win 本日は補助者・山本が投稿します

 前回からの続きです。

 治療をしても、頸椎捻挫や腰椎捻挫(以下、ムチウチと略す)で痛みや痺れが消えず、どうすれば後遺障害を認めてもらえるのかという問題について、前回では、結論として、「保険会社(調査事務所)に信じてもらう」ことを述べました。

 その為の要素について、今回は数あるうちの1つを述べていきたいと思いますが、その前に、皆様に質問したいと思います。

 皆様は自動車保険会社の立場とします。交通事故でムチウチになってひどい思いをしたと主張している被害者がおります。調べてみると、首や手の痺れは、交通事故から3ヶ月後に主張されておりました。それまでの診断名は「打撲」とありました。

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 皆様に質問です。

 この痺れは交通事故によって発生したものと思いますか。

 この質問に対し、大多数の方は交通事故のせいではないと考えるでしょう。何故なら、交通事故から3ヶ月も経ってからはじめて痺れを訴えているからです。

 交通事故が原因で首や手に痺れが生じたのであれば、通常、事故直後から症状が出てくるはずです。にもかかわらず、事故から、本件では3ヶ月も経過してからはじめて症状が現れています。この痺れは交通事故が原因ではないと考えるのが自然です。

 (例)事故の後に、階段で転んだ、スポーツをやっているときに怪我した、仕事中に重いものを持ち上げて痛めた等で痺れが生じてきた。

 これらのようなことがあった場合に、これ幸いと交通事故のせいにして無償で治療していこうと考える人も中にはいます。前回も説明した通り、保険金詐欺のリスクを負う保険会社は、このような詐病者ではないかと常に疑っています。客観的に後遺障害があるようにはみえないムチウチの被害者は、特にいえることです。

 自動車保険会社の立場としては、交通事故以外の怪我で自動車保険を利用されるいわれはありません(勿論、自動車保険以外の保険であれば、利用できる場合もありますが、本件は交通事故について説明しておりますので、その他の保険については割愛させて頂きます)。

 以上から、保険会社にムチウチの後遺障害を信じてもらう要素の1つとして、

 ① 事故直後から痺れや痛みがあること、があげられます。

 ムチウチによって痺れや痛みが生じるのは何故か。ある医者からは、神経が骨(骨棘)やヘルニア等で圧迫されていたのが、交通事故等の外傷がきっかけで痺れや痛みが出てくる旨の説明を受けました。

 このことから、ムチウチと信用してもらうには、首や腕、手、腰、足等の痺れや痛みが事故直後からある場合に、その旨をしっかり医者に伝えることが重要です。

 ※なお、単なる痛みのみでは、神経が圧迫されておらず、打撲と診断する場合もありますので、痺れも感じている場合には、その旨も伝えるようにしてください。

 自動車保険会社は、診察室にいるわけではありません。常に事後報告で判断しています。被害者のムチウチの症状やその辛さについては、口頭で説明しきれません。そのような立場の自動車保険会社にとって、後遺障害が残るほどの怪我であったのかを見極めるための判断材料としては、医者の残した診断書等の書面しかないのです。

 事故直後の医者の診断書を見て、診断名に「頸椎捻挫」や「腰椎捻挫」等、ムチウチのことが記載されており、さらに事故直後からムチウチについて一貫した治療がなされていると、保険会社は嘘をついていないと考えて、信用してくれる可能性が高くなります。

 つづく  

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 原発事故で被害を受けた被害者の皆さんは怒り心頭で東電側弁護士の反証を聞いたことでしょう。では、法律以前の非常識論理が交渉材料となり、加害者側に有利に働くのでしょうか?かえって被害者の態度を硬化させ交渉が長引き、訴訟上では裁判官の心証すら害する・・つまり、逆に加害者側に不利に働くことはないのでしょうか?法律家ではないど素人の私はそう心配してしまうのです。

 これは交通事故でもよく聞く話です。それでは、加害者側(保険会社の)弁護士の「とんでも反証・交通事故編」を紹介します。全部実話です。

  〇 片目を失明した被害者の損害賠償請求に対し、相手弁護士は・・ とんでも反証 「片目が残っているから大丈夫、ちゃんと見えるので逸失利益はない」

 これに対し、被害者は「じゃ、今から(その弁護士の)片目を潰してやる!」と当然に激怒、裁判官もこの反証は一切取り上げず、怒気を示したそうです。  ハムラビ法典がしっくりきますね。 20061121

