先日、頚椎捻挫で後遺障害申請した案件について記載します。    本件は信号待ち停止中に追突され、「頚椎捻挫」と診断されたため、6ヶ月通院した後、後遺障害診断書を記載していただきました。症状としては、頚部痛、頭痛、肘から指にかけての痺れがひどく、仕事のみならず日常生活にも影響を及ぼしていました。私がみたところ、嘘や大げさではありません。

 早期からご相談をいただいておりましたため、その都度アドバイスし、いい方向(通院回数もある程度OK)に進んでいましたが、唯一の懸念材料は物損、つまり事故態様でした。同乗者がいたものの、その方は途中で通院をやめて示談済、物損の金額も10万円(部品等で3万円、残りは工賃)だったのです。写真で見ても、目立った損傷はなかったため、物損資料の提出を見送り、丁寧に記載された後遺障害診断書で勝負をかけました。

どこぶつけたの?

 申請してから1週間後に、調査事務所の担当者から「物損関係の資料一式、修理費が分かるようなものを手配していただきたい。本来であれば、相手方保険会社から入手するのだけれど、今回は相手方が共済のため、自賠責から依頼することができないんです…。」という連絡がありました。そのため、あえて提出しなかった物損資料を追加で提出したところ、わずか1週間で「非該当」の通知が届きました。

 受傷機転が見逃されれば、14級の可能性もあるだろうと考えていたのですが、流石は審査のプロです。物損(受傷機転)に目を付け、瞬殺(非該当の回答)とは・・自賠責恐るべしです。以前から承知の事ですが、自賠責は物損資料を取り寄せて判断材料にしています。しかも、14級9号の認定を決するものと、再確認することになりました。     本年は未曾有の事態で調査事務所も混乱したことでしょう。納得のいかない判定や、従来よりも早期回答が目立った1年でした。後遺障害について探求を続ける弊所は、常に自賠責保険の審査動向に注意を払っており、時折新たな発見もあります。これから後遺障害申請を予定している方は、ぜひともHPの情報だけに踊らされず、実績のある事務所を選んでいただきたいものです。  

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 昔も今も、交通事故証明書の取得についての質問を頂く事があります。

 昔は交番で郵便振込みの用紙をもらって、郵便局窓口で振り込みました。窓口だけではなく、郵便局のATMでペイジーでも可能です。さらに、数年前からインターネットで簡単に申請ができます。便利なので、相談会では相談者さんにスマホ操作をガイド、わずかの手間で取得できます。

 自賠責保険の申請等には、保険会社にコピーをもらえば足ります。しかし、労災の申請では原本が必要です。保険請求・手続きに何かと必要ですので、被害者さんも手元に1枚あると、後の手続きに便利でしょう。

 詳しくは以下のアドレス、自動車安全運転センターに。

 https://www.shinsei.jsdc.or.jp/

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 自賠責保険の後遺障害審査では、全画像の提出が必須です。

 とくに骨折案件では、レントゲンは当然として、CTやMRIなども加わります。事前認定の場合は、相手保険会社が取り寄せてくれますが、往々に時間がかかります。それは病院側が遅いことが理由ですが、超多忙な保険会社・担当者の催促に任せることになりますので、心もとないものです。被害者請求の場合では、被害者自身、あるいは手続きを任せた業社の取り寄せになります。秋葉事務所でも、矢のような催促に駆られることが少なくありません。病院側も多忙なのはわかりますが、今やパソコンに空ディスクを入れて15分も待てばできるものです。怠慢を感じることが多々あります。  かつて、自賠責保険・調査事務所の職員がブログで嘆いていました。「いくつかの事務所からの被害者請求で、毎度まったく画像を添付していないケースがあります。これは、自賠責側に収集させようと意図しているのか、あるいは、費用負担を自賠責に課す目的か・・非常に困っています(略)」。被害者請求のルールはあくまで、書類収集は被害者(側の代理人)が行い、自らの責任で提出することです。明らかなルール違反ですから厳重注意です。確信犯的な事務所は懲戒ものとまで思います。

