交通事故相談において、この質問も実に多く寄せられています。今までも散々、解説を試みてきましたが、どうも歯切れの悪い説明になっていたと思います。改めて、今年のセミナーのレジュメから引用します。より洗練された回答にまとめたつもりです。    どちらに請求すべきか?

 交通事故の場合、真っ先に請求する相手は、加害者の保険会社ではないでしょうか。それは通勤災害、業務災害の場面でも同じかと思います。確かに、加害者が弁償するのが筋とは思います。ただし、「労災は請求できない」、これは間違った知識です。    かつて、交通事故で労災を使いたいと申し出ると、   「相手(保険会社)のいる交通事故では、労災は使えません」   「相手に保険があるので、自賠責の120万円の枠が終わってからでないと、労災を適用することはできません」    ・・・このような対応でした。社会保障制度ですから、じゃぶじゃぶ使われると困ります。加害者に支払い能力、つまり、何らかの保険がある場合は、そちらを優先させて、支払いを抑制しなければならない側面は理解できます。

   近年は、そのような担当者にあたることはなく、普通に使わせてくれます。なぜなら、健康保険に同じく、「使うか否か」、「その順番」でさえも、請求者の意思が第一と法で定められています。以下に結論します。   1.

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 秋葉事務所にも顧問社労士の先生がおり、その他、提携関係まで及ばずとも親しくしている社労士先生が何人かおります。交通事故に労災が絡むことが多いことから、社労士と相互質問は度々のことです。その経験から恐れずに言いますと、社労士の先生で労災に詳しい方はごく一部です。制度の詳細や、とりわけ医学的な知識が必要な障害給付について、詳しい先生に会ったことがありません。    労災は社労士の専権部門であり専門分野です。ただし、それは”企業が労災を設定する場面において”の専門家と言えます。では、労働者がケガをして労災を請求する際に、社労士先生はその専門性を発揮できるでしょうか? 実は、顧問先の社労士先生によると、「労災請求はめったにない」「あっても、積極的にお手伝いしない」「顧問先の社長から特別に指示を受けない限りノータッチ」が普通だそうです。これは、そもそも労災の構造が原因と思います。    労災は会社に入ると義務的に加入されます。その掛金は会社が負担します。雇用保険(失業保険)は労使折半と言って、会社と社員がそれぞれ掛金を負担するシステムです。しかし、労災保険は「会社が掛金を払ってやっている」ことになります。また、会社は労災事故が起きること自体、不名誉に思っています。それが、業務中の事故であれば、労働基準局に睨まれる、行政指導を受ける等、ネガティヴに捉えます。これは、公共事業を受注される建築業に顕著です。労災事故が多いと、それが点数化して公共事業の入札・受注に不利に働くからです。ひどい企業ですと、労災の使用をさせないように、内部的に事故を隠すことすら平気でします。

 労災隠しなど、そこまで悪質でなくとも労災請求は常に消極的なものです。”掛金を払ってやっている”社長のよくある勘違いですが、「労災を使わせるかどうかは俺(会社)が決めるのだ」と思っています。正しくは、労災制度は被雇用者の権利であり、申請主義です。申請主義とは、被災者が申請さえすれば足ります。免責かどうかは別として、書類・要件が揃っていれば労基は受理しなければなりません。確かに申請書類では、会社の承認欄みたいなところに、会社の署名・印(河野大臣のおかげで2年前より印は不要になりました)があります。よくある相談に「会社が署名してくれませんので労災は諦めました(泣)」があります。この質問に対して、先の通り、「会社の許可は関係ありません。さっさと労基に提出を」と指導します。ただし、会社に逆らうのですから、辞める覚悟は必要ですが・・。使われている側は常に弱いのです。    ”労災を使わせないようにする” こと、これが労災請求の影の部分と言えます。ここで、冒頭の話に戻ります。百歩譲って、会社側が労災請求に勘違いがあっても仕方無いと言えますが、指導する立場である顧問社労士が間違った誘導をすることがあまりにも多いのです。労災を認めない社長の言い分でよく「顧問社労士に聞いたら、労災はでないから」、「社労士がダメと言った」などが多いのです。理由は、その社労士に顧問料を払っているのは社員さんではなく、社長さんだからに他なりません。社長の意に沿うよう働くのが顧問の存在意義と言えます。ケガをした気の毒な社員であっても、”肩入れなどしない”立場なのです。それ以外の理由としては、社労士が単に勉強不足、あるいは面倒だからでしょうか。    社労士先生は企業側、あるいは社長の味方である以上、労働者は自ら請求手続きを押し通すしかないのです。もちろん、労災請求に理解のある社長さんと、それに協力的な社労士先生もおりますが、残念ながらそのようなペアは小数に感じています。とてつもなく多くの被災者が、労災請求を断念しているのではないでしょうか。    被災者は誰を味方に付けるのか? 労災請求の専門家は? もう、答えはおわかりですね。    困った被災者が、このHPにたどり着く事を祈るばかりです。  

