毎回被害者さんに説明しています、「自賠責保険における後遺障害申請の流れ」を復習しましょう。    自賠責保険の契約手続きは通販を除く、任意保険会社と交わします。多くの場合、自動車購入時、車検時に自動的に契約しますので、任意保険ほど「契約した!」感はありません。

 交通事故の被害者が後遺障害を負った場合、相手の自賠責保険にまず等級の申請を行います。

 申請ルートは相手の任意保険会社を介した「事前認定」、被害者側で行う「被害者請求」に大別されます(稀に「加害者請求」、「仮渡金請求」もあります)。この申請書類は自賠責保険の引受会社・担当窓口に送られます。そこで提出書類のチェックを行い、不足・不備がなければ、「損害保険料算出機構」の下部組織である「自賠責損害調査事務所」に送致、そこで審査されます。

 そして結果は窓口である自賠責保険会社に戻り、そこから申請した被害者に通知がなされます。この通知は自賠法 16 条の 4 で「文章回答」が義務付けられています。

 自賠責側から見ますと、以下4段階となります。

 契約事務→保険金請求受付事務→審査は別機関→支払、認定結果通知事務

 自賠責保険は平成14年4月に国土交通省の管理運営を外れ、民営化されました。しかし昔も今も調査・審査業務は調査事務所です。上記の流れの通り、窓口業務を民間=損保会社が行うシステムの整備がなされた事、これが民営化の実質的な内容です。

   明日から実際の「文章回答」を載せます。今日の日誌はそのシリーズのプレリュードのつもりで書きました。被害者はもちろん、この業界の皆さんも興味津々、自賠責保険の回答パターンを特集します。一緒に考察しましょう。

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 昨日の日誌では私の仮説を書きました。では(財)日本損害保険協会のデータで検証します。まずは10年前の分析結果をみてみましょう。

 ※ 抜粋 「加害者側からみた年齢層別事故の特徴」  

 事故の確率:年齢別免許保有者数と事故惹起者との関係

 よく若者や高齢者は事故を起こしやすいといわれるが、実際にこれを確認するために、加害者年齢層ごとに免許保有者に占める事故件数の割合(事故の確率)を求めた(表1-1参照)。

  その結果は次のとおりであった。

(1) 16~19歳までの免許保有者数は約177万人で、全年齢に占める割合は2.36%に過ぎないが、免許保有者に対する事故件数の割合は全年齢の平均1.19%に比べ、2.98%と極めて高い。

(2) 加害者の年齢層別にみると16~19歳が加害者となる割合が最も高く、次いで20~24歳、25~29歳の年齢層の順となっており、これらの層が平均を引き上げている。

(3) 65歳以上の高齢者についてみると、3つのいずれの年齢層も全年齢の平均1.19%を下回続きを読む »

 今週の『サンデー毎日』誌上にて、自動車保険の改定と無保険車の増加の関連性について触れていますが、以前日誌で既述したように、「いずれ(新しいノンフリート等級制度に)慣れてくる」と思いますので、記事のコメントほどの深刻さは感じていません。日本全体の自動車登録台数が平成21年より減少局面に入っています。つまり車に乗る人、買う人が今後も減り続けることになります。したがって極端に無保険車の「率」が上がらない限り、無保険車の「数」は増えません。    この「率」と「数」の関係を意識しないと、間違った分析となります。  では「率と数」の面から「高齢者ドライバーの増加」を見てみてみましょう。

 昔は80才のお爺ちゃんが運転なんて・・・と考えられていましたが、今や珍しくありません。急激な高齢化社会に伴い年代別ドライバーの分布は変化しています。当然、高齢者の事故が増加することになります。保険会社はそれを理由として60歳以上の掛金の値上げを検討しています。今後の料率改定で一番安い掛金帯である「35歳未満不担保」を「35歳以上60未満」とすることは必至です。つまり「60歳以上」は別枠に・・高齢者帯の値上げです。

