(1)病態

 まぶたの皮膚は、まつ毛側に近づくにつれて薄くなり、眉毛側は分厚く固い皮膚となっています。薄い皮膚の直下には、皮膚と密に癒着している眼輪筋、まぶたを閉じるための筋肉があります。眼輪筋の下には脂肪層があり、脂肪層の下には、目の縁に瞼板という軟骨があります。    まぶたを開けるのに使われる筋肉には、眼瞼挙筋ミュラー筋5の2つがあります。これらは共に瞼板に付着していますす。    交通事故によるまぶたの外傷では、   ① まぶたの打撲による腫脹 ② まぶたの皮下出血    ③ まぶたの切創=裂傷 ④ 外傷性眼瞼下垂 ⑤ 涙小管断裂が予想されます。    ① まぶたの腫脹    上下のまぶたの打撲による軟部組織の腫脹で、交通事故では、自転車やバイクの運転者に多発しています。眼球内に炎症がおよんでいなければ、安静とアイシングにより、1週間前後で治癒するので、後遺障害を残すことはありません。   ② まぶたの皮下出血

 上下のまぶたの打撲で、まぶたの皮下血管が損傷を受け、内出血します。目の周りが黒ずみ、皮膚が紫色に腫れ、目が開けられなくなることもあります。視力や眼球運動に異常がなければ、安静、アイシングで1、2週間で皮下出血は吸収され、予後も良好で、後遺障害を残しません。

③ まぶたの切創=裂傷

 刃物による切創ではなく、ボクシングでも、不意のバッティングや拳の打撃により、また、交通事故の打撲でも、まぶたが切創することがあります。

 まぶたの創は、ひどい出血を伴いますが、厚く重ねたガーゼで15分ほど圧迫すると、ほとんど止血することができます。止血後に、眼科あるいは形成外科で縫合することになります。普通は、2週間程度で治療は完了します。

 複雑で大きな裂傷では、まぶたに瘢痕を残し、顔面醜状として後遺障害の対象になります。 瘢痕であれば10円銅貨以上、線状痕であれば3cm以上で、12級14号が認められます。

続きを読む »