これも珍しいケースです。

 指の伸筋腱とは、指の背側に張り付いて、指をまっすぐ伸ばす時に、手の甲から指を引っ張る役割をしています。この腱が断裂すると指が伸ばせなくなり、ただちに手術で再建します。軽度の損傷では保存療法となります。本件の場合、伸筋腱が指のMP関節(根元の関節)で外れてしまったのです。幸い、指の曲げ伸ばしに深刻な影響はなく、痛みと不具合が残りました。手先を使う細かな作業には影響があるといえます。ピアノを弾く方ならご理解いただけるでしょう。

  zimu80  自賠責の判断はやはりと言うか、14級9号での評価となりました。 後日談ですが、元々、指の伸筋腱が関節部で外れて動く人もけっこういるようです。担当した弁護士さんもそうでした。  

14級9号:手指・伸筋腱脱臼(40代女性・静岡県)

【事案】

自動車で交差点を直進のところ、右方より一時停止無視の自動車に側面衝突を受けた。頚椎捻挫の診断のほか、右手の甲、人差指~中指のMP関節部を傷めた。

【問題点】

右手の診断名は伸筋腱脱臼となった。手の甲(中手骨)から示指(人差指)、中指にかかる指の靱帯が、指の屈曲時に左右に動くようになってしまった。これは、どのような後遺障害に該当するのか? 続きを読む »

 交通事故外傷の実に65%を占めるむち打ちですが、単なる捻挫・打撲ではなく、神経症状を伴うものは症状が長期化する傾向です。しかし、保険会社は「捻挫・打撲でいつまで通っているんだ(怒)!」と3ヶ月以上の通院は許さない姿勢です。確かに、大げさに症状を訴える者、心因性の被害者が多いと思います。その中から、症状が嘘偽り無くある被害者さんを救わねばなりません。その点、症状の一貫性、信憑性から認定の余地がある14級9号「局部に神経症状を残すもの」は大変便利な評価基準です。

 秋葉事務所でも、この14級9号を想定して、多くの傷病名から認定を引き出しています。

 「14級9号を知る者が後遺障害を制する」

 と後進に指導しています。これら好取組みの中から、いくつか紹介しましょう。 佐藤イラストsj佐藤が担当しました!   

14級9号:めまい、14級相当:耳鳴り(50代男性・群馬県)

【事案】

自動車搭乗中、急な飛び出しを確認したため急ブレーキをかけたところ、車間距離をとっていなかった後続のトラックに追突される。直後から頚腰部痛のみならず、手足のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。特に、めまいと耳鳴りが受傷後から残存した。

【問題点】

症状固定の月、最後の診断では眼振検査で異常がみられなかった。また、頚椎捻挫で難聴・耳鳴りが発症するのか? 続きを読む »

 かつて、4肢骨折、つまり、腕と脚4本すべて骨折した被害者さんや、高次脳機能障害と骨折4箇所、内臓損傷に嗅覚味覚障害、醜状痕が重なった重傷者も担当してました。これらは実に4人分の立証作業になります。

 本件も残存する症状が多肢にわたり、両手首と右脚のケガがメインながら、被害者さんの転勤で治療先が大阪と東京に分かれ、医師の見解にもばらつきがあって、大変な作業となりました。山本の奔走で結果的に併合9級になりましたが、併合等級の計算上、14級をいくら加えても等級は上がりません。すると一見、無駄な努力に思われます。しかし、引き継いだ弁護士が賠償交渉をする上で、障害の部位数が多いことが慰謝料増額の交渉材料になりうるのです。

 何より、被害者の心情としては、被ったすべての障害をしっかり認めてほしいのです。   山本さんイラストsj山本は大阪と東京の病院を2往復!  等級を完璧に捉える姿勢は、もはや、後遺障害界のアーティストか?  

