自賠責保険の後遺障害認定基準は、労災の制度から派生したもので、公表されている文言を見ると、その基準はほとんど同じです。ただし、基準はあくまで労災基準に「準じたもの」で、「まったく同じもの」ではありません。公表されてはいませんが、労災と違う自賠責保険のルールは諸々存在しています。

 以前、TFCC損傷で14級9号を取った後、労災で12級13号が認められた件で、弁護士から「自賠責も12級にならないかな?」との相談を受けました。よくある論点なので、「またか・・」と思いつつも、診断書・画像を預かり検証しました。画像所見上、TFCC損傷は微妙で弱く、手術もしていない。また、手首を酷使する仕事上、経年性の疑いも残る。この場合、労災は甘く12級、自賠責は14級どまりが結論なのです。結局、依頼者の希望に抗しがたく、その弁護士さんは再請求するも14級は変わりませんでした。

 このように、自賠責と労災の基準の違いは存在します。逆に、自賠責が有利で12級も、労災では14級となる件もあるのです。経験を重ねた事務所はそれを知っています。   これも自賠責と労災の認定基準の違いの一つです  

労災12級6号:TFCC損傷(30代男性・山梨県)

  【事案】

原付バイクにて一時停止中、左方から早回り右折してきた車に衝突され受傷した。直後から右手のしびれ、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

手術を受けたものの、症状が改善しないとのご相談を受けた。詳細を伺うと、既に事前認定にて14級9号が認定されており、その結果に納得していないご様子であった。後遺障害診断書、診断書・診療報酬明細書を確認すると、可動域も12級を逃しており、手術の内容も関節滑膜切除術で、理屈上は改善しているはず。12級への異議申立が通る可能性はほとんど無かった。

【立証ポイント】

よくよく事故の詳細を伺うと、通勤災害であることが分かった。自賠責は難しいが、労災で12級認定を獲得する方針で進めることとなった。

基本、12級にするためには、画像所から立証が必要なので、画像鑑定を依頼し、鑑定書とともに自賠責に申立てたが、結果は想定通り14級9号のままであった。

その後、労災にも全ての資料を提出し、労災顧問医の面談に臨んだところ、治癒日(自賠責の症状固定日に合わせたため、面談よりも1年以上前)よりも手関節が拘縮しており、可動域の数値は左右差3/4となった。労災では、現状の数値と診断書上の数値、どちらを採用するのか結果を待っていたところ、面談時の可動域制限を認めた12級6号認定となった。通常、症状固定日よりも数値が悪くなることはほとんどないが、本件では、自賠責の後遺障害診断時に、痛みをこらえて可動域計測に応じたため、正しい数値の計測ができなかった事情が存在する。 続きを読む »

 人身事故の示談の場面で、相手損保の賠償金提示額はまず、保険会社の基準で計算されたものです。弁護士が裁判で請求する額より少ないものです。その差は歴然としています。中には2倍どころか20倍も違うこともあります。

 もっとも、人身事故の多くは3か月以内の軽傷です。3か月の慰謝料ですと、任意保険はほとんど自賠責保険の基準(実治療日数×2×4300円か、総治療期間×4300円の少ない方)のままで計算してきます。2日に1回ペースで通うと、合計387000円です。対して、弁護士が請求すると、打撲・捻挫で3か月の治療期間は赤い本で53万円です。

 15万程度の増額が見込めますから、頼みたいところですが、弁護士に払う報酬が20万円なら、費用倒れとなります。ただし、弁護士費用特約が付いていれば、この20万の出費は自らの保険で賄うことができます。再び、依頼するメリットが復活するわけです。弁護士介入の是非について、ご相談の多くはこのような損得勘定を説明した上で、ご判断頂くことになります。

 しかし、被害者さん側に過失が20%あった場合、話は元に戻ります。もし、弁護士が53万円の請求をした場合、(明らかな事故状況から20:80は動かないとします)20%差っ引かれることになれば、53万×0.8=424000円になります。一方、先に提示した自賠責保険基準の計算額387000円からは、過失分は引かれません。自賠責保険は、被害者に8割以上も過失が無い限り、減額なく100%支払います。被害者に厳密な過失減額がない、これが自賠責の有利な点です。

 すると、相手損保提示の387000円から424000円の差額、37000円の増額の為に弁護士を雇うことになります。弁護士費用特約があれば、確かに費用倒れはしません。しかし、弁護士は特約から最低でも10万円の報酬をもらうことになります。被害者さんに37000円の増額を果たした弁護士が10万円の報酬を得る・・・これって、おかしな現象に思えませんか?。被害者さんが高齢者で保険会社と交渉できない等、特別な事情で受任せざるを得ないケースは別として、弁護士さんは倫理上、”依頼者(の経済的利益)よりも弁護士が儲かる”、このような仕事は避けるはずです。

 このように、3か月程度の軽傷ですと、弁護士に委任して解決するに馴染まない事件が多くなります。このような事件では、弁護士に依頼せずとも、相手損保担当者に「切りよく40万円なら、すぐ印鑑押すよ」と、被害者さん自ら交渉すれば、まぁ多くは通ります。保険会社にとって、たった13000円の出費増より、案件の早期解決が優先されますから。

 この示談交渉を「よっこいしょの示談」、「浪花節の交渉」などと、私達は言っています。もし、数万円であっても、弁護士に増額交渉を依頼すれば、弁護士は法的根拠に基づいて13000円増額の裏付けをしなければなりません。決して「切りよく」などと、ざっくり交渉はできません。交渉が煮詰まった時、最後に言うことはあるそうですが。

 やはり、軽傷事案の多くは、相手損保との相対交渉で解決させる方が、手間や時間の節約、不毛な保険使用の抑制となります。「弁護士費用特があるから」だけの理由で、少額請求でも弁護士を使うなど如何なものでしょうか?・・・保険制度の根幹に関わることと思います。保険制度は、支払った保険金から掛金が計算されています。少額での弁護士費用の請求が続けば、掛金が上がるどころか、特約の制限や廃止につながります。保険請求の濫用は制度を壊すことになるのです。    最後に注意として、行政書士がこのようなアドバイスで相談料であっても報酬を頂くと、弁護士法違72条「非弁行為」となります。賠償に関する業は、相談も含め弁護士しかできません。賠償に関する相談案件は、以上のような計算をご理解頂くか、弁護士を紹介する・・ただ働きが多くなるのです。  

