昨日の主婦休損ですが、もう一ネタ掘り下げましょう。     主婦の休業損害、その議論は深いものです。家族の形が多様化した現在、様々な家族の姿があるからです。内縁関係は、昔から損保も家族とみなしてくれます(※)ので、普通の夫婦・家族と同じ扱いです。主婦性の立証に関して、色々と検討を要するケースとして、同性カップルやルームシェアする他人同士があります。これらは、家計を担う就労者と、内助の功となる家事従事者の関係性を説明する必要があります。   ※ 損保は内縁関係の認定に対し、およそ郵便物だけで判断可能です。同じ家に、それぞれ内縁夫婦の郵便物が届いており、その宛先住所が同じならば、同居の証明としてくれるのです。    今までで、もっとも難しい議論となったのは、無職の高齢者や障害者を介護する無職の同居人です(この家族は社会保障で生活しています)。この場合の家事労働ですが、就業者への内助の功にあたりませんので、休業損害は認められないことになります。介護に支障がありながら、主婦性が否定されて0円はあまりに酷です。これらは、個別具体的な事情として、相手損保や委任した弁護士が検討を重ねることになります。ちなみに、このケースでは、主婦性の議論を捨てて、通院日に代替のヘルパーを雇用、その費用を損害額としました。    さて、主婦性の議論において、勉強不足となる損保担当者は、窮すると「何でもかんでも6100円」と決めこみます。これは、自賠責保険から回収する際、労働能力(労働意思も)を有する者として1日6100円が最低額となり、その額までならば容易に回収が可能だからです。まるで思考停止状態の損保ですが、被害者側も、その提案に乗ることが上策のケースもあります。ここで、担当者を勉強不足とまで糾弾できないでしょう。      一方、被害者の味方である弁護士さんも、主婦休損の立証から、一流~三流で以下のような差になります。   三流:これは、ずいぶん前の交通事故相談会に参加された被害者さんです。すでに弁護士に依頼済ですから、セカンドオピニオンになります。見せてもらった賠償請求書ですが、弁護士のポンコツぶりに落胆したものです。なんと、内縁関係の同居者である奥さんですが、ケガで休んだスーパーマーケットのパートの賃金を休業損害として、杓子定規に請求しています。週3日勤務で1日5時間・時給1100円です。つまり、1日あたり5500円。クソ真面目に職場へ休業損害証明書と源泉徴収票を取り付けて、相手損保に提出済ではないですか!

 このシリーズを読んで下さった方にお分かりと思いますが、「私は内縁ですが主婦です」と言って、主婦休損の1日1万数百円で請求すべきです。ケガでスーパーを休んだ日は、たったの5日です(合計27500円の請求)。一方、主婦となれば、通院実日数は60日ですから、少なくとも最初の30日は認められるとして、10700円×30日=321000円です。ところが、この弁護士先生、端から「内縁関係なので主婦は無理です。職場に証明書を書いてもらって下さい」との指示でした。この知識不足から、依頼者さんは30万円近く損するところだったです。慌ててその弁護士に陳情、請求額を訂正してもらいました。  対して、相手損保担当者さん、27500円なら喜んで支払うでしょう。しかし、最終的に自賠責の回収額を下回る支払いはご法度です(任意保険会社の不当利得になります)。慰謝料がそれほど延びず、支払いに余裕がある場合、弁護士先生に対し、「先生、休業は最低6100円みれますので、6100円×5日で計算しますね」と、おまけみたいに増額してくれます(相手損保に増額してもらってどうするの!)。こんな気の抜けたサイダーみたいなやり取りをたまに見かけるのです。     二流:損害賠償論に習熟した弁護士です。内縁関係であろうと、「実質、二人は家族です。旦那は勤務しており、パートとはいえ被害者の主業は主婦です。」ときっぱり、1日約10700円×実通院日数で請求します。相手担当者も難しいことは言わず、認める傾向です。

 ただし、認定日数は交渉となるでしょう。打撲・捻挫程度のケガであれば、ケガの回復が進む中、「60日まったく家事ができませんでした」は、さすがに通らないと思います。ケガ・症状によっては、30日以降は1/2、60日以降は1/4と、逓減した算定とする場合もあります。

 もう一つ、最近の損保担当者の反撃を紹介します。「主婦の休業は認めます。ただし、パートの休業損害証明書も提出して下さい。パートに出ているのに家事だけはできません、それはないでしょう」。そりゃそうです。パートに復帰以降、主婦休損の請求は説得力を欠きます。このように、損保担当者だって成長しているのです。        一流:上級者は、さらに主婦性の立証について、ノウハウを重ねています。例えば、郵便物届先や住民票の住所が別で、内縁関係を疑われたカップルであっても、町内会の会長さんに「あぁ、あの二人は同居しているよ」との証明書を発行してもらい、立証します。また、冒頭の主夫や同性カップルの場合、一方の勤務実態を職場に証明してもらい、奥さん(旦那さん・・同性カップルの場合はどっちでしょうか?)の主婦性を丁寧に立証します。この辺のノウハウは、交通事故を相当件数重ねたプロの仕事になります。秋葉事務所でも、幾度となく、お手伝いをしてきました。

