明日から会議と忘年会で滋賀です。明後日、病院同行が1件残っていますが、実質あとは事務処理と事務所の掃除で御用納めです。今日の日誌は後付、28日に書いています。

 さて滋賀は本格的な雪でした。特に夜は滋賀~京都間は自動車で移動、幻想的な景色の中、夜の雪山を走破しました。 

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 久々に全国の仲間が集まり、積りに積もった課題を協議しました。来年も大きな企画、展望が目白押しです。特に研修会は講義型から参加型への大転換を計画中です。

 今年も皆様には大変お世話になりました。来年は心機一転、事務所の組織強化、人材育成、業務の迅速化をテーマに取り組む所存です。良いお年をお迎え下さい。

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皆様 平素よりのご指導ご鞭撻ありがとうございます。平成26年1月1日より事務所を移転することになりました。現在の埼玉県越谷市から東京都中央区へ、既に調査会社で利用していたオフィスを行政書士事務所に変更します。

最寄駅は3路線4駅、いずれも徒歩圏内と交通の利便性抜群です。銀座松屋通りを見下ろし、白を基調とした落ち着いたオフィスです。お気軽にご相談にいらして下さい。

心機一転、これからもよろしくお願い致します。

【住所・電話】

〒104-0045 東京都中央区築地1-12-5 レジディア東銀座1001

tel 03-6264-1951 fax 03-6264-1952

事務所地図 【交通】

地下鉄 日比谷線 築地駅/東銀座駅 徒歩2分 都営地下鉄線 東銀座駅 徒歩4分 地下鉄 有楽町線 新富町駅 徒歩5分 JR山手線 有楽町駅 徒歩15分 東京駅から江戸バス15分(中央区役所で乗換) 東京駅からタクシーでおよそ800円

【お車】

首都高都心環状線 銀座出口すぐ 隣のコンワビルB1駐車場 30分=260円

新年よりホームページもリニューアルします

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2512bigata2 さて忘年会です。普段お世話になっている連携弁護士と合同で新潟の山荘に集まりました。 上越新幹線の車窓から。薄雪を頂いた山々・・・パウダーシュガーを振り掛けたガトーショコラのようです。まぁ食べ物に例えるくらい空腹ということ。

 料理のテーマはフグ尽くし。本場下関ではふぐを「ふく」と濁らずに呼ぶそうです。「ふぐ」では「不遇」や「不具」につながり縁起が悪く、「ふく」とした方が「福」につながり縁起が良いとされているからです。私たちの仕事は後遺障害の立証と交通事故の解決です。つまり「不具」を噛み砕き、「不遇」を飲み込む。そして「福」につなげたい。一年を締めくくるに格好の食材です。

2512nigata1 山荘に到着。秋に訪れた時からさらにアプローチが整備されていました。暖炉に薪をくべるとパチパチ音をたてて火の粉が踊りだします。吹き抜けの天井にオレンジ色のシルエットが揺れます。

 今年一年、連携弁護士の先生方に大変お世話になり、かつ難解な事案を共に戦ってきた充実感を感じています。

 

 

20131223184808続きを読む »

 さきほど新潟より戻りました。昨夜忘年会でご一緒させて頂いた連携弁護士は一足先に東京に戻り、良い結果を勝ち取っていました。大逆転のモデルケースにもなるので紹介します。

<事案>  55歳男性、歩行中、後方よりの自動車に撥ねられ、頭部と首を受傷。数日後、硬膜下血腫を併発、またCT検査で頚骨の椎弓骨折が判明。しかし予後経過よく、手にしびれ残すも仕事・日常生活に復帰する。

<相談会に参加>  大けがの割には手のしびれを中心とした障害を残すのみ。相手保険会社はJA(農協)、自賠責共済もJA。後遺障害の審査結果は14級9号。ずいぶんと軽く見られたものです。  相談会に参加したきっかけは、JAから1403886円の賠償金提示があり、「この数字で示談して良いのか?」見て欲しいとのこと。

<秋葉、怒りの異議申立>  骨折と頭部の内出血、つまり器質的損傷がある上、しびれなどが重篤であること。これでなぜ12級とならないのか憤慨。やはりJAの審査は身内審査で被害者に厳しいのか!  早速、主治医と面談、再検査等を踏まえ、周到に医証を収集し異議申立。依頼者さんは穏やかな人柄で、「14級でもいいですけど・・」と謙虚。しかしあるべき結果、12級13号の認定に。

