駐車場内の自動車同士の衝突で過失割合を問うと、「道路外ですから50:50ですよ」との見解を示す保険会社(のSC担当者)が相変わらず多いものです。毎度、うんざりさせられます。理論的には、駐車場内の事故は道路交通法の適用外となります。だからって、責任関係の検討を放棄してしまっては、お互い納得いかないでしょう。一方、裁判の判例では責任割合について、いくつかの類型ごとにしっかり判示しています。また、『判例タイムス38』(平成26年5月)より、典型例がようやく掲載されました。

 なんでもかんでも「半々の責任で」とする保険会社が単に勉強不足なのか、面倒なのでそうしているのか、ある意味、知らばっくれているのか・・・。買い物の多い年の瀬、駐車場の事故報告が予想されますので、一緒に復習しましょう。(本文はAKB東京通信の12月号に掲載されたものです)
 
(1)通路を進行するA車と、駐車区画から退出しようとするB車 ⇒ A30:B70

 そもそも、駐車場内では自動車が停止・後退・転回等の動きがあるところ、お互い十分に注意して走行すべき義務があります。

 それでも、「B車は、先に駐車区画に入っていることから、A通路通行車より、容易に周囲の安全を確認できる点」、「B車は、通路における直進車の進行を妨げる存在であること」から、注意義務がA車より高いと考えられます。
 
2)通路を進行するA車と、駐車区画に入ろうとするB車 ⇒ A80:B20

 「B車が駐車しようとしている状態は、駐車場内であるから当然の動きで、A車は十分に予見できる点」、続いて「駐車場なのだから、B車の進入動作を優先させてあげるべき」と解されます。

 尚、B車の前進か後進かは、原則、考慮されません。
 
 (1)(2)共に修正要素として、著しい過失で10%、重過失で20%。これは以下の例を参考にして下さい。

 もちろん、事故状況によっては、上記(1)(2)の基準によらず、個別に検討すべきとされています。