 保険会社は、これらの事情を理解する為の「家族構成表」の提出を求めてくる場合もあります。立証する側の弁護士は、より踏み込んだ家族の関係性を説明、交渉にあたっています。    冒頭の介護者の立証ですが、私達にとって未解決問題です。幸いヘルパーを雇えましたが、雇えないケースだってあります。今後、同様のケースがあれば、連携弁護士と一緒に取り組みたいと思います。    秋葉事務所の仕事は賠償交渉ではありません。と言うか、法律上できません。それでも仕事は山ほどあります。被害者さんの損害を明らかにする為、弁護士を勝たせる為、主婦性の立証に関しても、時折、調査や書類作成を担っています。これら「事実証明」こそ、まさに行政書士の仕事なのです。   

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 調子に乗って、もう1例挙げましょう。    主婦の休業損害です。これは、自賠責保険では1日あたり6100円と決まっています。任意保険もおおむね同額を提示してきます。弁護士が請求する金額は、赤い本の賃金センサスから計算します。こちらは1日あたり1万円を超えています。

 では、損害賠償上の主婦の定義ですが、単に家事従事者というだけに留まりません。東京地裁・民事27部(私どもは交通事故部などと言っています)が定義するところ、”内助の功”として、就業している家族の助けとなっていることを要求しています。ハウスハズバンド(奥さんが働いて、旦那が家事)は当てはまります。親子間でも、息子と二人暮らしで、”独身の息子が働き、母が家事”もOKです。息子夫婦が常勤で共働きの場合の同居の母も、主婦を認めさせました。兄弟姉妹や他人同士の同居でも、就労者と家事従事者の関係があり、内助の功がみられれば同様です。  「内助の功がない」とされるケースは、独居者(自分の為の家事でしかない)、それと、主婦休損の相談数トップとなる、シングルマザーです。

 シングルマザーは、働き手としての父、家事を担う母(それぞれ逆もしかり)の両者の役割を一手に担っておりますが、子供他の家族にとっては、働き手扱いとなります。したがって、お母さんの休業損害は、その勤務による収入から計算することになります。主婦としての6100円~では計算しません。シングルマザーはお父さんの役割・・ほとんど判決で一致をみせています。しかながら、シングルマザーでは、実収入より主婦休損の額が上回るケースが度々あります。まして、会社員は休んだ日だけの請求に対し、主婦は通院日(全日ではありませんが)からカウントするので、日数も多く算定できます。したがって、できれば、主婦として請求したいのです。    さて、当然に損保でも裁判所の定義を踏襲しており、シングルマザーに主婦休損の適用はありません。しかし、ここにも勉強不足の担当者がいます。シングルマザーに対し、その代理人弁護士が請求するところの1日あたり約10700円を、通院日数分の30日支払ってきました。大手損保の担当者では見たことがありませんが、小規模損保や共済、とりわけ地方の担当者で度々経験しています。要するに、勉強不足から裁判例や東京地裁の定義を知らないようです。いずれ、保険会社のすべてに浸透する原則論と思いますが、情報不足、勉強不足の担当者は間違いなく残っているのです。    一方、被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:シングルマザーで主婦休損を請求後、相手損保の担当者から、「先生、ご存じと思いますが、シングルマザーはお父さん扱いなので、その労働収入から休業損害を計算します」とピシャリ。依頼人に対して、当初は大盛の賠償額(一日10700円×通院日50日)から、「休業損害はお勤め先の1日6500円×会社を休んだ日の5日だけになりました」と大幅減額に・・最初の勢いはどこへ、段々小声になっていきます。    二流:最初から原則通り「シングルマザーでは主婦の休業損害になりません」と、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「裁判でも無理とされています」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。確かに正しい知識からの賠償請求なので、スムーズに交渉は進みます。

 それでも、一言残したいと思います。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。相手あっての交渉事ですから、まず相手側の考えも探る必要はあったと思います。ご丁寧に原則通りの請求・・杓子定規に感じてしまうところです。 続きを読む »

 小説のタイトルにもなりそうな題目ですが、交通事故の解決で大変に含蓄のある賠償交渉の話です。もちろん、行政書士は賠償交渉をしませんので、連携弁護士の報告を交え、シリーズでまとめました。    例えば、鎖骨の変形で12級5号が認定された案件で、その逸失利益を請求する場合、相手損保は「鎖骨の変形から、とくに将来の収入が減りませんので、逸失利益は0円ではないですか」との回答になります。確かに、被害者さんのその後の仕事や日常生活で、大きな障害にならないことが普通です。裁判例でも、とくに事情が無ければ、逸失利益0円がスタンダードなのです。  

 逸失利益・・・障害による以後の労働能力低下を金銭化したもの

   そこは、交通事故に秀でた弁護士は慣れたもので、「痛みや不具合の残存があり、自賠責保険の認定理由でも、それら症状を含むとされています。したがって、逸失利益は〇年に及びます」と反論、いくばくかを獲得するわけです。

 しかし、小規模損保社の担当者は、知ってか知らずか、最初から逸失利益を認めて、「12級だから逸失利益は10年ですね」と、相対交渉でくれたことがありました。骨変形で逸失利益が生じない原則を知らなかったのか、12級ならすべて10年、と勘違いしているのか・・12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」なら、確かに10年が相場です。