  〇 横断歩道上の歩行者をスピード超過(およそ60km)の自動車ではねた加害者の弁護士は・・

  とんでも反証 「自動車が来たらよけるべき、したがって歩行者に過失20%ある」

 この弁護士は70代の高齢者である被害者にアスリートを超越した運動神経を要求しています。  刑事裁判でもこの加害者は「被害者は後ろ歩きで横断していた」などと供述しました。被害者はマイケル・ジャクソンのようにムーンウォークで横断したようです。結果は、裁判官「そんなわけないでしょ!」と激怒。民事裁判と同じ弁護士でしたがこれを言わせちゃまずいでしょ。 mj続きを読む »

 連携弁護士さんからよく苦言を聞きます。「相手には(実態上、保険会社の)弁護士が介入しています。今後はその弁護士と交渉します。それ自体は問題ないのですが、めちゃくちゃな反論をしてきてイラっとしています・・」 i-b_1  加害者側が弁護士を立てることは正当な権利です。そこで、双方の主張をぶつけ合うこと、その結果で解決が導かれることは自然な流れです。今日、問題として挙げるのはその主張内容です。

 私の場合、連携弁護士に被害者の窮状を「自賠責の認定等級」という形で託します。これは、それなりに権威のある審査機関での審査結果として重きをなします。また、認定等級の過程で得た、医師の診断書や検査結果も重要な証拠です。これらに被害者自ら語る陳述書を添えます。対して、加害者(保険金を払う立場の保険会社)の弁護士も保険会社の顧問医の意見書や自ら検索した判例、医学的な文献を根拠に反論します。

 繰り返しますが、その結果、双方が歩み寄る示談や訴訟上の和解、または判決が下ることによって、損害の真実、もしくはより双方が納得できる賠償金に近づくわけです。しかし、中にはどう考えても非常識、法律以前のめちゃくちゃな論理展開をする弁護士がいるのです。  

 震災・原発事故に関するニュースから引用します。震災による原発事故の補償問題で東電と被災者の交渉が続いています。以前、放射能の被害について、東電の弁護団からとんでも論理が飛び出しました。(以下、要約)

 「放射性物質のようなもの(セシウム他)がそもそも民法上の「物」として独立した物権の客体となり得るのか?仮にその点が肯定されたとしても、債務者として放射性物質を所有しているとは観念していないことに鑑みると、もともと無主物であったと考えるのが実態に即している。」  つまり、放射性物質は東電がそれをコントロールし、支配している所有物ではない。したがって、責任を取って取り除けと言われても困る。飛んで行った放射能、およびその被害に責任など持てない、ということです。

 これは小学生が聞いても「おかしい(怒)!」と思います。民法上の「無主物」にすり替えるなど、どう考えても通る話ではありません。  直接には自然災害による事故・被害であるから東電の過失はないのか? だとすれば東電の安全措置、災害予見に瑕疵はなかったのか?・・これがすべての争点と思っていました。しかし、呆れたことに「そもそも拡散された放射能など知ったこっちゃない、責任がまったくない」との主張もされていたのです。

 この弁護士団は有名な先生方です。頭が悪いわけはありません。敢えて交渉上の戦略なのでしょうが、無茶な論理を恥や外聞もなく持ち込んだのです。おかげで東電はマスコミから大バッシング、「東電は悪」という風評に拍車をかけました。この論陣は東電の擁護になったのでしょうか?

 つづく

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 事故で受傷後、画像検査にて様々な症状が浮き彫りになります。もちろん明らかに事故による損傷であれば何も問題はありません。しかし、陳旧性(≒古傷)であったり、受傷機転(どのようにケガをしたのか)に疑問があれば、既往症?と疑われます。また、内在的な、つまり事故後に病気が発症した可能性もあるでしょう。

 このような被害者さんの多くは、往々にして長い治療期間を要し、その間に訴える症状が増えていきます。受傷箇所の痛みに留まらず、嗅覚や味覚の低下、視力や聴覚の低下、各関節部の神経痛、頭痛、めまい、頻尿、不眠、生理不順、パニック障害 等々・・つまり体の不調、老化現象はすべて事故のせいと訴えます。最後は心療内科行きです。当然ですが事故との因果関係について、保険会社はまったく信用しません。「証明を!」と言われた医師もお手上げです。それでも解決に向けて舵を切らなければなりません。 c_h_76  訴えを検討し、多くは因果関係を突き詰めることを諦めます。自賠責は当然に認定しませんし、後に裁判で争っても勝ち目はありません。落としどころは14級9号をとって、ある程度の賠償金を手にすることです。メディカルコーディネーターの立証作業は時に現実的です。この段階から解決までの設計図を確定します。本件も14級を目指し、後の弁護士の交渉にて400万円も得ました。もやもや感を残しつつも、それなりの金額をゲットしたのです。  