<連携弁護士がとどめ>  弁護士の請求額とJAの回答は桁が違うほど相容れない。したがって紛争センターにて逸失利益の赤本満額獲得を争点に戦う。弁護士は秋葉から引き継いだ「異議申立で明らかとなった障害の原因、経過、程度」を理路整然と主張。画像所見を突きつけ、JAの見解、JA顧問医の意見書を一蹴。このように医学的考察を踏まえた交渉を続けた結果、見事、満額の慰謝料はもちろん67歳まで満額の逸失利益を勝ち取る。

 獲得金額は15546339円   

 最初の140万提示はなんだったのか。

 後遺障害等級を軽く判断されたら大変なのです。そして後遺障害に精通した弁護士が妥協なき交渉をしなければ、なめた金額で示談させられる現実があります。

 140万を1500万に引き上げた仕事・・・秋葉の立証と弁護士の賠償交渉=この連携システムで成し遂げました。

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 すみません、記事が間に合わない! 打ち合わせ、忘年会等かいくぐっての作業、なんとか年内までにすべて仕上げたいところです。お待ちの皆様、年末までお待たせしてすみません。

 これから新潟入り、週末は滋賀、頑張ります!! 遅れた記事も年内に取り戻します。

                               

                

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 自賠責の後遺障害認定は交通事故被害者が加害側の自賠責保険に請求する際、自賠法によって定められたルールで認定されます。今回取り上げる身体障害者手帳とその等級は行政が障害者に対する福祉を目的として定めた制度です。したがって自賠責の等級とは意味合いも違い、認定される等級も関係ありません。

 税金や医療費、交通機関の割引等のメリットがあります。内容は自治体ごとに異なります。

 身体障害者手帳は、視覚、聴覚、平衡機能、音声・言語・そしゃく機能、肢体不自由、心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう又は直腸・小腸・肝臓・免疫機能に障害のある方に交付されます。 手帳の等級は、障害の程度により1級から6級までの区分があります。(7級は2つの障害が併合される場合に影響します=緑色太字)

 障害のカテゴリーごとに随時見ていきたいと思います。今回は「下肢」を取り上げます。

等級

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 すみません、出張に追われて記事が追いつきません。

 本日は重篤な被害者さんの病院同行で札幌に。大雪での欠航を予想し1泊2日の日程を取りました。もっとも恒例の出張寄り道も兼ねてです。今回は登別温泉、千歳空港から40分位で寄れます。

 肝心の病院ですが、主治医と理学療法士の先生に面談、来年の症状固定に向けて打ち合わせを行いました。共に女性の先生で、治療・リハビリのみならず補償問題へも協力的です。本当にありがたいです。わずかな時間ながら有意義な面談となりました。遠くまで来たかいがあった。

 本件は下肢の障害が複数残ったケースで、ポイントは後遺障害の併合を整理することです。まず系統ごとに併合を行い「○級を相当」と等級を定め、さらに別部位と併合を行う複雑なものです。まず想定できる等級の設計図を構築します。この併合のルールを正しく理解していなければ等級の予断はできません。基本は調査事務所が行う併合のルールに沿い、正当かつ最も高い障害評価となるよう、医師に必要な検査(数値)と適格な所見を診断書に落とし込んでいただくことです。通常お医者さんはこの併合のルールをご存じないため、診断書上、ピントがずれてしまうことが多々あります。治療する側の視点と障害を審査する側の視点は違いがあるからです。必要なことが漏れたり、不必要なことが書かれたり・・・正当な等級認定に向けた正確な診断書が常に自動的に書かれているわけではないのです。むしろ正確な後遺障害診断書の方が少ないと言い切ります。だからこそ後遺障害立証は医師の診断の段階から着手せねばなりません。ここで数百万円を失うわけにはいきません。ある意味最初の勝負どころです。いささかも気を抜けないのです。飛行機代など些末な問題となります。

 毎年、重篤な案件、珍しい案件で遠隔地からの依頼が2~3あります。必要があれば必ず病院同行を果たしています。    看板に偽りなし!外国だって行きますよ!  

 登別温泉は大好物の硫黄泉!

