上腕の中央部に外力が加わって発生しています。このような直達外力で骨折したときは、横骨折が多く、外力が大きいと粉砕骨折になります。手をついて倒れたときは、螺旋骨折や斜骨折となります。肩や肘関節に遠く、一般的に関節の機能障害を伴わないことが大半ですが、上腕骨骨幹部骨折では、橈骨神経麻痺を合併することが高頻度であり、見落とされやすい障害と言えます。

 橈骨神経は上腕骨骨幹部を螺旋状に回っているので、骨片により圧迫を受けて、麻痺が発生しやすく、骨折部にはれ、痛み、皮下出血、変形、圧痛、異常な動きが現れます。骨折部の上下の筋肉の力で骨片はずれて短縮します。

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 上腕骨近位端骨折 (じょうわんこつきんいたんこっせつ)

(1)病態

 上腕とは、肩関節からぶら下がる二の腕のことで、上腕骨近位端とは、肩関節近くの部位です。上腕骨近位端骨折は、骨折の部位と骨片の数で、重傷度や予後、治療法が決まります。下記イラストは、骨折の部位と骨片の数による分類を示しています。臨床上、この骨折は、骨頭、大結節、小結節、骨幹部の4つに区分されています。   続きを読む »

 渓谷沿いの露天風呂が売りの温泉地へ。お部屋も渓谷を見下ろす、クーラー要らずの避暑地です。

 ところが、今年は宿のご主人が嘆く程、暑い。真夏でも、夕方には涼しくなるはずが・・ここ数年の酷暑により、扇風機 → 冷風機 の導入を余儀なくされたそうです。とくに、ここの泉質は湯上がりの熱が半端なく残ります。冬はいつまでもポカポカで良いですが、夏はきついものがあります。

   夏休み前ですが、久々に連休を頂き、のんびり読書にふけりました。  

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 本日は事務所の暑気払いです。ゲストに連携弁護士さん、都内の保険代理店をお招きしました。接待までとは堅苦しいので、気軽な宴席としました。高級な料亭はそぐわず、かと言って、居酒屋チェーン店ではちょっと寂しい・・このような場合、よく利用させて頂くのは「柚」です。      事務所のビル裏にある家族経営の料理店です。家庭的な雰囲気ながら舐めてはいけない。お料理は付け出しからデザートまで、何かしら一工夫入っています。そのセンスが実に良く、何より美味しいのです。味にうるさいかつての師匠も「ここは、旨いな」と。めったに味を評価しない人が絶賛したのです。

 お客さんの年齢層は高め、味で選んでいるのかと思います。立ち位置的にサラリーマンの街、八丁堀にしては異色です。ここ数年、忘年会の予約が一杯で逸していますが、今年の忘年会は早めに予約を取ろうと思っています。  

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 長野県飯田は新宿のバスタから高速バスで4時間余り(よく遅延するので4時間半は覚悟)、秋葉事務所は九州の福岡の病院でさえ、羽田空港経由で4時間はかかりません。つまり、長野県南部は交通の便から、最も遠い所でもあります。

 ほぼ5年ぶりの病院同行は、前夜から前のリの必要があります。今回も、飯田城跡に建つ三宜亭を予約しました。眺望良い温泉大浴場が有名、地元民で知らぬ者はいないでしょう。  

 河岸段丘にそびえる山城です。本丸から眼下に街を見下ろします。5:30、朝日が南アルプスを越えて差し込みました。

 もう一度、病院同行になるかと思います。行き帰りのバスが遅れない事を祈るばかりです。  

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(3)後遺障害のポイント   Ⅰ. 外傷後の変形性肩関節症は、以下①~③による二次的な診断名になることが多数です。   ① 外傷後、肩関節面の整復が不十分で変形治癒となったもの   ② 衝撃により、肩軟骨損傷をきたしたもの   ③ 大きな腱板断裂が放置されたもの    これらを原因として、変形性肩関節症に発展しています。①~③が画像上明らかで、医師の診断が残っているものは良いとして、数年後になって変形を訴えても、画像上、不明瞭なケースが多いものです。したがって、変形性肩関節症から直接の等級認定は少なく、中々に立証が難しい症例と思っています。   Ⅰ.

