最終更新:2019年11月25日

週末の相談会から~  橈骨神経麻痺にも種類、程度が・・・


復習・・・腕・肘の後遺障害 8 橈骨神経麻痺

橈骨神経麻痺には手首や指の動きが全く障害されずに、しびれ感覚だけが残存する場合があります。これは橈骨神経麻痺でも特に橈骨神経浅枝麻痺(とうこつしんけいせんしまひ)が疑われます。

 

橈骨神経は浅枝深枝(後骨間神経)に分かれます。

 

◇橈骨神経の深枝(康橈骨神経)が損傷すれば、手首自体が動かなくなり、麻痺がひどいと下垂手となります。

 

浅枝は前腕で腕橈骨筋の深部を前外側に向かって走り、手首の手前、親指側の表皮に達します。

この神経は知覚枝であり、感覚を司るだけなので手関節、指の動きに影響はありません。

 

手の甲の感覚が無い?橈骨神経浅枝麻痺の可能性!後遺障害の立証を

 

 

上腕骨(にのうで)から降りてきた橈骨神経は、この×印の部分で、浅枝と深枝に分かれます。

※わかりやすく浅枝のみお絵かきしました。

×印から親指、人差し指の方に進んでいき、線の部分のどこかで骨折等すると、神経が損傷します。すると、親指、人差し指辺りの#周辺に知覚異常が発生します。

 

橈骨神経浅枝麻痺:症状と治療方法

 

【 症状 】

 

橈骨の骨折で起こりますが、上腕骨の骨折でも頻発します。骨の癒合が良好であっても、しばらく悩まされる後遺障害です。プレート固定中はそうでもなかったのに、抜釘した後にしびれが生じたり、しびれだけではなく、無感覚(無痛感、無蝕感、無温感)も多く経験しています。

針でチクチク刺しても痛みを感じない、筆でこすってもくすぐったくならない・・・

 

実際に土曜日の相談者さんにクリップを伸ばした先端とティッシュを使って刺激してみたところ、手の甲の親指側はまったく感覚がないことがわかりました。

 

これはけっこうやっかいです。なぜなら弱い痺れは自覚できますが、無感覚の場合、刃物が触れても感覚が弱いため、深く切ってしまったり、熱湯がかかっても反応が鈍いため、ひどいやけどとなってしまいます。「痛い、熱い」の感覚は人体の損傷を守るために大事な感覚です。

 

【 治療 】

 

治療としては肘、前腕、手関節などのストレッチ、メチコバールの処方、局所へのステロイド剤の注射などを行います。

症状が改善しないようなら手術によって、圧迫している筋膜を切除し、神経を開放します(神経剥離術)。

しかし軽度のしびれ、無感覚では症状が軽視され、保存療法とされることが圧倒的です。

 

橈骨神経浅枝麻痺の立証と後遺障害等級

 

橈骨神経麻痺のなかでも深枝麻痺で手首がだらんと垂れ下がる完全麻痺なら、筋電図、神経伝達速度検査で数値を計測、手首、手指の可動域測定(自動値)にて「自動運動不能」と記載します。 しかし、軽度の麻痺や無感覚程度では数値上はっきりでないことが多く、もちろん手首も動きます。そうなると14級9号がターゲットになります。数年で軽減するであろうと推定されるものだからです。12級以上は相当の検査数値と改善の見込みが薄いとする医師の確実な所見が必要となります。手指の可動域制限の場合は「自動運動不能」「○○度」と書けるので等級を測る上では楽です。橈骨神経浅枝麻痺の場合、12級の立証は厳しい道となるのです。

 

個人的には障害の重篤度から12級を確保したいと考えています。また、感覚がまったく戻らなければ、手術で改善を図る道も検討すべきと思います。

その為に、橈骨神経麻痺に強く、かつ立証できる検査を実施してくれる医療機関にお連れしたりもします。

 

我々の仕事は、医療調査。

 

被害者の方と病院を同行し、医師に的確に診察・検査・診断書を獲得するために動きます。

交通事故以外でも、等級を獲得する事で労災保険が下りたり、共済保険が下りたりしますので、アドバイスくらいなら無料でさせてもらっています。

もし、手の甲の感覚がない。と言うような症状があって困っている方がいたら相談ください。

 

「これって橈骨神経麻痺だと思いますか?」でも何でもお気軽に

0120-04-1951