 しかし平日でクマさん牧場休みでした。

 恒例の温泉レポは明日に。

  

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 激務の師走も中盤、連日の病院同行、書類作成に追われています。お待ちの皆様、もう少しご猶予下さい。

 首都圏会議が発展し、現在は都心の有楽町はじめ、大宮、神奈川、群馬、栃木、茨城で定期相談会が拡大しています。今年は山梨、長野にも出向きました。どの地域も同じ日本人による交通事故、それほど相談内容に違いはありません。しかし多くの相談者さんとお会いして地域性を感じることもあります。かなりステレオタイプな感想ですが、長野県の方は理路整然と論理的に話す傾向があります。こちらも合わせて細々とした打合せとなります。山梨の方は純朴で、ほのぼのとした感じでしょうか。大宮と有楽町は有象無象、あまり統一感はないようです。

 さて、年内最後の相談会では・・・

・ 高次脳機能障害  ・・・主に失語障害?

 現在の治療先で、どんな検査が実施されたかを確認する必要があります。失語はどうやらウェルニッケ型のようです。検査としてWAB、SLTAが望まれるところです。

・ 下腿骨解放骨折  ・・・どこが折れたのか?

 下腿骨と略されてますが、脛骨と腓骨の両方の骨折です。脛骨は遠位端顆上部で斜骨折で解放、腓骨は骨幹部の横骨折、現在仮骨形成進行中・・・このように細かく骨折部、状態を確認して初めて後遺障害の予断に踏み込めます。

・ リスフラン靭帯断裂  ・・・それってどこ?

 足根骨と中足骨の接合部分、足の甲あたりでしょうか。今回より参加、放射線科の医師がその場で画像を鋭く分析します。

 このように、医師をはじめ弁護士、行政書士、司法書士のトリプル法律職、保険調査員まで・・・これだけの専門家が顔を並べる相談会は他にはないと自負しています。

 これがワンストップサービスです!

   

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 本日は業務無関係記事=近況でお茶を濁します。

 年末の買い物につきものはデパート・商店街の福引です。

 先日、お歳暮の購入による福引で3千円の買い物券が当たりました。本日それを使い東京駅地下でYシャツを購入しました。差額1千円ちょっと足りないので現金で負担。その1千円分でまた福引券を頂きました。早速近くの会場で「カランカラン♪」と鈴の音、今度は5千円分のお食事券が当たりました。ちょうど昼時なので、それを使って地下街で食事をしました。余った金額で追加のお歳暮を購入。そして更にここでお店のキャンペーンが当選、またもやデパート商品券○万円ゲット!・・・これは金券ショップ行きかな。ここで「当たり」も途絶えるでしょう。

 わらしべ長者状態です。

 子供のころからくじ運はいい方かな?がりがり君も2本に一本は当ててたような気がします。懸賞マニアではありませんが、最高で自動車を当てたこともあります。でも宝くじやTOTOには興味なく買ったことがありません。(親は私の名前を使って宝くじ予約や、懸賞に応募しているようですが・・)

   追伸 今年もたくさんのお歳暮を頂きました。ご依頼者皆様のお心遣いに感謝です!

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 後遺障害診断書の代金についてよく質問を受けます。教科書に載っていない実務的な回答をします。おなじみのQ&Aで。

 

Q. 後遺障害診断書の診断書代は非該当の場合、請求できるの?

 むち打ちで6か月通院しましたがまだ痛みが残っています。相手の保険会社の勧めもあったので医師に後遺障害診断書を書いて頂き症状固定としました。病院で診断書代10500円を自費で支払いました。  後日、後遺障害の判定は「非該当」となりました。仕方がないので示談とすることにしました。しかし相手保険会社からの賠償金提示に診断書代10500円は含まれていません。担当者は「非該当だったのだから出ません」とのことです。本当なのでしょうか?

 

A.この回答は規則(法律)と実際(運用)の2側面から整理します。

    民法の解釈で言えば、損害(本件の場合、後遺障害)の挙証責任(証拠を突きつける必要)は被害者にあります。そしてその立証にかかった費用は損害が認められない限り被害者の負担です。したがって後遺障害を立証すべく書いてもらった診断書の費用は、認定されればOK、非該当だったらNOとなります。以上、法的な結論です。