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(1)病態

 XP上、正常な肩関節には軟骨が存在するための隙間がありますが、変形性肩関節症に至ると、隙間が消失し、骨と骨がぶつかって白く変化し、周囲に骨棘という棘状のでっぱりが出現します。肩関節を形成する上腕骨と肩甲骨の表面は軟骨で覆われ、クッションの役割を果たしています。この軟骨が、すり減ってくると、肩を動かすことで関節に負荷がかかり、炎症や骨変形をきたします。外傷後の二次的障害ですが、これを、変形性肩関節症と呼んでいます。

(左)正常   (右)変形

   交通事故における変形性肩関節症では、3つの原因が想定されます。   ① 外傷後の関節面の不適合

 関節内骨折であって、整復が不十分で元の位置に戻っておらず、ズレを残しての症状固定では、将来的に関節面の不適合をきたし、一部の関節軟骨面に圧力がかかることになります。これを原因として、関節軟骨損傷に発展すると、変形性関節症となるのです。   ② 外傷による軟骨損傷

 交通事故による転落や正面衝突など、非常に大きな外力を肩関節面に受けると、関節軟骨を損傷することが予想されます。軟骨細胞を壊すのに必要な圧力は、骨折を起こすのに必要な力よりもずっと少ないと考えられているのですが、骨折手前で、MRIのみで確認できる骨挫傷でも、複数例の軟骨損傷があります。関節軟骨の細胞=硝子軟骨は、血流に乏しく、損傷を受けると、修復、再生されることはありません。肩関節の脱臼では、変形性肩関節症の発症率が有意に高くなると報告されています。   ③ 大きな腱板断裂が放置されると、腱板による上腕骨頭の抑えが効かなくなり、上腕骨頭が上に転位することで、肩を動かすと上腕骨頭は肩峰と衝突し、擦れ合うことになります。この繰り返しにより、肩関節に変形が進行していくことがあります。

 変形性肩関節症の症状は、肩関節の痛みや可動域制限、関節の腫脹です。XPでは、上腕骨頭や肩甲骨関節窩の変形、関節裂隙の狭小化が認められます。肩を動かしたときの痛み、可動域制限で服の着替え、洗濯物干しなど、高いところに手を挙げる動作が困難となります。関節軟骨がすり減り、肩を動かすとクリック音がするときもあります。   続きを読む »

(1)病態

 肩関節周囲炎、いわゆる五十肩は、50代を中心とした中年以降に、肩関節周囲組織の年齢性変化を基盤として明らかな原因なしに発症するもので、肩関節の痛みと運動障害(こわばりなど)を認める症候群と定義されています。肩関節の動きをよくする袋=肩峰下滑液包や関節を包む袋=関節包が癒着すると、より肩関節の動きが悪くなります。この状態を凍結肩と呼びます。

 肩関節は上腕骨、肩甲骨、鎖骨の3つの骨で支えられており、肩を大きく動かす必要から、肩甲骨関節窩に上腕骨頭が浅くはまった不安定な構造となっています。構造的に不安定なところを関節包や発達した腱板などで強度を高めているのですが、肩の酷使などによってこれらの部分に炎症や損傷が起きて、痛み、可動域の制限が起こると考えられています。    (2)治療

 一般的には、消炎鎮痛処置だけ、あとは保存療法です。また、関節拘縮が進まないよう、徒手で可動範囲を広げます。具体的には、薬物療法・運動療法・理学療法です。薬物療法では消炎鎮痛剤やテープ状の外用薬の処方です。痛みが強い場合には、ステロイド剤と局所麻酔剤を混ぜた「高分子ヒアルロン酸ナトリウム」などの注射が施行されます。これらによって改善しない場合は、手術が検討されることもありますが、多くは痛みが治まるまで待つことになります。   (3)後遺障害のポイント

 いわゆる五十肩は、一般的に加齢とともに訪れるものですから、これをもって後遺障害が認定されることは困難です。

 しかしながら、「交通事故以前には肩の痛みを感じることはなかった」ということであれば、スポーツ外来、肩関節外来を設置している整形外科を受診されることをお勧めします。MRIやエコー検査等を実施し、専門医により肩の器質的損傷、つまり、腱板損傷、関節唇損傷や肩関節の後方脱臼等と診断されれば、これはもはや加齢による五十肩ではなく、交通事故に基づく障害と言えます。

 適切な検査と診察が行われたにもかかわらず、肩関節の痛みや運動障害の原因が不明のときは、後遺障害認定は難しいと言わざるを得ません。それでも、事故前に何ら症状なく、事故で肩関節に相当のダメージがあり、それを契機に痛みを発症し、その後、症状の一貫性があれば、14級9号の余地を残します。    その実例 👉 14級9号:外傷性肩関節周囲炎(30代男性・神奈川県)    治療先発行の診断書に、肩関節周囲炎と記載されていれば、「あなたが訴える肩の痛みは、いわゆる五十肩です」との烙印が押されたことになります。結論として、ケガではなく病気(老化現象)なので、通常は後遺障害から外れます。    次回 ⇒ 変形性肩関節症    

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部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

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