【事案】

ワゴン車に搭乗中、高速道路で併走車の割り込みを受け、側壁に衝突した。首を車内に打ちつけて頚椎を骨折、頚髄を損傷したもの。首から下はまったく動かず、感覚も失われ、自力排泄も不能、絶望的な四肢麻痺となった。

【問題点】

後遺障害について、立証するほどの作業はない。しかし、諸保険の請求手続きや転院等リハビリ環境の調整に加え、社会福祉をフル活用する必要がある。身体障害者手帳やNASVA申請など、賠償交渉以前の作業が膨大となった。

リハビリの目標は、電動車イスの自力操作。わずか数cm動く右上肢に望みを託すことになった。しかし、不可逆的(治らない)障害である以上、相手保険会社は早期の治療費打切りを切望、その折衝が続くことになる。

 
家族は奇跡を期待します。保険会社と違って、簡単に諦められないのです。

 
【立証ポイント】

事故直後からの依頼であったことが幸いした。保険会社との折衝は連携弁護士が担い、秋葉事務所は平行して次々と手続きを進めた。本人と家族を励まし、リハビリ病院は2ヶ所梯子して十分な訓練を果たすことができた。おかげで奇跡的に片腕の可動は拡大し、電動車イスの操作を可能とした。

次いで、自宅介護に備えた住宅改造費用の請求の為、介護住宅専門の建築士による鑑定書を依頼した。さらに、介護施設から資料を取り寄せ、公的保険適用の介護人と職業介護人を併用した介護計画表、介護に必要な消耗品明細を作成、それぞれ将来損害の金額を明瞭化した上、連携弁護士に託した。

逸失利益と介護費用を完全に賠償させるには、周到な準備と緻密な立証が必要なのです。介護費用は詳細な資料を基に積算、個別具体的な立証につきます。過去の判例から類似例を列挙するだけの弁護士では、裁判をしても十分な介護費用は取れません。

(平成30年9月)