 私がより問題視していることは、画像を全く観ないで提出している仕事内容です。宣伝では「後遺障害申請は任せて!後遺障害に強い!」と言っても、事前認定に同じく、右から左へ書類を転送するだけの事務所が多いことを物語っています。弊所では、決して全件すべての画像を観ているわけではありませんが、等級認定のポイントとなる画像は必見としており、提出の際にはその画像をピックアップして打出しを添えている程です。後遺障害申請はクジではありません。申請前に障害の全体像を把握、認定等級を見極めておくべきなのです。その点、素人と言えど、軽易であっても、画像の読影力が求められます。医師面談の場でも、医師と画像を観ながら、打合せをすることが普通です。このような医療調査を経ず、書類を取りまとめて転送するだけの事務所なら、お金をかけて依頼する必要はないと言えます。    最近、画像CDの一部焼き漏らしから、自賠責から追加提出の要請を受けました。病院のミスではありますが、提出前に画像を総覧して気付くべきでした。(念のためですが)決して確信犯ではありません。2ヶ月も待たせた病院のおかげで、どうしても提出を急ぐ事情があったとはいえ、反省しています。今度はわずか1週間で追加提出を果たしました。

 ポーズだけのヘタな被害者請求はやめて、事前認定にすべき業者が少なからず存在するものと思います。審査する側の負担はもちろん、(被害者請求を選択した)依頼者への背信行為でもあると思います。  

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 最近、基本的な問い合わせ、質問が多い傾向です。私達にとっては日常業務の基本でも、被害者さんにとっては、生まれて初めて遭遇する交通事故かもしれません。当たり前ですが、被害者さん達にとって、基本的なことであっても難関となる問題です。

 被害者請求の方法について、復習したいと思います。 (先月の山梨代協セミナーから抜粋)   被害者請求、必要書類と手続き

① 自動車損害賠償責任保険支払請求書

 これは、被害者請求の表紙となるもので、請求者と振込銀行を明示し、実印を捺印します。 ② 印鑑登録証明書

 請求者本人を確認するための印鑑登録証明書です。 ③ 交通事故証明書

 郵便局から申請すれば、1週間以内に送達されます。 ...

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 後遺障害申請のタイミングについて、復習したいと思います。 (先月の山梨代協セミナーから抜粋)   原則として、受傷から6カ月を経過すれば申請する。

ダラダラと漫然治療を続けてはならない。 却って認定率が下がる。

ムチウチでは、受傷から3、4カ月で、強引な治療の打ち切りが行われている。

 例外を除いて、事故受傷から6カ月を経過すれば、いつでも申請することができます。 自賠責は6ヶ月にこだわらないと言っていますが、一定の治療努力の果てに残存した症状が後遺障害です。  例外とは、頭部外傷後の高次脳機能障害、PTSDなどの非器質性の精神障害は、少なくとも受傷から1年間の治療の継続と経過観察が重視されています。 逆に切断肢(腕や脚の切断)は見た通りですので、受傷直後に申請しても問題ありません。  西洋医学においては、治療の延長線上に、治癒と症状固定の概念を有しています。治癒とは、文字通り、治ったことであり、症状固定は、現在の治療を継続しても、短期的に改善が得られることはなく、治療を中断しても、悪化する可能性が考えられない状態となったことです。 ...