14級9号:前十字靭帯損傷、14級9号:距骨骨挫傷(40代男性・東京都)

【事案】

オートバイで交差点直進中、対抗右折自動車と衝突、その衝撃で左側路外に逸脱、転倒した。受傷から、両手首、左膝、右足首、臀部に強烈な痛みが生じる。

【問題点】

当初の診断名が右橈骨遠位端骨折、左手関節部挫傷・打撲となっていたが、その後すぐに自宅近くの病院に転院し、左手に関しては左有鈎骨骨折、左膝捻挫の各診断となった。ところが、その時点では前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が記載されていなかった。事故から2カ月経過後、ようやく左前十字靭帯損傷、右距骨骨挫傷の診断名が確認できた。その後、PTSD、網膜裂孔等次々に診断が増えていくことになった。

相談会では、現在の症状の確認と手持ちのすべての画像を確認することから始まった。網膜裂孔についてはすでに後遺障害診断書にまとめられていたが、診断書や症状を確認して、PTSDと共に等級は認められない可能性を説明し、残りの両手首の疼痛・可動域制限、左膝の疼痛と不安定感、右足首の疼痛でそれぞれ等級を確保すべきと説明した。

また、転勤で地元を離れて東京に住むことになったため、手術・検査が可能な治療先の確保も急いだ。

【立証ポイント】

膝のMRIを確認したが明確に映っておらず、専門医に診て頂く必要があった。大阪まで病院同行したが、地元の主治医は下肢の治療についてはあまり関心を示さず、膝や足関節の専門医の紹介状は書いて頂けなかった。症状固定をする前にどうしても下肢について検査をする必要があったこと、また引越し先で本格的な治療をする必要があったことから、なんとしても紹介して頂く必要があった。そこで、主治医に以前リハビリのために紹介して頂いた東京の整形外科へ行き、下肢の治療の必要性を本人と共に伝え、膝についての専門医の紹介状を入手することができた。ひとまず膝について先に診察、検査を実施して頂くことに成功する。

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 本件は足関節の機能障害ですが、ご高齢ながらご本人のリハビリ努力である程度の回復を果たしました。 kansetu_4 もちろん、被害者最大の努めは回復努力です。しかし、適切な時期に症状固定をしないと、中途半端な回復で後遺障害等級が薄まります。何度も言いますが、これは後遺障害等級・賠償金を目当てとした姑息な作戦ではありません。骨折の場合、折れ方や手術内容、癒合状態や理学療法の成果、これら画像所見を中心とした各情報から自賠責は可動域制限の程度を検討します。ゴニオメーター(右写真の関節用分度器)の計測数値だけで全てが決まるわけではないのです。

 本件は特に、高齢者の三果骨折です。若い人がよく治ったとして、12級は間違いないと予想できます。しかし、本来は10級の後遺障害を想定すべき程の骨折様態でした。リハビリ直後の一番コンディションが良い時の計測値が障害の数値でしょうか? 高齢者の場合、症状固定後も回復が進むとは思えません。むしろ、若い人と違って再生力が弱く、活動量が少ないため、可動域が悪化する懸念を持ってしまうのです。    すると、本件の12級は正しかったのでしょうか?   akiba やはり、適切な時期に10級の審査を仰ぎたかった。「事故の後遺障害に加齢による悪化を予想、斟酌すべきか?」・・あくまで症状固定日の状態で診断する、が正しいです。 それでもお婆ちゃん子だった私は、お年寄りの被害者にはそう思ってしまうのです。  

12級7号:足関節脱臼骨折(70代女性・埼玉県)

【事案】

横断歩道を歩行横断中、対抗右折自動車の衝突を受け、受傷。足関節は三果骨折となり、プレート固定術を施行。その後、関節可動域の改善の為、リハビリを継続した。 続きを読む »

 弊所の案件の一定数は弁護士事務所からの依頼です。

 とくに、病院同行・医師面談、検査手配・立会、画像分析の実動業務は専門性と経験が必要です。交通事故に精通した弁護士先生ほど、医療調査を軸とした立証作業と等級申請を重視しています。本件のオーダーはシンプルながら、難易度が高いものです。誤計測の可能性があった足関節の可動域数値の再検証と修正です。