 それでは、調査事務所の「しょうがないな・・14級をつけとくか」とため息が聞こえてくるような実例を紹介します。  

14級9号:TFCC損傷(30代女性・東京都)

【事案】

自動車搭乗中、踏切前で停車のところ、大型車に追突される。その際、頚椎捻挫、胸腰部挫傷等の診断名に加え、後にTFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)が加わる。専門医に受診し、手首は手術で断裂部を縫合した。

【問題点】

追突事故でどのように手首を痛めたのか?受傷機転が問題となる。また、胸腰部についても圧迫骨折が見つかったが、これも画像をみると陳旧性と思われる。多くの謎を残しながら治療はダラダラ3年も続いていた。

【立証ポイント】

とにかく各科の医師に面談して事情を聴き、症状固定へ進めた。治療実績から頚椎捻挫は14級9号を確保しつつ、胸腰椎は諦める、手首は専門医の診断書次第とした。後遺障害診断書は3枚にまとめ、膨大な時間をかけて3年間の診断書、画像を集積した。

申請後、案の定、調査事務所から各科へ医療照会が入った。それぞれ対処した結果、手首について受傷機転は謎だが手術を伴う治療経過から14級9号が認められた。  

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 先日、自賠責保険・調査事務所の審査担当者様からメールを頂きました。なんでもご自身のHPに私の記事を引用したいとのことです。

 理由は巷の弁護士・行政書士のHPで「調査事務所は意地悪で非該当を出すために審査している」「保険会社寄りの組織」などの悪評ばかりで辟易していたところ、私のHPはそのような偏見はく、公平な見方をしている記事に共感を覚えたとのことです。申請側と審査側、立場は違えどそれぞれ忠実に己の業務に取り組んでいます。私は経験上、一方からの隔たった見識は障害立証に効果的ではなく、むしろ双方の思惑、視点を考慮した作業が功を奏することが多いと実感しています。何事も敵味方で考える2分論は浅慮というものです。

 立証作業(障害の存在・程度を明らかにすること)は調査事務所の審査(障害の存在・程度を判断すること)と実は同じ思考回路で進んでいくのです。この感覚は熟練した者にしかわかりません。「調査事務所、保険会社は敵!」と放言しているだけの業者はまったく経験が浅いと思います。    本事案は調査事務所の真面目さが際立ちます。むしろ(認定等級に)私よりこだわりがありました。もっとも、いかに医師が正確な審査の妨げになっているか・・の例でもあります。 

10級10号:手根骨骨折(30代男性・埼玉県)

【事案】

自転車で交差点を横断中、左折するトレーラーに巻き込まれ、右手関節(尺骨遠位端、手根骨、第二中手骨)、右足関節(両顆部)を骨折した。手関節、足関節共にプレート固定を施行した。 手根骨は具体的に大菱形骨、有鉤骨の骨折。

【問題点】

画像上、10級レベル(2分の1以下)の可動域制限が見込める。しかし、主治医は多忙で後遺症に協力的ではない。計測など面倒なようで、あまり時間をかけてくれない。健側(掌屈90°背屈90°・・柔らかい)に対して患側(掌屈70°、底屈30°)であった。つまり合計(180:100°)、10°足らずで10級を逃している状態。それでも足関節で10級認定が確実な為、併合9級の結果となる。医師の機嫌を考え、橈屈・尺屈の計測は諦めた。

【立証ポイント】

申請後、調査事務所から醜状痕(手術創)の計測及び橈・尺屈計測の追加依頼がきた。これを理由に再度、医師面談を行った。「先生のせいで再調査が来ちゃったよ!」と主治医を責め、傷の計測(醜状痕の基準以下であったが・・)、橈屈・尺屈を改めて計測いただいた。

結果は橈屈・尺屈が2分の1以下制限となり、掌屈・背屈の10°足らずを繰り上げて10級10号に。手関節は12級であっても併合9級の結果は変わりません。調査事務所は正確な認定にこだわっているのか・・かなり生真面目に審査していているようです。

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 本日は補助者 山本が投稿します。

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 簡単な質問です。

 皆様は自動車保険会社の社員とします。とある交通事故の被害者が、「治療したけど、まだ痛いし、痺れる! 後遺障害があります!」と主張しておりました。

 この被害者は、画像上、骨折がなく、また、筋肉、靭帯、神経も切れていません。しかも見た目では痣や傷痕らしきものが見当たりません。

 この被害者に後遺障害があると思いますか?

