先ほど博多から戻りました。
博多では高次脳機能障害の案件の打合せを行いました。その夜は北九州の仲間と打合せを兼ねて席を共にしました。それぞれ地域ごとの悩みや問題はあるにせよ、「情報交換・ノウハウの共有を大事にしていこう」と一致しました。共に向上していくこと、結局、それが依頼者さまの利益に繋がります。
花見などする時間も無い中、天神中央公園を突っ切り、那珂川沿いの道すがら桜を楽しみました。
福博であい橋では桜とチューリップのコラボ! 博多っ子のセンスに◎です。
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業務中の事故もしくは通勤中の事故の場合、労災を適用して治療することができます。
交通事故の場合は、第三者行為災害届出、念書(兼同意書)(3枚)、交通事故証明書、をそれぞれ提出する必要があります。
労災適用された場合、業務中の場合は、様式第5号を、通勤中の場合は様式第16号の3を、労災指定病院に提出した後、管轄の労働局に出すことになります。すると、病院でかかる治療費を療養(補償)給付として支給されます。
※ もし通院先が労災指定病院でない場合、業務中の場合は、様式第7号(1)を、通勤中の場合は様式第16号の5(1)を提出することになります。
交通事故の場合、保険会社(多くは加害者側)が治療費を出しますが、労災適用の場合、保険会社が負担した分を労災に求償することになります。
この治療費(療養給付)は、いつまでも支給されるわけではありません。支給されるのは、症状が安定し、医学上一般に認められる医療を行っても、回復・改善の効果が期待できなくなるまでです。これを「治ゆ」といいます。自賠責でいう「症状固定」と基本的には同じです。
※ 医学上一般に認められた医療とは、ここでは労災保険の療養の範囲で認められた医療を指します→実験や研究中の治療方法は含まれません。
(例1)打撲で3カ月通院して痛みがなくなった場合には、「治ゆ」となります。
(例2)ムチウチでリハビリ治療等を半年継続しても手のしびれ等の神経症状が残存してしまった場合に、医師と相談して「治ゆ」となります。
上記例2のように、症状が改善されていないのに労災での治療ができなくなってしまう場合があります。 もし「治ゆ」となってもまだ症状が残存している場合、障害(補償)給付を受けられる可能性があります。また、健康保険に切り替えて通院を継続できます。
労災の『障害認定必携』から抜粋します。改定は平成23年3月の第15版からの改定です。大変に遅ればせながら、内容を確認してみましょう。
まず、7級の認定基準から線状痕(5cm以上)が消えました。5cm以上の線状痕は「9級11号の2」として新設されたことになります。
自賠責は近時の認定例から、ほぼ間違いなく、そのまま労災の変更に合わせて変更・準用しているようです。興味深い点は労災は9級の場合、「9級11号の2」としているのに対し、自賠は「9級16号」としています。号の整理で相違が見られるようです。
旧基準
(1)外ぼうの醜状障害
イ 「外ぼう」とは、頭部,顔面部,頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部分をいう。
ロ 外ぼうにおける「著しい醜状を残すもの」(=7級12号)とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。
(イ) 頭部にあっては、手のひら大(指の部分は含まない。以下同じ。)以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
(ロ) ...