 10年前まで若年層のドライバー特有の無謀運転による事故が多かったのですが、比して近年高齢者の事故が増加しているのでょうか?結果として、値上げするほど高齢者の事故が多くなったでしょうか?保険会社の言い分を正確に分析してみましょう。

 超スピードの高齢化で人口ピラミッドが変化したこと、つまり若者に対する高齢者の比率が上がったことは事実です。さらに若者の自動車離れによる、若年層ドライバーの数自体が低下したことも明らかです。数字上、高齢者ドライバー人口と高齢者による事故「数」は増加しました。しかしだからと言って年齢層別の事故比率は上がっていないはずです。これが本質的論点なのです。

 保険会社の一番の悩みは「35歳未満不担保」の安い掛金の契約者が増加と同時に、「全年齢担保、21歳未満不担保」の高い掛金の契約者の減少が進行しているのです。これでは全体の収保(掛金の合計)の大幅な低下となってしまいます。 建前 「高齢者の事故が増えたから、高齢者は値上げします」 

本音 「掛金の安い「35歳未満不担保」が増えて、掛金の高い「全年齢担保、21才未満不担保」が減ったので、全体の掛金収入が減ってしまいました。したがって35歳未満不担保の一部を値上げして全体の収益減少の修正をします」    これが私の分析です。明日はそれを裏付ける損保協会のデータを掲載します。 

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 以前、来秋から改定される自動車保険:割引等級の改定について取り上げました。改定の内容は秋以降、各社の全貌が整ってから改めて解説する予定です。

 週刊誌などでもこの改定に注目しているようで、サンデー毎日の記者から取材を受けました。仲間の行政書士である宮崎県の上田先生と私のコメントが掲載されています。

 従来のように保険会社側や保険評論家なる先生方だけではなく、NPO法人交通事故110番の代表、宮尾 一郎氏をはじめ、保険のユーザー側からの意見も求められています。

 全国紙なのでここでも取り上げましょうか。

(クリックすると大きくなります。少し重いですが文章は読めます)

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 暑いです。冷房の効いた研修室に入ると眠気との戦いになります。どんなに多忙でも睡眠時間を削ってまで仕事をするのは下策と思っています。しかし時間がいくらあっても足りないです。事務の堆積が止まらない!!!困ったもんです。

 さて、昨日は秋から(正確には来年から)自動車保険のノンフリート等級の改定についての研修会です。JA(農協)を除く、ほぼすべての保険会社が改定を決めています。久々の全社一斉変更です。

 この改定の大筋はノンフリート等級=無事故割引等級の見直しです。今までは無事故の実績で毎年一つ一つ等級が上がっていき、事故で保険を使うと3つ下がる内容が基本でした。しかし事故を起こす人は全く起こさない人に比べ常習性が高く、3つ下げるだけでは公平性が保てないそうです。したがって翌年、無事故の人は「無事故等級:〇級」に、事故で保険を使った人は「事故あり等級:〇級」で評価します。つまりノンフリート等級が2つの割引体系になります。「事故あり等級」は「無事故等級」に比べ、極端に掛け金が上がります。公平性は全体で担保するものですが、結局、保険会社の収益を改善することが急務なのだと思います。

 大きな改定ですが、数年で慣れてくるものと思います。しかし事故で保険を使った場合、値上がり幅が大きいと、次の懸念が挙げられます。

1、少額の事故では保険を使うことを避ける。

 保険を使わずお財布から修理費等を支払う。自分の損害(車両保険)なら自己判断で良いですが、対人・対物など相手への補償の場合、保険使用をためらうことによって起こる当事者間のトラブル増加が心配です。

2、翌年の掛け金が高くなるため、保険継続を断念する。

 やはり任意保険の加入率の低下は避けられないと思います。無保険車の増加は社会不安の増大です。

3、無事故の優良ドライバーの囲い込み

 通販系の保険会社は事故経験ありのドライバーを基本的に謝絶する方針です。事故を起こした契約者への継続を謝絶する傾向に拍車がかかるように思います。すると国内損保会社に事故ありドライバーを引き受ける負担が増加し、当然収益に影響を受けます。顧客への優良なサービスが提供できる国内損保の地盤沈下が進むかもしれません。