 東京海上日動さんであれば、鎖骨のみならず腰椎圧迫骨折でも、その逸失利益は0円回答です。医学的な資料や、骨変形による逸失利益を否定した裁判例まで用意して、否定の論陣を張ってきます。損保担当者のレベルの違いを感じるところです。    被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:12級が取れてよかった! 逸失利益を原則通り67歳まで計算して請求も、相手担当者の反撃にあい・・・今度は依頼者に対して、「骨変形での逸失利益は裁判でも認められないので・・慰謝料は増額させますが・・ゴニョゴニョ」とトーンダウン、依頼者に減額の説得をすることになります。

 これも弁護士選びの失敗例ですが、最初から原則通り逸失利益は取れない事が正しいと、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「骨変形での逸失利益は無理です」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。杓子定規を絵に描いたような先生でした。    二流:骨変形での逸失利益獲得の困難さを知っているので、後遺障害診断書の自覚症状に、「痛みや不具合」を記載させ、自賠責保険にもそれを含めた認定であることを認定票に明記させます。変形だけではない、障害の困窮点をしっかり把握し、「神経症状も含んでいる」と、逸失利益の根拠を示して請求します。   一流:さらに上級者は、相手損保がどこであれ、後遺障害診断書の自覚症状に「痛みや不具合」が記載とされている以上、勝手な判断で忖度せずに、最初から逸失利益を請求します。前述のように、普通に支払ってくる担当者もいるのです。まさに、原則を知りながら、憎いまでに臨機応変な請求をするのです。  事実、鎖骨骨折後に痛み等が残り、苦しんでいる被害者さんもいらっしゃいます。秋葉事務所の連携弁護士達も、お互い事例研究や情報交換に余念なく、”原則を知りながら原則に固執しない”請求をしています。   

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 前回 👉 後遺障害診断書に無駄な記載 ①   ③ 職業

 これは無駄と言うか、無理に書かれない方が良い情報です。このシリーズに挙げることをためらいましたが・・あえて書きましょう。

 医師によっては、患者の名前や住所、生年月日を事務方や患者本人に、あらかじめ記載させる院もあります。そのような患者情報の欄の中で、職業欄はそう重要ではないため、空欄のままとする医師が多いものです。私共も空欄だからと言って、「先生、職業欄に”会社員”と記載が漏れています」など、わざわざ言わないものです。ところが、訴えの信憑性が検討される”むち打ちの14級9号”では、少し気を遣います。例えば、以下の職業はそのまま書くより、書かない方が良いと・・   〇 タクシー運転手

 おそらく、保険会社の社員では、タクシーの運ちゃんに偏見を持っている人が多いと思います。内心、「タクシー運転手は事故慣れしているので、嘘くさく半年も通ったのでは?」と、疑念される事を懸念してしまうのです。むち打ちですぐ温泉療養をしたがるので、保険会社から嫌われています。

  〇 生保外交員

 保険慣れしており、生保のおばちゃんは、都合よく会社員と自営業者の立場をとります。何より、外務員(ほぼ自由業)ですから、通院日数を稼ぎやすいのです。通院の傷害保険に入っていれば、〇日いくらで保険金がでますので、頑張って通うのでは・・と思われます。どうしても、過剰通院と思われる危機感を覚えてしまうのです。   〇 水商売全般

 こちらも残念ながら、保険会社から疑念を持たれがちです。とくに、休業損害で、自分で書いたいい加減な(お手盛り)休業損害証明書が上がってくれば、胡散臭い被害者成立です。源泉徴収票のない自営業者全般に言えますが、第3者の証明が乏しいのです。まして、税金の申告をしていないキャバ嬢(自営業者が多いのです)は、その休業の証明に受任した弁護士も苦慮します。かつて、病院に通って休業しているはずが、(店とグルで)出勤していた方もおりました。

 やはり、お堅い会社員や公務員の肩書が安心できます。職業によっては、あまり具体的に書きたくありません。せいぜい自営業と記載頂くようにしています。   〇 一部上場企業

 逆に、「〇紅」「〇下電器」「〇ニー」など、名の知れた大企業の方は、その信用は絶大です。1日あたりの給与が3万円以上あるような方は、慰謝料や保険金の為に、必死に通院日数を稼ぎません。そもそも、多忙で責任のある部署についていれば、通いたくても通えないのです。そのような身分の方が、業務時間を削ってまで何日も通っている・・症状の深刻度・信用度は爆上がりです。そこで、職業欄にあえて企業名を記載頂いたこともありました。    画像に写る骨折など、はっきりした証拠のない、自分が「痛い」と言っているだけの打撲捻挫での申請には、この職業欄にちょっと気を付けることになります。もちろん、有名企業以外の職業の被害者さんであっても、いたって真面目な方で、ひどい症状に悩まされての申請もあります。そのような人達の信用を担保しなければなりません。そこで、医師が職業欄にタクシー運転手と書こうとした瞬間、「先生、簡単に”会社員”でいいです」と言いたくなるのです。    

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 症状や障害の状態によって、後遺障害診断書の記載項目は絞られます。すべての欄に記載する必要はありません。当たり前ですが、腕の骨折で、目や耳の障害の欄に記載しないでしょう。私達は医師面談の際に、「先生、そこの記載は必要ないです」とお伝えすることがあります。医師や病院スタッフに対し、いらぬご負担となるからです。ご多忙の中の記載依頼ですから、病院側への配慮です。このサイトを医師が観ているとは思いませんが、いくつか挙げてみます。    ① 頚部の運動障害