業務日誌が停滞しています・・。事務所4人とも年度末から大奔走中です。
お花見の予定など立てようがありません。私は明日から博多です。
GWまでなんとか取り戻します。お待たせしている皆様、もうしばしのご猶予をお願いします。
それではもう一例、明らかに5cmを超えていた。実測6.5cm、そして何より目立つ。それでも線の細さから、形成手術でそれなりに消すことが可能だからでしょうか。
醜状痕の男女差別廃止を経て、労災は等級を見直しました。5cmは「著しい醜状」から「相当程度の醜状」に、つまり、9級11号の2(自賠責では9級16号)となっています。自賠責の基準もそれに従って改定したようです。 ⇒ 労災の線状痕の新基準
【事案】
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旧基準から新基準に改定された顔面部の醜状痕ですが、顔面線状痕の場合、労災の基準上はキズの長さで区分されています。しかし、”目立つか否か”も前提基準です。
3cm 以上の線状痕 →12級
5cm 以上の線状痕 → 7級
となると、新設の9級16号の基準は? 非公表のため、長らく謎でした。ここ数年の認定結果から予想通りと言うか、線状痕の7級(5cm以上)はほとんどが9級評価の結果となっています。 7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの ★「著しい=5cm以上」→「相当程度=5cm以上」に降格したようです。今シリーズの最後に労災の『障害認定必携』の改定された部分をまとめます。 ⇒ 労災の線状痕の新基準
【事案】
最近は奥さんが働いて、旦那が主夫となる家庭も増えたと思います。交通事故では主婦の休業損害は高く、1日9750円程度(保険会社の基準では5700円)、後遺障害が認められた場合、逸失利益の計算根拠となる主婦の年収はなんと、約350万円なのです!(保険会社は200万円程度ですが)
つまり、共働きで年収の低い亭主、退職した主人、そもそもヒモの旦那は主夫を主張したいのです。しかし、主夫立証の道は険しく、裁判上でも、しっかりとした証拠を積み上げなければ認められません。その証拠とは?過去の成功例では・・
・当然ですが奥さんが働き、旦那が家事をしている実態=陳述書で説明
・奥さんが一家の家計を担っていること=源泉徴収票・申告書の所得額
・さらに、源泉徴収票等の配偶者の欄に旦那の名前
・世帯主が奥さん=住民票
これらが揃えられればれ、なんとかなります。それだけ世間の印象は「どうせ、男は家事やってないでしょ」なのです。
【事案】
自動車搭乗中、交差点で左折中に信号無視した加害自動車が進入し、衝突した。直後は症状が出ていなかったが、事故の翌日、頚部痛を感じ、通院を開始した。
【問題点】
通院中、主治医が退職してしまい、違う医師に交代した。後任の医師の診察で画像所見が認められるのか、現在の症状と事故との因果関係について確認した。病院同行中、本人から、自覚症状として手にしびれがあることが分かったが、これはリハビリ中に表出したことが分かった。神経症状が信用されるかは疑問であったが、無事に14級9号が認定された。その後、弁護士に交渉をして頂く運びになったが、主夫休損が認められないか相談された。
【立証ポイント】
男性で主夫休損が認められることはほぼなく、実態上、男性が家事を行っており、女性が働きに出ており、かつその収入で生計を主に立てている状況であることを立証することになる。弁護士事務所と相談した結果、まず、住民票で世帯主は奥さんになっているのか、奥さんの源泉徴収票で扶養家族に主人名が記載されているか、そして、タイムスケジュールで主夫業をどのように行っているのかをまとめるよう指示した。
結論として、本件では住民票の世帯主は主人で、源泉徴収票も扶養家族になっていなかったことから、主夫休損は非常に困難であることを説明した。
「MRIを撮ったら肩腱板損傷が見つかりました!」
このように第一声を発する被害者さんを多数経験しています。画像検査した結果、損傷が見つかったのです。腰椎の圧迫骨折でも「レントゲンを撮ったら圧迫骨折でした!」が次ぎます。
確かに事故の前は痛みがなく、受傷から症状が現れたのかもしれません。それでも”その損傷が事故の衝撃で起きたものである”と説明がつかなければ、等級認定はありません。どう考えても、「その事故で棘上筋が切れたの?」と思えないこともあります。高齢者に多いのですが、事故前から棘上筋が多少損傷している方もおります。長年、肩を使う仕事や老化から、靱帯がささくれだったように痛んでいることがあります。それが事故の検査で初めてわかったことになります。これは決して珍しいことではありません。問題は事故との因果関係となります。