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win   方法としては、①自賠責保険の場合、②任意保険の場合、に分けられます。

 今回は①自賠責保険の場合あげてみたいと思います。  

① 自賠責保険の場合

 (1)被害者請求(16条請求)

 加害者が自賠責には入っていても、任意保険に入っていなかったり、仮に任意保険にも入っていたとしても、被害者の過失が大きく、相手の保険会社が一括対応してくれなかったりする場合もあります。

このような場合に、治療費が膨大になり、治療を受けたりすることが困難であることがあります。被害者が治療や交通事故による損害賠償を受けるために、自賠責は16条で被害者が加害者の加入している自賠責に対して、請求できるようにしました。

 これまでは、後遺症(後遺障害)の申請段階での説明を主にしてきましたが、後遺症(後遺障害)申請以前に被害者が実質的に治療費を回収できるようになっているのです。但し、この手続きは後遺症(後遺障害)の申請と同様、審査に時間がかかります。迅速に治療を受けたい場合には、以下の(2)仮渡金請求の方法もとることができます。   (2)仮渡金請求(17条請求)

 この請求は、賠償金支払い前に、治療費や生活費、葬儀費等が必要な被害者が請求するものです。この請求方法も、上記(1)の被害者請求と同様、加害者が任意保険に入ってない、または、被害者の過失が大きく、加害者の任意保険会社が一括対応をしないような場合に有効です。

 急ぎお金が必要なときには、以下の通り、治療中でも一時金を請求できます。(1)被害者請求と異なる特徴として、死亡や一定の傷害があった場合に、診断書さえあれば診療報酬明細書や治療費の領収書がなくても支払われるという迅速性があげられます。一定の場合に支払われる金額は、以下の通りです。

① 死亡の場合:290万円

② 傷害の場合

A:入院14日以上で、かつ治療に30日以上を要する場合や背骨等の骨折で脊髄を損傷した場合。→40万円 B:入院14日以上を要する場合や上腕又は前腕の骨折の場合。→20万円 C:上記以外で治療11日以上を要する場合。→5万円

 詳しくは ⇒ 自賠責保険の請求形態について

 仮渡金請求は被害者請求と比較して迅速に進められますが、被害状況がはっきりしている場合には、被害者請求を並行して進めることもできます。

 ただし、最近では、任意保険の特約の発展(人身傷害保険等)により、仮渡金請求を利用せずに治療費等を確保できるので請求の機会は少なくなっているようです。  

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 もう一つの本音にも触れておきましょう。

 成功報酬の請求の局面において、事前認定の場合、賠償総額がまとまって報酬が計算しやすくなります。示談前に自賠責保険を受け取ると、賠償総額が減ってしまい、その分の報酬を取ることに議論が生じます。特に弁護士費用特約を請求する際、弁特社(保険会社)から理解を得ずらい、面倒な議論なのです。

  <被害者請求の憂鬱> 「被害者請求は無駄だからやらない」だけの理由ながら、(被害者請求を希望する)依頼者を必死に説得している事務所があり、この弁護士の意図が謎でした。看板(HP)の通り、等級認定からしっかり取り組んでいるのなら、おのずと診断書や検査データが手元に集まるはずです。行きがけの駄賃ではないですが、そのまま被害者請求としてもよいような気がします。

 これについてある弁護士先生から裏事情を聞き、うなずけました。流れで説明します。

 まず、相手保険会社に事前認定で等級を確定させます。続いて賠償金の請求書を突きつけます。その計算は、まだ自賠責保険金を受け取っていないので、自賠分を含んだ請求書が作れます。結果として獲得額が増大、報酬を高額にできるという仕組みです。

 さらに、後に弁護士費用特約を請求する際、報酬計算上、自賠責保険金分の控除を防ぐ効果もあります。もし、被害者請求等で先に自賠責保険を確保したら・・弁特社から「被害者請求は弁護士が医師から診断書を預かり、自賠に提出するだけですよね、だから自賠責保険金分は獲得した賠償金から引いて下さいよ」と言われ易くなります。    benngosi  もっとも、被害者請求のプロセスでしっかりとした立証作業を行っている弁護士は自信を持って、「自賠責の等級認定においても被害者請求を選択、これこれの作業を行いました。これも獲得した賠償金の一部です」と弁特社に力強く主張、理解を得ています。ところが、「事前認定も被害者請求も同じ」と被害者請求の効果を否定している先生は・・このような抗弁が出来なくなってしまうのです。