 もう一つの論点は自賠責保険が絡んだ実際です。人身事故には民法より優先する場面の多い自賠法の存在があります。自賠法=自賠責保険の支払い内容において診断書の発行費用は治療関係費の項目になり、支払い基準は「必要かつ妥当な実費」とあります。  任意保険会社の一括払い(病院に直接治療費を払ってくれる)の場合、後遺障害診断書の診断書代が最終月の治療費の中に含まれていると、仮に審査結果が非該当でも払われてしまいます。これは任意保険会社が自賠責保険会社に求償(後に120万円の限度まで請求)する際、問題になるはずです。しかし後で自賠から出なかったので被害者さんへ請求をするケースに出くわしたことがありません。きっと自賠責側も(面倒なので)「必要かつ妥当な費用」として処理したのだと思います。

 本件のように病院窓口で自費で診断書代を支払った場合も同じく、杓子定規に言えば「非該当」となれば認められません。しかしこれも相手保険会社に領収書を提出した結果、何も言われず支払ってもらったことは多いのです。症状固定後、「未精算治療費」の領収証とまとめて請求しますが、一緒に精算してもらっています。これも後に「非該当」が判明したとして、もはや治療費の一環として「必要かつ妥当な実費」として求償処理しているものと思います。

 私は厳密なルールを回避するために、症状固定後すぐに未精算治療費と一緒に請求するようアドバイスをしています。あとは担当者次第といったところでしょうか。無責任な回答ですが何事も規則通りとはならない曖昧な流れもあるです。

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 当HPも開設以来約3年、毎日たくさんのアクセスを頂いております。トップページで「行政書士、医療機関、弁護士の連携でトータルサポート」と書いています。看板に偽りなく、後遺障害の検査、立証、賠償のプロセスにて多くの被害者の救済を果たしてきたと自負しています。定例の相談会では、後遺障害専門の行政書士、NPO職員、保険調査員、保険代理店、そして弁護士と多種多様の専門家の参加でワンストップサービスを目指してきました。今年さらに進化したのは昨日の日誌にあるように、放射線科医の参加に漕ぎつけたことでしょうか。

 多くの自治体で交通事故の相談窓口が開かれています。弁護士や行政書士による相談会も珍しくありませんが、いかに「我こそ専門家!」を標榜しようと、それはそれぞれ一つの専門家による一つの局面の相談相手に留まるだけです。法律相談だけでよければ弁護士、医療相談だけなら医師、自賠責保険の請求だけなら行政書士、後遺障害のことはどうしよう??・・・これでは被害者はあちらこちらに回る必要が生じてしまいます。一貫した戦略など立てようがありません。

 交通事故の解決に必要な知識は法律知識、医療知識、保険知識が三本柱と考えます。さらにそれぞれ専門家のネットワークが必要です。実際に検査可能な病院や専門医、判例実績のある弁護士に誘致できなければ意味がありません。知識・ノウハウだけでは絵に描いた餅なのです。  必要な事はすべての段階での相談が可能であり、様々な局面への実動が可能である、つまりトータルで交通事故を解決させる体制です。そして相談会における最大の目標は「交通事故解決までのロードマップ」をひくことです。それを実現するために一つの相談窓口で完結する、ワンストップサービスにたどり着くことになります。

 相談会の流れの一例を紹介します。

① 過失割合を検証

 → 大型モニターを使い、実際の現場を見ながらバーチャル現場検証

 → ミニチュアを使い、事故状況を再現

× 『判例タイムス』を開いて「3:7ですね」と一般論を解説するだけ・・・この程度は弁護士でなくてもできます。

    弁護士と共に大型モニターを使い事故現場を検証(25年11月大宮会場)

② 診断書+画像をもとに後遺障害を予断

 → シャウカステン(レントゲン)、モニターを使い医師(の参加があるとき)が所見を解説

 → 骨格モデルを使用し、解剖学的に後遺障害を解説

 → 関節可動域などはゴニオメーターを使い、実際に計測します。

× ...

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 後遺障害の予断に画像診断は欠かせません。問題なのはレントゲンのみならず、MRI、CTなどの画像を整形外科医が正しく判断できるか?です。これは大変失礼な物言いになりますが、画像の読影は医師と言えども相当の専門分野であり、専門の学習、多くの臨床を経験しなければ正確な読影は難しいのです。それは医療先進国のドイツやアメリカを例に取ればご理解いただけると思います。これらの国では、患者を診る医師と画像読影をする医師の分業化が進んでいます。医師は画像検査を指示し、その読影・解析を放射線科の医師にオーダーします。そして専門医による読影レポートを基に診断し、治療方針のデータとしているのです。特に医療過疎地などは村の診察所からデータ通信を介して、専門医による読影・診断を仰ぐことができます。

