接骨院・整骨院と法律事務所の提携は一時期に比べ、下火になったようです。これは数年前の提携ブーム時から予想していたことです。

 依頼者の損害回復を図るべき弁護士や行政書士等、関連する業者は、治療行為による回復と金銭による損害賠償を平行して考えていかなければなりません。接骨院・整骨院の施術=緩和措置も、治療行為の重要な位置付けであることに異論ありません。しかし、こと後遺障害の認定となると、医師以外の治療行為は大変不利に審査されます。治療先の選択はあくまで被害者の権利ではありますが、依頼・相談を受けた法律家は、病院と接骨院(整骨院)の役割の違い、損害賠償上の有利不利について、適切な説明と誘導が必要だと思います。 「提携先だから、被害者をすべて紹介?」・・・これでは困るのです。
 
 むち打ちと言えど、症状が深刻で神経症状を発露している患者さんは、やはり、長期的な治療計画を見据え、後遺障害の認定を目指すべきでしょう。それには医師の下で治療を進める必要があります。しかしながら、お仕事や家庭、地域の事情から病院でのリハビリ通院が叶わないこともあります。その場合は、本件のような方策をとります。審査側である自賠責に個別の事情を説明することも、重要な立証作業です。14級9号の認定は、訴えの信憑性につきるのです。 

毎回、薄氷を踏む申請が続きます

併合14級:頚椎捻挫・腰部挫傷(40代女性・埼玉県)

【事案】

自動車搭乗中、信号待ち停車中、相手方自動車の追突を受けた。直後から腰痛のみならず、手から指にかけてのしびれ等、神経症状に悩まされる。

【問題点】

リハビリ可能な整形外科が自宅近くにはなく、接骨院と総合病院のみ。総合病院ではリハビリは一応可能であったが、継続的な通院が厳しい状況であった。

【立証ポイント】

やむを得ず、接骨院と総合病院での通院を並行して進めることにした。その後、症状固定したが、病院の通院回数は約50回と少なめであった。被害者請求を実施する際、接骨院にも通うことになった経緯、家庭の事情を説明した文書も添えた。

程なく14級9号が認定の報が届いた。自賠責調査事務所は通院回数のみならず、様々な事情を総合評価した上で審査して頂けることを改めて実感した。