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 相変わらず「事前認定と被害者請求、どちらがいいのか?」が質問されます。被害者はネット情報や各相談先の回答によって、迷っているようです。特に多いパターンですが・・

 「依頼した弁護士が「被害者請求など無駄、相手保険会社に任せるべき!」と言って被害者請求してくれません。ネットでは絶対に被害者請求にすべき!と書いてあるのですが・・」

 加害者側の保険会社と戦うためにせっかく依頼した弁護士が、「相手保険会社を通して審査を任せるべき」と依頼者を説得している姿に違和感を覚えます。逆に被害者請求を煽る業者の論調も、商売上に立脚した胡散臭いものに感じます。まさにネット情報の功罪ですね。

c_g_a_5-118x300 まず、弊事務所の姿勢ですが、基本方針は被害者請求です。誤解しないで欲しいのは、等級申請は医療調査を主体とした立証作業が本質であって、事前認定か、被害者請求とするかなど、形式上・手続上の手段でしかない、と捉えている点です。大事なことは障害の立証作業、つまり遺漏なき検査データと間違いのない診断書を収集することです。これを漫然と医師任せ、相手保険会社任せにすると・・正確な後遺障害等級が認定されず、大変なことになりますよ、と注意喚起しています。

 しかし、両派それぞれ主張が分かれます。

  <被害者請求派>  事前認定は相手保険会社の妨害がある等、危機感を煽ります。それに比べ被害者請求は自ら書類を精査して申請できる点、先に自賠責保険金を確保できるメリットを訴えています。  自賠責保険の被害者請求を推進しているのは、ほぼ100%が行政書士です。なぜなら、この手続きを仕事として報酬を得ている以上、絶対に譲れない手続きなのでしょう。

  <事前認定派>  対して、事前認定で十分と主張するのは弁護士でも保険会社の顧問・協力弁護士を兼務、もしくは経験者に多くみられます。理由は審査先はどちらも一緒であること、審査はあくまで定型書類を対象としていること、したがって、せっかく一括社が事前認定してくれるのであれば、被害者請求など無駄な労力でしかない、となります。

   どちらもそれなりに納得できる意見です。それでも私はそれぞれの立場に立脚した極論と思っています。まして、双方の単純な優劣を語る時点で不毛な議論に陥ります。目的はあくまで前述の通り、被害者の障害立証です。そのために決め手となるのは医証収集・医療調査であって、申請方法ではありません。

 私は被害者請求を基本としつつ、実は被害者請求の代理請求をほとんどやっていません。事情によりどうしても必要なケースは年に1件あるかないかです。では、手続きはどうしているか?ですが、多くのケースは集めた医証を弁護士に託し、弁護士が代理請求します。もしくは、被害者が自ら請求を行います。医証を集める作業で私の立証作業は完了しているのです。  提出書類を託した弁護士や被害者に、形上、どちらの請求とするか選択を任せていることになります。結果として、ほぼ全件、被害者請求で提出しているようです。 

 行政書士の資格で自賠責保険の代理請求ができるか?と言った、法律上の解釈・争いはひとまず置いておくとして、私は被害者請求を是としながら、行政書士が自賠責に代理請求をする必要性を特段に感じていません。

 したがって、私は商売上の理由からこの問題を談じているわけではないのです。

 つづく  

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 昨日の話、自賠責保険の委任請求について続けたいのですが、先に請求方法について復習しましょう。

 自賠責保険の請求とは・・・自賠責保険の請求には分類すると4形態あります。申請数の多い順から説明します。教科書的な解説にならないよう、経験にもとづいた※の補足を加えています。

