今月は高次脳機能障害の申請が4件と大ボリュームの提出書類ラッシュです。おかげさまで高次脳機能障害の相談・受任を全国からいただいております。この分野をしっかり扱える事務所として認知が進んでいますが、一層、胸襟を正して取り組んでいきたいと思います。

 
 さて、ホームページを見渡すとどの事務所も「高次脳に経験豊富」と喧伝していますが、実際はそんなことはありません。高次脳機能障害の年間認定数はおよそ3000件しかないのです。その内、法律事務所が扱う数は20~30%の600~900件程と推測できます。やはり、特殊な分野であることは変わりません。ホームページ上ではどの事務所も詳しい解説満載ですが・・バラしてしまうと、残念ながら多くの事務所は「出来上がったHP」を業者から買って載せているに過ぎないのです。交通事故・弁護士のホームページとして、高次脳機能障害の雛形がそっくり売っています。
 また、行政書士でも高次脳を常時10件受任している事務所など国内に5つも無いでしょう。それでもネットの世界ではみ~んな専門家です。

 商売上の宣伝に迷わされず、経験ある(実績を明示している)しっかりとした相談先を選んでいただきたいものです。

 それでは、3件ばかり今年の認定例を続けましょう。

 

併合4級:高次脳機能障害・脛骨骨折(40代男性・宮城県)


【事案】

c_y_21 自動車で直進中、対向車のセンターラインオーバーで正面衝突、自動車は大破した。被害者は大腿骨、脛骨を骨幹部骨折、他に肋骨と胸骨を骨折した。頭部を強打し、意識障害があった。
 

【問題点】

事故の2ヶ月後には家族から弁護士事務所に相談があった。意識障害があったことから高次脳機能障害を懸念、弁護士事務所より依頼を受けて、早速、新幹線に飛び乗り病院へ駆けつけた。脳に損傷があるかを確認するため、初期のMRIを確保したかった。

【立証ポイント】

幸い、MRIでDWI(ディフュージョン)が実施され、脳に微細だが広範な出血を確認、「びまん性軸索損傷」を診断名に加えることができた。継続的に適時MRIフレアの検査をお願いした。

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リハビリ病院に転院後は担当の医師と面談を重ね、数種の神経心理学検査をリクエスト、TMT、PASAT、KWCSTでは期待通りの数値を得た。 受任後から奥様に日記の記録を奨励、これが後に日常生活状況報告書・他文章の作成に大いに役立った。そして、1年3ヵ月後、余裕を持って症状固定を迎え、医師と協力して完璧な診断書類を仕上げた。

結果は、特に注意・遂行能力の低下が評価されて高次脳機能障害が5級2号、下肢は足関節の機能障害で12級7号、以上から併合4級となった。

受傷初期からの受任により、医師、家族、現地の弁護士、そしてメディカルコーディネーターの理想的なチームワークを形成、教科書的な立証作業を行うことができた。