 弁護士で自ら医師面談をされている先生もおりますが、餅は餅屋、ここは私達にお任せ下さい。ご期待に応えます! coordninate

12級7号:足関節脱臼骨折(40代男性・千葉県)

【事案】

バイクで交差点を直進のところ、対抗右折自動車と衝突、受傷したもの。足関節の内果(脛骨)と外果(尺骨)、つまり、両くるぶしを骨折して脱臼した。

【問題点】

当然のように足関節の可動域に制限が残った。しかし、医師の計測数値は、わずか5°差で非該当の角度であった。受任した弁護士は諦めきれず、「秋葉君、なんとかならないかね」と依頼してきた。

本人のリハビリ努力で可動域を改善させた事は、後遺症を残すより良いに決まっている。しかし、画像を確認したところ、骨癒合は良くとも、わすかに転位がみられた。改めて本人の足関節を計測したところ、左右差はギリギリ4分の3以下、つまり、12級7号の数値となっている。私の計測の方が正しいはずである。「なんとかしましょう」とお受けした。

【立証ポイント】

早速、主治医に面談し、不承不承、再計測の理解を得た。うるさく計測に立会い、医師に計測をさせること3回、なんとか正しい数値に訂正していただけた。整形外科の医師といえど、理学療法士や作業療法士のように正しい計測を学んだわけではなく、往々に不正確な計測をするのです。 ...

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 仕事柄、毎日のように診断書をみていますが、どうして医師は左右間違えて書くのでしょうか?    ケガをした脚は右脚なのに、左脛骨骨折。 足関節の可動域制限は骨折した左足首なのに、左右逆に角度を書く。 醜状痕は右腕なのに左腕にキズを図示。 右耳難聴なのに左耳聴力低下。 

 信じられないと思いますがこのような間違いは頻繁に起こります。だからこそ、診断書の記載内容はよく見てから受け取るべきで、まして保険請求や障害審査の場合は慎重に確認してから提出すべきです。もちろん、単なるミスであることがわかれば、保険会社や審査機関は修正のために返してくれます。しかし、不自然でなければそのまま審査されることもあり、ぞっとする話です。なぜ、専門家である医師がこうもよく間違えるものか・・間違いの原因を考えてみましょう。   1、忙しい

・・医師は毎日、多くの患者を診ています。当然ですが、まず症状を良く観察すること、適切な処置をすること、要するにケガや病気を「治す」ことが最優先なのです。診断書の記載は、言わば雑務でしかありません。急患が入れば、昼食もとらずに診察を続け、夜はくたくたに。したがって、診断書は週末にまとめて記載する医師が多いようです。溜ってしまえば、診断書を書くまで数ヶ月も待たされることもざらです。やはり、診断書の記載は気が抜けてしまうのでしょうか。 c_h_77 2、患者に向かって右は人体の左側?

・・医師は患者と正面から向かい合って診断をします。したがって、医師から患者に向かって右は人体の左側です。カルテの記載も画像読影も基本的に左右逆の状態が続きます。これも左右の間違いが多い理由の一つではないかと思います。 20140508_6 3、医師が書いていない?

・・ここに書く事が躊躇われますが、診断書を医師が書いていないことがあります。医師によっては手術をするような重傷患者を診ることなく、軽傷の診察が中心となります。整形外科の個人開業医や内科の個人クリニックがそうです。打撲捻挫や風邪の類で診断書を毎日のように依頼されます。すると、それらの記載を看護士や事務方に任せてしまうことが珍しくないのです。おじいちゃん先生の記載のはずが、丸文字=もろ女子!をよく目にします。もちろん、医師が最終的に記載内容の確認後、署名・印をすると思いますが、それすら怪しい病院もあります。そのような場合、患者を診ていない者が記載するので、やはりミスは起こりやすくなるはずです。    いかがでしょうか。自らの保険金、障害等級、それらの軽重もあるかと思いますが、自らの運命を決める一枚はこのような危うい状況を経ているのです。最近も、提出の直前に左右が逆に書かれた診断書に気付きました。医師の間違いに患者が気付かなければ・・・診断書を精査する私達の仕事ですが、潜在的ながら重要であると改めて思いました。