① 任意保険会社による一括払い後の求償

 現在およそ80%の自動車に任意保険が付保されています。多くの場合、交通事故の人身事故であれば加害者が加入している保険会社が治療費や慰謝料の話し合いや交渉を担当します。そして、示談の末、賠償金を支払うことになります。事故の解決後、あるいは途中、この任意保険会社は被害者に支払った分について、自賠責保険にこの金額を請求・回収します。入院・通院分の傷害支払限度は120万、後遺障害は4000万まで回収できます。一括払いはある意味、任意保険会社の立替え払いです。  数回通院した程度のケガであれば任意保険会社は自賠からほぼ100%回収可能です。超えた分が任意保険会社の負担分となります。

※ 被害者に相手保険の契約があるにも関わらず、自分の自動車保険の人身傷害特約から自らの治療費や慰謝料を受け取るケースもあります。多くは事故の責任が自分にあるケースでしょうか。これも同様に人身傷害特約を支払った任意保険会社が相手の自賠責保険に求償を行います。私は勝手に「16条的一括払い」と理解しています。(本文を読み進めればわかります)

② 被害者がみずから相手の自賠責保険に請求(16条請求)

 これは被害者が加害者もしくは加害者の任意保険会社に対してではなく、直接、自賠責保険に保険金の請求を行います。通常、①の一括払いのように任意保険会社が立替え払いとしてくれるので、わざわざ被害者が手続きをする必要がないとも言えます。しかし例えば相手に任意保険がない場合、また被害者の過失が大きい、責任関係がもめていて埒が明かない、そのような理由から相手の保険会社が対応してくれない場合などの場面には必要な救済方法です。

※ この被害者請求は後遺障害が残った事故の場合に私たちが推奨するやり方です。流れは通院期間の治療費や休業補償などは①の一括払いで任意保険会社にお世話になるとして、後遺障害の審査から②の被害者請求に切り替えます。これで相手保険会社と示談せずとも、後遺障害保険金の先取りが可能です。何より保険金をあまり払いたくない、利害が相反する相手の任意保険会社の手を借りずに自ら審査書類の精査・提出ができます。

③ 加害者が被害者に支払った分を請求(15条請求)

 限定的な方法ですが、典型的なケースで説明します。加害者が任意保険に未加入で被害者のケガについて治療費や慰謝料を自らのお財布から支払ったとします。その金額について自身の自動車についている自賠責保険に請求します。条件は実際に被害者や病院に支払った領収書があることです。特に慰謝料の回収は示談が完了している、つまり示談書の提出が必要です。慰謝料の金額は、あくまで自賠責基準以下を限度に加害者が支払った金額です。

※ 立替え分の回収と言えますので①の一括払いと同じことになります。任意保険会社の自賠責への回収は15条請求となります。  ちなみに③のケースについて私は保険代理店時代の20年で2度しか経験していません。いずれも加害者に任意保険がなく、加害者と被害者と間に入ってこの加害者請求にて解決させました。両件とも1ヵ月通院ほどの軽傷で治療費・休業損害・慰謝料の合計が120万円以下だったので、この加害者が先にお財布から払うことが可能でした。逆を言いますと大きい金額なら加害者の支払い能力が及ばず、結局多くの場合、被害者が②の被害者請求をすることになってしまいます。つまり加害者の経済的な理由(お金がない)、もしくは任意保険に入らない主義(このような人が素直に責任を認めるか?)、うっかり任意保険を切らした(だらしない)・・・このような加害者が誠意をもって自分のお財布から速やかに支払うことなど極めて稀なのです。

④ 仮渡金請求(17条請求)

 被害者が相手から治療費等支払いを受けられない場合、例えば相手に任意保険がない、被害者の責任が大きく相手の保険会社が一括払いをしてくれない等で、急ぎお金が必要なときに以下の表のとおり治療中でも一時金が請求できます。特徴は表の症状となる診断書さえあれば、領収証等がなくても支払われることです。言わば「予想払い」ですね。もちろんこの保険金は治療後の本請求で最終的な保険金から差し引かれます。

症状

金額

死亡

死亡された場合

290万円

重症1

脊椎の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの

左のいずれか

40万円

上腕または前腕の骨折で合併症を有するもの 大腿または下腿の骨折 内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの 14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの

