種子骨々折(しゅしこつこっせつ)


(1)病態

 種子骨は、親趾付け根裏の屈筋腱内にある2つの丸い骨であり、種子骨の周辺には筋肉や腱が集まり、これらの筋肉や腱が効率よく動くことを助けています。

 種子骨の骨折は、歩行中に交通事故による外力で踏み込みが強制されて、母趾球を強く打撲したときに発生しています。
 
(2)症状

 直後は激痛を感じますが、しばらくすると痛みは和らぎます。症状が進行すると足を地面につけただけでも痛みがあり、歩行も困難になってきます。
 
(3)治療

 足を安静下におき、足の裏にかかる負担を軽減するために柔らかい素材のパッドを靴の中に入れて使用します。パッドは母趾球部がくり抜かれており、体重をかけたときに圧力がかかりません。

 大多数は、改善しますが、効果が得られないときは、手術で内側の種子骨を摘出しています。
 
(4)後遺障害のポイント

 足指や足部では、打撲や捻挫の傷病名で後遺障害認定は、例外がありますが、多くは非該当です。損保では、DMK136という言葉で語られており、D打撲は1カ月、Mムチウチは3カ月、K骨折は6カ月をおおよその治療の目安としているのです。したがって、「DMK136は治るもの」が原則です。

 例外的に秋葉事務所では、捻挫や挫傷で多くの認定を得ています。
 
 なんとか認定 👉 14級9号:足背部挫傷(60代男性・東京都)
 
 脱臼や骨折、靱帯断裂など、器質的損傷をCT、MRIの撮影で立証しなければなりません。もちろん、受傷から2カ月以内に撮影しないと、事故との因果関係の立証が困難となります。
 
◆ 足指の関節
 親指では、指先に近い方からIP、MTP関節、その他の足指にあっては、趾先に近い方からDIP、PIP、MTP関節、これが手指となると、親指では、IP、MCP関節、その他の手指にあっては、指先に近い方からDIP、PIP、MCP関節と呼ばれています。

 現実的には、足趾の後遺障害は関節の機能障害よりも、痛みの神経症状で14級9号12級13号の獲得を目指すことが多くなります。12級13号であれば、骨癒合の不良もしくは変形癒合を緻密に立証しなければなりません。2方向のXPだけでなく、3DCTによる立証が有用です。
 
◆ 医師に不審を感じたときは、ネットで、「日本足の外科学会」を検索してください。ホームページでは、専門医が紹介されています。近くの専門医に、急いで、セカンドオピニオンを求めるのです。
  
次回 ⇒ 足趾(足指)の機能障害  下肢シリーズ最終回です。