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相容れない二つの制度?    交通事故に携わっている方や役所関係の方からすると、「そんなことあり得ない!」と怒られてしまいそうなタイトルですが、実は両方使えることがあるのです。今回はその実例を紹介したいと思います。    事例としては、業務中に0:100の事故に遭い、後遺症が残ったというよくあるケースです。被害者さんには過失がないので、自由診療の一括対応で問題ないのですが、長期入院のお怪我だったため、保険会社の担当者に説得(第三者行為届等も全てやりますので…といった具合でしょうか)され、健康保険での一括対応に切り替えました。相手損保は「健保使って!」とうるさいのが常です。

 尚、被害者の方は個人事業主でした。症状固定後に色々お話を伺うと、被害者さんは「労災への特別加入」をしていたのです。しかし、私が気づいたときには、既に相当期間が経過しており、且つ3割負担分であっても高額な治療費を今更自由診療で払うこともできないため、労災に切り替えることは諦めました。そのため、このまま治療を継続し、特別休業給付と特別一時金のみをダメ元で労災に申請してみることにしたのです。

 今までにもこのようなご相談はあったのですが、「健康保険を使ってしまったのであれば、労災保険は使えません。」と、原則通り回答していました。しかし、今回はお怪我が重篤であったことや長期にわたり休業を余儀なくされていたため、仮にOKだった場合の給付金額が大きくなると思い、申請することに至ったのです。(なにより可哀想だったので…。)

 本来であれば、今までの治療費を一旦自由診療で全額支払い、労災へ申請することが望ましいのですが、「既に症状固定をしていること」、「請求するのは特別支給金のみであること」を労働基準監督署の担当者に問い合わせたところ、申請を受け付けるという回答を頂くことができました。    健康保険と労災保険の併用は基本的にできませんが、できたケースもあるというお話でした。今回の知識は交通事故被害者向けというよりも業界関係者向けかもしれません。   ※ 今回は被害者さんが無知であるが故に損をするということを防ぐためにサポートしましたが、この請求方法を悪用することは許せませんし、そのような方をサポートすることもありません。  

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ウーバーイーツの配達員も労災に入れます!

 

 ひと昔前までは考えられなかったような職業や雇用体系がどんどん生まれています。そのため、新たに生まれてきた産業の個人事業主にも、労災が適用できるよう令和3年9月1日から対象が拡大されました。その対象となったのは、「自転車を使用して貨物運送事業を行う者」と「ITフリーランス」です。

 これまでは「自動車及び原動機付自転車を使用して貨物運送事業を行う者」を一人親方等として特別加入の対象としていたが、自転車も含まれるようになりました。但し注意が必要なのは、「貨物運送事業」は通勤災害の保護の対象ではないので、事業の範囲内で自転車を運転する作業、貨物積卸作業とこれに直接附帯する行為で被災した場合には業務災害として認定されます。

 

 代表するものでいえば、今流行のフードデリバリー従事者でしょうか。ウーバーイーツやmenuもなども個人事業主として扱われておりますので、この事業を継続するようであれば、特別加入制度を利用した方がよろしいのではないでしょうか。

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まさに、労災の落とし穴!    弊所では通勤災害・業務災害中の交通事故についても多くのご相談を頂いており、その都度、自賠責だけではなく、労災にも後遺障害申請すべきと回答しております。中には、会社の理解が得られず、労災申請を諦める方もいらっしゃいますが…。自賠責と労災で重複する部分(休業損害や逸失利益)をもらうことはできませんが、今回はその中でも逸失利益に関して、判明したことがありますので、記載します。    まず、労災で後遺障害が認定された場合には、障害一時金(認定された等級に応じた日数分の給付基礎日額を受給することができる)、定額特別支給金(認定された等級により、決められた額の給付金)、障害特別一時金(認定された等級に応じた日数分の算定基礎日額を受給することができる)という3つの給付を受けることができます。定額特別支給金と障害特別一時金というのは、相手方(第三者)がいる場合であっても、別枠でもらうことができますが、障害一時金は、相手方(多くの場合は保険会社)からもらう逸失利益と重複しており、差額しかもらえません。(障害一時金よりも逸失利益が上回った場合には、支給されません。)

 ほとんどの場合、逸失利益>障害一時金となるので問題ありませんが、自賠責で非該当・労災で14級の場合はどうでしょう。自賠責では非該当なので、そもそも逸失利益はありませんが、労災で14級が認められると給付基礎日額×56日分がもらえることになります。これは、労災が自賠責よりも上位の等級認定となった場合にもあり得ることです。

 この際、保険会社と示談する前に労災を請求するのと、示談した後に請求するのでは、給付が変わってしまいます。示談する前に請求した場合には、給付基礎日額×56日分の障害一時金と障害特別一時金、定額特別支給金がもらえますが、示談した後に請求した場合では、なんと障害一時金がもらえません!給付基礎日額が10,000円だとしたら、56万円ももらい損ねてしまうのです。これっておかしくありませんか?理由としては、「示談によって今回の交通事故に関する請求権限を全て放棄したとみなされる」というものだそうですが、年金の場合には、控除年数があることから、例え示談後の請求であったとしてももらえるようなのです。    以下の文言がいつからか東京労働局のHPにも載っていました。    示談を行う場合について

