頬骨弓骨折(きょうこつきゅうこっせつ)

(1)病態

 頬骨弓部の直接的な打撃で発症し、体部には骨折のないものです。骨折が、頰骨弓部に限定されているときは、眼の症状や感覚障害は起こりません。
 
(2)症状

① 耳の前の凹み

② 骨折部が、側頭筋に食い込むことによる開口障害の可能性があります。

③ 上記①②に及ばずとも、痛みやしびれなど。
 
 この3つが主たる症状です。
 
(3)治療

 XP、CTで確定診断が行われ、症状次第ですが、受傷後4~10日前後に、側頭部を1~2cm切開して器械を挿入、落ち込んだ骨を下から持ち上げる形成術が行われます。プレートによる固定は必要なく、オペは、局所麻酔でも行うことができます。
 
(4)後遺障害のポイント

 頰骨弓部だけの骨折にとどまるものであれば、先の症状は治癒する見込みが高いので、正常に癒合さえすれば、後遺障害を残すことはありません。
 
① 耳の前の凹み ⇒ 整復術にて、深刻な醜状(陥没痕)は防げるはずです。
 
② 骨折部が、側頭筋に食い込むことによる開口障害 ⇒ これも整復術で改善させます。
 
③ それでも、痛みやしびれなど不具合が残った場合、神経症状で評価される場合があります。変形や転位(ズレてくっついた)が画像で明らかに確認できれば12級13号、癒合が正常でも症状の一貫性、信憑性があれば14級9号の望みがあります。
 
 頬骨弓の転位を証明した珍しい認定例 👉 14級9号⇒12級13号:頬骨骨折 異議申立(70代女性・東京都)
 
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