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 後遺障害の仕事で、まず重要なワードは症状固定(日)です。毎度、その決定に少なからずドラマが存在します。    まず第一に、相手保険会社の治療費打ち切り打診とセットになって、被害者に突きつけられます。「もう治療費は出せないので、症状固定して、後遺障害審査に進めて下さい」と、後遺障害診断書が送られてきます。そこで、多くの被害者さんは、「まだ、治ってないのに打ち切りとは(怒)保険会社の横暴だ!」と反発します。しかし、別に治療を止めろとは言っていません。もし、症状が残り、治療の必要性があれば、症状固定日以後も健保を使って治療を継続すれば良いのです。つまり、治療費は自腹にはなりますが、すんなり後遺障害審査に進めて、解決へ舵を切るべきと思います。

 症状固定とは一般に、”今後大きな改善や悪化はなく、症状が一定、もしくは多少の波があっても激変ないと判断される”状態を指します。後遺障害診断書にその日を記載する欄がありますが、実は医療用語ではなく、賠償用語と解されています。被害者さんの多くは完治を目指しますが、それではいつまでたっても、事故の後遺症による損害を計算することができません。だからこそ、賠償の目途として、しかるべき時に設定しなければならないのです。

 では、その判断は誰がするかですが・・・やはり、治療経過を診てきた医師の意見を参考にすべきと思います。しかしながら、ここで大きな勘違いがあるようです。それは、「症状固定日は医師が決めるもの」と思っている人が多いことです。実は、賠償請求に関する決断ですから、本来は被害者さん自身が決めるものと思います。ただし、医師は診断権がありますから、診断書を書く書かないでその権利を主張できる立場でもあります。やはり、医師の判断は尊重すべきで、十分に医師と相談した症状固定日であるべきです。    以上、回りくどい説明でしたが、症状固定(日)を決定するのは被害者です。医師や相手の保険会社ではありません。ただし、治療をしてきた医師や、治療費を捻出した保険会社と上手く調整をする作業が被害者さん達に圧し掛かります。

 そこんとこは上手くやるべきなのです。その調整こそ、実は秋葉事務所の主要な仕事の一つなのです。私どものような業者が生れる位、交通事故の解決は難解なのかもしれません。    

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 ご存じの通り、後遺障害の審査は、相手の(任意)保険会社に書類を託して任せる事前認定と、被害者自ら自賠責保険に提出する被害者請求の2通りがあります。

 以前に比べて、その比較論は聞かなくなりました。どちらも、同じ自賠責保険・調査事務所に書類が送られて審査するのですから、提出する書類が同じであれば、同じ結果になるはずです。どちらが有利ということはありません。しかし、書類を自ら収集、追加、取捨選択する被害者請求を被害者が選択したい気持ちはわかります。ネットでは、業者を中心に、被害者請求が良いとの意見が多く、それに反論する勢力がやや力負けの感があります。    秋葉事務所としては事務所立ち上げ当初から、以下のように整理・結論しています。問題は、どこまで書類を完備できるかが勝負ですから、不毛な比較はしていません。   事前認定vs被害者請求 最終決着します!   事前認定vs被害者請求 本質を語ろう    最近、事前認定でのおざなりな仕事をよく目にしています。保険会社の担当者が書類を完備しないで自賠責に送ってしまい、五月雨に追加提出を要請され、1年もダラダラ審査が延びているケースです。特殊な障害ゆえに、医療照会が追加・再追加で要請される場合は、ある程度仕方ありません。しかし、基本的に必要な書類や画像を漏らしています。担当者が忙しいことは私達も承知していますが、なんとかならないものでしょうか。

 さらに、頓珍漢な診断書が審査に回るケースも珍しくありません。私どもは、医師に対して修正・追記をお願いすることが日常業務です。なぜなら、医師は治療に関係ないとも言える、治療が終わった後の診断書には興味も熱意も薄れます。最も深刻なことは、賠償上の障害と、医師が判断する臨床上の障害も微妙に食い違う点です。鎖骨の変形はまさにこれにあたるもので、お医者さんは「この程度は日常生活に影響ないし、後遺症じゃないよ」と言いますが、保険上は12級5号となって、自賠責保険では224万円が支払われます。不完全・不正確の診断書が審査される・・・これは交通事故業界の隠れた、いえ、隠された問題なのです。

 そのような背景下、事前認定では、診断書の中身を精査する担当者などまったくに近い程、存在しません。そのまま右から左に審査に転送されます。精査しようにも、十分な医療研修を受けた医療調査員でもなければ、読み取る知識自体ありません。そもそも、診断書の内容に干渉するなど、担当者の越権なのです。やはり、任意保険の担当者が”進んでやるべき仕事ではない”のかと思っています。    では、被害者請求なら誰もが安心でしょうか? ここでも同じ陥穽があります。お金をもらって依頼を受けた事務所が、これまた基本的な書類・画像を提出しないで、形ばかりの不慣れな被害者請求をしているケースです。昨年のご依頼者様で、既契約の事務所を解任してきた方に多く見られました。ホームページでは力強く「後遺障害に強い」と表示していますが、ど素人の仕事としか思えません。お金を払っている分、先の保険担当者より始末が悪いものです。     自らの損害・ケガを数字(賠償金)に変えるには、それ相当の証拠書類を突きつける必要があります。もっとも多額の賠償金となる項目は、たいてい後遺障害です。そのための審査に臨むには、十分な準備が必要です。ある意味、これは後の賠償交渉よりも重大な場面なのです。必要な書類・画像・検査結果の提出漏れは、イコールその障害はなかったことになるのです。

 人任せ(事前認定)は心配です。また、弁護士・行政書士等に任せる(被害者請求を依頼)にも、選定・依頼は慎重にしなければなりません。

     

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   労災と交通事故(通勤災害)は切っても切れない関係です      今回は、労災が適用される交通事故において、保険会社からもらう賠償金には控除されない障害特別一時金について説明します。    労災で後遺障害が認定されると、障害年金(7級から1級)障害一時金(14級から8級)、障害特別支給金、障害特別一時金、を受給することができます。交通事故とは関係のない労災事故であれば、全て満額受給することができますが、交通事故では、相手方から支払われる後遺障害慰謝料・逸失利益というものが障害年金・障害一時金と重複してしまうため、金額によっては、労災からもらえない、年金では、一定期間もらうことができないといったことが生じます。     しかしながら、障害特別支給金と障害特別一時金については、相手方から貰うお金とは別に受給することができます。この点だけでも労災に請求するメリットはあります。これは、治療費を労災で請求したかどうかは関係ありません。最後の最後に会社と病院に書類を記載してもらい、申請すればOKです。(もちろん、労災でも後遺障害の審査がありますので、必ず貰えるわけではありませんが…)