 示談とは、被災者が交通事故による不法行為などによって他人から損害を受けたことにより損害賠償請求権が発生した場合に、第三者との合意に基づいて早期に解決するため、当事者の話し合いにより互いに譲歩し、互いに納得し得る額に折り合うために行われるものであり、その全部又は一部を自由に免除することもできます。

 なお、労災保険の受給権者である被災者等と第三者との間で被災者の有する全ての損害賠償についての示談(いわゆる全部示談)が、真正に(錯誤や脅迫などではなく両当事者の真意によること。)成立し、受給権者が示談額以外の損害賠償の請求権を放棄した場合、政府は、原則として示談成立以後の労災保険の給付を行わないこととなっています。

 例えば、労災保険への請求を行う前に100万円の損害額で以後の全ての損害についての請求権を放棄する旨の示談が真正に成立し、その後に被災者等が労災保険の給付の請求を行った場合、仮に労災保険の給付額が将来100万円を超えることが見込まれたとしても、真正な全部示談が成立しているため、労災保険からは一切給付を行わないこととなりますので、十分に注意してください。

 したがって、示談を行ったときは、速やかに労働局又は労働基準監督署に申し出るようにしてください。その際には、示談書の写しも提出するようにしてください。

 なお、同一の事由について労災保険の給付と民事損害賠償の双方を受け取っている場合には、重複している部分について回収されることになりますので、この点についても十分に注意してください。

 

 因みにですが、先程の例のように、自賠責が非該当、労災だけ14級だった場合でも、56日分の一時金を労災が保険会社に求償するようです。保険会社としては、自賠責で非該当だったのに、なぜ労災が勝手に認定した分を支払わなければならないのか(怒!)と思うでしょう。このようなケースでは、恐らく回収不能です。労災と保険会社がどのようなやり取りをしているのか、現場の担当者に聞いてみたいものです。

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 交通事故では、被害者さんに関係ないところで、色々な問題が重なることが多いものです。その多くは、治療費を払う保険会社と治療をする病院との三角関係が崩れることです。    本件は同乗していた二人のケガについて、その受傷機転(軽い衝突)から過剰治療と思った保険会社と、患者離れ悪い病院から、大変に紛糾しました。依頼を受けた弁護士は、相手保険会社から先に打たれた訴訟(債務不存在確認訴訟)上、その紛争収束に難儀しました。怒り狂う保険会社に対して、有効な策は・・・

 相手(任意)保険会社にとって、治療費の負担が自賠責を超えないようにすれば文句はないのです。本件は幸いというか、業務中の事故でした。そこで、弁護士の指示を受けた秋葉事務所が労災手続きを進め、治療費負担を自賠責内に圧縮し、労災14級認定のおまけをつけて、なんとか解決までこぎつけました。    不毛な感じは残りますが、これも紛争を終息させる事務処理かと思います。   誰かが動かなければ、収まりつかないのです     労災14級9号:頚椎捻挫(30代女性・栃木県)   【事案】

自動車にて信号待ち停止中、後続車に追突される。直後から頚部痛のみならず、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

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 自賠責保険の後遺障害認定基準は、労災の制度から派生したもので、公表されている文言を見ると、その基準はほとんど同じです。ただし、基準はあくまで労災基準に「準じたもの」で、「まったく同じもの」ではありません。公表されてはいませんが、労災と違う自賠責保険のルールは諸々存在しています。

 以前、TFCC損傷で14級9号を取った後、労災で12級13号が認められた件で、弁護士から「自賠責も12級にならないかな?」との相談を受けました。よくある論点なので、「またか・・」と思いつつも、診断書・画像を預かり検証しました。画像所見上、TFCC損傷は微妙で弱く、手術もしていない。また、手首を酷使する仕事上、経年性の疑いも残る。この場合、労災は甘く12級、自賠責は14級どまりが結論なのです。結局、依頼者の希望に抗しがたく、その弁護士さんは再請求するも14級は変わりませんでした。

 このように、自賠責と労災の基準の違いは存在します。逆に、自賠責が有利で12級も、労災では14級となる件もあるのです。経験を重ねた事務所はそれを知っています。   これも自賠責と労災の認定基準の違いの一つです  

労災12級6号:TFCC損傷(30代男性・山梨県)

  【事案】

原付バイクにて一時停止中、左方から早回り右折してきた車に衝突され受傷した。直後から右手のしびれ、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

手術を受けたものの、症状が改善しないとのご相談を受けた。詳細を伺うと、既に事前認定にて14級9号が認定されており、その結果に納得していないご様子であった。後遺障害診断書、診断書・診療報酬明細書を確認すると、可動域も12級を逃しており、手術の内容も関節滑膜切除術で、理屈上は改善しているはず。12級への異議申立が通る可能性はほとんど無かった。