 ほとんどの方は、後遺障害を認めるのをためらうと思います。なぜなら、見た目では怪我がないからです。当たり前ですが、怪我がないなら、後遺障害を認める必要はありません。もっと言うなら、治療費を出す必要もありません。仮に、そのような(自称?)被害者すべてに保険会社が治療費等を出す決定をする世の中ですと、保険金詐欺がとても行いやすくなっている社会といえるでしょう。

 しかし、見た目では怪我がなくても、本当に辛い思いをしている被害者が存在しております。特に多いのが、交通事故の約60%を占めているムチウチ(「頚椎捻挫」・「腰椎捻挫」等)の患者です。交通事故の大多数の被害者が、見た目上怪我がないからという理由で自動車保険会社が何もしないとするわけにはいきません。あまりにも冷たい社会になってしまいます。

 そこで、保険会社は上記した骨折ない、筋肉・靭帯・神経切れてない場合でも、治療費等を出しています。さらに、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)として、後遺障害をも認める余地をも残しております。

 ※なお、ここまで述べてきたこととは異なり、ムチウチの中でも、画像上神経圧迫が明確であるような場合は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、12級13号の後遺障害が認められますが、このようなケースは非常に稀ですので、ここでの(通常の)ムチウチは、14級9号レベルとして述べさせていただきます。

 ただし、すべてのムチウチ被害者に後遺障害が認められるとは限りません。先ほど申しましたように、保険金詐欺のリスクを負う保険会社は、お金を出すに値する被害者とそうでない被害者とに分けております。

 例えば、事故の内容から、後遺障害を認めないと判断する場合もあります。また、はじめは治療費を出していても、暫くしてからその者に治療の必要性がなくなったと判断すると、事故から数カ月であったとしても、すぐに打ち切ってきます(もはや後遺障害の有無以前の問題です)。

 では、本当に辛い被害者はどうすれば後遺障害を認めてもらえるのでしょうか。

 結論として、「保険会社(調査事務所)に信じてもらう」しかないのです。何故なら、先ほども申しましたように、見た目では怪我がはっきりしないからです。

 それでは、どうすれば信じてもらえるのでしょうか?

 次回から、信じてもらうためのいくつかの要素をお話ししたいと思います。

 つづく    

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 新年度です。事務所は相変わらず人員不足、もはや人材発掘は常態的な業務です。メディカルコーディネーターはその発掘はもちろん、養成に大変時間がかかります。

 「行政書士も交通事故の専門家」などと喧伝しているHPを目にしますが、そんな簡単に専門家を名乗っていいのか疑問です。なぜなら交通事故は行政書士試験はおろか、通常の行政書士業務に全くと言っていいほど関わりがありません。交通事故業務を行っている先生方は皆、独自の経歴・努力の結果から携わっている非常にニッチな存在です。わずかの研修に参加したところで扱える業務ではありません。まして専門家を名乗るのは蛮勇以外の何物でもありません。

 したがって、資格者であろうとなかろうと一からみっちり教えていくしかないのです。法律知識は必須ではありません。何故なら法律問題は弁護士に任せています。弁護士と連携して仕事をしていますので、行政書士の知識や権能が必要となる場面は極めて少ないのです。当然ですが、医療知識、それに保険知識が必要です。そして、医証の収集、調査業はむしろ人の機微を理解した営業マンの能力が求められます。医師・弁護士・被害者をつなぐ調整力がものをいうのです。

   前置きが長くなりました。補助者の山本も1年にわたる修行を経て、実戦活動中です。そこで強化の一環として、経験したことを整理する意味で新年度から業務日誌を週一投稿するよう業務命令をだしました。実戦で学んだことを実力とする過程で、文章にまとめることは大変効果的です。私も4年間毎日励行したことで非常に力が付いたと実感しています。

 タイトルの意味ですが、古い話で恐縮、ウルトラセブンからの引用です。モロボシダンがウルトラセブンに変身できない時に、替わってカプセル怪獣(ウインダム、ミクラス、アギラ)が戦ってくれました。つまり、私が日誌を投稿できない時に替わりに投稿させるようにします。これで私も週1日は変身しないで済みます。 kapuse  およそ週1の登場ですが、カプセル怪獣山本の日誌もどうかご笑覧、応援よろしくお願いします。明日、第一弾を投稿します。ジュワッ! seven続きを読む »

 骨折の状態から10級10号を前提に立証作業を進めた模範的な例です。

 しかし、常に自問しています・・「本件のような骨折と癒合の状態であれば、私たちのようなメディカルコーディネーターがお手伝いしなくても、認定結果は同じであった?」  実績ページでは華々しい逆転劇が多い一方、割と地味な作業例も存在します。すべてに依頼の効果はあったのか?