     障害特別支給金と障害特別一時金については、下記の表のとおりです。

 障害特別支給金については、認定されると決まった金額がもらえるので、分かりやすいです。しかし、障害年金や特別一時金には〇日分というのがあり、請求者さんにとって一見ではわかならいでしょう。この〇日分というのは、算定基礎日額というものが〇日分支払われるということであり、皆様の賞与額によって決まります。

 「算定基礎日額」とは、負傷または発病以前1年間の賞与の総額を365日で割った額です。

 ※ 賞与の総額が給付基礎日額の365倍の20%を上回る場合は…といったことがありますが、今回はなしで考えましょう。

 仮に、1年間の賞与が夏・冬それぞれ18万2500円もらっていたとすると、合計で36万5000円となります。その金額を365日で割ると算定基礎日額が1000円となります。そのため、12級が認定された方であれば、障害特別支給金として20万円、更に障害特別一時金として15万6000円、合計35万6000円が受給できます。    このように、相手方からもらう金額以外に別枠で受給できるのです。「会社が労災を使わせてくれない、その後の会社での立場が…、手続きが面倒。」といった声をよく聞きますが、私からみると勿体ないなと思います。今は、分かりやすい金額で出しましたが、賞与がそれ以上もらえている方もいらっしゃると思います。手続きが分からないのであれば、交通事故に長けた事務所にぜひ相談してみてください。

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 顔面醜状痕、顔に傷が残るのは辛いものです。老若男女によって、その障害によるダメージはそれぞれ格差があると思います。10年前の基準では男女で差があり、3cm線状痕では、男子は14級、女子は12級としていたのです。それが、男女差別として改正されたのは以下の通りです。    ⇒ 醜状痕は残らないほうがいい    現在、医療の進歩から、形成術、美容整形術でかなり消すことができるようになりました。本件の場合は瘢痕でしたが、手術によってわずかな線状痕まで回復させる見込みがありました。面積から7級となる瘢痕も、12級の線状痕まで治すことができそうでなのす。

 しかし、損害賠償金の請求上、これはかなり賠償金が減ることになります。自賠責保険の保険金額ですら、7級は1051万円、12級は224万円です。つまり、手術前に症状固定して1000万円もらってから、20~30万円自腹となる手術費を払う方が圧倒的に賠償金が手元に残ります。多くの被害者さんは、たいてい「完全に治るまで示談しない!」と治療を続けますが、12級まで治してしまうと・・224万円まで減るのです。だったら、手術は示談してから(賠償金をもらってから)が得ではないですか。    この損得勘定は、あさましい考えでしょうか?    私達はこう考えます・・・己の治療方針と賠償方針を選択するは、被害者の権利です。   私達の仕事は、その情報提供をすることです。  

7級12号:顔面醜状痕(10代女性・山梨県)

【事案】

自転車で信号待ち停止中、信号無視で交差点に進入してきた車が青信号で進入してきた車と衝突、その衝撃で歩道に乗り上げてきた車に跳ね飛ばされた。まったくの”とばっちり事故”。全身を強く打ち、多発骨折、顔面にも傷を負った。

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 金融庁は13日、自動車やバイクの所有者に加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料を検証する審議会を開き、今年4月の契約分からの値下げを決めた。新型コロナウイルスの流行後の交通量減少や安全装置の普及などで事故が減ったことを踏まえた。値下げ幅は今後、議論するが、全車種平均で8%程度下がる見通しだ。    自賠責保険は自動車交通事故の被害者や家族を救済する制度で、死亡事故は最高3千万円、後遺障害では最高4千万円が支払われる。利益や損失を出さないように運営されており、保険金の支払いが減れば保険料を引き下げる仕組みだ。 <(1/13)共同通信さま より>     交通量の低下=事故数の低下は当然のことです。しかし、これは軽微な事故が減ったことで、物損の支払いを行う任意保険の支払い減につながると思います。実は、令和2年の死亡数は令和1年を上回っています。そもそも、自賠責保険の掛金の算定は複数年、少なくとも2年の経過をみて計算・決定しますので、今回の値下げは、ここ数年の傾向とみるべきです。

 一方、任意保険の値下げは・・・難しいと思います。契約者の支払った掛金の半分は、おおよそ経費(運営費=設備+人件費+広告費)にあてられます(残り半分が支払準備金=保険金です)。経費は年々上昇するものです。余程、事故の支払いが減らない限り、下げられないのです。    

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 交通事故被害で自動車を修理する場合、修理金額の全額がもらえないことがあります。それは、被害自動車が古い為、減価償却と言って、自動車の価値が年々下がるからです。民法の賠償責任とは、公平の観点からその被害物の価値を限度に弁償することになります。

 例えば、新車200万円で購入した自動車も10年乗れば、およそ20万円までに下がります。それだけ使った「物」ですから、消耗しますので価値が下がるわけです。この自動車が追突されて、修理費が仮に40万円だとしても、相手の保険会社は、その車の価値である20万円しか払わないと言うのです。ここでもめることが毎度のことなのです。(その対策として、20年程前に「対物全損差額費用特約」が誕生、この差額20万円を払ってくれることも増えましたが・・。)

   いずれにしても、法律上の賠償責任のルールであっても、ある日、突然、被害者さんは、修理や買替から目に見えない時間や手間の被害を負うことになります。これを埋めるものは、残念ながらお金でしかありません。ここで、物損のわずかな金額で騒ぐより、ケガの賠償金をしっかり確保する事、これが交通事故解決のコツと言えます。これに早く気付いてほしいと思います。本件もその好事例です。  

14級9号:頚椎捻挫(50代男性・静岡県)

  【事案】

自動車にて路上駐車中、追突される。頚椎捻挫の診断となり、仕事に使う荷台の専用機械が破損した。

【問題点】

ケガの被害はさておき、物損で相手保険会社と紛糾。理由は、よくある古い車両の全損金額が低すぎること。それ以上に、専用の機械を積み込む車両が古い車種の為、代替車両が見つからなかった。困った代理店さまから相談が入った。

