今年も胸椎・腰椎の骨折の受任・認定が多かった。年末に向けて好取り組みを2紹介します。

 毎度のことですが、ただ医師に任せっきりのまま、当たり前に後遺障害が認められるわけではありません。とくに高齢者の場合は、既往症の関与に注意すべきです。また、普通に骨に年齢変性の変形がありますので、それらと事故受傷によるダメージ(新鮮骨折)と区別する必要があります。本件の場合、直接治療には関係ないものの、主治医にお願いしてMRIを早期に実施しました。

 立証作業は、受傷早期からが望ましい。エビデンス(証拠)とは、新鮮な方が良いに決まっています。時間が経てば、最悪、別の事故や転倒から、同部位を重ねて受傷する危険性もあります。総じて、高齢者の後遺障害の立証には何かと気を使います。胸椎・腰椎の圧迫骨折はその代表例ではないでしょうか。
 
 腰の曲がったおじいちゃんは、胸椎・腰椎が間違いなく自然に変形しています
 

11級7号:胸椎圧迫骨折(80代男性・長野県)

【事案】

直進車と対抗右折車の衝突事故。直進車の運転者は衝撃で腰椎を圧迫骨折したもの。

【問題点】

事故当初の診断名は全身打撲、腰の痛みがひどいようなので、レントゲンで胸椎の骨折が確認された。その後コルセットを装着、保存療法となった。レントゲンではよく確認できないが、椎体が垂直に潰れているように思えた。

【立証ポイント】

圧迫骨折の疑いを持ち、直ちに主治医にMRI検査をお願いした。高齢者の場合、陳旧性骨折(年齢変性から元々脊椎が潰れている)の場合があるので、早期にその疑いを払拭しておきたかった。

受傷6ヵ月後に症状固定、問題なく11級の認定を得た。