【立証ポイント】

よくよく事故の詳細を伺うと、通勤災害であることが分かった。自賠責は難しいが、労災で12級認定を獲得する方針で進めることとなった。

基本、12級にするためには、画像所から立証が必要なので、画像鑑定を依頼し、鑑定書とともに自賠責に申立てたが、結果は想定通り14級9号のままであった。

その後、労災にも全ての資料を提出し、労災顧問医の面談に臨んだところ、治癒日(自賠責の症状固定日に合わせたため、面談よりも1年以上前)よりも手関節が拘縮しており、可動域の数値は左右差3/4となった。労災では、現状の数値と診断書上の数値、どちらを採用するのか結果を待っていたところ、面談時の可動域制限を認めた12級6号認定となった。通常、症状固定日よりも数値が悪くなることはほとんどないが、本件では、自賠責の後遺障害診断時に、痛みをこらえて可動域計測に応じたため、正しい数値の計測ができなかった事情が存在する。 続きを読む »

   労災と交通事故(通勤災害)は切っても切れない関係です      今回は、労災が適用される交通事故において、保険会社からもらう賠償金には控除されない障害特別一時金について説明します。    労災で後遺障害が認定されると、障害年金(7級から1級)障害一時金(14級から8級)、障害特別支給金、障害特別一時金、を受給することができます。交通事故とは関係のない労災事故であれば、全て満額受給することができますが、交通事故では、相手方から支払われる後遺障害慰謝料・逸失利益というものが障害年金・障害一時金と重複してしまうため、金額によっては、労災からもらえない、年金では、一定期間もらうことができないといったことが生じます。     しかしながら、障害特別支給金と障害特別一時金については、相手方から貰うお金とは別に受給することができます。この点だけでも労災に請求するメリットはあります。これは、治療費を労災で請求したかどうかは関係ありません。最後の最後に会社と病院に書類を記載してもらい、申請すればOKです。(もちろん、労災でも後遺障害の審査がありますので、必ず貰えるわけではありませんが…)

     障害特別支給金と障害特別一時金については、下記の表のとおりです。

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 本シリーズでご紹介する案件以外でも、現在、審査中が2件、これから申請が2件、昨年~今年にかけて脊椎の骨折が集中しています。    本日紹介の実例は、骨折の様態云々ではなく、労災の併用がポイントとなりました。    労災の使用に際し、会社側が良い顔をしないケースは相変わらずです。しかし、会社がすべてブラック企業とまでは言えません。建設業などでは、「仕事中にケガをしたら、休めてお金をもらえるぞ!」と考える不届きな労働者も存在します。これでは、会社の担当者さんを頑なにしてしまいますね。

 会社側にとって、労災を使うと・・労災の掛金が上がる、労働基準局ににらまれる・・根底に心配があるのかもしれません。

 しかし、業務災害ならまだしも、通勤災害に会社が責められるべき落ち度はまずありません(何か劣悪な通勤状態を課した場合は責任ありますが)。当たり前ですが、交通事故の加害者が悪いのであって、通勤中まで会社の管理責任が及ぶものであはりません。通勤災害での労災使用に基本ペナルティはないのです。

 それでも、本件のケースは決してレアケースとは言えません。会社の担当者を説得して下さった損保代理店さんの活躍によって、万事上手くいきました。

 労災の併用によって、治療費は過失減額のない全額確保が叶い、休業損害は120%を受領、後遺障害も特別給付のおまけつきと、至れり尽くせりです。簡単に諦められないのです。

助かりました!  

11級7号:腰椎破裂骨折(40代男性・神奈川県)

【事案】

125ccバイクにて直進中、ガソリンスタンドに入ろうと右折してきた対向車に衝突される。直後から全身の痛みに悩まされる。

【問題点】

本件は依頼者にも過失が見込まれるため、是が非でも労災で治療をしたかったが、会社の担当者が労災適用に懐疑的であり、なかなか了承をいただけなかった。

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「医師らの感染、原則労災に」 新型コロナで厚労省方針

   新型コロナウイルスに感染した医療、介護従事者について、厚生労働省は29日、業務外での感染が明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象とすると明らかにした。同省ホームページの「新型コロナウイルスに関するQ&A」に掲載した。厚労省は業務との因果関係を明確にするため、基本的に感染経路の特定が必要としているが、医療、介護職場での感染リスクを踏まえ、こうした運用にしたとみられる。

 医療従事者の労災を巡っては、現場で感染者の検査や治療に当たる医師や看護師らから、速やかな認定を求める声が上がっていた。 <4/29(水) 21:43配信共同通信さまから引用>  

 新型コロナに罹患した場合、労災がおりるのか?

