およそサービス業に関わる業者はお客様の意見を知りたいものです。多くの販売業・サービス業は、お買い上げ頂いたお客様に感謝します。そして、より利用して頂くためにも、お客様の声に耳を傾けます。業者が提供するサービスに対する評価に売上拡大のヒントがあること、これは言うまでもありません。
しかし、業者によっては、サービス業とは言えない業種も存在します。その代表がお医者さんと弁護士さんではないでしょうか。お医者さんに治療費を払って、「ありがとうございました」などと言われることはありません。弁護士先生に対しても、お金を払って依頼するのであって、法律サービスを買ってあげたわけではありません。お客様ではなく、依頼者なのです。両者にはお金を払って平身低頭、お願いするものです。これを殿様商売とするか、特別な依頼とするか、それぞれの考え方になるかと思います。

最近の傾向では、HPに依頼者さまの感想・意見を載せる弁護士もでてきました。司法改革により、この15年で約2倍の数となった弁護士、競争の原理の下、顧客ニーズの分析と喚起、マーケティングをするようになったのだと思います。「士業もサービス業である」とまで言う先生も見られます。それで依頼者さんへの対応に切磋琢磨があれば、競争の原理は士業にも良い影響を与えていると思います。
さて、自ら宣伝効果を期しての意見掲載と違い、口コミ投稿は怖いものです。辛辣な批判も覚悟しなければなりません。今年は時間もあったので、他業種のお客さまによるクチコミ投稿を好んで観ていました。参考になることも多々ありましたが、思わず目を疑うと言うか、吹き出してしまうような書き込みを目にしました。少し紹介したいと思います。最近はモンスターカスタマーと言われるような、理不尽なお客さんがテレビでも紹介されています。どの業界でも一定数は存在するものです。
<旅行予約サイト じゃらん様 から引用> 内容は個人情報に配慮、脚色しています。
○ ある山奥の温泉宿へ、旅行後のクチコミから
Aさん「宿へのルートを聞こうと30分も電話をかけ続けたが、まったくでない。やっと到着して、受付で夕食の時間を1時間遅らせて欲しいと言ったところ、温かい物が冷めても良いのですかと返答された。気に入らないのか、玄関をバタンとすごい音で締めて出て行った。こんなひどい態度の宿は二度と泊まらない(怒)」
確かにひどい宿に聞こえます。しかし、山奥の家族経営の宿では、一斉に夕食を用意する体制が普通で、大型ホテルのような融通は利かないものです。旅行慣れしている者こそ、このクチコミに違和感を覚えます。そして、最近の宿は口コミによる風評を恐れてか、言われっぱなしを良しとしないのでしょう。普通にレス(反論)しています。
宿の女将「この度は行き届かず、申し訳ありません。しかしながら、電話30分は大げさではないでしょうか。確かに受付が混雑して、出れなかった電話が1本あったと記憶してします。何度もお電話を頂いたとは思えません。もしもA様が接客中の時に、宿の者がそれを遮って電話に出られたらいかがでしょうか。 また、宿の予約の際に夕食の時間が定められております。時間変更はできるだけお応えするようにしておりますが、山奥の宿のゆえ限界がございます。 それと、当宿の玄関は自動ドアになっており、大きい音は鳴るはずがございません。 もう二度とご利用はないとおっしゃるので、まさか再度のご利用はないと思いますが、次回は別のお宿をお勧め致します。」
女将、激おこですな。きっと、このお客Aさんに総じて問題があったのだと思います。
クチコミの多くは、宿への感謝や旅の思い出です。仮に良くない点があっても、宿を想っての改善点で、きっと宿側も参考として受け取っているはずです。対して、気分の悪いクレームも一定数あるもので、不快な思い(遅れたのは自分の責任ですが)を盛って書くのでしょう。逆恨みで悪評を広げる・・宿側にしたらたまったものではありません。飲食店などは風評で簡単に潰れてしまうのです。
○ ある観光地の旅館(1泊8900円)へのクチコミから
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