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 詐病者とは、保険金等を目的に、嘘・偽りの症状を訴える者です。もちろん、これは保険金詐欺に類するもので、刑罰の対象です。人身・物損に限らず、あの手この手で保険金を詐取しようと考える者が、私達や弁護士事務所にしれっとやってきて、保険会社の横暴な払い渋りにあった気の毒な被害者を装います。なかなかに巧妙で、この道何十年の弁護士先生も騙されることがあります。まして、交通事故業務歴の浅いと言うか、人生経験の少ない若手など、簡単に騙されます。    私達の相談会でも、毎年、数人やってきます。私は、保険会社・代理店時代から多くの例を見てきましたから、割と見抜くことができます。しかし、疑うのは簡単です。保険会社側はそれでよいでしょうが、私達の立場として、真実の被害で助けを求める被害者さんを疑い、見捨てることは絶対に許されません。嘘か本当か、迷うこともしばしばです。こればかりは、経験を積むしかないと思います。できる事として、色々な手口を知っておくことでしょうか。    最近は、その保険金の詐取方法をレクチャーし、共犯者として呼び込む、新手の組織が現れました。コロナ対策の持続化給付金の詐欺に代表されるように、あらゆる補助金・保険制度の穴をついて、お金を不正に得る元締めみないな組織が増えているのです。彼ら、給付制度や保険約款を本当によく勉強しています。これら不正によって、払われる保険金の額は膨大です。業界ではこの全体像を「モラルリスク」と呼んでいます。

 保険の掛け金は、正当な保険金支払いが前提で計算されています。支払いが増えれば、結局、契約者全員の掛け金値上げで回収せざるを得ません。国の給付制度だって元は税金です。不正請求者・不正受給者は国民全体の敵なのです。そして、強調したいのは、不正請求者の存在こそ、給付金の支払いを切に待つ困窮者、十分な保険金が支払われるべき被害者、これら真に困った人達に対して、審査の厳格化・長期化をもたらすのです。

 私達は、保険会社と対立する被害者側の立場です。しかし、”不正請求や保険金詐欺を排除すべき”との立場は一緒だと思っています。        

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 先日、頚椎捻挫で後遺障害申請した案件について記載します。    本件は信号待ち停止中に追突され、「頚椎捻挫」と診断されたため、6ヶ月通院した後、後遺障害診断書を記載していただきました。症状としては、頚部痛、頭痛、肘から指にかけての痺れがひどく、仕事のみならず日常生活にも影響を及ぼしていました。私がみたところ、嘘や大げさではありません。

 早期からご相談をいただいておりましたため、その都度アドバイスし、いい方向(通院回数もある程度OK)に進んでいましたが、唯一の懸念材料は物損、つまり事故態様でした。同乗者がいたものの、その方は途中で通院をやめて示談済、物損の金額も10万円(部品等で3万円、残りは工賃)だったのです。写真で見ても、目立った損傷はなかったため、物損資料の提出を見送り、丁寧に記載された後遺障害診断書で勝負をかけました。

どこぶつけたの?

 申請してから1週間後に、調査事務所の担当者から「物損関係の資料一式、修理費が分かるようなものを手配していただきたい。本来であれば、相手方保険会社から入手するのだけれど、今回は相手方が共済のため、自賠責から依頼することができないんです…。」という連絡がありました。そのため、あえて提出しなかった物損資料を追加で提出したところ、わずか1週間で「非該当」の通知が届きました。

 受傷機転が見逃されれば、14級の可能性もあるだろうと考えていたのですが、流石は審査のプロです。物損(受傷機転)に目を付け、瞬殺(非該当の回答)とは・・自賠責恐るべしです。以前から承知の事ですが、自賠責は物損資料を取り寄せて判断材料にしています。しかも、14級9号の認定を決するものと、再確認することになりました。     本年は未曾有の事態で調査事務所も混乱したことでしょう。納得のいかない判定や、従来よりも早期回答が目立った1年でした。後遺障害について探求を続ける弊所は、常に自賠責保険の審査動向に注意を払っており、時折新たな発見もあります。これから後遺障害申請を予定している方は、ぜひともHPの情報だけに踊らされず、実績のある事務所を選んでいただきたいものです。  

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 今年に限らず、ここ10数年のことですが、「保険が使えるか」について迷うことがしばしばです。毎度、約款とにらめっこですが、私のように定期的にほぼ全社の約款に目を通している者ですら、保険の有無責に即答できないことがあります。これが、契約者さんなら当然に深刻な問題です。さらに、有無責の判断を保険会社の担当者に問い合わせても、即答などありません。「調べます」も1時間後どころか、1週間たって催促も、「すみません、もう少しお待ち下さい」の回答。    なんで、そんなに自動車保険は難しいの?     もはや、契約者の窮地を救う機能以前に、難易度が雲上に突出している状態、商品としての機能が麻痺しているんじゃないかとすら思います。支払い部門の担当者がこのありさまですから、保険を説明・販売する代理店さんも全面的に頼れません。また、約款には解釈論があり、文系最高峰の資格者である弁護士ですら、読解できない条項が存在します。    「難しいことを簡単に説明する」事の難しさは承知していますが、もはや、保険請求士、保険約款士のような専門家、資格者が望まれるのではないでしょうか。    かつて、護送船団方式の時代、保険内容と約款は全社同じでした。これでは、競争の原理に反すると、自由化して20年以上が経ちました。最初は各社の差はわずかでした。しかし、人身傷害保険、弁護士費用特約はじめ各種特約は各社の独自色が強まったと思います。相談者さまの対応についても、保険の有無責が解決までの計画を決するものですから、読解に必死です。

 また、「保険が使えます!」と私が判断しても、話が直ちに進むとは限りません。保険会社担当者に請求しても、まず「出ません」との回答をもらい、その後数度に渡って、保険が有責(でること)を主張し続けなければなりません。この保険会社のまず「出ません」から、「私ども勉強不足でして・・約款を確認しましたところ・・今回は有責の方向で・・」までのやり取りを、私達は毎度の事から「レクレーション」と呼んでいます。保険会社は、ほんとに払いたくないんだな・・いえ、有無責に慎重なんだなと思います。

 