 今後、このような改定が進んだ結果、ますます引受方式がアメリカ式アンダーライティング化するかもしれません。保険会社にもドライバーにとっても自由競争の時代です。詳細はまた特集し、報告したいと思います。

 

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 保険営業時代、自転車通学の学生が多い高校に対し「自転車総合保険」の団体募集に力を入れていたことがあります。

 これは自転車搭乗中の自身のケガ、相手への賠償がセットになったものです。相手への賠償はつまり「個人賠償責任保険」の事です。自動車保険で言うところの「対人賠償」、「対物賠償」にあたります。自転車でも歩行者や他の自転車、はたまた自動車へ損害を与え、賠償義務を負うことがあるからです。最近でもワイルドな子供さんが止まっている自動車の側面に衝突し、ドアをへこませました。幸いご自身にケガはなかったのですが、修理費15万円を請求されました。これに対し個人賠償責任保険で対応、修理費を支払いました。近年自転車が加害者となる交通事故も多く、個人賠償責任保険も必ず入っておきたい保険の一つです。

 タイトルの「自転車総合保険」は一部損保を除き、現在ほぼ販売しておりません。団体ならともかく、一人一人に契約を勧めるには掛け金も安く、採算が合わない保険なのです。したがってご自身のケガの補償は普通の傷害保険等で賄うとして、個人賠償責任保険を別に確保する必要があります。傷害保険や火災保険に特約として付帯する方法がポピュラーですが、多くの損保が自動車保険にも付帯可能としています。家族全員に適用されますので、家族に自転車を乗る人がいる場合、漏らさず付帯することを勧めます。掛け金も最高3000万円補償で1200円くらいです。     ← トルコのカッパドキアにて。

 ツーリング中のスナップ。

 この時は海外旅行保険に個人賠償責任保険を付帯しました。

 ワイルドだろう?

 杉ちゃんより10年早くからこのスタイルだぜぇ

  

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 償いの為の賠償保険(対人賠償保険・無保険車傷害特約)

・・・裁判となったら判決された賠償額を払います。 teresa  契約する際、定額補償を約束した傷害保険(人身傷害特約)

・・・契約時に定められた金額、基準にて支払います。 続きを読む »

 再開します。

 傷害保険として自社基準で支払いたい「人身傷害保険」。各社約款の修正、その前に運用基準の明示に入りだしました。  

A、後遺障害を伴わないケガについてはこちらを優先適用します。  人身傷害の支払基準は約款にほぼ明示されています。各社対人賠償の基準に準じていますが、その対人賠償と同じく、後遺障害を負った被害者に対する逸失利益の計算などは約款上、「被害者の障害の部位・程度、年齢、職業、現実収入等を勘案して決定します」としています。したがって担当者がそれらを考慮して決定するのです。この決定に関わる細かなルールを運用基準(影の支払基準)としています。私も会社のサービスセンター(保険金支払い係)研修の際、この「運用基準を見せて」とお願いしましたが、「これは社員でも担当以外は見せられない」と拒否されました。これは保険の自由化後の現在でもマル秘ファイルであることは変わりません。  対人賠償や人身傷害の積算(損害額の計算)の際、この運用基準は用いられます。逸失利益だけではなく、慰謝料や休業損害、その他多肢にわたるはずです。支払保険金の削減が至上命題である担当者にとって、この運用基準の中で保険会社有利に計算することで支払額の抑制が容易に可能となります。