 患者自ら医師に診断書の記載をお願いし、事前認定(相手保険会社に診断書を提出して自賠責の審査機関に申請してもらう)で進めても、特に問題なく10級が認定されたかもしれません。それでは業者に払ったお金は無駄であったのでしょうか?

 答えは依頼者の言葉から・・「自分で等級認定を進めようと思いましたが、何か間違いがあって等級が低くなれば何百万円も損してしまうのでしょう?だからお金がかかろうと秋葉さんにお願いしたい。大変なケガで苦しみ、リハビリで苦労して、賠償金も損したのであれば目も当てられないです。万が一を考えれば安心ですから・・」

 もちろん判断は人それぞれです。ちなみに本件の依頼者様は損保会社勤務の方でした。一層、(業者に依頼した)判断に重みを感じます。   あんしん

10級10号:橈骨遠位端粉砕骨折(40代男性・東京都)

【事案】

バイクで交差点を直進中、対向右折自動車と衝突して右手首を骨折したもの。救急搬送後、プレート固定とした。理学療法を継続、半年後に症状固定を迎えた。

【問題点】

相談会で計測のところ、掌屈+背屈が2分の1ギリギリの数値であった。また、画像上、変形・転位など、癒合状態の説明が必要であった。

【立証ポイント】

医師面談にて、癒合状態にやや変形が残ること、手根骨に骨挫傷があることなど、詳細な記載を促した。計測もしっかり見守り、間違いのない数値を記録した。

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 10回にわたり下肢実績を投稿しましたが、続いて上肢、とくに手首~上腕を特集してみましょう。

 まずは読影力が光った実例です。繰り返し言っていますが、治療を目的とする医師の読影と後遺障害を立証する私たちの読影は視点が違います。診断書を医師任せにした結果、多くの被害者は後遺障害を取りこぼしていると危惧しています。被害者さんは相談先を選ぶ際、その法律家が画像を観ているのか否かはもちろん、できれば読影力を推し量るべきと思います。「主治医に診断書を書いて来てもらって、内容を精査してから審査に提出するから」としか言わない相談先は不安ですよ。

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併合11級:橈骨遠位端粉砕骨折(40代男性・神奈川県)

【事案】

バイクで渋滞の2車線道路の間を走行中、左側の自動車が急に車線変更したため衝突、右手首、左手甲を骨折したもの。その後、1年の通院を経て症状固定前に相談会に参加された。

【問題点】

まず画像である。粉砕骨折した橈骨を確認、骨折の割に癒合状態はまずまず。続いて可動域の計測をしたところ4分の3制限を計測。以上から12級6号を予断したが、これではあまりにも普通の対応。数多くの相談先から私たちを選んでいただいたが、期待に応えることができたのか?何か物足りなさを感じた。

【立証ポイント】

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 今日は行政書士事務所を訪ねて新宿へ(日誌の書き込みが遅れていますので本日ではありませんが)。同じ行政書士でも扱う業務が違えばまったく別業種となります。色々とお話が聞けて勉強になりました。

 帰りは家電店で事務所の備品を購入しました。事務機器も日進月歩です。この春から事務所のパソコンを増設、システムを拡充中です。

 さらに、まだ明るかったのですが銀座ライオンでビールとソーセージを頂きました。10年くらい前にミュンヘンに行った時、仕事中の昼休みでも皆ビールを飲んでいたことを思い出しました。ドイツ人曰く「ビールは昼間に飲むもんだよ」・・確かに昼間のビールは美味しいです。

 やや赤ら顔で中央線で東京駅に戻しました。昔、営業の足は自動車一辺倒でしたが、今は電車・バスとたまにタクシー。つまり、都内にいるとドイツ人のように空き時間にビールが飲めます。当然ですが仕事中は遠慮していますよ。

2015032718150000  PM7:00東京駅 ようやく空は深いブルーに  

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 下肢の未投稿実績はまだ残っていますが、キリがいいのでシリーズはここまでにします。最後は、そのまま申請したら併合11級であったであろう案件を一つ引き上げた仕事です。等級一つでも数百万円賠償金が膨らみます。特別に私に依頼下さった弁護士先生&被害者さまの期待に応えることができました。

kaihou  本件はガステロ分類タイプⅢA(真ん中)