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 靱帯損傷はそれが画像所見で明らかにならなければ、単なる捻挫となります。

 もちろん、捻挫であれば、消炎鎮痛処置を施せば月日と共に完治するでしょう。しかし、画像上、微細な(もしくは不明瞭な)靱帯損傷であっても、疼痛がいつまでも続く被害者さんを多数経験しています。その場合、無事に14級9号に収める仕事が望まれます。そのためには、できるだけ受傷初期から誘導していく作業になります。つい、捻挫扱いでMRIを撮っていない、湿布を貼るだけで病院に行かない・・確定診断の遅れもさることながら、適切な処置をしなければ改善すら遅れてしまいます。

 捻挫程度で保険会社がいつまでも治療費を払ってくれるわけはありません。長期の治療を確保するためにも14級が必要なのです。例え14級でも、最終的に慰謝料・逸失利益は主婦で200万円近くも増額するのです。 佐藤イラストsj佐藤がしっかり担当しました!  

14級9号:内側側副靭帯損傷(30代女性・埼玉県)

【事案】

道路工事の警備中、停止させていた車が急発進、衝突され受傷した。直後から腰部痛のみならず、足の強烈な痛みに悩まされる。

【問題点】

アルバイト中であったため、救急車は呼ばずに自力で帰宅して当日は整骨院で応急処置した。次の日に総合病院へ受診することに。その後1ヶ月間、病院の通院が空いてしまった。依頼を受けて、即、軌道修正に入った。

【立証ポイント】

次の日に受診した総合病院でレントゲン、触診により膝関節内側側副靭帯損傷となり、転院先のMRIでも所見有りとの診断となった。しかし、弊所の分析ではMRI画像上、明らかな断裂等、損傷は見つけられなかった。そこで、半年間しっかりリハビリするよう促し、14級9号認定を目指した。 想定通り、認定票の理由書では画像上、損傷等の明らかな異常は認められずとも、症状の残存を認めていただいた。続きを読む »

 下肢の実績例が溜まってきたので、シリーズで紹介します。

hiza まず、膝の損傷ですが、太ももの大腿骨、すねの脛骨、どちらを骨折しても、それが膝関節に近ければ、多くの場合で膝の靱帯や半月板に影響が生じます。したがって、靱帯や半月板の損傷を観察し、膝関節の機能障害(可動域制限or動揺性)や短縮障害、骨折部の変形や転位、最後にキズ跡である醜状痕を含め、複眼的に障害を追いかける必要があります。

 当然、併合や相当など自賠責のルールに熟達した者が設計図を描く必要があります。その作業は残念ながら医師の領分ではありません。医師の仕事はあくまで障害を残さずに治すことに尽きます。また、弁護士先生も相応の経験なくしては、間違いの無い後遺障害認定に漕ぎ着けません。

 繰り返しますが、後遺障害の申請とはくじを引く様な当てずっぽうな作業ではなく、設計図通りの併合等級に向けて計画的に進めるものです。  

合11級:大腿骨骨折・後十字靱帯損傷(50代男性・東京都)

【事案】  続きを読む »

山本さんイラストsjシリーズを続けます   ⑥ 関節面に異物が入ってしまった場合

 交通事故で関節を脱臼する方もいらっしゃいます。しかし、それだけではなく、脱臼と同時に骨折する方も中にはいらっしゃいます。診断名には脱臼骨折と記載されています。脱臼骨折の場合も治療方法は、基本的には脱臼や骨折と同様、関節をはめて(整復)、骨の癒合を目指すことになります。  

<脱臼の整復~肘関節の場合>   ①           ②           ③ IMG11続きを読む »