自賠責はまず、常識で判断しているのです。画像に映ったからと言って、それが事故の衝撃で損傷したものなのか・・冷静に対処しないと、非該当が待っているだけではなく、依頼者と泥沼の関係に陥ります。交通事故外傷に精通していない事務所は、依頼者と共に間違った方向へ付き合ってしまうようです。
【事案】
自動車搭乗中、直進道路で信号待ちしていたところ、後方から追突された。事故直後から頚部痛だけではなく、肩部痛や上肢のしびれ等の神経症状に悩まされる。
【問題点】
頚椎捻挫の他に腱板損傷も診断されていた。肩についてはMRI撮影されていたが、頚部についてはMRI撮影していなかった。
【立証ポイント】
自動車搭乗中に追突を受けて肩腱板を損傷することは、車が大破するような衝撃は別として、受傷機転の説明に窮する。調査事務所は間違いなく疑ってかかる旨を説明した。念のため、肩については専門医を紹介した。専門医曰く、「腱板損傷はわずかではあるが、MRI画像上認められる。しかしながら、外傷性かどうかは、明言できない」との診断。 また、頚椎捻挫で症状が残存する可能性があったため、頚部のMRI撮影も進めた。リハビリを継続し、事故から半年が経過しても尚、頚椎に症状が残存していたことから、後遺障害診断書に頚部痛も記載して頂いた。頚椎で14級を取ることは、肩が否定された時の保険でもある。
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腰椎の圧迫骨折を数例、経験しています。共通する事は高齢者を除き、後遺症として”永久に回復しないわけではない”ということです。 保険会社の賠償金提示でも、将来の損害である逸失利益を否定する傾向です。保険会社に言わせれば、「骨が元通りに再生すれば、障害は残らない」はずなのです。確かに受傷初期の激痛は半年も続かず、その後、日常生活に支障の少ないケースをいくつもみています。当然、若い方なら骨の再生も早いものです。
それでも、痛みや不具合は数年続きます。仕事のパフォーマンスも永久ではないにしろ、数年は下がるでしょう。したがって、圧迫骨折の11級認定を受けるだけではなく、痛み等を12級13号の評価と同じく、神経症状の残存として内包させる必要があります。この辺を理解していない弁護士・行政書士に依頼すると、後の賠償交渉で数百万円も失うかもしれません。
弊事務所では「交通事故で骨折したら、まず相談」を呼びかけています。
【事案】
自転車で横断歩道を直進中、左後方から右折の加害自動車に衝突された。救急搬送され、腰椎の圧迫骨折が診断された。
【問題点】
相談に来られた際に画像はレントゲンのみで、CTやMRIは撮っていないことがわかった。また、腰痛は軽減しつつあった。
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後遺症が嘘偽りなく残存しており、医師が正確な診断書を作成すれば・・私達の仕事など必要なく、等級認定はされるでしょう。しかし、いつだって理想と現実は違うものです。
被害者が正しく症状の説明ができない、医師が症状を見落とす、認定に必要な検査が実施されていない、診断書に認定上必要な記載がない、理由は様々ですが、むしろ正確な後遺障害診断の方が少ないように思えます。それでも自賠責・調査事務所は、”与えられた情報”から認定をしていくしかありません。被害者側の立証作業が必要な場面は多々あるのです。
しかし、本件は主治医の独壇場でした。この医師は治療のみならず、後遺障害認定まで、なかなかに上手く進めてくれました。心配は相手保険会社との摩擦のみ、ここは慎重に経過を追っていきました。認定までヒヤヒヤしました。
【事案】
自動車搭乗中、直進道路で後続車の追突を受ける。直後から頚部痛、腰痛のみならず、手のしびれ、足のしびれ等の神経症状に悩まされる。
【問題点】
事故から半年が経過してもまだ症状が残存したため、症状固定の話を主治医にしたところ、主治医は保険会社から治療費が出ている間はなるべく症状固定をしたくないご様子。さらに、保険会社にも積極的に連絡をする医師らしく、こちらから話をしても、保険会社との折衝を気にしておられていた。保険会社としては、なるべく早めに症状固定することを望んでいるのが通常であるが、このような医師なので保険会社との交渉がうまいのか、さらに2カ月近くまでは治療費を出して頂けることになった。なお、保険会社は通販系の保険会社であった。 その後、症状固定するため診察の予約を入れたところ、症状固定の診察をご丁寧にも、3回に分けて行った。
【立証ポイント】