併合10級:脛骨・腓骨近位端骨折・下肢醜状痕(40代男性・神奈川県)

【事案】

ツーリング中、後続バイクの追突で転倒、右下肢の脛骨・腓骨を開放骨折。創外固定、受傷部の皮膚移植を施行。その後、危惧していた感染症を併発し、治療は2年以上を要した。既に弁護士に委任も、症状固定を前に後遺障害の医証まとめに特化した依頼を受けた。

【問題点】

重傷で苦しんだ以上、等級の取りこぼしは許されない。できうる最大の等級獲得を検討した。脛骨・腓骨が近位端骨折であるゆえに膝関節の可動域制限12級は余裕で立証できる。醜条痕も見ての通り。しかし、本件の問題は足関節の可動域制限の原因であり、その究明が必要であった。

【立証ポイント】

主治医と共に改めて読影を行い、脛腓骨・骨頭部の交差部の癒着が原因であると結論、それを診断書に落とし込んだ。足関節の機能に腓骨頭の可動が影響することを学んだ。これで膝関節と足関節でそれぞれ12級7号を確保、11級相当とした。

次に、実際に動かして検証してみた

続いて醜条痕を写真撮影、別紙にて詳細に大きさを計測・記載、万全の医証で提出した。その後、醜状痕の面接には念のため弁護士の立会いをお願いした。

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 毎度、早めの相談を呼びかけております。初期からの受任で安心して解決まで進んだ例を紹介します。  本件は受傷10日後からの相談・受任でしたので、すべて順調、つまづくことなく症状固定→等級認定→弁護士引継ぎ→解決が図れました。被害者は治療・リハビリの苦労だけではなく、事故に関する諸手続きで解決まで大変な手間とストレスにさらされます。本来、静かな環境で治療に専念すべきなのです。いらぬ心労は回復に障ります。そのような意味でもメディカルコーディネーターの役割は重要であると自負しています。 tc2_search_naver_jp

併合14級:腓骨骨幹部骨折・足関節挫創(60代女性・千葉県)

【事案】

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 重傷事案です。立証作業は丁寧に進めれば目標等級に届くものの、本件最大の問題は労災の不使用です。さらに運転者は同僚なので自動車任意保険の対人賠償は「同僚災害免責」となってしまいます。まず基本通り、全画像を確保・精査し、可動域計測を正確に実施した。続いて自賠責に被害者請求、等級を固めた。その後は以下の文章通り。加害者や保険からの賠償金より、労災の年金支給が最大のターゲットとなります。被害者救済業とは「等級認定」と「賠償金の獲得」だけでは終わらないのです。

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7級相当:脛骨・腓骨・第2~5趾リスフラン関節脱臼骨折(60代男性・千葉県)

【事案】

現場への移動で自動車に同乗中、高速道路で追突事故となった。自動車の前部は潰れ、しばらく自動車から脱出できない状態になってしまった。腰椎は破裂骨折、右下肢はダッシュボードに挟まれ、脛骨骨幹部、腓骨骨頭を骨折した。さらに、第2~5中足骨を骨折、リスフラン関節部脱臼を伴った。 緊急入院し、それぞれ手術で骨折部を固定した。1年にわたるリハビリでなんとか杖をついて歩けるようになった。

【問題点】

本人は「治るまで症状固定はしない」と、仕事へ復帰する執念をもっていた。しかし、腰の可動は失われ、右足へ全体重の荷重は困難であれば現場仕事は無理である。後遺障害の認定へ向けて切り替えるよう説得を続け、納得した上で依頼を受けた。 続きを読む »

 一昨日の⑤廃用性症候群でも語りましたが、関節可動域制限の認定には「曲がらなくなった原因」をしっかり説明することが重要です。可動域制限の数値は審査上、最後に確認する数値です。自賠責調査事務所は先に画像を精査して可動域制限の等級を予断しています。私達、立証側もこれと同じプロセスでアプローチしています。そうしないと立証側と審査側で等級が一致しなくなります。受傷様態~症状固定までの画像、術式、経過をみて目標等級を策定します。

 基本中の基本なのですが、これを励行している業者は極めて少ないようです。相談会では毎度、等級を読み違えた他業者に対する苦情系の相談が多いからです。       c_h_17-2 完治が目標!だけどね・・

10級11号:足関節開放脱臼骨折(30代男性・埼玉県)

【事案】

自転車で交差点を横断中、左折するトレーラーに巻き込まれ、右手関節(尺骨遠位端、手根骨、第二中手骨)、右足関節(両顆部)を骨折した。手関節、足関節共にプレート固定を施行した。