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 受傷機転とは、「どような事故状況で、どのように受傷部位に衝撃が加わったか」を説明したものです。これを、自賠責保険の後遺障害審査では非常に重視しています。受傷部位・診断名ごとにその理由を説明します。本日は毎度毎度のむち打ちです。      交通事故外傷の実に60%はむち打ちです。正式には、頚椎捻挫、外傷性頚部症候群、頚椎症などの診断名になります。これは、歩行中、自転車・バイク搭乗中でも頻発しますが、何と言っても代表的なケースは追突です。追突の衝撃によって、首が急激に前後に振られて痛めます。多くは、捻挫ですから、安静と消炎鎮痛処置を続ければ、痛みは軽減します。通常の捻挫であれば、後遺症などは残りません。しかし、頚椎は体幹部でも細く脆弱ながら、脊髄の神経を中心に、神経根~末梢神経など神経のターミナルです。これらに衝撃が加わると、しつこい神経症状を惹起することがあります。神経症状となれば、捻挫の腫れが引いても、上肢へのしびれ、頭痛、めまい、耳鳴り、不定愁訴、諸症状が長引く原因とされています。  しかし、保険会社はそれら目に見えない症状に、いつまでも耳を傾けてはくれません。打撲・捻挫の症状は、せいぜい3か月と基準しています。したがって、治療費支払いの延長には、単なる捻挫ではない神経症状を信じてもらうしかありません。それには、医師によるジャクソン・スパーリングテスト、腱反射など、またはMRI画像における神経圧迫所見など、他覚的所見を示さなければなりません。経験上、それらが明確であれば、自賠責の後遺障害認定にも有利に働きます。ところが、それら他覚的所見がほとんどみられない被害者さんが大多数なのです。つまり、本人が痛いと言っているだけで証拠がない。これが、交通事故外傷・むち打ちにおける最大の問題となるのです。

 「被害者は、被害者意識から大げさに症状をまくし立てる」と保険会社は確実に思っています。そのような相手に、いくら痛い、つらいと言っても、信じてもらえるでしょうか? ここでも受傷機転が大きく関与することになります。例えば、同じ追突でも、ノーブレーキの大型トラックに突っ込まれ、小型車が全壊、バールでドアをこじ開けて、救急搬送された場合・・これは大ケガだと推定されます。交差点で横っ腹に突っ込まれ、自車が横転した場合も大ケガの範疇です。むしろ、骨折なく、むち打ちで済んでよかったと思います。これなら、通院が長期化しても、保険会社の支払いは優しいものです。自賠責の後遺障害も、リハビリ通院が一貫して半年続けば、14級9号を認定し易くなります。

 一方、信号待ち停車中、後ろの軽自動車がブレーキから足を離したため、コツンと衝突、修理費はバンパー交換程度の10万円。誰がどうみても大ケガをしたとは思ってくれないはずです。駐車場内(低速度)で、車の角がちょこんと当たっただけ、直進道路で割り込みされて、左前のフェンダーをこすっただけ・・・大した衝撃ではないはずです。中には、すれ違いざまにお互いのサイドミラーがこすっただけで、入院した被害者さんもおりました。もちろん、これらは詐病者扱いされます。軽い衝撃でも、心配なので数回通院した程度ならOKですが、3か月以上も通おうものなら、保険会社は治療費をきっぱり打ち切ってきます。それでも、文句を言えば、弁護士を立ててくるでしょう。これを保険会社の横暴と思いますか?    確かに例外的に軽度の衝撃でも、不意打ちに弱い人体ですから、頚部に神経症状が起きることはあります。それらレアケースでも、保険会社は(どうせでない)明確な他覚所見を要求します。仮に頑張ってリハビリを半年続けて、自賠責に後遺障害の申請をしても、14級認定は絶望的です。最近も、提出後、自賠責保険・調査事務所から、「物損の見積もりを提出してくれませんか」と追加要請が入り、10数万円の見積もりを提出した瞬間、非該当と通知がきました。やはり、受傷機転をみています。車同士の場合は、衝突の衝撃程度=修理費でまず予断しています。そもそも、自動車搭乗中の受傷事故の場合、調査の第一歩は修理費の確認です。大まかに大破、中破、小破の3段階に分けています。小破の場合、その程度の衝撃で具体的にどのように痛めたのか、厳しく審査されるわけです。  

 「その程度の衝撃で、何か月も通院するケガのわけはない。被害者はいつも大げさだ」と思われても、仕方ないと言えます。稀に、軽度の衝撃に関わらず、神経症状が重い場合は、専門医の診断と検査を重ね、自ら立証しなけらばなりません。むち打ち裁判の多くは、明確に勝訴の判例は少なく・・自賠責が認めなかった「軽度の受傷機転」に裁判官も傾くようです。    自賠責保険は、まず常識で判断しているのです。    中には、不幸にも軽度の衝撃ながら、神経症状が重度化してしまった被害者さんもおります。その救済は、私達も大変です。あらゆる検査、検証を加えて、自賠責保険にすがりつくような申請を試みます。この場合、多くは受任せず、諦めるよう言います。可能性のある方だけ受任、頑張っても30%程度の勝率です。どこの事務所でも、受任するか否か、非常に迷うのです。  

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 受傷機転とは、「どような事故状況で、どのように受傷部位に衝撃が加わったか」を説明したものです。これを、自賠責保険の後遺障害審査では非常に重視しています。受傷部位・診断名ごとにその理由を説明します。不定期ですが、シリーズ化の予定です。本日は、よもやよもやの膝関節。    以前から、再々受傷機転の重要性を語ってきました。自賠責保険は、審査上、医師の診断名を鵜呑みにしません。必ず、レントゲンやCT、MRIの画像を確認します。ここで「確かに損傷がある」としても、直ちに等級認定しません。受傷機転に戻ります。①「このような事故状況で膝を強打するだろうか?」、②「この程度の衝撃で靭帯や半月板が損傷するのか?」と、極めて常識的な疑問を持ちます。

 私達がよく相談者さんに説明する話法はこうです。「床に固いガラスの玉と柔らかいゴムの玉を落とすと・・・割れるのはガラスですよね」。ガラス玉は骨で、ゴム玉は靭帯を指します。つまり、膝に衝撃が加わったとして、骨折を回避できたのに、都合よく靭帯や半月板だけ痛めるのは、極めてまれなことだと思うわけです。例えば、自動車搭乗中に追突されて、踏ん張った拍子に膝を痛めた・・・この程度の衝撃で膝の靭帯が切れるはずはないと思われるでしょう。仮に、玉突き衝突で前車にも追突して、ダッシュボードに膝を打撃した場合、可能性は感じます。そこで、膝蓋骨(膝のお皿)が骨折していれば、靭帯や半月板の損傷は信用されます。ところが、骨に異常なく、都合よく靭帯だけが切れたとなると、にわかに信用できなくなるわけです。