 打撲捻挫の類で、首が曲がりづらくなったことなど、自賠責保険は認めてくれません。何度に制限されようと、審査上はスルーされます。この角度が必要となるのは、頚椎の骨折・脱臼、あるいは固定術施行の場合です。わざわざ、計測頂くのは申し訳なく、よく提言しています。しかし、医師の無駄な記載率1位だと思う位、ここをしっかり計測・記入下さる先生が多いのです。

② 関節機能障害

 上肢・下肢の骨折後、関節の可動域が制限されることがあります。ただし、画像上「曲がらなくなった」ことがわかるような、骨癒合後の変形や転位(骨がずれてくっつく)、骨が癒合しなかった場合など、物理的に関節が曲がらなくなった状態が障害認定の前提です。つまり、問題なく癒合した場合、可動域制限があっても障害認定は否定されます。明らかにひびが入った程度の骨折で、関節の角度がひどくても、「高度な可動域制限は起きないはず」との結果は見えています。可動域制限を装う悪だくみに加担しないため、嘘や大げさな記録は当然にダメです。嘘くさい角度など、かえって悪印象、痛み・不具合の14級9号の審査に悪影響すらあると思っています。

 また、この30年間の整復術をみていますと、金属(プレートや髄内釘、ワイヤーなど)が、手術の技術と共に進歩しており、可動域制限なく治る傾向です。昔と違って、ヤブは少なくなったと思います。おかげで私共にとっては、機能障害の等級は取りづらくなった印象です。もちろん、患者さんにとっては良い事に違いありません。したがって、明らかに12級レベルの制限がなく治ってる場合や、ほぼ正常値に回復しているのであれば、無駄な計測・記入は控えてもよいと思います。

 ① ②いずれも、医師によっては「通例として、受傷箇所の計測・記録はするもの」と律儀に考えます。その場合は従うようにしています。    つづく 👉 後遺障害診断書に無駄な記載 ②  

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 後遺症の審査ですが・・書面審査が原則の自賠責保険(後遺障害)に対し、労災(障害給付)は顧問医の診察があります。労災では事前に診断書を提出しますが、顧問医が労基署で被災者を診察します。実際に医師が診てくれることで、障害の困窮点を直接訴えることができます。どこか面談に近い印象です。自賠責と労災、双方、審査基準の9割がたは一緒ですが、審査過程にこのような違いがあります。

 さて、今までの顧問医診察の報告を聞きますと、多くは自賠責保険と同じような認定になりましたが、食い違いもありました。その結果は、悲喜こもごもと言ったところでしょうか。   (労災が良かった点)

・自賠責の書面審査、とりわけ画像の判定ですが、自賠責は厳密な画像を要求しますが、労災は顧問医の判断で、画像にそれほど重きを置かず、訴える症状から甘い認定がありました。とくに、手関節のTFCC損傷では自賠責は14級、労災は12級など。    👉 実績投稿:TFCC損傷、自賠責と労災の違い   ・被災者の訴えを面と向かって聞くので、顧問医が直に障害の程度を判断します。神経症状の12級13号など、厳密な証明を必要とする自賠責より、ずっと取りやすい印象です。審査基準に照らしての判断である以上、人情が入ることはないはずですが、わずかにそう感じさせることがあります。   (労災がダメだった点)

・自賠責では書面から審査基準に合致すれば付く等級も、労災の顧問医の独断で等級が決まってします。これは、診察での印象によることになりますが、表面上、障害を感じさせない被災者でも実は重い障害であることがあります。この点、自賠責の書面の方が、書面の充実度によりますが、実像に迫れると思います。双方の食い違いが生じる代表的な障害は、高次脳機能障害です。一見、健常者と区別のつかない被災者がおりますが、顧問医が高次脳機能障害の専門医ではないことが多く、「会ってみたら、普通じゃない」と、軽く判断されがちなのです。   ・労災はその性質上、”労働能力がどれだけ喪失したか”に審査の注目がいきますので、日常生活への困窮まで深く洞察が及ばないことがあります。例として、関節の可動域制限などは、障害の基準に及ばずとも、(日常の困窮点である)正座ができないことまで注目しません。自賠責では、痛み・不具合の残存で14級9号を付けてくれました。一方、労災では”正座ができない”など細かい症状の説明を漏らした為、「可動域制限は回復」したことから、非該当とされたことがありました。   ・これは、大変に珍しいことですが、顧問医の独断で、「まだ、症状固定の判断はできない」と、審査そのものをちゃぶ台返ししたことがありました。これは、医師の判断として正当なものでしょうか? いえ、被災者と労災の双方が合意した、制度上の審査段階ですから、医師の越権と思います。労基の職員も困らせる、変な医師はわずかですが存在します。審査医は、制度・基準に沿うべきで、主義者では困るのです。    👉 初めての経験 労災の顧問医が独断?    このように、医師の介在により、障害によっては有利不利が生じることがあるのです。言い切ってしまうと、「労災は顧問医の当たり外れがある」となります。これは、決して僭越な物言いではないと思います。来月、2件の労災審査を控えております。それに向けて、被害者さんと対策をしようと思います。  

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 最初に言いますが、保険会社は悪意をもって払い渋りをしたわけではないと思います。後遺障害についての知識が無いがゆえに、保険請求を抑制しようとしたのだと思います。