 最近、めっきり相談者の減った脳脊髄液減少症ですが、一昨年、健保治療が復活して名前も改められました。

 CSFH は、 Cerebro Spinal Fluid Hypovolemia の略語です。健保適用から自由診療、再び健保適用へと変遷にあわせて傷病名も変わりました。現在、脳脊髄液減少症は低髄圧液症候群に戻りました(現場では脳脊髄液漏出症も合わせ、主に3つの傷病名で呼称されています)。この謎の症例には以下の診断基準が存在します。

image2701   (1)症状(自覚症状)

起立性頭痛

 国際頭痛分類の特発性低髄液性頭痛を手本として、起立性頭痛とは、頭部全体に及ぶ鈍い頭痛で、坐位または立位をとると 15 分以内に増悪する頭痛と説明されています。

 CSFHを訴える患者さんは横になると症状が緩和されるそうです。また、応急処置として水分を取ることも有効のようです。点滴で体液を増やす?処置も多く目にしています。

体位による症状の変化

 国際頭痛分類の頭痛以外の症状としては、項部硬直、耳鳴り、聴力の低下、光過敏、悪心、これらの5つの症状です。しかし、多くの患者さんはこの5つに留まらず、あらゆる不定愁訴を訴えています。    (2)基準(他覚的所見)

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 脳脊髄液減少症の相談は大分少なくなりました。MTBIの相談はその診断を下す医師の引退のおかげで、ほぼなくなりました。    交通事故外傷では時折、大流行する謎の傷病名があります。その2大傷病名が前述の脳脊髄液減少症とMTBIです。臨床上、脳脊髄液の漏出で重い不定愁訴で悩まされる患者さん、軽度の衝撃でも脳障害が生じる患者さん、いずれもその存在は報告されています。しかし、多くの執刀数をこなす脳神経外科の医師、脊椎はじめ神経科、精神科医の専門医のほとんどが懐疑的です。それらの傷病名は未だ科学的に解明されていないからです。専門分野の医師を科学者と読み替えれば、臨床上になんらかの症例が存在しようと、あいまいな定義からその傷病名の存在を肯定できないのです。もちろん、障害を調査・立証する私達としても医学の進歩を待つしかありません。

 現在、脳脊髄液減少症は低髄圧液症候群と名前を変え、以下の基準で診断されています。

 ⇒ 日本神経外傷学会による基準

 この基準全てを満たす患者さんに、未だ出会ったことがありません。極めて少数となるはずです。    それにしても、それら傷病名の信憑性を最も貶めていることは、”流行り廃り”があることではないでしょうか。一時期、相当数の患者さんが相談会に参加され、それが地方相談会でわかるのですが、各地に波及していきました。だいたい、インフルエンザじゃあるまいし、事故外傷による症状が流行するのでしょうか? 急に増えたり、下火になったりするわけはありません。

 また、根底に別の力が働いているのではないでしょうか。脳脊髄液減少症は、健保対応になったり、自由診療になったり、その都度、傷病名が変わりました。この謎の傷病名に熱心に取り組んでいる医師もいる一方、どうも政治や金の臭いがしてきます。ある特定の医師の診断を受けたら、その患者のすべてがMTBIになってしまうのもおかしなものです。その傷病名の存在が深刻であれば、もっと多くの医師から声が上がってくるはずです。そう言えば、一時期、積極的に取り組んでいた弁護士・行政書士も(傷病名を主張して争った裁判の連敗からでしょうか?)すっかり大人しくなってしまったようです。

 これらの傷病名について、事務所のスタッフへの指導や、研修会で弁護士先生から質問を受けた時、このように答えています。    「UFOは存在すると思いますか?」    ・・未確認飛行物体は確かにあるでしょう。空にある物の全てが常に確認できるものではないからです。問題はUFOは宇宙から宇宙人が乗ってきたと推定することが、認識の飛躍なのです。未確認=必ず宇宙人なのでしょうか? 光の反射、たまたま確認できない飛行機他、たくさんの可能性があるでしょう。それらを排除して宇宙人とは、まったくもって短絡的な決め付けです。どうして、そんなロマン溢れる説明に飛躍してしまうのでしょうか。 