 一方、自転車搭乗中に交差点で左折自動車の巻き込みにあって、人体への打撃はほとんどなかったが、脚が自転車に挟まって膝関節をひねり、前十字靭帯が断裂した例はありました。これは、事故状態から十分に説明できるので、靭帯損傷は納得できるものです。    通常、医師はこれら受傷機転を考慮することなく、画像検査や問診・触診から損傷があれば、診断名にします。受傷の原因はどうであれ、診断を下すことが医師の仕事です。しかし、相手保険会社、そして、自賠責保険の調査事務所は受傷機転に納得いかなければ、医師の診断名を疑う、あるいは陳旧性(事故以前の古傷)病変と思うのです。これが、交通事故外傷にまつわる紛争化の原因なのです。    MRIを撮って、靭帯の不全断裂、もしくは軽度損傷が見つかりました。医師も画像から診断名をつけました。さて、この損傷は事故受傷によるものでしょうか? これを、ケガと事故の直接因果関係と呼びます。ここでも、最も参考とするのは受傷機転なのです。次いで、事故直後の行動でしょうか。例えば、中高年の男性が自転車で自動車と衝突・転倒し、膝を強打したとします。しかし、骨折なく、多少のスリ傷程度です。通常、靭帯が断裂した瞬間、「ゴリッ」「ボキッ」と音がします。アキレス腱断裂などは周囲にも音が聞こえます(剣道部のあるあるです)。関節内出血が起きれば、膝部が腫れあがって膨張します。 でも、それらがない。

 何より、大の男がのたうち回る位に激痛です。まともに歩けません。それが、立って普通に歩けるのは何故か? これらの情報から、事故受傷が主原因ではなく「元々、経年性の損傷が半月板や靭帯にあった」との推定が働きます。とくに、変形性膝関節の兆候がある中年女性の場合、半月板がすり減っている人が多いものです。

 事故現場から普通に自転車に乗って帰宅し、翌日になって痛みで病院に行ったら、靭帯損傷の診断名となりました。これも、実に不自然でしょう。対して被害者さん達は、事故直後はアドレナリンがでて痛みを感じなかった、仕事に遅れるので痛みをこらえて急いで会社に行った、痛みはあったが日曜だったので翌日病院に行ったと言い訳します。しかし、一般人にそんな我慢は無理です。訓練された軍人やスポーツ選手なら可能性がありますけど(ランボーやマイク・タイソンなら可能でしょう)。普通、事故の衝撃で靭帯が切れたら、歩けない程痛みます。それを現場検証に来た警察や周囲の人がほっておくでしょうか? 救急搬送が普通、自転車など漕げるはずがないのです。

 ただし、すべてが嘘とは言えません。経年性で靭帯や半月板に劣化があったとして、無症状だった人が、事故の衝撃から痛みや不具合を発症することはあり得ます。そこは、自賠責も鬼ではありません。受傷直後~半年間、症状の一貫性があれば、14級9号(局部に神経症状を残すもの)のお茶を濁すような認定もあります。ただし、自転車を漕いで帰った人や、1週間後にやっと病院に行った被害者さんは、苦しい・・「非該当」になると思います。    このシリーズ、毎回の結論ですが、「自賠責保険はまず常識で判断」しているのです。    受傷者がアスリートなど特殊な例は除外。これら個別具体的な事情のある後遺障害は、裁判で後遺障害等級を勝ち取らねばなりません。

 

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 一番重い症状が認定されず、二番目の症状が認定されることがあります。これは、自賠責保険の審査基準がそうさせるのです。

 骨折と違い明らかな証拠のない打撲・捻挫での認定では、受傷~症状固定までの症状の一貫性が命です。本件の場合、初回申請での主訴であった腰椎捻挫を捨てて、症状の一貫性があった頚椎に絞って申請し直しました。結果は以下の通り。

 何事も相手あっての事、障害申請も審査側の基準に合わせて申請すべきです。私たちの業務は、(障害の)真実を明らかにすることが出発点ですが、真実の範囲で依頼者の利益の最大化を目指すものです。本例は、まさにその柔軟性が問われました。    リカバリーできました!   

非該当⇒14級9号:頚椎・胸椎捻挫(20代男性・静岡県)

  【事案】

自動車にて右折信号で右折を開始したところ、赤信号で交差点内に侵入してきた対向車と衝突し、負傷した。直後から頚部・胸部・腰部痛、とくに腰椎の神経症状に悩まされていた。   【問題点】

ご相談を受けたときには、既に6ヶ月目であり、保険会社から月末での打切りを宣言されていた。通院中の整形外科には以前お世話になったことがあるので、MRI検査依頼については同行せず、ご本人に任せることとなった。

その後、後遺障害診断書を依頼し、全期間の診断書・診療報酬明細書を精査すると、頚椎と胸椎の捻挫は初診時から診断名があるものの、腰椎捻挫が出現したのは”初診から1ヶ月経過後”であったことが判明した。MRI検査は症状が重い腰椎のみ撮影しており、バランスの悪い申請となってしまった。その嫌な予想は的中し、40日で「非該当」の通知が届いた。   【立証ポイント】

腰は1ヶ月後から出現しており、因果関係で否定されたため、再請求(異議申立)では腰を捨てて、頚椎1本で申請する方針を固めた。

主治医に追加資料を作成していただくだけでは弱いと感じたため、追加で頚椎のMRI検査を依頼し、すぐに手配していただいた。新型コロナウイルス第2波の影響で、MRI検査に時間を要したため、再申請まで2ヶ月かかったが、頚椎に的を絞った完璧な医証が整った。

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 自賠責の申請書類を収集・完備したら、後は連携弁護士に引き継いで私たちの業務は終了します。多くの場合、後は事務的な連絡を残すだけです。    しかし、裁判ともなればそうもいきません。保険会社側の相手弁護士は、自賠責が認定した等級をあっさり否定してきます。提出した診断書はじめ、色々とケチをつけてきます。被告側の権利主張ですから、つき合わざるを得ません。