 

 早くもこの質問を頂いております。答えは、通常の業務災害同様、「業務との因果関係があればOK」となります。しかし、問題は因果関係の証明です。恐らく労災側は綿密な調査をすると思います。それは、主に感染経路を特定する作業です。医療現場等、感染経路が明らかな職場であれば問題ないと思います。感染経路が判明しない場合は、「潜伏期間内の業務従事状況や一般生活状況を調査し、個別に業務との関連性(業務起因性)を判断します。」とあります。とくに、「感染者との接触、接触の可能性」が鍵のようです。

 現在、政府が発表する罹患者数の内訳上、日毎に感染経路不明の罹患者が増えていることを考えると、「どこから感染したかわからない」罹患者さんは、労災が認められないことになります。通勤中に罹患した場合(通勤災害)ですと、ほとんど「どこでうつったかわからない」ことになります。

 今回の発表で医療・介護従事者の皆さんは一安心ですが、それ以外の罹患者の場合、感染経路の特定から業務災害であることの立証作業が課されます。なかなかにハードルの高い作業となること必然です。ご依頼がきてしまったらどのように対応するか? 弊所にとって新たな課題になりそうです。

 これも、むち打ち同様、目に見えないものとの戦いかもしれません。すると、先の「新型コロナウイルスに関するQ&A」を基に、状況証拠を収集の上、労災の審査に付すことになるでしょうか。      続きを読む »

 10月になりましたが、衣替えをためらうような陽気が続いております。

 本日のお昼、事務所は珍しく全員揃っていました。そこで、マックの月見バーガーをウーバーイーツ(UberEats)で頼もうということになりました。UberEatsは今、注目の配達サービスです。提携店から商品を自転車便などでデリバリーしてくれます。アメリカ発のアイデア業ですね。真夏の炎天下、真っ黒に日焼けした配達員のお兄さんが頑張っています。

 ここで少し心配、彼らの業務中の保障はどうなっているのでしょう。配達員とUberEatsの雇用形態に注目してみましょう。

 配達員はアプリ経由で好きな時間に仕事ができるという最先端の働き方ですが、「個人事業主」という立場で契約しているようです。つまり、労災や雇用保険の対象になりません。当然、交通事故もあるでしょう。色々と問題が浮上しているのか、アメリカでは労働組合結成に向けた動きもあるようです。 ちょうど、ネットニュースが入りましたので、それをご覧下さい。

  <ITmedia NEWSさま(9/30配信)記事より引用>

UberEats、事故に遭った配達員に「見舞金」「労災保険ない」反発の声に対応

 Uber Japanは9月30日、フードデリバリーサービス「Uber Eats」の配達員が事故に遭った場合、見舞金を支払う「傷害補償制度」を、10月1日から導入すると発表した。三井住友海上火災保険と協業し、配達員が保険料などを支払う必要はない。「個人事業主扱いなので、労災保険が適用されない」という、配達員からの反発に対応した。

 配達員がスマートフォンアプリで配達リクエストを受諾した時点から、配達が完了するか、キャンセルされるまでの間に、事故に遭うと補償対象になる。医療見舞金、後遺障害見舞金、死亡見舞金、入院に伴う見舞金などを付与する。

 従来の制度では、対人・対物賠償で、配達員自身のけがは補償対象に含まれていなかった。Twitter上では7月ごろ、「Uber Eatsの配達中に転倒したら、運営元から『アカウントが永久停止になる恐れがある』とメールが届いた」という投稿が拡散。「けがした現場の人に対して心無い言葉だ」「補償制度はないのか」など批判の声が上がっていた。

 そうした中、配達員の有志が労働組合に相当する「ウーバーイーツユニオン」を設立すると発表。Uber Japanに対し補償制度の導入を訴える一方、国に対しても法制度の整備を求めていた。

 Uber Japanは、こうした配達員の要望に応えて新制度を発表。Uber Eats日本代表の武藤友木子氏は「これまでも配達員が安全・安心に配達するためのサポートを提供してきたが、今回追加した補償制度は大きなステップになると考えている」とコメントしている。

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先日、ご相談に来られた方がこんなことを仰っていました。    「自賠責の被害者請求を弁護士に任せていたのですが、ずっと放置されていたようです。そのことを問い合わせると、まず先に労災の後遺障害申請をしてきてくださいと言われました。言われた通りに労働基準監督署に行くと、担当者から「まずは自賠責の申請からと最高裁の判断で決まりましたので。」と、半笑いで門前払いされてしまいました。」    確かに後遺障害については、労災に申請後、「自賠責の結果が出てからでないと…。」と言われて結果を待たされていました。特段の事情がない限りは支給調整の関係からか前述のような対応が日常茶飯事です。しかしながら、最高裁が「自賠責と労災の請求順序」など判断したのでしょうか? 気になって調べてみました。    平成30年9月27日の判決です。

 事例としては、被害者Aが中型貨物自動車運転中、加害者Bのセンターラインオーバーによって正面衝突し、肩腱板損傷等の重傷を負いました。労災にて治療を継続しましたが、可動域制限が残り、後遺障害等級12級6号の認定(おそらく自賠責・労災ともに)がおりました。尚、Bの車両には自賠責保険加入がありましたが、任意保険はなかったものと思われます。(詳細が記載されておりませんので、推測でしかありませんが…。)

 今回はBによって起こされた第三者行為による労災事故のため、Aへの治療費や休業損害等を支払った国(労災)が、自賠責への求償権を手に入れます。第三者行為届を提出する際に、念書兼同意書を添付するのですが、その中に求償についても記されております。