 さらに無保険車による受傷で自分の任意保険に請求する際、「後遺障害を伴わないケガについては人身傷害保険で」とのルールが運用基準に存在し、それを証券、パンフレット上にも明示したと推察できます。無保険車傷害特約を請求する際、各社口をそろえて「人身傷害保険で支払います」と回答し、「人身傷害が優先です!」との社内ルール(運用基準か?)を押し出してくることからそう思うのです。一方、契約者が請求したい特約を自ら選べないのはおかしな印象を受けます。 

 もっとも後遺障害を伴わないケガの場合、3000万円を超えるような損害はほとんどありえません。実際の運用上、的を得たルールです。しかし、無保険車の相手に対し、後遺障害が残らないケガでも裁判をする場合もありえます。判決された賠償額について、相手の支払い能力がないため、自分の任意保険会社に請求するとします、その場合「後遺障害がないのでAのルールを適用します。したがって任意保険会社の基準で支払います」となり、裁判の判決額は払えない事になります。

             

 これでは困ります。やはり両保険が併存して契約されている限り、永遠にこの問題が付きまといます。          

 そして、先進的に約款改定を行う東京海上、損保ジャパンは、思い切った修正をしたのです。

                                          つづく

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 昨日は日米・交通事故賠償の土壌の違いを挿入しました。アメリカでは保険会社の独自基準より、代理人弁護士による裁判基準が幅を利かせているのです。州によっても差がありますが、被害者が直接、保険会社と示談し、保険会社の基準額で解決することは一般的ではないのです。対して日本は某損保会社の数字を見ると84%が保険会社対被害者、もしくは保険会社対保険会社の示談で解決しています。

 84%・・・つまりこの国の交通事故賠償はほとんどが保険会社主導なのです。裁判や弁護士の交渉なんて、めったなことでは起きない少数例と言えます。かと言って、アメリカの「訴訟社会」を礼賛しているわけではありません。なんでもかんでも紛争を拡大し、賠償金を吊り上げ、自らの収入UPを考えている弁護士が多いアメリカはぞっとします。しかし日本の極端な「保険会社主導社会」が健全なのでしょうか。

 「保険会社主導社会」、これをどう判断するか?  

保険会社=「紛争の拡大・高騰化を防ぎ、社会秩序の安定に寄与している」   

被害者=「保険会社の囲い込みに蹂躙されている」   

 この立場を違えた評価はどちらが真実なのか、それとも陰陽、2重の側面なのか・・・

 保険会社にとって自社基準で支払う事が当たり前であると同時に、裁判規準などとんでもない話なのです。弁護士を介さず、自社の対人賠償の担当者で示談をしたい、無保険車障害特約は使わずに人身傷害保険で支払いたい、このように自社基準での「囲い込み」が至上命題となります。  

 無保険車傷害特約シリーズ、ついに核心に近づいてきました。

 つまり無保険車傷害特約と人身傷害保険はその出自(誕生の経緯)と併存(途中から人身傷害保険が輸入され、1つの保険に2つとも含まれた)から、日本の賠償基準がダブルスタンダード(裁判基準と保険会社基準)で、その両者の乖離が極端(支払い保険金が何倍も違ってしまう)であることを大々的に示してしまったのです。そして何より、どちらに請求するかによって支払い基準の差でたいへんな損得が生じてしまう!

 これに気づいた保険会社は約款の修正に入りだしました。

 いよいよ自動車保険最大のタブー、多くの論点に紆余曲折しつつも収束に向かいだします。  つづく  

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 アメリカの自動車保険事情を簡単に言いますと、訴訟社会であるが故、賠償保険が絶対的に必要です。そして無保険車が多く、ぶつけてきた相手が十分な保険に加入している、もしくはしっかり補償をしてくれるなど、まったく期待していません。移民も多い多国籍国家なので、日本と違い他人への信頼度が低いと言えます。したがって自身の補償保険も必須です。

 加入率ですが、都市部では70~80%、一方地方は加入率も当然低く、30%を切る州もあります。これは州によって最低保険の加入額や関係する法律に違いがあることが一因です。

  <一般的な内容>

■ Liability Coverage(≒自賠責保険)

