【事案】

信号の無い十字路にて優先道路を走行中、一時停止無視の車に側面衝突され横転したもの。その際、左上肢がサイドガラスを突き破り、車体と路面に挟まれる形で左腕はズタズタ、前腕から手指にかけて広範囲に裂傷・挫滅となり、デブロービング損傷となった。内部は、長母指、深指、浅指の各屈筋腱、長掌筋が断裂し、正中神経も挫滅、各関節の機能障害必至の状態となった。
 
【問題点】

皮膚移植を行ったが、皮膚のダメージは深刻で、醜状は広範囲に残存している。整形外科の医師からは、「半年で症状固定するのは早い」と、形成術の話を何度もされていた。確かに、手術費用が相手保険会社の負担なら出費はなく、何より自由診療での手術は術式に制限なく安心な面も多い。しかし、醜状痕の12級は形成術によって14級か非該当に格下げとなる可能性がある。損害賠償が絡む治療には”損得勘定”が必要なのです。

【立証ポイント】

保険会社から治療費の補償を受けながら治療を続けていく場合、早期固定で等級認定を得てから健保で形成術をする場合、それぞれのメリット、デメリットを被害者さんと話し合った。機能障害で6級相当が見込めるので、醜状痕が12級なら併合5級になり、賠償金額に相当な上乗せが期待できる計算を示した。

結果、依頼者さんは決断、早期に症状固定・等級審査へ、併合5級の認定を受けた。

現在、健康保険とこの賠償金のほんの一部で形成術を計画しています。

(令和3年6月)