変形性足関節症(へんけいせいそくかんせつしょう)
 
(1)病態


 左から
 ① 骨端部が、棘状(とげじょう)に突出

 ② 軟骨がすり減り、関節の隙間が一部で狭くなる

 ③ 関節の隙間が、一部で消失する

 ④ 関節の隙間が、全体に消失する
  
(2)症状

 足関節の軟骨が磨耗することにより、腫れや痛み、内反変形が見られます。
 
(3)診断と治療

 関節の腫れや内反変形などの視診、触診による痛みの部位、足関節の動き、触った際の骨の変形具合などをチェックし、XP検査で診断を確定させます。

 XPは立位で撮影、足関節の裂隙の状態を調べ、変形性足関節症かどうかの診断としています。ここでは、交通事故外傷で軟骨を損傷した後に起こるものを説明します。

 ①初期、足が軽く内側に傾いている程度あれば、足底挿板、外側に傾斜をつけた靴の中敷を作り、これを歩くときに使用します。

 体重が内側にかかるのを避け、外側にも分散させることで痛みがずいぶんと和らぎます。足の外側、腓骨の後ろの筋力トレーニングを並行して行うとさらに効果的です。

 また、関節軟骨の保護のためにヒアルロン酸の関節内注射もよく行われています。効果が得られないときは、内反変形の矯正のために外側靱帯の再建術を行うこともあります。

 ②③変形が進行、軟骨の損傷が激しくなると保存療法によって痛みを緩和することができません。そのときは、脛骨の骨切りを行って傾きを矯正する下位脛骨骨切り術(下図)が行われています。つまり、より軟骨の磨耗の少ない部分に体重を分散させる手術方法です。脛骨の足首に近い部分で骨の向きを変えて、より軟骨が残っている部分に体重がかかる軸を移動させるものです。これによって、軟骨が消失して狭くなった関節が開き、軟骨組織が再生することを促します。

 
 ④軟骨の摩耗が足関節全体に拡大しているときには、足関節固定術もしくは人工足関節置換術が適用されています。足関節固定術では、足関節の傷んだ組織を切除、脛骨と直下の距骨をスクリューで固定します。固定術は若年層や働き盛りの方が主な適用となります。

 固定すると、足首が全く動かないイメージですが、足関節が固定されても、それ以外の足部の関節が動くようになるため、足首が完全に固定されることはありません。人工足関節置換術では、軟骨を削り人工の関節を挿入します。

 
 置換術により、痛みが軽快し、足首の可動域も確保できますが、耐用年数という壁があります。2つ目は、傾斜変形が強いときは、バランスの問題が生じることから適用になりません。

この手術ができる専門医は、限られています。それぞれ長所と短所があり、軟骨損傷や傾きのレベル、年齢や活動性が考慮され、手術方法が選択されています。
 
 つづく ⇒ 後遺障害