 つまり、症状を訴える患者さんは存在するとして、その謎の症状のすべてをある傷病名に断定してしまうことがおかしいのです。 症状を訴える患者さん達は、別の疾患、更年期障害、神経症状の一環、心因性の関与等が多く含まれており、実はほとんどこれらが原因との指摘もあるのです。 yjimage2HG2MA3F  医学上、まだ研究段階にあるものを追いかけることは、私達の仕事ではないと思います。障害の立証作業は、ある種の謙虚さが必要です。病名はともかく、事故外傷・症状の深刻さを主張するお助けはできますが、不確定な傷病名を振りかざすなど、僭越極まりないと思うのです。  

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 2月は短く、あっという間の3月到来です。毎年、年明け~年度末は稼働日数の少なさから、バタバタしがちです。変化と言えば、3月から事務員のアルバイトさんが加入しました。    事務員さんの募集をしていますと、法律事務所出身の事務員の動きが目立つようです。クレサラの最盛期である5年前の大量雇用から、その業務の終焉と共に解雇が進んでいるのでしょうか。事務員だけではなく、多くのイソ弁・軒弁弁護士先生も移動が頻繁のようです。

 昨年から雇用は上向きと言われていますが、それは新卒者だけで、中途採用の市場はまだまだ、とりわけ中高年層は漂流状態と、ハローワークの職員さん、社労士さんは口を揃えています。  ben003new    弊所の業務は景気に関係ない業務と言えます。しかし、交通事故の発生数は減少の一途です。安全装置の向上や交通インフラの整備、安全意識の向上がその理由とされていますが、そもそも、車や人が減っているのですから、事故の発生件数も減って当たり前です。どの業界もパイ自体が減っている時代、新たな飯の種を見つけない限り、パイの食い合いとなります。    交通事故業界も同様、依頼者の数が減れば質が問われることになります。派手な宣伝攻勢は一部の大手さんしか出来ないでしょう。その点、小事務所は少々頑固かもしれませんが、目先の業務に振り回されないことが大事と思います。何より、選ばれ続ける事務所となるために、日々、経験と研鑽を重ねるのみです。  

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佐藤イラストsj佐藤です 意外なケースでした

 先日、弁護士さんから驚きの解決に至った事案の報告を受けたので、記事にさせていただきます。

c_y_164 本件の事案を簡単にご説明いたします。Aさんが営業車で外回り中に一時不停止の加害車両に側面衝突され、頚椎腰椎捻挫となりました。通常であれば、相手の任意保険会社に治療費を出してもらい、通院。リハビリに励み完全復活を目指し、症状が残るようであれば後遺症の申請?といったところでしょうか。

 しかし、今回は相手が無保険のため、任意保険会社がありません。運よく?Aさんは業務中であったため、会社から労災適用を許可してもらい、通院を続けました。

 その後、Aさんの自賠責と労災で後遺症申請をサポートし、両方とも14級が認定されました。危ういポイントがいくつもあったのですが、なんとか第一段階突破です。Aさんは仕事以外で車を使わない為、保険には加入していませんでした。幸い会社の保険があったので、上司を説得して、なんとか保険を使わせてもらえることになりました。「よかったぁ、これで無保険車傷害特約を使ってAさんにも慰謝料等がたくさん入り、いい解決になるなぁ。」と安心して弁護士さんにAさんをご紹介したのですが…。

 後日、弁護士さんから連絡がありました。「Aさんの件ですが、保険会社に確認したところ今回は無保険車傷害特約が使えないみたいですよ。」弁護士さんから資料をいただき、加入保険内容と約款を精査することに。なんと会社の保険には「傷害従業員就業中対象外特約」!!に加入していたのです。すぐにAさんに連絡して今回の報告をすると、「大事なときに使えない保険って意味あるのでしょうか。」・・確かにその通りです。本来であれば、人身傷害がない場合は「無保険車傷害特約」が付帯されているため、弊所も安心していたのですが、まさかこんな落とし穴が待っているとは…。