 私達の場合、後遺障害認定を自ら行う「被害者請求」の段階で、厳しく後遺症の状態を調べ上げています。必要な検査を実施、医師面談を重ねて、障害の全容を完全に把握し、書類を揃えています。さらに、複雑な後遺障害の場合、自賠責からの医療照会や追加的に書類の提出要請が入ります。それらに対して、実に丁寧に対応・提出を続けていきます。すると、認定までの作業から、相手の反論は予想の範疇となります。裁判でも堂々、豊富な証拠書類を突きつけるだけです。

 逆に、事前認定(相手保険会社に後遺障害申請を委ねる申請方法)での等級認定は、被害者側の弁護士は一から調べ直しをしなければなりません。その負担たるや、次回の裁判期日まで時間との争いになります。相当な時間が経ってから改めて検査をしても、時機を失することになります。何より、裁判になってから医師面談を申し入れても、(裁判に巻き込まれたくない)医師の協力は得られないでしょう。つまり、準備不足の戦いです。事前認定=保険会社任せの等級認定の不利を悟ることになります。    本日は、連携弁護士と裁判対策、相手の反論潰しの打合せでした。後遺障害の手続きを被害者請求にて手の内に置き、自賠責等級を盤石にしておけば、裁判の結果も伴うものと思っています。

 

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 相手保険会社の担当者だって、間違った説明をしてしまうことはあります。    人間だもの    それは仕方ありません。被害者さん達は、「保険金を渋る為にウソをつかれた!」などと憤慨しますが、たいていは悪意なく単に間違えた、でまかせを言った程度のことです。なぜなら、例は少ないですが、逆に間違って支払いすぎること(過払い)もあるからです。そもそも、交渉事ですから、何事も鵜呑みににせず、自分でも調べることが基本と思います。    言った言わないには録音です!    しかし、あるケースでは、間違えましたでは済まされない、大変なことでした。概要を説明します(個人情報なので脚色しています)。    事故で遷延性意識障害に陥った被害者さんがおりました。事故後9か月、意識が戻らない。医師も「奇跡でも起きなければ・・」です。このまま常時介護であれば、介護費用がかさむので、死亡より後遺障害の賠償金が高くなります。亡くなったらお金がかかりませんので、このようなケースは珍しくありません。

 もう9か月、何はともあれ、最初の1手は自賠責保険金の確保です。そこで、相談を受けた代理店さんは、相手保険会社に「先に自賠責の請求をしたい」旨を伝えました。すると、担当者は、「自賠責へ請求するには(意識不明状態が続いているので)本人の意思確認ができないので、法定後見人を立てて下さい」との説明。かなりの面倒が家族に圧し掛かります。

 そこで、その代理店さんから秋葉に相談が入りました。私はまず、「後見人の選定は家庭裁判所に申し立てるとして、それを見越した、重傷案件に秀でた弁護士を選任します。賠償交渉は裁判前提、自身の過失分は併せてご家族加入の人身傷害保険に請求します。まずは、自賠責に被害者請求して、別表Ⅰの1級とその保険金4000万円を確保しましょう」と、いつものように、解決へのロードマップを示しました。

 ここで、先の担当者と秋葉で食い違うのは、自賠責保険の請求は後見人じゃないとできないか、ご家族でもできるか、です。後見人の設定にはそれなりに時間もかかります。弁護士を雇うことや当面の介護負担を考えると、4000万円は是非とも先取りしたいところです。そこで、代理店さんは、秋葉を信じて、ご家族の署名・印で被害者請求をしました。

 もちろん、念書の追加提出を済ませて保険金がおりました。しかし、なんと、それを待つように、被害者さんは1か月後に亡くなってしまいました。高齢で事故のダメージを負い、意識障害が続けば、当然に予想すべきことかもしれません。

 ここで、先の担当者の説明を思い出して下さい。後見人の設定で3か月程度を浪費してたら・・請求前に死亡となってしまいます。自賠責への請求は後遺障害ではなく、死亡となるのです。恐らく、その死亡保険金額は3000万円が限度ですが、高齢から逸失利益が伸びず2400万円位と思います。対して、生きてるうちに介護費用を含む別表1-1級の認定を受けた保険金は、ほぼ4000万円に達します。認定後に死亡したからと言って、「差額1600万円を返せ!」とは言われません。症状固定日で後遺障害を判断するのが自賠責のルールですから。

 すると、死亡の場合の賠償請求で勝負するよりも、低い自賠責規準であろうと後遺障害保険金が有利、まして過失減額ない4000万円の確保で解決になること濃厚です。もし、相手担当者の言うことを信じていたら、少なくとも1600万円以上の損失、これは交通事故の2次被害です。仮に、それを任意保険会社に咎めても、「担当者の・・勉強不足の間違いで・・すみません」とは言うでしょうが、何ら責任を負うことはしませんし、責任を負うべき罪にもなりません。すべては、被害者家族の不運で済まされます。    このケースは極端ですが、交通事故の世界は間違いのオンパレードです。保険会社だけではなく、警察も医師も弁護士も、お役所もすべて、間違った説明をする可能性があることを肝に銘じるべきです。被害者さん達も、正しい説明と判断するためにも、勉強しなければならないのです。  

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 健保の使用判断は、健康保険法で被保険者(患者)の意思であり、ひと昔前によく病院窓口で言われた、「交通事故では健保は使えません」などの法律は存在しません。むしろ、この病院の姿勢は、健康保険法違反に類すると思います。    自由診療と健保診療については、かつての記事を ⇒ 自由診療について 3    近年は、交通事故の健保治療について、直ちに拒絶する向きは減りました。しかし今度は、掲題のように、自賠責保険の書類を拒否することが普通になりました。この背景事情を病院事務の方々に聞いたところ、近年の医師の集まりで正式に申し合わせがなされたようです。まじめな医療事務員さんは、まるで法律改正でもあったように、健保治療は交通事故と関係ない、だから、自賠責保険の診断書・レセプトを書かないと徹底しています。    この動きには、損保側も大変困っているようです。なにせ、治療費の圧縮には健保・労災の使用が欠かせません。健保は医療点数1点=10円と決められており、自由診療の20~円に比べ、およそ半額なのです。    治療費の圧縮はしょせん損保会社の支払い事情ですが、過失案件で被害者さんにも責任がある場合は、影響は避けられません。例えば、20:80の事故の場合、賠償金総額から自身の過失分20%が差し引かれます。すると、治療費を半額に収めれば、最終的に手にする慰謝料等の賠償金が増えます。この計算内訳は別の機会に譲るとして、自身に過失のある場合、健保・労災の使用は必須なのです。    一方、病院側の事情を代弁すると、「相手のいる加害事故での被害者は、自由診療であるべき」と考える向きは間違っていません。国の公的補償制度の性質をもった健保に、第3者による加害行為までを(国民全体に)負担させるべきとは言えません。それは確かに筋です。しかし、本音は「健保治療は治療費が半額以下で儲からない、なのに、自賠責の書類まで面倒見れるか!(怒) まぁ、自由診療で儲けさせてくれたら、自賠の診断書を書いてやらんでもないけどね」と言ったら、ゲスの勘繰りになりますでしょうか。病院にとって交通事故はドル箱、なるべく自由診療に誘導したい気持ちはわかります。

