足根洞症候群(そっこんどうしょうこうぐん)

(1)病態

 足根洞は、外果(外くるぶし)の前方にあって、踵骨と距骨の窪みのことです。足根洞の中は、洞窟構造になっており、骨間距踵靱帯と血管が走行しています。また、骨間距踵靱帯の中には、固有知覚を司る神経自由終末が存在していて、歩くときには、安定性を保つ役割を果たしています。

 足首の捻挫は、大半が外くるぶしの靱帯損傷で、多くは手術なしで完治しています。ところが、痛みが続くこともあり、その1つが、足根洞症候群です。
 
(2)症状

 でこぼこ道の歩行、足関節の内返しや底屈で痛みが増強するとの訴えがなされます。また、足の後ろの方に不安定感や下腿の外側に、だるさや痺れを訴えることもあります。
 
(3)治療

 受傷機転は、重度の足関節捻挫によって、足根洞内の靭帯が部分断裂し、足根洞内で出血、その血が凝固し、変性することで、踵骨と距骨の間の滑らかな動きを妨げ、骨膜炎や浮腫を生じて、痛みが出ると考えられています。XP、CT、MRI撮影で検証しますが、確定診断には、MRIが有用です。

 治療は、保存療法で、足関節の内返しを制限するテーピングや足底挿板などで足根洞部分へかかる負荷を軽減します。痛みに対しては、局所麻酔剤とステロイドを混ぜて、注射すると効果が現れます。症状が安定すると、足関節の可動域の改善や筋力トレーニング、バランス訓練といったリハビリが行われます。これらの保存療法で改善が得られないときは、足根洞の瘢痕組織の郭清術を行いし、2、3週間のギプス固定を行います。
 
(4)後遺障害のポイント
 
Ⅰ. 非常に稀な外傷ですが、足関節の外側の疼痛や不安定感が長く続くときは、整形外科・スポーツ外来の専門医を受診しなければなりません。
 
Ⅱ. 距骨、踵骨の骨折を伴わない足根洞症候群であれば、完治し、後遺障害を残すことはありません。
 
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