 日本のように自賠責保険加入が車検の絶対条件としていません。それに代わる制度として自動車の登録・更新制度があります。更新料(Renewal Fees) の支払いとともに、スモッグチェック証明書(Smog Certification)、自動車損害賠償責任保険(Liability Insurance) に加入していることを証明するもの(evidence)を提出しなければなりません。多くの州で2年更新です。

 この強制保険には最低補償額が設定されており、それに満たない運転者には罰則で対処しています。カリフォルニア州では対人は、事故1件、1人の死傷に対し15,000ドル。2人以上に対して30,000ドル。対物として5,000ドルです。

■ Bodily Injury Liability (対人賠償)

 自動車事故により他人を死傷させた場合に、医療費や休業補償をするものです。相手が死亡する、後遺障害を負った場合、十分な額が必要です。

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 保険シリーズは堅い話が続くので疲れますね。今日は少し休みましょう。  

 「人身傷害は自動車保険自由化の目玉商品としてアメリカからやってきました」。話の節々にアメリカがでてきますが、そもそも日本の自動車保険の内容について多くが、自動車社会を先行するアメリカの保険制度の流用です。ここでアメリカの保険を語りだすと脱線して元に戻らなくなる危険があります。これはテーマを変えて別の機会にしたいと思います。

 私も保険会社に入社した頃、アメリカの保険制度を少々勉強しました。そして会社のお金で短期ですがアメリカ研修の経験があります。ニューヨーク、ナッシュビル、ロサンゼルスの3都市滞在でした。        ロスでは比較的日本の代理店制度に近い(正確に言いますと日本が真似たのですが)、ステートファーム社の代理店を訪問しました。ここでは数年後に来る金融ビックバンと保険の自由化について、アメリカ、ドイツを例にとり、話を聞いてきました。人身傷害保険を知ったのはこの頃です。

  ロス(SF社近く、ロディオドライヴ)にて。  完全に欧米かぶれ。この頃から日米比較の癖がついていたのですね・・・。

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 続きます。

 先週「(無保険車傷害特約の)裁判基準」か「(人身傷害保険の)保険会社基準」と書きましたが、これは正確ではありません。約款上、無保険車傷害特約も人身傷害保険もそれぞれに保険会社の支払い基準が記載されています。

 しかし、過去私が携わった、もしくは承知している無保険車傷害特約の請求は3件ですが、すべて保険会社は裁判で決まった賠償額を(渋々)支払いました。対して人身傷害特約の請求では「約款に書かれた基準で!」とかなり強硬です。この二つの保険の支払対応にはかなり温度差があります。

 なぜでしょう? これは自動車任意保険の誕生の秘密にさかのぼります。やや私の推論も含みますがお聞きください。

 加害者の賠償責任の肩代わりにより、交通事故被害者の救済を果たし、社会の安定を目指す。・・・このような社会的ニーズから自動車任意保険の販売は認可されました。社会的責任の強い商品であるからこそ、発売当時は「全社同じ内容、同じ掛け金、同じ支払基準」で販売されました(これは平成10年の自由化で撤廃されました)。その政府の認可に至る過程で、以下のような理屈が浮上しました。

 「対人賠償の掛け金を払って被害者の救済に備える契約者が、もし逆に保険を掛けていない(支払い能力もない)相手の自動車事故で被害にあったら?」

 

⇒「自分は相手に対して補償を備えているのに、無保険車に被害を受けて補償が得られない。これは不公平ではないか!」  

⇒「では対人賠償をかけている人にも救済が図れるよう、自動的に無保険車傷害特約を適用しましょう。」

 

 これは保険に「公平の原則」という崇高な理念が織り込まれているからです。

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(Q2) Aさんに昨日の「パターン1」での解決を説明しましたが納得できないようです。 「自分が悪くないのに、自分の保険を使って解決することは理不尽だ!何より無保険の上、まったく責任を感じていないBさんを許せない!」 