 この点が今回の裁判でのポイントのようです。今回の自賠責の支払金額は、傷害部分120万円限度と後遺障害部分224万円があるのですが、労災の求償とは按分せずに「Aが自賠責へ、自身の補償(慰謝料・逸失利益)を請求・受領することが優先される」という判断がなされたのです。つまり、既に労災が支給した治療費や休業損害など、実費的なものの求償は後回しとなる、被害者により優しい判断がされたというわけですね。

 結論として、本件の判決は、自賠責と労災の申請自体の順番が確定したわけではありませんでした。念書兼同意書に記載があるように、「自賠責と両方請求する場合には、重複している場合、自賠責の方(任意保険会社がいる場合にも含む)で全て終わってからでないと支給しませんよ」と、被っている請求項目について、支給の順序があることに変わりありません。本判決は別の話しで、自賠責に対する本人の補償請求(労災先行支払いの治療費や休業給付と被らない慰謝料など)と、労災の求償(既払いの治療費・休業給付)が競合した場合、被害者救済=本人への支給が優先するという司法判断です。

 それにしても交通事故に労災が絡むとややこしいですね(汗)

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 相手保険会社が治療費を負担してくれるのは、義務ではありません。彼らはいつでも治療費の一括払いを切ることが出来ます。これは裁判判例で決着していることです。

 では、治療費や休業損害が、自賠責保険の限度額120万はもちろん、保険会社の定める基準を越えた場合は・・? なんとか面倒を見てくれるよう、交渉することになりますが、保険会社としては、「後遺障害を含めた賠償金を支払いますから、早く症状固定して下さい」と、解決を急かします。しかし、本件のように感染症となった場合、骨癒合は大幅に遅れますし、症状固定は数年先に遠のきます。

 「公的保険の知識と実務に長けた事務所にめぐり合うか否か」で、被害者の運命は変わります。本件は幸い、依頼した連携弁護士から相談が入りましたので、以下の通り、労災の活用で解決までの道筋を作りました。多くのケースでは、依頼した弁護士も手をこまねき、松葉杖で片足を引き摺っている被害者自身ですべての労災手続きをしています。自身でできる被害者さんはまだ幸運です。相手保険会社ともめて、労働局とも平行線、会社の担当者からも疎まれて・・・窮した被害者さんは「明日の100万円より、今日の10万円」・・・泣く泣く、安い示談金を手にして解決することも少なくないのです。

 交通事故業務は弁護士の”賠償交渉”のみにあらず、公的保険を含めたあらゆる手段を用いる”被害者救済業務”なのです。      うちはそれが出来る事務所です  

併合5級:大腿骨・脛骨・腓骨多発骨折(20代女性・埼玉県)

【事案】

自転車通勤で交差点を横断中、後方からの左折自動車の巻き込みにあい受傷。左脚は大腿骨遠位端・脛骨骨幹部開放・腓骨を骨折、右足は鐘骨骨折、その他骨盤骨折も重なり、とくに左脛骨は開放骨折によって感染症を発症、10回ものデブリ洗浄で脚を切開した。多くの骨折箇所から骨のプレート・スクリュー固定、癒合不良箇所への骨移植・骨採取、皮膚採取・形成術を含めると、実に合計21回の手術を行ったことになる。結果として、症状固定まで4年を要することになった。

【問題点】

治療期間が長期になったことが最大の問題。相手損保に休業損害は当然として慰謝料の先払いを求めた結果、「もう過払いなので・・」と初期に支払いを切られてしまった。では、今後の治療をどうするのか? 感染症を発症していることから、長期の治療は避けられない。自賠責の後遺障害保険金入金もずっと先となる。

また、1下肢・下腿の後遺障害で最大等級は、「 1下肢を足関節以上で失ったもの」=5級5号である。本件の場合、膝から下だけで6級相当まで引き上げたい。その為には骨折の無い足指の用廃を得る必要があった。

【立証ポイント】

ここは、何としても労災の使用である。早速、管轄の労働基準局はじめ会社の担当者に働きかけ、労災を適用させて治療費と休業給付を確保した。この一連の調整は弊所の得意とするところ。以後、労基と会社との連絡・手続きを3年半担当、症状固定まで漕ぎ着けた。

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 会社は労災の請求に消極的です。

 また、社員も労災を請求したのですが、会社の顔色をうかがって遠慮してしまいます。使われている側なので仕方ありません。

 問題は、会社側に正しい知識がないことです。とくに、「労災を使うと、掛金が上がるから・・」、これについて、調べました。

   以下に該当する会社については、一定規模の基準によって労災掛金が±40%の範囲で増減します。   ○ 100人以上の労働者を使用する会社   ○ 建設業等で労災保険料が年間100万円の会社   ○ 20人以上100人未満の労働者を使用し、災害度係数が0.4以上の会社    災害度係数とは{社員数×(業種ごとの労災保険料率-非業務災害率)}で算出します。この非業務災害率は現在0.06%となっております。

