(1)病態

 顔面は11種18個の骨から構成され、下顎骨を除いて互いに接合して1つの骨を形成しています。顔面骨折は、受傷原因や外力の強さの方向により、単独骨折と多発骨折に分類されます。骨折となると、整形外科のイメージですが、顔面骨折では、形成外科で診断・治療が行われています。

 顔面骨折は、①鼻骨骨折、②鼻篩骨骨折、③頬骨骨折・頬骨弓骨折、④眼窩底骨折、⑤上顎骨骨折 ⑥下顎骨骨折、⑦前頭骨骨折、⑧陳旧性顔面骨骨折、⑨顎変形症、上記の9つに分類されるのですが、交通事故では、複数の傷病名が合併することもしばしばです。

 また顔面・頭蓋は、多くの骨の組み合わせからなるため、骨折の部位・症状により、眼科、耳鼻科、脳外科、歯科、口腔外科、形成外科などが協力体制を組んで治療が行われています。
 
(2)治療

 診察とXP、CT、MRI検査で確定診断されており、治療の中心は、形成術による整復・固定です。

 多数例で、ずれた骨が再癒合を始める前の、受傷から4~10日前後に形成術が実施されています。手術の際の皮膚切開は、できるだけ傷跡が残らない切開線を選ぶように工夫されています。

 通常、チタンプレートとスクリューで固定されていますが、最近では、数カ月で体内に吸収される吸収性プレートやスクリューが普及しています。吸収性プレート、スクリューの特徴は、骨癒合が完了する数カ月の期間は強度が保たれ、その後6カ月~1年で体内に吸収されることで、抜釘の必要がなく、子どもの成長にも対応できています。
 
 
◆ 顔面骨折の3分類

 顔面骨折は、複数が合併することがあり、ルフォーⅠ、Ⅱ、Ⅲ型の3つに分類されています

① ルフォーⅠ型

 鼻骨々折、下顎骨々折、頬骨々折、眼窩底骨折、上顎骨々折が合併するもの。
 
② ルフォーⅡ型

 鼻骨、上顎骨前頭突起、涙骨、篩骨、眼窩底、上顎骨頬骨縫合部、翼口蓋窩~翼状突起に達する骨折、上顎から眼窩にかけての骨折を伴うもの。
 
③ ルフォーⅢ型

 鼻骨を横断し、眼窩後壁を経て下眼窩裂、頬骨の前頭突起を通り、後方へ向かい、上顎骨と蝶形骨の間を通過、顔面骨が頭蓋底と分離しているもの。
 
 顔面骨折の原因としては、交通事故、スポーツ中の事故やけんかなどがあげられます。交通事故においては、鼻骨骨折、下顎骨骨折、そして頬骨骨折などが高い頻度で発生しています。
 

(3)後遺障害のポイント

  
 骨折部位ごとに解説していきます。
 
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