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 人身傷害保険について基本的な内容、特徴を抑えましょう。この保険を理解しないと明日以降わからなくなってしまいますよ。  

補償内容

 人身傷害補償保険では、けがによる治療費の実費や、働けない間の収入、精神的損害を幅広く補償します。また、会社によっては自動車による事故だけでなく、犯罪被害事故の補償もカバーします。

 

1、契約している自動車に乗っている時に事故に遭い、ケガをした。特約によってこの1の補償のみに限定することができます。

 

2、他の自動車に乗っている時に事故に遭い、ケガをした。(ただしその車についている人身傷害保険が優先的に適用されます)

 

3、歩行中、自転車搭乗中に自動車との接触事故に遭い、ケガをした。

 

4、バスや電車、船、飛行機等の交通乗用具に搭乗中、ケガをした。なぜかエレベーター搭乗中も含みます。

 

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 これから自動車保険の深部に踏み込みますが、まず自動車保険の基本的な理解が必要と思います。今更ながらですが、少しお付き合い下さい。

 自動車保険は<賠償保険>と<補償保険>そして<特約>の3つから構成されています。

<賠償保険>

■ 対人賠償責任保険  

 自動車を運転していて誰かをケガさせた。その金銭的償いと代理交渉をします。

■ 対物賠償責任保険

 自動車を運転していて誰かの物(自動車をぶつけて)壊した。その金銭的償いと代理交渉 をします。 <補償保険>

■ 人身傷害保険

① 運転者、同乗者が契約している自動車に乗っているときにケガをした場合、実際にかかった金銭の補償をします。

② 契約者とその同居の親族が歩行中や自転車走行中に他の自動車と事故になったとき、他の自動車に乗っているときにケガをした場合、実際にかかった金銭の補償をします。

③ 契約者とその同居の親族が自転車や他の乗り物(電車、バス、飛行機等、主に公共交通機関)に乗っているときにケガをした場合、実際にかかった金銭の補償をします。

★ ①②③すべて含むのが原則ですが、①のみ選択した契約も可能です。また③は各社廃止の傾向です。

■ 搭乗者傷害保険

A: 運転者、同乗者が契約している自動車に乗っているときにケガをした場合、死亡の場合、死亡金額、後遺障害の場合その等級による金額、入通院の場合、部位や重さにしたがって定額でお金がおります。

B:運転者、同乗者が自動車に乗っているときにケガをした場合、死亡の場合、死亡金額、後遺障害の場合、その等級による金額、入院や通院の場合、その日数×保険日額で計算してお金がおります。

★ 契約の際、AかBの選択となります。またAのみ販売の会社が多くなっています。またAの死亡・後遺障害を含めない契約も増えています。               続きを読む »

 「自動車保険の更新、ちょっと待って! もっと安くなるかもしれませんよ!」

 通販型自動車保険の宣伝、その決め文句ですが、毎年自動車保険の更新について細かく検討している人は少ないと思います。何と言っても分かり辛い。字が小さい。どこも同じでしょ・・・そんな印象からじっくり証券やパンフレットを見ることは少ないと思います。そして「昨年と同じでいいです」と更新します。しかし私たちのように交通事故、自動車保険に深く関わる仕事をしていますと、保険内容の細部にまで注目しています。

 昨年の更新で保険証券に若干の変化がありました。以下保険証券から抜粋した『人身傷害特約』の欄をご覧下さい。

(クリックするとはっきり見ることができます)

『無保険車傷害』⇒ 注:『人身傷害で補償されます』

   …ん、これはどういうことでしょうか?