主治医に後遺障害診断を書いて頂く必要があるため、事故から半年以上経過してもリハビリ等の治療をこれまで通り継続し、症状がどのように変化(緩和したのかどうか)していったのかを注意深く本人から聞き、最終的にどのような症状が残存したのかを確認し、後遺障害診断書に自覚症状を丁寧に記載して頂いた。
相談者の方で「14級が既に認定されている場合に弁護士さんに依頼した方が得なのでしょうか?」という話をよく耳にします。
弁護士費用特約に加入されている方であれば、絶対に依頼するべきです。ご本人の懐が痛まずにもらえるお金が増えるのですから。ただ、このような悩みを抱えていらっしゃる方はほとんどが弁護士費用特約未加入の方です。
「弁護士さんに依頼した方が多くもらえるっていうのは分かるけど、弁護士さんに払うお金が気になる…。」 非該当の方なら悩むべき問題ですが、14級を認定済みの方は迷わず依頼すべきです。相手は交通事故の交渉のプロ・百戦錬磨の保険会社です。素人である被害者がどう頑張っても満額を勝ち取ることは至難の業です。
交渉での満額や納得いく金額を得ることはほとんどありません。そうなるとやはり思い浮かぶのは紛セン(交通事故紛争処理センター)かと思います。粉センでは無料で弁護士さんが和解・斡旋・審査手続きを行ってくれますが、様々な負担もあります。大体3回~5回で和解することが多いのですが、相談期日が1ヶ月間隔なので少なくとも3回の平日を空けなければなりません(粉センは平日にのみ対応しております)。普段、平日にお勤めしている方には、負担になると思いますし、請求額の根拠となる資料もご自身で集めなければなりません。
「ご自身の交渉のみの額」よりも、「弁護士に依頼した(満額―報酬)額」の方が多くもらえることの方が圧倒的に多いのも事実です。もっとも弁護士の力量にも左右されますが・・。
交通事故で大変な思いをして、それからさらに交渉でまた心労を重ねることがご自身にとっていいことなのかをしっかりと判断していくことも必要なのではないでしょうか?
前回述べた3つの靭帯が骨化していく病気について、簡易にではありますがまとめました。
これらの病気のうち、特に後縦靭帯骨化症と黄色靭帯骨化症は、せき髄を圧迫する病気であり、これらを患っている方が交通事故に遭われた場合、ムチウチ等の症状と同様、ないしはそれ以上に辛い症状がでることがあります。
※ 前縦靭帯骨化症の場合、せき髄を圧迫しないので前述したように症状が出ることはあまりありませんが、後縦靭帯骨化症が併発しているケースが多いです。
しかし、一部症状がムチウチの症状と酷似しているため、事故によるものか、病気によるものかの区別ができない場合が多くあります。また、調査事務所もムチウチの後遺症(後遺障害)については症状が信用できるかどうかでみております。MRI画像上で後縦靭帯骨化症等が判明すれば、「既往症あり」として、等級を認めないケースもあります。
それでは、交通事故に遭われた場合、完全に等級が認められないのでしょうか。
結論として、事故前から症状があり、症状が交通事故後によりひどくなった場合に、既存障害を前提として等級を認めてもらうように申請をする場合があります。
例えば、まず交通事故以前に後縦靭帯骨化症を診察されていれば、その時の症状と交通事故後の症状とを比較し、前者が14級9号レベルの症状であった場合で、かつ後者の症状が12級13号レベルの症状であった場合、12級13号を現存障害とし、14級9号を既存障害として認められることがあります。これは自賠独自の「加重」の計算で、
現存障害(12級の224万円)- 既存傷害(14級の75万円)=149万円の保険金支払い となります。
裁判上でもこの計算方式が踏襲されることが多くなります。したがって、この差分を前提に裁判基準へと計算し直し、弁護士は相手方保険会社に対して請求する傾向です。 続きを読む »
靭帯が骨化していってしまう病気として、ここでは①後縦靭帯骨化症、②前縦靭帯骨化症、③黄色靭帯骨化症をあげていきたいと思います。
これらの具体的な原因については不明といわれており、これらのうち①後縦靭帯骨化症、③黄色靭帯骨化症は、国の特定疾患(難病)に指定されております。
しかしながら他方で、要因として肥満や糖尿病等の生活習慣病や遺伝的要因があげられています。 ① 後縦靭帯骨化症について
後縦靭帯骨化症とは、椎体の後面についている靭帯が骨化(骨に変性する)する病気です。
この骨化した靭帯が脊髄や神経根を圧迫すると、手足の痺れ、首・背中・腰の痛みが生じ、最悪、運動障害も生じる可能性があります。また、排尿障害も起きる場合もあります。
症状が重い方は、靭帯を圧迫している骨を削る除圧術、除圧後に骨移植やプレート・スクリューで固定する固定術等の手術を行う必要があります。 ② ...