 従業員数80名の飲食業の場合、上記の計算式にあてはめると・・・ 80名×(0.3%-0.06%)=0.192≦0.4

 ・・・災害度係数は0.4未満となり、基準を満たさないため労災保険料が高くなることはありません。    つまり、労災保険料率が0.4%を超えない会社については、建設業(掛金100万超)を除き、100人未満であれば労災保険料率が高くなることはありません。20人未満の会社は当然に関係ありません。    また、通勤災害は、被害者・社員か、加害者が悪いのであって、会社にまったく責任がありません。労災側の調査によっては、労災掛金に影響ありません。  

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 労災と加害者側の賠償金(自賠責保険・任意保険)がかぶる場合、労災の障害給付は一時金でも年金であっても、「支給調整」を行います。ここが、皆様の知りたい核心ではないでしょうか。

○ 障害給付の支給調整

 第三者行為災害における損害賠償請求額と労災保険の給付の支給調整方法については、「求償」と「控除」の2種類があります。   ○「求償」とは、被災者等が第三者に対して有する損害賠償請求権を、政府が保険 給付の支給と引換えに代位取得し、この政府が取得した損害賠償請求権を第三者 や保険会社などに直接行使することをいいます。   ○「控除」とは、第三者の損害賠償(自動車事故の場合自賠責保険等)が労災保険の 給付より先に行われていた場合であって、当該第三者から同一の事由につき損害 賠償を受けたときは、政府は、その価格の限度で労災保険の給付をしないことを いいます。   ① 労災の支給調整の対象は「逸失利益」

 逸失利益とは・・・本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益を指します。得べかりし利益(うべかりしりえき)とも言われます。逸失利益の算定では果たしてどこまでが本来得られるべきであった利益か、その確定は容易でなく訴訟などでもよく争点となります。

 自賠責保険ではこの逸失利益の限度額を明確に定めており、限度額を下回る80歳超の高齢者を除いては、ほとんど限度額で頭打ちとなります。これは弁護士さんにも多いのですが、自賠責保険の後遺障害保険金を定額の慰謝料と読み違えています。自賠責保険金額はあくまで、定額の慰謝料+計算された逸失利益(限度有)の合計です。

 障害給付金は一定の治療後、後遺症による将来に向けた補償ですから、逸失利益と性質が同じものとされます。したがって、逸失利益と二重に支払われることなく、逸失利益を超えた金額を給付することになります。逆に、労災先行で労災を全額支給した場合、後に自賠責に求償することになります。

 尚、賠償金の内の慰謝料は「精神的損害」ですから、民事上の「償い」であるところ、公共の補償と相殺すべきではなく、別物と考えられます。    つづく(いずれ、計算例をUPします)  

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 交通事故の場合、真っ先に請求する相手は、通常、加害者の保険会社ではないでしょうか。

 それは通勤災害、業務災害の場面でも同じかと思います。まず、加害者が補償するのが筋です。多くの場合、労災適用など気にせずにスルー、相手の任意保険、その加入がない場合は自賠責保険に請求に留まることが多くを占めます。実際、労基に問い合わせも、「労災は、自賠責を使い切ってからですよ」と内規で制限しているような対応です。社会保障制度ですから、じゃぶじゃぶ使われるなど困ります。加害者に支払い能力、つまり何らかの保険がある場合は、そちらを優先させ、支払いを抑制しなければならないことは理解できます。

  

 しかし、労災の法律を紐解くと、健康保険に同じく、「使うか否か」、「その順番」でさえも、請求者の意思が第一です。とくに法律の規制などしていません。したがって、自己に過失がある場合の事故や、重傷で治療費が莫大となるケースは労災も併用すべきと思います。そして、最大の動機は、休業給付と障害給付で、相手からの賠償金とは別腹の「特別給付」がもらえることです。  さらに、再発申請やアフターケア制度もあります。至れり尽くせり、原則、労災使うべきと断言します。

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 そんなわけはありません。年金制度は国と国民の信用の根幹、これが反故にされたら、もはや国民国家ではありません。

 とは、言いたいものの、12年前、日本中を震撼させた「消えた年金問題」・・ミスで相当数の記録が消されました。昨年9月にも、労災の休業給付のデータがミスで抹消され、大幅な支給遅れとなったことは記憶に新しいと思います。

 亡くなった私の祖父は年金に関する疑念が強く、自営でしたがとうとう国民年金に加入せず、老後は年金がありませんでした。当時、戦争(報道)で国に騙されたと思った世代は、国家・行政への信頼が薄いのでしょうか。「消えた年金問題」とは、その疑念が本当になってしまった事件です。決して間違ってはいけない行政の制度ですが、所詮人のやること、ミスはどうしてもでてしまうものです。いつも思うのですが、何故か間違って多く払ってしまったケースが少ないことです。それはともかく、再発防止の努力と迅速なリカバリーをお願いしたいと思います。