 さりげなく書かれていますが、これは被害者にとって隠れた大問題です。  

 まずは『無保険車傷害特約』からおさらいしましょう。これは保険に入っていない、支払い能力のない加害者にケガをさせられた時、もしくはひき逃げ被害などで相手から補償が受けられない分を自分の自動車保険で補償してくれる有難い特約です。あまり馴染みのない保険ですね。もう少し説明を加えましょう。

 ある時、自動車事故に遭って大ケガをしました。死亡事故はもちろん、後遺障害を負うようなケガとなると賠償金は大金になります。また車の修理費を相手はちゃんと補償してくれるでしょうか?「相手の保険から払ってもらうので大丈夫では」・・このように考える方も多いと思います。しかし、相手が任意保険に加入していなかった場合、相手はすんなり自身のお財布からお金を払ってくれるでしょうか?任意保険に入らない精神の持ち主ですよ。もしくは掛け金が払えない経済状態?・・このような人からお金を取ることは絶望的です。

 それでは、任意保険に加入せずに走っている自動車はどのくらいあるのでしょうか?

 任意保険の加入車は各社の統計で容易に割り出せます。そして全登録車を分母にすれば、大まかな加入率が割り出せます。最新の統計を見てみましょう。

 全保有台数78660773台の内、対人・対物賠償の加入率の全国平均は73.4%です。(平成23年3月末 損害保険算出機構データ)

 使用していない自動車を差し引く必要がありますが、約80%が保険加入車と想像できます。そうなると任意保険に加入しないで走っている自動車は2割ほどということになります…。5台に1台、けっこう多いと思いませんか。

 「自賠責保険(強制保険)があるから大丈夫」、このような反論もあるかと思います。多くの方が誤解していますが、強制保険は補償が非常に限定されたものです。死亡の場合3000万円、後遺障害の場合4000万円、加えてケガの補償は120万までです。大ケガの場合、当然足りなくなります。そして対人賠償限定なので、車の修理費など物の損害はでません。  このような場合、ケガをしたご自身が自動車任意保険に加入していれば、『人身傷害特約』もしくは『無保険車傷害特約』で補てんすることが可能です。ちなみに車の損害の場合は『車両保険』です。自分が悪くない事故の時に自分の保険を使うのは理不尽ですが、これにより一定の救済が図れますので、「入っていてよかった~」ことになります。

    ちなみにゴールデンウィークに『無保険車傷害特約』を取り上げましたところ大変な反響を頂きました。 ...

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 弁護士費用特約については適時取り上げています。

 この特約の内容についてはまず過去記事をご参照下さい  → 弁護士費用特約

 会社によって弱冠内容が違います。例えば弁護士のみで司法書士、行政書士には適用されないケースもあります。これは外資系通販に多い傾向です。また法律相談費用10万円がなく費用保険300万円のみの会社もあります。変わったところでは東京海上日動のように法律相談費用10万円が自動付帯(自動的に保険に含まれている)となっています。

 私もある保険会社の資料からおおむね加入率は30%程度と読み取っています。では全体ではどうでしょう。特約の付保率、そして使用率までは完全に内部資料となっており、各社公表しづらいようです。昨日産経新聞に関連記事が載っていましたので、以下抜粋します。

「弁護士費用保険」利用者わずか0.05% 加入1430万件も…

 

 交通事故の被害に遭った際などに弁護士費用を保険金で賄える「弁護士費用保険」の加入者が、年々増え続けている。自動車保険などの特約として販売されており、平成22年度の契約件数は1400万件を超え、全国の総世帯数の3割近くを占めるまでに普及した。一方で、利用件数は年間1万件未満と低調。「いざというときのために安心はしたいが、実際に裁判沙汰にするのは避けたい」。背景にはそんな複雑な消費者心理もあるようだが、勧められて加入したものの、契約内容をよく理解せずに使わない人も多いとみられる。     弁護士費用保険は年額2千円前後の保険料で、相談費用や示談交渉、訴訟などの弁護士費用が300万円を上限に保険金から支払われるタイプが一般的。自動車保険だけでなく、火災保険や傷害保険の特約としても販売されており、保険会社を通じて弁護士会から弁護士を紹介してもらうこともできる。加入するメリットが大きいのは、信号待ちをしていて追突された場合など、自分にまったく過失がないケース。保険加入者に過失があれば、保険会社は保険金を支払う当事者として、示談交渉を行ってくれるが、「もらい事故」は被害者側に賠償責任がないため、利害関係のない保険会社は弁護士法の規定で示談交渉を代行できない。このため弁護士を依頼しなければ、被害者自らが示談交渉を進めなければならないからだ。また、被害額が少なく、弁護士費用の方が高額になりかねない事故の場合でも、費用を気にせずに弁護士に依頼できる。