最近、労災事故であるのにも関わらず、「健康保険を使って通院しています。」という相談をよく耳にします。実はこの行動、健康保険法違反だということをご存知でしょうか? 第一章 総則
第一条 この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
第四章 保険給付
第五十五条 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費若しくは家族埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定により、これらに相当する給付を受けることが出来る場合には、行わない。 要約すると、労災事故に関しては労災を使いなさいということです。
労災を適用することによって、会社が不利益を被ることはないのですが、進んで労災を適用してくれる会社が少ないことも事実です。通常、労災は届出だけで使用できます。しかし、会社での立場等を考えて、自ら労災を適用しない被害者の方も多いようです。 交通事故被害者の方が治療に専念できる環境を作ることが重要なことだと思うのですが…。私共は総合的にサポートしていきますので、事故に遭ったらまず、秋葉事務所へ連絡して頂ければと常に思っております。
前回まで3メガ損保の約款を精査しました。その他の会社に目を移しましょう。
あいおいニッセイ同和さんは損保J日興に同じく、「人身傷害は裁判基準」と潔くなっています。また、同じく掛金の安い、人身傷害が付いていない保険の場合は無保険車傷害特約の適用になります。その無保険車傷害の支払基準は三井住友のように、「当社との協議、それでまとまらなければ当社と裁判か調停をして下さい」ときました。加害者と裁判して、地裁で審議が終わっているのに、再び人身傷害の請求で裁判させる気でしょうか?なんたる不毛感、契約者を愚弄していると言っても言い過ぎではないような気がします。
この、あいおいニッセイ同和型も1つのパターンとしましょう。これは「人身傷害は裁判基準、無保険車は原則・人傷基準&自社との交渉・裁判」型と呼ぶしかありません。そもそも数年前は全社、無保険車傷害は相手との裁判での判決額、つまり、裁判基準を認めていたのです。
このように会社ごとに約款改定が進み、細部が違っています。面倒ですが、それぞれの会社の約款も確認しなければなりません。小さいに字に眼がしょぼしょぼ、おかげで老眼が進みます。
まずは人身傷害、5年前のアンケート結果を確認します。平成23年6月、北海道の消費者団体がこの問題について、「訴訟基準差額説」or「人傷基準差額説」のどちらで支払うのか損保各社に質問状を送りました。回答は以下の通りです。
今日の内容がわからない方⇒訴訟基準差額説、人傷基準差額説
会社名
賠償義務者への 訴訟が先行した場合
人身傷害保険の 支払が先行した場合
改訂時期
回答
回答
あいニッセ同和H22.10.1
訴訟基準
訴訟基準
アクサH22.4.1
人傷基準
訴訟基準
イーデザインH23.4.1
その他
訴訟基準
共栄火災H23.4.1
その他
その他
セコムH23.4.1
昨年から弁護士と合同でセミナーを開催しています。今回の参加者は8名、いずれも意識の高い方が集まって頂きました。テーマは私が担当する「むちうち」と、弁護士による「交通事故被害者専門の弁護士」です。
後遺症の残るような大ケガはめったにありません。それでも神経症状があれば、むち打ちや頚椎捻挫でも等級が認定されることがあります。当然、骨折があれば、正しい治療経過としっかりとした立証計画を経る事によって、多くのケースで等級が認められます。是非、そのような事実、知識を持ち帰って頂きたいと思っています。 被害者救済に向け、強固な体制作りが進んでいます。未だ道半ばですが、一歩一歩着実に積み上げていきたい仕事です。
