【事案】

バイク走行中、対抗自動車がセンターラインオーバーして衝突、そのまま逃走したもの。翌日、ひき逃げ犯として逮捕された。幸い任意保険の加入が確認され、治療費の確保は叶った。診断名は掲題に加え、肘関節の脱臼骨折。

右下肢は感染症を避けることができたものの、膝関節の手術を繰り返すことになった。まず、骨癒合を優先し、完全に膝関節の可動を犠牲にプレート固定した。後にわずかの可動を得る為に受動術を施行、その結果、覚悟はしていたが動揺性を帯びることなった。このように、出来るだけの回復を期してあらゆる治療法を検討、治療の目処がつくまで、つまり症状固定までおよそ4年を要した。
 
【問題点】

複数の障害が重なる重症例である。比較的、初期から弁護士介入と弊所の対応が出来た為、相手保険会社との長期の折衝、治療上のセカンドオピニオンを容易とした。

後遺症は・・膝関節は重度の機能障害、足関節と足指の機能障害はそれぞれ神経麻痺で用廃に。さらに下肢短縮障害、醜状痕・・これらを余すところ無く、後遺障害等級に変換する作業が望まれる。

神経系の検査は当然に実施

【立証ポイント】

過去の下肢重症例に倣い、後遺障害の設計図を作成、それに沿って立証作業を進めた。問題点は回復状態をどのように描くかである。膝関節については可動域制限と動揺性、いずれかの障害を受容しなければならない。国内屈指の難治性骨折の治療先や、膝関節の権威である専門医の診断に誘い、依頼者さまの回復の希望を優先に方針を定めていった。

認定結果は設計図通りに・・下肢は、膝関節:10級11号、足関節:8級7号、足指:9級15号、これらから6級相当に。これに短縮障害10級8号、下肢醜状痕12級相当、肘関節12級6号が併合され、併合5級となった。

※ 併合の為、3部位に分離しています。

(平成31年2月)