 弁護士費用保険は日本弁護士連合会(日弁連)と損害保険会社が連携し、平成12年にスタート。日弁連によると、12年度の契約件数は約7400件だったが、その後、取り扱う保険会社も増え22年度は約1430万件になった。現在は11の保険会社が取り扱っている。一方で実際に保険を利用した件数は、年々増加しているものの22年度でも約8200件。契約件数に占める利用件数の割合は、自動車保険の中で利用率の高い車両保険はもちろん、対人賠償保険や搭乗者傷害保険をも大きく下回っている。ある大手損保会社では、自動車保険の全契約のうち弁護士費用の特約がセットされたものは半数に上る。にもかかわらず利用が少ない理由について、担当者は「弁護士に頼むと角が立つ場合もあり、トラブルが手に負えなくなって初めて弁護士に、という人が多いのでは」と分析する。   続きを読む »

 法令から読んでも具体的にとらえられませんので、厚生労働省のパンフレットから転載しました。認定基準にもう少し踏み込みます。

  (1)介護の手間に係る審査判定   1. 要介護認定は、介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するものです。従って、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。

 [例]認知症の進行に伴って、問題行動がおこることがあります。例えば、アルツハイマー型の認知症の方で、身体の状況が比較的良好であった場合、徘徊をはじめとする問題行動のために介護に要する手間が非常に多くかかることがあります。しかし、身体的な問題が発生して寝たきりである方に認知症の症状が加わった場合、病状としては進行していますが、徘徊等の問題行動は発生しないため、介護の総量としては大きく増えないことが考えられます。

2. 介護サービスの必要度(どれ位、介護サービスを行う必要があるか)の判定は、客観的で公平な判定を行うため、コンピュータによる一次判定と、それを原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の二段階で行います。

3. コンピュータによる一次判定は、その方の認定調査の結果を基に、約3,500人に対し行った「1分間タイムスタディ・データ」から推計します。

 要介護度判定は「どれ位、介護サービスを行う必要があるか」を判断するものですから、これを正確に行うために介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院されている3,500人の高齢者について、48時間にわたり、どのような介護サービス(お世話)がどれ位の時間にわたって行われたかを調べました(この結果を「1分間タイムスタディ・データ」と呼んでいます。)。

4.① 一次判定のコンピュータシステムは、認定調査の項目等ごとに選択肢を設け、調査結果に従い、それぞれの高齢者を分類してゆき、「1分間タイムスタディ・データ」の中からその心身の状況が最も近い高齢者のデータを探しだして、そのデータから要介護認定等基準時間を推計するシステムです。この方法は樹形モデルと呼ばれるものです。

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 認定する際の審査体制と区分について続けます。  

9 介護認定審査会について

(1)審査判定業務を行わせるため、市町村に介護認定審査会を置く。・・・法第14条   (2)認定審査会は、委員のうちから会長が指名する者をもって構成する合議体で、審査及び判定の案件を取り扱う・・・施行令第9条第1項

(3)合議体の委員の定数は、5人を標準として市町村が定める。・・・施行令第9条第3項 10 一次判定、二次判定の位置づけ

介護認定審査会は、基本調査の調査結果及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定の結果(一次判定)を原案として、特記事項及び主治医意見書の内容を加味した上で決定(二次判定)を行う。(「介護認定審査会の運営について」平成21年9月30日老健局長通知)

11 法第7条第1項の厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)について 「要介護認定等基準時間」により状態を区分(要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令)

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部位別解説 保険の百科事典 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

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