次に三井住友さんの約款です。損J日興、東海日動とも違う、微妙かつ独自の内容です。
<人身傷害> 第5条 損害額の決定(1)次の①~③区分ごとに、自社基準で算定します。
① ケガの損害 ② 後遺障害の損害 ③ 死亡 (かなり略しました) (2)(1)の規定に関わらず賠償義務者がある場合には、保険金請求権者は、(1)の区分ごとに<別紙>に定める基準により算定された金額のうち、賠償義務者に損害請求すべき損害に係る額を除いた金額のみを当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額として、当社に請求することができます。 この場合における、賠償義務者に損害賠償請求すべき損害に係る額とは、(1)①から③までの区分ごとに算定された金額に対し、次の手順に基づいて決定した賠償義務者の責任割合を乗じた額(賠償義務者がある場合において、自賠責保険等によって支払われる金額を下回る場合には、自賠責保険等によって支払われる金額とします。)の合計額とします。
① 当社と保険金請求者との間の協議
② ①の協議が成立しない場合は、当社と保険金請求者との間における訴訟、裁判上の和解または調停。 相変わらず難解な文章です。弁護士の先生ですら「訳わからん」と言っています。訳します・・
「まず、人身傷害の保険金は当社の基準で計算します。それで納得できなければ話し合いましょう。それでもダメなら、うちと裁判して決めようや。」 何とまぁ、三井住友さんの約款は関西っぽいノリを感じます。続いて無保険車傷害ですが、人身傷害約款の(2)とほぼ同じ意味です。あえて全文を対比してみましょう。
<無保険車傷害> 第6条 損害額の決定当社が無保険車傷害を支払うべき損害の額は、賠償義務者が被保険者またはその父母配偶者もしくは子が被った損害に対して法律上負担すべきものと認められる損害賠償責任の額によって定めます。この場合における損害のは、保険金請求者と賠償義務者との間で損害賠償責任の額が定められているといないにかかわらず、次の手続きによって決定します。
① 当社と保険金請求者との間の協議
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人身傷害を日本で初めて開発・発売した、まさにリーディングカンパニーを冠する東京海上さん。しかし、人身傷害の支払い問題となると、国内損保では一番遅れていると言わざるを得ません。
もちろん、平成24年2月最高裁”人身傷害の求償額を巡る判決”で、「差額説」と決まった以降は人傷先行の場合は、裁判基準にて総損害額を算定することは約款上、約束されました。(その部分は約款の色を赤にしました) まずは他社に比して細かく丁寧に規定されている約款を確認してみましょう。例によってわかりやすく、言い直し、省略=( )を加えています。
<人身傷害> 第4条 お支払いする保険金 <無保険車傷害> 第6条 お支払いする保険金(無保険車傷害の約款は人身傷害の(1)(2)(3)(6)をほぼ踏襲、その他、多くの規定は人身傷害を準用しています) (1)1回の人身傷害事故について、当会社は、被保険者1名について次の算式によって算出される額をを保険金として支払います。ただし、1回の人身傷害事故について当会社の支払う保険金の額は、被保険者1名について、保険証券記載の保険金額を限度とします。
(2)の規定により決定された損害の額 - (5)の表の費用の額の合計額 = 保険金の額(2) ① 傷害 ② 後遺障害 続きを読む »