 自動車保険に付保されている、自身のケガの為の保険は、1に人身傷害保険、2に搭乗者傷害保険、3に自爆事故に限定した自損事故保険です。1と2は、保険請求しても、翌年の無事故割引に影響がありません。3の自損事故だけ、割引等級が下がります。したがって、少額の保険金ならば請求しない、といった判断になります。ところが、本件は「少額ではない!」と、秋葉は画像を観て判断しました。その顛末は以下の通りです。 あらゆる保険請求、ご相談下さい

自損事故11級7号:腰椎圧迫骨折(20代男性・東京都)

【事案】

バイクで走行中、カーブでスリップ・転倒したもの。レントゲンで腰椎に圧迫骨折があり、コルセット固定とした。

  【問題点】

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 あの震災から早くも14年です。当時、関東でも相模トラフか関東大震災以来の直下型地震が、むこう30年以内に起こる可能性が70%などと、報道を目にしました。その30年の半分ほどに差し掛かりました。歴史を紐解いても、日本は、ほぼ10年ごとに大地震がおきています。関東も100年に1回ほどの頻度です。まったくもって、日本に住むこと自体がリスクなのです。

 近年の被害額(損保協会の集計)を改めて参照してみましょう。東日本大震災がダントツですが、昨年の能登半島も比較するとかなりの額です。これは、保険金支払いから見た被害額ですので、物価の上昇の影響もあります。同等の規模の地震が首都圏で起これば、被害額は、東北の3~5倍になると試算されています。    

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 最近の卵の品薄と値上がり、もはや物価の優等生ではなく、登校拒否に校内暴力の不良と化しています。    さて、卵ネタをきっかけに検証します。頭部や顔面の瘢痕(主にあざ)について、醜状痕として等級認定する基準の一つに「鶏卵大」があります   👉 醜状痕の認定基準と実績    ・顔面部に鶏卵大のあざが残れば7級12号です。   👉 7級12号:顔面醜状痕(10代女性・山梨県)     ・頭部に鶏卵大のあざや頭がい骨の陥没があれば、14級14号です。    鶏卵と言うからには、うずらやダチョウの卵ではありません。しかし、鶏卵もサイズが違います。おおむね、以下の基準になっています(日本卵協会さまより)。    サイズ  ラベルの色  重さ  LL     赤色   70g以上 76g未満  L       橙色   64g以上 70g未満  M      緑色   58g以上 64g未満  MS      青色   52g以上 58g未満  S       紫色   46g以上 52g未満    では、自賠責保険はどのサイズを基準にしているのでしょうか?    卵の平均的な正面の面積として15c㎡程度との記載をよく目にします。これは卵の平均的な大きさ(縦5㎝×横3cm)からきているようです。実際のところ、自賠責保険・調査事務所の職員によると、鶏卵大とはあくまで目安で、目立つか否か、薄さや形状、あざの位置なども含めて審査しているとのことです。確かに、瘢痕が真四角で測りやすいことなどないと思います。醜状痕の面接に何度か立ち会いましたが、正確な面積を割り出そうとしている様子はありません。    そのような実情を踏まえた上での結論ですが、面積だけで言うならば、Sサイズでも合致しそうです。    余談ですが、ひと昔前は卵の黄身はコレステロール値を上げるので、控えるようにと健康指導がされていました。ところが、近年の研究と実験の結果、過度に摂取しなければ、コレステロール値に影響がないことがわかりました。不良と決めつけていたことへの評価が変わることがあります。人間もそうありたいと思います。  

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 健康保険の「第3者行為による傷害届け」とは、以下5枚の書類一式となります。   1,第3者行為による傷病届   2,事故発生状況報告書   3,同意書   4,誓約書   5,事故証明書     1と2は、読んで字のごとく、届け出と事故状況の説明です。1は面倒なことに、相手の自賠責保険と任意保険、それぞれの保険内容を記入しなければなりません。2は事故状況の図を描く必要があります。慣れている私どもや、保険会社の担当者は秒殺で記載できますが、被害者さんにとって、生まれて初めての書類で大変かと思います。

 3の同意書ですが、この届出書類の本丸です。簡単に言いますと、「健保が払った治療費を相手に求償しますが、よろしいですね。今後、諸手続きに協力して下さいね。」に同意・署名するものです。ただし、文面はかなり難しい文章で、被害者さんにとっては「何のこっちゃ?」となります。困惑している被害者さんに対して、上記のように簡単に説明しています。

 さて、4の誓約書です。これは加害者側に記載をお願いする書類で、相手から署名を取り付ける必要から、最難関の書類になります。内容もおそらく加害者にとって難解です。簡単に言いますと、「加害者である、あなたが悪い事故なので、被害者の治療費は、ひとまず健康保険から治療費を病院に精算しますが、追ってその治療費をあなたに請求しますよ、いいですね。ついては、諸手続きに協力して下さいね。」に署名を求めるものです。

 ただでさえ面倒な書類が続きますが、誓約書は”被害者が健保を使うことになった”事情を知らない加害者に対して、いきなり署名を求めるものです。誰かが、書類の意味を分かりやすく説明してくれることなど、あまり期待できません。結局、送付したまま、戻ってこないことが多いのです。加害者に任意保険の加入があれば、その任意保険の担当者に送って、取り付けて頂くことになります。実際はその保険会社が賠償金を支払う立場ですから、保険会社の担当者が署名することが多いようです。健保使用によって治療費が安くなる=健保治療を歓迎する立場の保険会社は、ストレスなく署名してくれます。