 さて、この病院側の「交通事故治療では自由診療以外は自賠責の書類を記載しないことになっている。」は、健康保険法や自賠法に関係のない、病院側の一方的なルールです。そこで、「病院側に違法あり」と、断罪できる法的根拠を考えてみました。健康保険法1条他を原則に考えれば、健保使用は患者の意思次第であり、「健保を使うなら自賠責の書類は書かない」は、国家の制度である健保の使用に、病院側が勝手に条件をつけたことになります。これは、不当な使用制限です。

 また、医師法から見ると、

第19条 2  診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。    「健保を使ったから自賠責の診断書は書かない」が、正当な理由になるのか否か、これも争点になります。今度、この問題で対立する案件がきたら、弁護士さんに病院を訴えてもらいたいです。その判例で決着をつけることになります。最近の自賠責、健保の判例から推察するに、裁判官が被害者救済の見地に立てば、判断は容易と思います。    まぁ、白黒つけることは別として、病院側が柔軟に対応してさえくれれば良いのです。例えば、相手が無保険(自賠責のみ)で、賠償金の確保が難しく、自賠責しか頼れない場合は、「健保と自賠責の併用は避けられないので、その場合は両方のレセプトを記載できる」。これを例外規定として、申し合わせに加えてもらえないでしょうか。過失案件で被害者自身に過失が生じる場合も、少なくとも自身の過失分には健保を使う権利があります。これも同じく例外の扱いに。実は、事情を話せばわかってくれる病院も多いのです。

 被害者さん達の状況は複雑です。そして、何といっても困っているのです。ありとあらゆる保険を使用・併用をしなければならない窮状を、治療側に是非ともご理解頂きたいのです。病院に限らず関係者すべて、優しさ・寛容を前提にすれば、簡単なことではありませんか。  

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 この背景事情を病院事務の方々に聞いたところ、近年の医師の集まりで正式に申し合わせがなされたようです。まじめな医療事務員さんは、まるで法律改正でもあったように、健保治療は交通事故と関係ない、だから、自賠責保険の診断書・レセプトを書かないと徹底しています。    交通事故治療の現場に、被害者さんにとって新たな壁が出現しました。 この件は長くなるので、明日、意見展開します。    病院の協力なしの戦いはキツいです  

非該当⇒14級9号:脛腓骨骨折(50代男性・神奈川県)

  【事案】

バイクにて走行中、側道から右折してきた車に衝突され受傷。脛骨と腓骨を骨折した。

【問題点】

被害者請求を実施するも結果は非該当であった。それ以前に病院との関係で困難を極めた。 過失があったため、健康保険を適用して治療していたが、病院から「交通事故治療では自由診療以外は自賠責の書類を記載しないことになっている。」と自前のルールを説明される(労災でも同様のよう)。また、非協力的な主治医による足関節の計測がいい加減だったため、12級を逃す数値となってしまった。

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 通常、交通事故のケガによって後遺症が残った場合、それが事故でのケガと直接に因果関係のある症状であれば、その等級認定に問題はありません。その判断をより複雑にしているのは、事故のケガを契機に二次的に症状か重度化した、もしくは別の傷病を発症した場合です。

 今までも、高齢者が脚を骨折した場合、当然に若い人より骨癒合遅く、弱った足腰からリハビリもままなりません。したがって、ケガを契機に介護状態になったり、介護状態が進行するものでした。入院を契機に認知症状が発症することも珍しくありませんでした。このように、高齢者が交通事故で大ケガを負うことで、二次的に症状悪化が当然に起こります。その点、相手保険会社は、直接因果関係のない症状は「歳のせいですよ」と事故受傷とは区別、突き放す傾向です。

 本例は、介護状態の進行を真っ向から評価、加重障害のルールで調整しました。同じ脚のケガでも、その状態如何から二次的被害を評価した貴重な認定実績となりました。

えらく大変でしたが、今後に活きる仕事となりました  

別表Ⅰ・2級1号 -加重障害9級10号:下肢デブロービング損傷(80代男性・東京都)

  【事案】

狭い道路の路肩で通り過ぎる路線バスに右脚をひかれて受傷したもの。骨折は無かったが、皮膚のダメージが大きく、植皮手術を2度行った。下肢は膝~足~足指まで硬直が進み、ほとんど下肢全廃の機能障害に陥った。元々、片杖歩行は可能であったが、以来車イス状態となった。

【問題点】

デブロービング損傷による機能障害の認定は数例経験済み。ただし、用廃レベルは初めて。高齢による影響を、自賠責がどのように判断するかが勝負所とみた。

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 本件は弁護士さんとも協議しましたが、かなり難解です。自賠責や労災では、未公表、あるいは独特のルールがあります。実践を積む上で知る規定もしばしばです。

 1人1人の被害者さんの損害を明らかにする作業で、後遺障害等〇級といった形・数字は必須です。ただし、自賠責保険は労災をベースにしつつも、自賠責特有の等級があります。その等級や独特の認定ルールが被害者にとって有利である場合と、不利となる場合があります。そこは、弁護士と連携の中で、後の損害賠償の主張で取捨選択することになります。

 本件のように、賠償交渉以前に水面下で地味な戦いもしているのです。この積み重ねが事務所の実力につながると思います。

この創造的な作業から、また一つ経験則を積みました  

9級相当・加重障害-10級10号:大腿骨頸部骨折(80代女性・静岡県)

    【事案】

道路を歩行・横断中、右方より走行してきた乗用車にはねられた。救急搬送され人工骨頭置換術を施行したもの。

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