【問題点】

本人の回復努力と長期のリハビリから、ケガの重篤度の割に骨癒合は良好、回復は順調であった。医師も可動域制限など残さずに治す執念を持っていた。それは当然のことであるが、これだけのケガで後遺障害を残さず完治するわけはない。中途半端な回復で手首12級、足首12級の併合11級の可能性があった。

【立証ポイント】

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 いくつか非接触事故の受任経験があります。相手を避けるために転倒した場合、相手がそのまま行ってしまえば最悪、自爆事故とされます。また、相手がそれなりに責任を感じていた場合でも20:80の事故であれば、非接触を考慮し10%の修正が加わって30:70となることが多いようです。まして、相手が歩行者や自転車の場合は大変です。相手に個人賠償責任保険の加入があるかないかがポイントとなります。

 最近、兵庫県で自転車の賠償保険加入が義務となったニュースがありました。義務化について是非の議論はありますが、自転車の賠償能力が担保されることは良いことです。

 本例は後遺障害の立証が主役ではありません。相手自転車の個人賠償保険から賠償金を勝ち取った好取組です。  

12級13号:足関節外顆骨折 訴訟認定(30代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで交差点を青信号で直進中、信号無視の自転車が横断してきた。それを避けようと転倒し、右足関節の外顆を剥離骨折、後距腓靭帯を損傷、手関節もTFCC損傷の疑いがあった。

【問題点】

相手は自転車で、なおかつ非接触の事故であり、まったく賠償交渉の進展がないまま相談会に参加された。外傷についてはCTやMRIを撮っておらず、診断名があやふやで後遺障害が絞りきれなかった。まして、自賠責保険のような申請先がなく、そのまま相手加入の個人賠償責任保険への請求なので難航が予想された。

【立証ポイント】

同時並行して連携弁護士に個人賠償保険社への交渉を依頼した。非接触による過失減額が争点となったが、それ以上に後遺障害の残存が問題となった。それについては主治医と面談し、MRIの追加検査とリハビリ記録を精査するなど進めたが、微妙な所見に留まり、医証をまとめるのに苦慮した。

結局、訴訟に発展し、足関節は12級13号の賠償となった。後遺障害の立証は今一つであったが、非接触事故で相手自転車から1000万円超の賠償金を取ったことは評価できると思う。  

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 他の弁護士、行政書士からのセカンドオピニオンで目立つケースの一つに、「関節の可動域制限が2分の1なので、『10級が取れます!』と依頼した先生に言われました。でも、認められませんでした(怒)」があります。これは後遺障害の予断をするに際し、可動域制限の欄を見るだけで画像を観ない、または治療経過を注視しない先生に起こります。まさに交通事故110番の功罪の一つです。例えば「2分の1制限で10級、4分の3制限で12級・・」可動域制限のことは110番の本で学習済、得意顔で依頼者に説明します。しかし「それ程の可動域制限が起きる原因」に踏み込んでいません。だから結果がでてから赤っ恥、依頼者のクレームに発展するわけです。110番の本で学習しただけのにわか専門家なので仕方ありません。 

 今回紹介する実績はリハビリを中断し、関節硬縮が進んだケースです。これなど10級の期待など最初から持たせません。現実的な等級を目指します。もっとも、110番はじめ色々とHPを観て学習した、狡猾な詐病者も存在します。彼らは「ここまでしか曲がりません!」と可動域制限を装うのです。でも、自賠責調査事務所を欺くことはできませんよ。騙されるのは”画像を観ない・わからない”自称専門家のみです。

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12級13号:脛骨プラトー骨折(50代女性・神奈川県)

【事案】

自転車で交差点を横断中、対向右折自動車の衝突を受け転倒、左脛骨を骨折した。直後、プレート固定を施行、抜釘は1年後。その間、リハビリで膝関節の機能回復を図るも、相当に制限が残ってしまった。

【問題点】

相談会では2分の1以下はおろかほぼ用廃レベル。画像上、関節面にやや不整があるものの、それ程の可動域制限はあり得ない。本件は廃用性症候群、つまり、リハビリをサボったケースと思った。であるならば、計測値通りの認定は困難となる。原因を究明する病院同行となった。

【立証ポイント】

早速、主治医に面談し、理学療法士の可動域計測にも立ち会った。やはりというか、理学療法士の記録を見るとリハビリ中に相当の回復は図られていた。これでは機能障害は認められない。8級はおろか10級も認められないことを、申請前に十分に言って聞かせた。