重症2

脊柱の骨折

左のいずれか

20万円

上腕または前腕の骨折 内臓の破裂 病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの 14日以上病院に入院することを要する傷害

軽傷

医師の治療を要する期間が11日以上要する傷害 (上記、死亡・重症を除く)

5万円

  ※ 最新の自賠責保険請求案内から抜粋しました。今までは要件=症状が抽象的でわかり辛かったのでしょうか、改定のたびに具体的な症状の記載が増えています。

  ※ あまり知られていませんが診断書、診療報酬明細書(なくてもOKの場合あり)、治療費の領収書があり、被害者の負担が明らかであれば治療中でも仮渡金請求ではなく本請求(16条請求)が可能です。私の場合、当座のお金が必要な被害者に対し、本請求か仮渡金か、どちらの金額が多いかで選択しています。

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 よくある質問の一つに完璧にお答えしましょう。  

Q:「後遺障害の申請をするのですが、相手の保険会社に診断書を出して任せてしまう方がよいのでしょうか?ネットで検索すると、被害者請求の方がいいと聞きますが・・・」

 

 事前認定とは、後遺障害診断書を相手の任意保険会社の担当者に提出し、審査機関である自賠責調査事務所へ送達してもらうことです。被害者請求とは直接、自賠責保険に被害者が診断書等、必要書類を提出することです。

 どちらがいいのか?これに対して、有利・不利などの単純な優劣ではなく、論理的に回答しなければなりません。被害者が客観的な情報から選択すべきと思うからです。まずは以下の表をみて下さい。  

事前認定

被害者請求

手続き面 どちらが簡単? 楽です。相手の保険会社が書類を集積して審査先である調査事務所に送ります。 ご自身で、診断書、画像、他、集めて回らねばなりません。 審査面 全件必須ではないですが「一括社意見書」が添付されるケースがあります。被害者にとって有利・不利な情報となるかは担当者次第ですが、被害者に不利な情報があれば漏らさず伝えるでしょう。

また、何か検査が不足していても、立ち止まって親切に教えてくれません。形式上の書類さえ揃えばさっさと提出します。任意保険・担当者の業務範囲では、後遺障害の申請内容など吟味する必要ないからです。 ご自身の障害について積極的に検査や画像を集めることになります。立証上、足りない検査があれば追加します。

また、熟知した専門家に依頼すれば、間違いのない立証作業が望めます。逆を言えば、低レベルの先生に任せると、単に書類を右から左へ、わざわざ被害者請求する意味などない申請となります。 保険金 自賠責保険金は? 自賠責で認定された保険金は任意会社が提示する賠償額に合意、つまり示談するまで、手にできない。 相手と示談する前に、自賠責保険金を手にできる。結果として、その後余裕をもって賠償交渉に臨めます。つまり長期戦も可能となります。 費用面 経費は? かかりません。相手保険会社が無料でやってくれます。 ご自身で動く場合は最低限の経費で済みますが、代理人(弁護士、行政書士)に依頼する費用がかかります。

   この表を示すと被害者の80%以上が被害者請求を希望します。ご自身に弁護士費用特約がついていれば、ほぼ100%が被害者請求を選択します。問題は費用対効果(業者に依頼するか否か、業者の選定)でしょうか。ちょっと考えればわかりますよね、被害者に保険金をなるべく払いたくない相手(保険会社)にその保険金が増えるかもしれない作業を任す?・・やはり気持ちのいいものではありません。相手任意社は露骨な妨害や不正などはしないでしょうが、少なくとも被害者の利益の為には頑張らないでしょう。あくまで事務的です。

 誤解のないように言いますが、どちらの手続きかで勝負が決まるということではありません。提出・審査先は同じ自賠責調査事務所です。審査結果は提出する書類の内容および、必要書類の完備次第です。それらが同一ならば結果は同じです。

