さて、昨日の物損交渉で憤慨中の被害者さん、今度は人損(人身被害の請求)でさらに、ヒートアップです。
 

1、休業損害

 
① サラリーマンの方は、

 保険会社から送られてきた休業損害証明を会社に書いてもらい、源泉徴収票をつけて提出すれば足ります。一日当たりの給与の計算は・・・

 事故前3か月の給与の合計÷90日で算出します。この90日は、ほぼカレンダー通りの暦日数なります。したがって、土日祝日を含めた日数で割るので、1日あたりの給与は少なめになる問題があります。これも、ここであれこれ争って振込が止まるより、ひとまず飲んで、補償してもらう方が良いです。

 詳しくは ⇒ 休業損害の算定方法に風穴!


 
② それでは、自営業の方は? 

 前年の申告書(控、ただし税務署の印あり)の写しを提出します。ここで問題は、自営業者は書面上、経費を多く計上して、自分への収入を圧縮する傾向があるので、そのまま計算されると、休業補償が少なくなります。これは節税(脱税?)の為に自らしたことですから、相手保険会社に文句を言っても始まりません。保険会社は公的な証明を基に支払うしかありません。だって、被害者が自筆でノートの切れ端に書いた金額など、「お手盛り」と言われても反論できないでしょう。

 では、ここで、保険会社に不正な証明を提出したらどうなるでしょうか?
 
 ⇒ 休業損害請求で被害者の正邪が判断される~被害者に対する無責任なアドバイスについて ④
  
 つまり、サラリーマンも自営業も、ひとまず、算定・支払い可能な額を受け取って、最終的な賠償交渉で差額交渉、決着すればよいと思います。それとも初っ端から、相手保険会社と大戦争を始めますか?
 

 

2、治療費の延長を巡って・・

 
 保険会社は打撲・捻挫での長期通院を許しません。3か月程度で治療費の打ち切りを宣告してきます。軽傷案件では、最も相談の多い問題です。

 これについては、以前の記事に詳しく書きました。よろしければ、お読み下さい。⇒ 保険会社が勝手に治療期間を決めるのか? 
  

3、交通費を出して!タクシーで

 
 ここも、普通に公共交通機関を使って通院すれば、問題ありません。自家用車でも1km=15円のガソリン代がでますので、ここも争うほどの金額ではないはずです。

 しかし、被害者さんは、その被害者意識からタクシーを使いたがる傾向です。脚を骨折して、松葉杖なら保険会社も何も文句はないでしょう。問題は過度な使用です。例えば、むち打ちでのタクシー通院は、厳しくみられます。もちろん、症状が強い受傷初期の数回なら、保険会社は怒りません。ただし、何回も続くとタクシー代を許可しません。常識的にタクシーではないと通院できない状態を説明して、理解を得なければならないのです。
 
 この段階で、タクシーによる通院にこだわって大戦争に突入しますか?
                  

4、差額ベット代

 
 「何の落ち度もないのに、事故で大変な目にあった(怒)、だから、入院は当然個室にして下さい」。気持ちはわかりますが、保険会社のお財布を開かせるには、それ相当の理由を説明しなければなりません。例えば、医師の判断で同室者に迷惑がかかるなど・・実際、高次脳機能障害から「せん妄」が続いた被害者さんがおりました。「せん妄」とは、怒りやすく騒ぐ症状ですから、相部屋では迷惑になりますので、個室は許されます。また、病院側の都合で個室しか空いてなかった場合などです。

 医師の指示や、誰もが納得できる理由さえあれば良いのです。 さしたる理由なく、個室に居座り、大戦争を戦い抜きますか?


 
 いかがでしょう。すべてに言えますが、被害者側には、正確な証明書類を提出する面倒と、紳士的に事情を説明する交渉力・忍耐力が必要です。被害者は王様ではありません。これが、法治国家での大人の戦い方です。しかし、これがなかなかできない!
 
 そこで、これらの請求で保険会社と一々バトルを続けた結果はどうなると思います?

 きっと、最後に痛い目にあうでしょう。資本主義社会では払う方=保険会社が強いのです。
 
 明日からは、バトルを続けた被害者さんの末路と、逆に賢い被害者の進め方を解説します。

 つづく