 しかし、気落ちしていてもしょうがありません。弁護士さん、Aさんと再度打合せを重ね、だめ元で加害者に直接請求をしてみることにしました。内容証明を打ち、しばらく様子を見ることに。すると1週間もしないうちに請求した金額を全額振り込んできたのです。弁護士さん曰く、「このようなことはあまり経験がない」との事でした。なにはともあれAさんは本件事故で満額の回収ができたので、Aさん、弁護士さんともに大満足の結果となりました。(請求額を満額払えるようであれば、任意保険に入ってくださいね。)  

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 先週の小田原相談会の会場はお城の3の丸の外側でした。天守閣の公園だけではなく、駅や商店街も町がすっぽり城内です。この町を囲んだ城郭都市を「総構え」と言うそうです。    2017022512190001会場並びの駐車場に遺構  駐車場が三の丸のお堀跡、背後の盛り土が城壁だそうです    2017022512190000続きを読む »

 小田原までは新幹線を使えば35分、前日から現地入りする必要はないようです。

 初めての開催地で新鮮、俄然張り切っています。今年は毎月開催の首都圏相談会以外にも、できるだけ地方相談会も開催し、遠隔地の被害者さまのご期待に応えたいと思います。重傷で遠出できない理由はもちろん、相談先に困っている被害者さんは少なからずおります。採算度外視ではありますが、できるだけ続けていきたいと思います。

 小田原相談会に参加される皆様、どうかお気をつけていらして下さい。 

 2014093008540000  小田原は2年半前の病院同行以来です。明日の終了後は蒲鉾で一杯、晩御飯も楽しみです。  

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佐藤イラストsj今年に入って取りこぼしなし!    今年に入って、事務所は認定が13件、非該当が2件。やや不本意な等級認定もありましたが、概ね、妥当な等級を確保しています。

 申請前に等級を想定して、狙い通りの等級に押さえ込む・・実は相当な経験を積まねば出来ないことです。等級申請はくじを引くような当てずっぽうの作業ではありません。調査側の判断を妥当等級に導くため、緻密な計画の下に資料を揃えることです。

 それでも、むちうちの14級9号は等級が一番軽いながら、なかなかに難しい。以下、3件も簡単ではありませんでした。佐藤の活躍でギリギリの認定に引き上げました。   20120822

14級9号:頚椎捻挫(70代女性・東京都)   14級9号:頚椎捻挫(50代男性・埼玉県)   14級9号:頚椎捻挫(40代女性・埼玉県)

 

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 昨年は真田丸フィーバーの真っ最中、信州上田への病院同行がありましたが、今年も大河ドラマのご当地に病院同行、14級を取りました。    本件は静岡県の浜松相談会での受任でした。浜松から遠州鉄道に乗り換えて最寄り駅で下車、そこからはタクシーで病院に向かいました。丘の上をぐんぐん登っていきます。この辺一体は三方ケ原の古戦場です。運転手さんによると、「来年の大河ドラマ(おんな城主 直虎)の舞台、井伊谷城跡、龍潭寺も5分で行けるよ」とのことでした。 naotora  病院同行の業務日誌はこちら → 三方ケ原 病院同行

 浜松は他にも2件担当しています。病院同行で歴史に思いをはせる・・遠出もいいものです。  

併合14級:頚椎・腰痛捻挫(30代女性・静岡県)

【事案】

横断歩道を歩行横断中、左方よりの自動車に衝突され、受傷。診断名は頚椎・腰椎捻挫、その後症状が長引き、10ヵ月後に相談会に参加された。

【問題点】

左上肢、左下肢への痺れが顕著であったが、MRIが未検査であった。

【立証ポイント】

早速、MRI検査を指示した。主治医が相手保険会社にOKを取り付けて実施して頂いた。画像を観ると、案の状、頚椎はストレートネックで正中にヘルニア、左神経根も軽度であるが圧迫所見が確認できた。続いて、病院に同行して主治医に神経学的所見を盛り込んだ後遺障害診断書の記載をお願いした。