 最近の変化として、通称、協会けんぽ(正式には全国健康保険協会)では「誓約書」がなくなったようです。協会けんぽとは、自社に組合健保を持たない中小企業の多くが、地域ごとに加入している社会保険です。やはり、待てど暮らせど戻ってこない誓約書など、期待できないものとして廃止したのではないかと思います。現場としては、面倒な書類が一つでも減って、歓迎したいと思います。

 ちなみに、国保(自営業者などが加入する国民健康保険)もホームページで確認していきますと、地域ごとに誓約書がなくなっているところ、(ホームぺージ上だけかもしれませんが)残っているところがありました。大企業の組合健保では、すべて確認しきれませんが、その組合ごとの判断になるようです。    何しても、無駄の削減は良い事です。  

 

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 最近の愚痴ですが・・    ご存じの通り、交通事故など第3者によるケガで健康保険を使った場合、健保から「第3者行為による傷害届」の記載が要請されます。この書類の存在意義ですが・・「このケガでは、その責任がある加害者がおりますので、その加害者が悪くて治療費を弁済するのが筋であるにも関わらず、自身の健康保険を使うなら、ひとまず健保から治療費を支払いますが、その額を加害者に求償(請求)しますので、よろしければ、それに同意して署名して下さい」との届け出で、被害者が署名するものです。

 結構、面倒な書類で、健保から送られてきたものの、なかなか記載・提出せず、結果として健保から病院に治療費が支払われず、病院からも「早く提出して下さい」と催促されます。病院によっては、健保から支払われるまで保証金として、被害者から先に数万円預かることもあります。

 このような、前提を踏まえますと、この書類は事故の初期に提出されていることが普通です。ところが、何かと複雑な経緯となる交通事故では、いつまでも提出されず、健保から病院に治療費が支払われないまま数カ月・・があります。もちろん、病院や健保から、または相手の自動車保険から催促があるはずです。最近、それがないまま治療が進み、半年も経ってから未提出がわかり、何も進んでいない件がみられました。とくに今月は2件です。秋葉事務所がせっせと記載して、流れを正常化させることになります。それにしても、誰も彼も無責任だなぁと嘆息します。

 普通は周囲の催促があるので、未提出のままとは、あまり見られない現象でした。初期段階から秋葉が絡めば、記載・提出を代筆かフォローをしますので、問題はなかったものです。今後は、最初から秋葉が提出について、しっかり監視していかなければダメだと思う次第です。  

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 「ケガをしていたとしても、会社を休んだとしても、役員報酬は払われるのですから、法人役員の休業損害は生じないはずです」と保険会社は言います。正論ではあります。仮に長期間の入院で労働実態がなくとも、役員報酬は払われることが普通と思います。  ただし、例外はあります。少人数の企業、家族内企業(3ちゃん企業など呼ばれます)は、法人企業であっても限りなく個人事業主で、お父さん社長が現場で実働していることが普通です。この場合、どうやって休業損害を証明するのか・・絶対的な方法はありませんが、丁寧に実働記録を集めて提出、交渉することになります。それと、そもそも法人自体の売り上げが下がっていなければ、説得力を欠きます。したがって、以下の書類を集めます。できれば、税理士や取引先が証明している書類が望ましいです。会社自ら作成の記録では、常に”お手盛り”が疑われるからです。   ・事故前年と、事故当年の申告書類。減っていることが前提です。

・取引先からの注文、請負を示す書類。ケガでキャンセルとなればなお良し。

・現場にでている、実働していることを示す、元受けからの業務記録。

・自社の記録ではありますが、現場記録、業務日誌など。     たいていはこれらが揃わず、保険会社に屈することになります。有能な弁護士も武器(証明書類)がなければお手上げです。  

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 交通事故業務をする行政書士は減少の一途と思います。まして、後遺障害を追う事務所は珍しい部類になったと思います。それでも、後遺障害が最も重要な損害立証の場面であり、弊所も病院同行を通じて日々追っています。

 損害賠償金のおよそ70%を占めるお金こそ、後遺障害の慰謝料と逸失利益です。その等級認定は決して軽視できません。等級の取りこぼしは、何十、いえ何百、時には何千万円を失うことになります。もう、こんなことを言う弁護士はいなくなったと思いますが、「診断書は医師が書くもので、それにしたがって審査されるのみです」(だから)「診断書の記載を待っています」・・・これではダメなのです。実は、医師のすべてが障害の有無、程度を完璧に記載するわけではないのです。

 臨床上の医学的判断と、賠償上の後遺障害認定は微妙に食い違いが生じます。例えば、鎖骨骨折後の変形ですが、多少、仮骨形成(癒合の過程で、癒合部が骨が太くなる)から骨折部が盛り上がっていたとしても、医師は後遺症とは考えません。確かに日常生活に重大な支障はないと思います。しかし、後遺障害では、その変形が裸体で確認できれば、体幹骨の変形「12級5号」の評価になります。その自賠責保険金は224万円です。そのような場合、被害者さんに同行し、医師面談にて主治医に説明、記載を促しています。

 たいていの医師はご理解下さり、協力していただけます。まれに、へそ曲がりのお医者さんは頑として認めないこともありますが・・。だからこそ、私達が診察に立ち会った方が、間違いのない後遺障害診断書の記載と、後遺障害の立証が果たせるのです。もし、医師任せ、患者さん任せにしたら・・変形の記載が漏れると200万円以上を失うのです。任せた弁護士も、見逃すことがあります。すべての弁護士先生に後遺障害の知識が備わっているとは限らないからです。。