結果は痛みや不具合について12級13号の認定。調査事務所の判定は正しい。これが妥当な結果である。可動域制限は自力回復を続けるよう、厳しく諭した。  

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 14級はいくつとっても併合の対象にはなりません。すると他に13級以上の障害があればつい軽視しがちです。しかし12級13号の神経症状は判例上、逸失利益10年が相場です。そこで逸失利益が67歳まで見込める14級を加えることが必須作業となります。この辺のセンスは弁護士へ引継ぎ後の賠償交渉まで見据えているからこそです。

c_g_s_6  上肢・下肢の醜条痕は手の平の大きさで14級、手のひら3倍の大きさで12級判断となります。

 

併合12級:脛骨・腓骨骨折(50代女性・埼玉県)

【事案】

自転車で交差点を横断中、対向左折自動車の衝突を受け、左足首を骨折した。脛骨、腓骨共に骨幹部を開放骨折、直後にプレート固定術を施行した。

【問題点】

医師の処置、特に手術は非凡な腕であった。おかげで回復は良好、可動域制限を残さず症状固定を迎えた。そうなると痛みやその他不具合を観察することになる。

【立証ポイント】

やはり可動域が回復したとしても正座はもちろん、極端な可動には無理がある。症状を丁寧に診断書に落とし込み、また開放創と手術痕を写真に撮り、醜状痕も加えるようにした。結果は神経症状で12級13号、醜状痕で14級5号の併合12級となった。おまけの14級と言えど逸失利益の伸長に重要、12級13号の喪失率14%で10年間、さらに67歳まで喪失率5%を請求するからです。  

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 不全骨折・・ポキンと折れていない骨折でしょうか。医師は曖昧な診断名を残すことがあります。レントゲンだけではなくCTやMRIを用いて精査すれば良いのですが、町の整形外科では設備がなく、また、重大な骨折でなければ、わざわざ大きい病院に検査を依頼することもありません。それでも丁寧に進めれば、お馴染みの14級9号「神経症状」を抑えることができます。「折れているのかどうか?」はっきりさせたいのは山々ですが、時として曖昧でも良いのです。白黒つけるだけが人生ではありません。

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14級9号:中足骨不全骨折?(20代女性・千葉県)

【事案】

歩行中、道路を横断の際、対向右折車に右足甲をひかれた。

【問題点】

レントゲンから初診の診断名は「右足打撲」。その後、転院先の病院で腰椎捻挫が加わる。足の痛みが尋常ではない事から、MRIで靭帯を観察、そこで中足骨の不全骨折が加わった。しかし、私が観たところ骨折は微妙、調査事務所もこれでは認めないであろうと予想した。初期の診断名が不確実、かつ後遺障害の狙いが絞れない・・

【立証ポイント】

知人の紹介を受けて受任、足と腰、共に神経症状の14級9号を念頭に立証作業を進めた。受傷から一貫した症状の推移を診断書に落とし込み、骨折の有無にはこだわらないようにした。さらに腰のMRIも施行、腰椎捻挫の14級を保険とした。 結果は足=”打撲による”、腰=”捻挫による”14級9号が認められ、併合14級となった。治療と立証作業を計画的に進めれば、調査事務所は曖昧な診断名でもきちんと見てくれるのです。

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 後遺障害の仕事で重要なことはズバリ「目利き」です。外傷の診断名だけで判断するのではなく、受傷直後からの画像を確認し、どのような障害が見込まれるか予断することです。本件も相談会で初めてお会いした時からしかるべき等級に向けて進めました。等級認定はもちろん、その後の連携弁護士による交渉解決まで、ほぼ読み通りの進行となりました。   c_g_l_12

13級8号:大腿骨骨幹部骨折(児童女子・神奈川県)

【事案】

私道を横断のところ自動車にはねられ太ももを骨折した。

【問題点】

日々成長著しく、骨折部はさすがに仮骨形成が良好であった。問題は仮骨部の変形が外見上に影響なく後遺障害とならない事、そして、子供さん特有の「病院嫌い」から治ったと言い張ること。また、成長期の症状固定は将来の成長障害の懸念から遅れがちであることがあげられる。心配をよそに数年も経てば障害は目立たなくなることが多い。

【立証ポイント】

機能障害や変形は見込めない。狙いを安易に神経症状に求めず、短縮障害に絞った。成人までは左右差は解消すると期待できるが、しばらくは1cm程度の差は続くはずである。主治医にCR上で大腿骨の計測をしていただき、しっかり13級を確保した。  

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