 正しい等級は「間違いや遺漏のない診断書の記載内容と必要な検査資料の完備」にて決定します。しかし、現実は・・完璧に正しい診断書、不足のない検査資料が自動的に揃うことの方が少ないのです。協力してくれるであろうお医者さんは治すことが仕事、障害の立証など興味ないからです。そして、審査上、定型書類以外の情報がまったく検討されないわけではありません。意見書の存在も気になるところでしょう。

 ならば、自らの主張を徹底すべく、自ら書類集積・申請をしたいのが人情です。もしくは、精通した先生にお願いしたいのです。

 連携先の弁護士事務所はどちらかの派に分かれていますが、経験を積むと被害者請求中心になっていくようです。なぜなら書類を集める立証過程でいち早く認定後の交渉戦略を構想しているからです。申請前から障害の全容を把握したいのでしょう。このような先生は「等級認定が最初の勝負!」と石橋を叩くように慎重になります。そして、自ら書類を精査・集積する過程を通して自然と被害者請求中心になっていくようです。

 経済的な面も無視できません。症状固定後、被害者は治療費を絶たれます。仕事に復帰できなければ休業補償もなくなります。被害者さんは賠償金を得るまで長い交渉期間を待つ身なのです。先に自賠責保険金を確保する、このような権利を使わない手はありません。

 やはり、被害者は自らの窮状を明らかにする作業を人任せにするのは心配なのです。実際、被害者請求すれば調査事務所から追加調査や不足書類の打診が直接、自分もしくは依頼している弁護士事務所に届きます。調査内容にもよりますが、事前認定では多くの場合、任意社や病院に打診されて、追加調査の内容・進行が不明となります。この医療照会で勝負が決まることが往々にしてあるのです。

 相手任せ、不透明な手続き、それで認定結果に納得できますか?  

 一方、どっちを選択しても結果は同じですよ、被害者請求は面倒なだけです。」と依頼者を説得している弁護士も少なくありません。

 私はなぜこのように考える弁護士が多いか考えてみました。そこで思い当たるのが、このような考えの弁護士はほぼ保険会社の顧問弁護士、もしくは協力弁護士の経験者ではないか?です。

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 毎回被害者さんに説明しています、「自賠責保険における後遺障害申請の流れ」を復習しましょう。    自賠責保険の契約手続きは通販を除く、任意保険会社と交わします。多くの場合、自動車購入時、車検時に自動的に契約しますので、任意保険ほど「契約した!」感はありません。

 交通事故の被害者が後遺障害を負った場合、相手の自賠責保険にまず等級の申請を行います。

 申請ルートは相手の任意保険会社を介した「事前認定」、被害者側で行う「被害者請求」に大別されます(稀に「加害者請求」、「仮渡金請求」もあります)。この申請書類は自賠責保険の引受会社・担当窓口に送られます。そこで提出書類のチェックを行い、不足・不備がなければ、「損害保険料算出機構」の下部組織である「自賠責損害調査事務所」に送致、そこで審査されます。

 そして結果は窓口である自賠責保険会社に戻り、そこから申請した被害者に通知がなされます。この通知は自賠法 16 条の 4 で「文章回答」が義務付けられています。

 自賠責側から見ますと、以下4段階となります。

 契約事務→保険金請求受付事務→審査は別機関→支払、認定結果通知事務

 自賠責保険は平成14年4月に国土交通省の管理運営を外れ、民営化されました。しかし昔も今も調査・審査業務は調査事務所です。上記の流れの通り、窓口業務を民間=損保会社が行うシステムの整備がなされた事、これが民営化の実質的な内容です。

   明日から実際の「文章回答」を載せます。今日の日誌はそのシリーズのプレリュードのつもりで書きました。被害者はもちろん、この業界の皆さんも興味津々、自賠責保険の回答パターンを特集します。一緒に考察しましょう。

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部位別解説 保険の百科事典 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

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