 やはり、病院同行と診断書記載への監視は譲れない作業です。秋葉事務所にたどり着かず、今日も多くの被害者さんが数百万円を失っているかもしれません。

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 本日は3組の御来客・相談でした。ご相談者さま、弁護士先生、ご足労頂き大変感謝です。

 いずれも難しい申請になります。とりわけ、今年は人身傷害や自損事故保険など、自身が加入している保険への請求で困っている方が目立ちました。損害賠償の相手ではなく、自身が掛金を払っている保険会社への請求ですから、請求者はお客様ということになります。その点、担当者の対応は軟らかいと思います。

 ところが、それが後遺障害の請求となると・・・相当な時間を待たされ、結果も芳しくないものです。一般に請求内容が入院〇日、通院〇日と簡単に計算が立つものであれば、問題なく支払われるようです。それだけ、後遺障害〇級は、簡単に認めてくれないもののようです。

 私達が請求をお手伝いする場合、支払先の保険会社がお手盛り回答しないよう、自賠責保険・調査事務所に諮問を掛けて頂くよう誘導します。自賠責の審査であれば、比較的、後遺障害が読めます。審査も基準に則った固いものに感じます。この点、自賠責の実力を感じます。そのような前提から、自分の保険会社に対する請求でも、後遺障害が絡めば、是非頼って頂きたいと思います。

 今年、後遺障害で躓いている被害者さん、数件受任しました。保険会社は大金を支払うことになると、それなりに慎重なのです。

 

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 弊所は、加害者の加入する自賠責保険に関する手続きが主要業務になります。しかし、事故とは常に相手がいるものでもなく、相手がいてもほんとんど自身の責任となる事故もあります。すると、頼りになる保険は、健保や労災はもちろん、自らの契約保険である自動車保険(人身傷害保険、自損事故保険)、その他傷害保険や共済でしょうか。それらに対する請求でお困りの方も少なくありません。これは今に始まったことではないのですが、微増傾向にあると思います。

 単なる入院・通院の日数から計算される保険であれば、それが間違っていなければ、増額交渉や手続きの必要はありません。やはりと言うか、お困りや相談の多くは後遺障害となります。何級が認定されるのか?に尽きるわけです。「保険会社に請求書と診断書を提出したところ、〇級との提示されました。これで良いのでしょうか?」とのことです。診断書の記載に問題があること、必要な検査が未実施であること、画像の評価が問題なしとされたこと・・・理由は様々です。それだけ、後遺障害の認定はシビアで、医師や保険会社に任せたままでは、思わぬ低等級、非該当を食らうこともあるのです。

 必要な検査を追加し、診断書に訂正・追記を依頼し、書面で詳しく事情を説明して再申請する・・被害者さんには中々にハードルが高いものです。そのお助けをする事務所は、地味ながら必要な存在と思います。秋葉事務所は保険金請求のプロを自負しています。今月も後遺障害案件で、自損事故の再請求について相談を受けています。    後遺障害に関する査定が低い・・保険会社の単なる払い渋りとは違うようです。専門的な審査が必要なので、自賠責保険へ諮問頂くと、認定精度は安定すると思います。  

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重要な事です!

 通勤中や業務中に交通事故にあった場合、相手方への請求に加え、労災への給付申請が可能なことはみなさんご存じかと思いますが、本来であれば双方から満額(逸失利益や休業損害など重複するものは控除されます)もらえるはずが、この知識が欠落したために労災の給付が満額もらえない!?といった可能性がございます。

 今回は被害者の方が行使するものというより、これを知っている弁護士に任せないと損しますよ?という内容です。

 例えば、通勤中にAさんは後続車に追突され、頚椎捻挫を負ったとしましょう。半年通院したが、症状が残存したため、自賠責保険に後遺障害申請をした結果、非該当という結果となり、弁護士さんに賠償交渉を依頼、示談になったとします。そのあと労災にも障害給付申請をしたところ、14級が認定されたとします。この場合、通常であれば、障害(補償)給付が56日分、障害特別支給金が8万円、障害特別一時金が56日分(ボーナスがある方のみ)をもらえますが、「ある一定の文言」が示談書になければ、障害(補償)給付がもらえなくなります。    なぜかというと、労災は示談を行う場合に下記説明をしているのです。    示談を行う場合について~東京労働局HPより抜粋~

 なお、労災保険の受給権者である被災者等と第三者との間で被災者の有する全ての損害賠償についての示談(いわゆる全部示談)が、真正に(錯誤や脅迫などではなく両当事者の真意によること。)成立し、受給権者が示談額以外の損害賠償の請求権を放棄した場合、政府は、原則として示談成立後の労災保険の給付を行わないこととなっています。      解決方法としては、示談の際に「労災の給付については除く」や「今後も労災保険による補償を受ける」という文言を明記する必要があります。もちろん示談前に労災を取り切ってしまっても問題ありませんが、自賠責保険での等級>労災での等級となった場合には、賠償交渉で弁護士が不利になりますのでその点も注意が必要です。