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 交通事故から精神的に参ってしまい、PTSD(心的外傷後ストレス症候群)、鬱、パニック障害、フラッシュバックなどを訴える被害者さんは珍しくありません。

 誰しも突然降りかかった災難と、治療や相手との交渉、あらゆるストレスから心を病んでしまうものです。しかし、そのほとんどがPTSDではありません。多くは2次的な心身症気味(?)を訴えているに過ぎず、事故によって精神を破壊するほどの強烈な体験がなければ、障害の対象となりません。その点、労災も自賠責も明確な基準によって区別・審査しています。

 その根拠は「厚生労働省 非器質性精神障害判定基準」に細かく設定があり、以下の項目を出発点に細かく審査基準が定められています。

PTSD 診断の基準  ICD-10 ① 自ら生死に関わる事件に遭遇したり、他人の瀕死の状態や死を目撃した体験、などの破局的ストレス状況に暴露された事実があること。 ② 自分が「危うく死ぬ 、重傷を負うかもしれない」という体験の存在 ③ 通常では体験し得ないような出来事 ④ 途中覚醒など神経が高ぶった状態が続く ⑤ 被害当時の記憶が無意識のうちに蘇る ⑥ 被害を忘れようとして感情が麻痺する、そのために回避の行動を取る ...

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 今回のセミナーは東京駅近くの会場で弁護士先生と共催しました。

 秋葉の担当したテーマは毎回のごとく「人身傷害」。人身傷害の補償範囲、とくに交通乗用具と付帯特約について、国内社・通販系・共済、合せて21社の一覧表を作成しました。約款と格闘10時間、しんどい作業でした。

 2部は弁護士先生による講義、「被害者専門の弁護士とは」について解説頂きました。

 image000  そして、終了後はお楽しみの懇親会へと突入しました。  

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佐藤イラストsj年間120件の病院同行は伊達じゃない!    先日、依頼者とともに個人整形外科へ同行したときのことです。後遺障害診断書と今までに撮影したレントゲンを依頼したところ、後遺障害診断書はすんなりOK。しかし、画像については改めて医師面談の予約を取ってからでないと渡せないとの事でした。本来、患者さんの個人情報なので、本人が希望すればいいのではないか?と心の中で思いつつ、医師の指示に従い再度予約を取り、医師面談へ。  ところが、「今まで被害者側の調査員から画像を要求されたことがないし、今まで治療費を支払っていたのは保険会社だから、患者側に画像を出すことはできない。」と態度が急変してしまったのです。(前回、お邪魔したときは医師面談さえしてもらえれば画像は出せると仰っていたのに…。)

 そこで、今回の事情を説明すると、「保険会社の担当者に画像を提供していいか聞いてみて許可が出れば、出しますよ。」と態度が軟化しました。事務の女性も被害者請求の事が分かっていないだろうと思い、担当者への伝言をお願いし、待合室で待機することに。数分後に院長からお声が掛かり、「保険会社の許可が出たので今回は特別に画像を渡します。」と画像を頂く事が出来ました。

 もちろん患者さんに優しい病院や、医師もたくさんいらっしゃいますが、後遺障害申請に協力的な病院や医師はそうそういらっしゃいません。さらに保険会社とのやりとりも関係してきます。加害者は保険会社という大きな味方に守られていますが、被害者は一人で戦わなければならないのです。少しでも被害者の味方が増えるように、また被害者が一人で戦わずに済むような世の中になるといいですね。今後、交通事故で苦しむ被害者が少なくなるように、私も日々精進していきます。

 20070418  医師は診断書や画像の手配が面倒なのです・・特に保険会社がらみの患者は  

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