 また、昨日の記事の通り、当時、私もたった12年前の厚生年金記録を消された1人です。「昔の手書きデータを電子化する際に漏れた」との言い訳が利かない年数です。今回の労災記録抹消も、何故バックアップしていなかったのか不思議に思います。やはり、国のやることであっても万全の信頼を置くことなく、自らがチェックすることが必要ではないかと思います。記録を修正してもらうことは当然ですが、責任を追及する手間はそれなりに大変です。ここで行政側のミスを責めても、苦言を呈しても、問題提議しても、何の得にもなりません。何事も取引は相互確認が大切です。それは、買い物をして、お釣りを確認する作業に等しいものかもしれません。  

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 少し古いニュースですが、昨年秋に厚労省から掲題のミスが報告されました。ちょうど、労災セミナーのレジュメを作成していましたので、改めて取り上げたいと思います。

 かつて、「消えた年金」が大問題になったことがありますが、当然、労災でもさもありなん、と思います。私も3年分の厚生年金の加入記録を見事に消されました(怒)。

 実際、労災請求の現場では、従前から「労災はできるだけ使わないように」と会社側が労災請求に消極的な姿勢を感じています。使われている側・社員も、会社に逆らってまで請求はできません。それが、パート・アルバイト、契約社員なら尚更です。構造的に労災はアンタッチャブルなのです。では、手続きを助けてくれる業者や士業の先生が望まれますが・・肝心の社労士先生は会社側から顧問料をもらっている、言わば会社側の立場です。会社の意向に逆らって従業員を助けるわけがありません。もちろん、福利厚生に理解ある社長、つまり、従業員を大切にしている企業であれば、顧問の社労士先生にお願いしていただけます。しかし、このような企業は少数ではないかと思っています。

 今回、問題となった休業給付の手続きも、まぁ面倒なもので、特別給付を知らない人も多い。一部上場企業ならまだしも、会社側の事務員が不慣れな書類作成に右往左往、社労士の先生の多くも会社の要請無くば、まして無償では手伝いません。そして、昭和のお役所体質は改善したとはいえ、厚労省職員の信じられない電子的なミス・・・やはり、誰かが、手続き面で目を光らせる必要があります。今のところ、交通事故絡みならば私達がそれを担っていますが・・。

 人は基本的にミスをするものです。二重三重にチェックをする必要があり、請求側=民間の自助努力として、労災事故で苦しむ被害者を救済する体制も望まれると思う次第です。、  

休業補償27億円、処理ミスで1.1万人分支給遅れ 厚労省

  厚生労働省は7日、休業中の賃金を補償する労災保険の休業給付と休業特別支給金について、約1万1千人分(総額約27億8千万円)の支払いが遅れていると発表した。職員のシステムの誤操作が原因。同省は14日までの支払いを目指すとしている。

休業給付と休業特別支給金は労働者災害補償保険法に基づき、業務上の負傷などで労働ができない場合、休業4日目から支給される。支給額は休業1日につき賃金相当額の8割程度。

同省によると、6日に担当職員が会計システム上で支給に関係ない事務処理をしていたところ、誤操作で支給に関するデータを消去。本来は7日または10日に支給予定だったが、ほとんどが復元できず、予定通りの支払いができなくなった。

会計システムの操作は通常、複数人でチェックする体制だった。同省は誤操作の理由を検証し、再発防止策を検討する。

これまでに支給の申請者から支払いの遅れに関する問い合わせの電話が100件以上寄せられているといい、ホームページに問い合わせ先を公表するなどして対応している。同省担当者は「発表が遅れ、多大なご迷惑をおかけして申し訳ない。適切に対処していきたい」としている。 <日本経済新聞 平成30年9月7日>  

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 よくある質問です。厚労省のHPからの引用で恐縮ですが、非常にわかり易いのでほとんどコピペに近い状態でまとめました。   Q.後遺障害となって障害年金を受け取る場合や、死亡で遺族年金などを受け取る場合、労災の年金と(厚生・国民)年金、両方を受け取ることはできるのでしょうか?     A.年金は全額受け取れますが、労災年金は調整されるため全額を受け取ることはできません。    例えば、障害厚生年金と労災の障害補償年金の両方を請求・受取る場合、労災年金の額は減額され支給されることになっています。しかし、障害厚生年金はそのまま全額支給されることになります。ただし、この減額に当たっては、調整された労災年金の額と厚生年金の額の合計が、調整前の労災年金の額より低くならないように考慮されています。   (調整の考え方)  これは、両制度からの年金が未調整のまま支給されますと、受け取る年金額の合計が、被災前に支給されていた賃金よりも高額になってしまうからです。また、保険料負担について、厚生年金保険は被保険者と事業主とが折半で、労災保険は事業主が全額負担していることから、事業主の二重負担の問題が生じてしまうためです。

 この表から分かるように、障害厚生年金を受け取っている人が労災の障害補償年金を受け取る場合、障害厚生年金を全額受け取ることができますが、労災年金は0.83の調整率がかけられ全額を受け取ることはできません。しかし、障害厚生年金を受け取っている人が労災の(死亡で遺族が受取る)遺族補償年金を受け取る場合、調整は行われません。従って、厚生年金・労災年金ともに全額受け取れます。

 

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