 何にせよ、適切な方法を知っている専門家を探していただくことが第一です。  

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 ある2人の被害者さんが足首を骨折しました。それぞれ、後遺障害を申請しました。その結果は同じ12級ですが、12級7号(足首の可動域制限=機能障害)と12級13号(足首の痛み=神経症状)に分かれました。  自賠責保険の保険金額は同じ224万円でしたが、その後の賠償交渉で、7号の人は追加で600万円獲得しました。一方、13号の方は400万円に留まりました。最終的な解決で、200万円もの差が生じました。両者の差はどこで生じたのでしょうか?     最初に答えを。    7号の方は、逸失利益が67歳まで計算され、その額は400万円に。    13号の方の逸失利益は10年間に留まり、その額は200万円に。    つまり、認定された等級が同じでも、その号によって逸失利益の喪失年数の相場が違うのです。    同じ等級でも、その〇号によって認定等級の優先があります。1.人工関節 2.機能障害 3.偽関節 

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 誤解を恐れずに言いますと、多くの交通事故でそう感じます。

 連携弁護士と過失相殺、過失割合の交渉について、事前に打合せしますと、たいていは、「判例タイムスの割合通り」、「これ以上の修正要素はない」、「紛争センターや裁判で争っても、結果は同じになる」・・このような結論になってしまうのです。

 弁護士は法律や判例に則って、論理的に交渉します。したがって、裁判上でも幅を利かせている「判例タイムス」の相場に拘束されてしまう傾向なのです。法律や理屈を超えた主張は出来ないのです。したがって、「相手と過失割合で対立しているので、弁護士を入れて何とかしてほしい」との相談があっても、多くは保険会社同士で詰めた過失割合を激変させることは難しいのです。近い将来、過失割合の算定は定型化が進み、その行きつく先はAIが担うのでは?と思う次第です。

 もちろん、事故状態から双方の言い分に疑義があり、ドライブレコーダーを検証し、刑事記録を取り寄せ、あるいは交通鑑定に付すことによって、新しい事実が浮上すれば、弁護士に依頼する価値はあります。しかし、多くは、片方、又は両者が納得しない事で交渉が難航しているに過ぎません。

 この場合、弁護士以上に威力を発揮するのは、代理店さんの強交渉です。代理店さんによっては、積極的に契約者さまの主張を代弁してくれます。その主張は、必ずしも道路交通法の規定に縛られません。例えば、「この交差点は私も良く通るが、左角の見通しが悪く、皆注意している。相手はまったく確認していない。その点、5%でも修正できないか」。「この事故状態で相場通りの20:80では、被害者が可哀そうでしょう。ご近所同士なので、これ以上争いは避けたい。なんとか相手に譲歩してもらえるよう言ってもらえないか」。

 法律家ではない代理店さんの人情交渉、又は理屈抜きの強引さが功を奏する事があるのです。この点、弁護士費用があるからと言って弁護士に頼るより、話が早く、むしろ効果的と思います。

 プロ代理店さんは、人の機微を知り、交渉力の高い人がおります。私見では、弁護士以上に過失交渉をうまく進めている、頼れる兄貴分なのです。代理店さんは、日夜、弁護士以上に交通事故の解決に尽力していると思います。ただし、強交渉もやり過ぎると、相手担当者から「非弁ですよ(※)」と言われますので、その点は上手く交渉する必要があります。    ※ 非弁護士行為・・・簡単に言いますと、誰かの代理で交渉ができるのは、弁護士だけ、それ以外が有償(有償に準ずる)で代理交渉をしては、非弁護士行為となって違法となります。  

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 秋葉事務所では、あらゆる保険の申請業務を経験しています。その分野の専門性を自負するところです。自損事故保険の請求もいくつか経験していますが、その異議申立は初のケースでした。    自損事故保険について復習 👉 最後の砦 自損事故保険    人身傷害保険の普及で、あまり活躍の場がない自損事故保険ですが、たくさんの車両を持つ企業の団体保険や、個人のバイク保険では人身傷害まで入っていない契約も多く、相手のいない自爆事故の場合、見逃さず請求しなければなりません。

 自損事故保険はよく知られていない保険の一つと思います。さらに、無保険車傷害保険と並び、保険会社がすっきり支払ってくれない保険の代表に思えます。秋葉事務所にたどり着けず、低等級に甘んじている被害者さんは多いと思います。   自賠責保険と違って、任意保険の等級認定は信頼性に乏しく感じます。自社認定ですから、お手盛り感があるように思います。自賠責保険に諮問(何級になるか、質問する)して頂くよう、仕向けることが多くなります。  

自損事故保険 14級9号⇒12級13号:肩腱板損傷 異議申立(40代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで山道を走行中、ぬかるみで転倒したもの。その際、右手を突いて肩を痛めた。その痛みの異常から、総合病院で精査したところ、肩腱板損傷と診断された。

【問題点】

半年の治療を経て、バイクに付保されている自損事故保険に請求したところ、14級9号の回答となった。より細かい診断名は棘上筋断裂であり、14級は保険会社のお手盛り判断に感じた為、秋葉への相談となった。

【立証ポイント】

早速MRIを拝見したところ、棘上筋に新鮮な断裂を示す高信号がみられ、恐らく自賠責保険だったらこれを認めるだろうと思った。その決め手となる画像をピックアップし、的確な申立書を作成、再申請に臨んだ。

自賠責保険・調査事務所に諮問を掛けたようで、大変に待たされたが、想定通り12級13号に変更された。これにて保険金は100万円以上の増額となった。  

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部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

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