最近、キックボードに乗っている方をよく見ます。1990年代後半に流行しましたが、その後衰退の一途を辿った記憶があります。自転車の方が便利で速い(しかもキックボードほど疲れない)にもかかわらず、友達がキックボードで集合する風景が懐かしいです。今も小学生たちがキックボードを乗っている姿をたまに見かけますが、大人たちは電動キックボードです。電動キックボードはまだ法整備が追いついておらず、グレーな存在かと思っておりましたが、都市圏ではシェアリングサービスが普及し始めました。

 本年4月23日付で経済産業省が産業競争力強化法に基づく新事業活動計画を認定したようです。これにより認定された4つの事業者(株式会社Luup、株式会社mobby ride、株式会社EXx、長谷川工業株式会社)に対して国家公安委員会及び国土交通省において「道路交通法施行規則」及び「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の適用に関して新たな規制の特例措置を講じられたことから、本特例措置の対象となる電動キックボードの通行に関する安全性等について検証することになりました。
 
参照:警視庁HP、経済産業省HP
特例電動キックボードの実証実験の実施について 警視庁 (metro.tokyo.jp)
産業競争力強化法に基づく新事業活動計画を認定しました (METI/経済産業省)
 
 この特例措置により、電動キックボードが身近な存在になり得るかもしれません。速度制限が15km/hではあるものの、小型特殊自動車と位置付けるため、ヘルメットの着用が任意となりました。また自転車同様に一方通行や進入禁止(自転車を除く。)等の標識があったとしても、双方通行ができるようになりました。この特例電動キックボードの実証実験の実施がうまくいけば全国で整備され、街中で電動キックボードが走行している風景が近い将来やってくるかもしれませんね。

 しかし、ここで問題になるのが「保険」です。株式会社Luupでは、三井住友海上とタッグを組み、株式会社mobby rideはあいおいが協力パートナーとして保険制度の構築をしているようですが、対電動キックボードの事故が多発することでしょう。現に、5月に大阪市内の歩道で、電動キックボードに乗って歩行者をはねてけがをさせ、そのまま逃げたとして30歳の男が逮捕されたようです。(その後、自動車過失運転致死傷罪とひき逃げで略式起訴され、罰金50万円の略式命令が発せられた)被害者は首の骨を折る重傷であり、弊所にかかれば後遺障害等級を認定することができる可能性が極めて高いです。しかし、この逮捕された男が無保険だったらどうでしょう。資力がなければ、加害者に支払わせることが極めて厳しいと思いますので、ご自身の人身傷害に請求しなければならないかもしれません。

 このように便利になる反面、保険に守られない被害者が多発しないよう、一刻も早い法整備が望まれます。まだまだリスクはありますが、この電動キックボードがどこまで普及するか、どのように世の中に溶け込んでいくか期待しています。

 ★ キックボードでの事故・怪我についてもご相談を承りますので、秋葉事務所にご相談ください。
 
 ※ キックボードは道路交通法上、原動機付自転車(125cc以下=0.6kw以下)に分類されます。公道仕様の電動キックボードは基本的に0.6kw以下のモデルが多いようです。公道を走る場合は自賠責保険加入が義務付けられます。また、任意保険も加入可能です。原付バイク扱いであれば、自動車保険のファミリーバイク特約の付保がお得です。加害事故の賠償保険は当然として、自身のケガに備え、人身傷害付が望ましいと思います。掛け金は3倍になりますが、大事です。