 このような背景から日本でも読影専門医のニーズが高まりつつあります。放射線科医を抱える大病院なら院内で完結しますが、町の個人病院においても進んで画像検査と読影を外注する仕組みが広がることが望まれます。

 さて交通事故外傷の現場でも医師の正確な読影なしに障害立証は困難なケースが続出しています。私たちのチームでも専門医に画像の読影を依頼することは日常の作業です。であれば相談会の段階からある程度画像に踏み込みたい、これは自然な欲求です。既に関西では先駆けて放射線科の医師が参加し、町の整形外科医では難解なMRI、CTについてその場で暫定的な読影をしていただいています。  このように医療判断が必須である交通事故外傷の相談において、究極のスタイルを実現しているのです。

 次回12/14、ついに有楽町相談会でも放射線科の医師が初参加します。すでに多くの予約を頂いておりますが、まだ数名予約可能です。是非、画像(XP、CR、CT、MRI)持参でお越し下さい。フィルムでもCD-ROMでもOKです。 

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 高次脳機能障害で日常生活状況報告書を記載する際に注意すること、それは医師の判断と家族の観察の一致です。これは高次脳機能障害に限らず、あらゆる障害で他覚的所見と自覚症状を一致させる基本に他なりません。今週は2件の作成に心血を注いでいます。日常生活状況報告の記載では語りつくせないので、必ず別紙に具体的なエピソードを挿入しながら説明しています。  この2件で共通していることは医師の判断が家族の観察に比べ、かなり重いことでしょうか。限られた診断時間でしか患者を観察できない医師の判断と、回復の希望がこもった家族の判断が離れてしまう事が往々にしてあります。特に障害の重篤度にかい離をみせる傾向です。そのかい離をできるだけ防ぎ、いかに適切な障害を主張するか?高次脳機能障害の立証で重きをなす作業です。

① 医師との面談に何度も付き添い、事前に適切な情報を医師に伝えること。

② 家族と何度も日常生活状況報告書を書き治すこと。

③ 詳細を語りつくすべく、別紙でエピソーソを挿入すること。

④ そして全体像を見直し、修正を加えていくこと。

 このような繊細な作業を続けています。まるで私が審査しているよう・・・正当な等級を認定をすべく精査する審査側の苦労もよくわかります。

 障害の程度を測る上で、医証の不一致があってはなりません。等級が認定された後、弁護士の賠償交渉において不整合な医証を残すことになってしまうからです。これは相手保険会社の反撃の的となります。かつて等級の認定のみを念頭に奮闘し、等級獲得で完結するような仕事をした結果、引き継いだ弁護士に苦言を言われたことがあります。

 立証作業はつまり賠償交渉も見据えて進めるべきなのです。

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 今年7月に記事出しした「自転車事故での高額判例」、ふたたび産経新聞で特集されました。気になっていた賠償額の内訳がおおまかに判明しました。以下、記事から抜粋してまとめてみました。

 記事の概要は・・・

 当時小学校5年生だった少年(15)が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償訴訟で、神戸地裁は、少年の母親(40)に約9500万円という高額賠償を命じた。5年近く前に被害に遭った女性(67)は、事故の影響で今も寝たきりで意識が戻らない状態が続いているだけに、専門家は高額賠償を「妥当」と評価する。  ただ、子を持つ親にとって、1億円近い賠償を命じた今回の判決は、驚愕でもあり注目を集める。9500万円の内訳はどうなっているのか。一方で、保険加入義務がない自転車の事故をめぐっては、高額な賠償命令が出されるケースも多く、自己破産に至る例も少なくないという。こうした中、自転車の保険制度拡充を目指した動きも出始めている。

「監督義務果たしていない」

 子供の責任を親がとることになるのか?

 事故は平成20年9月22日午後6時50分ごろ、神戸市北区の住宅街の坂道で起きた。当時11歳だった少年は帰宅途中、ライトを点灯しマウンテンバイクで坂を下っていたが、知人と散歩していた女性に気づかず、正面衝突。女性は突き飛ばされる形で転倒し、頭を強打。女性は一命は取り留めたものの意識は戻らず、4年以上が過ぎた今も寝たきりの状態が続いている。判決で田中智子裁判官は、少年が時速20~30キロで走行し、少年の前方不注視が事故の原因と認定。事故時はヘルメット未着用だったことなどを挙げ、「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていない」として、母親に計約9500万円の賠償を命じた。

高額な賠償となった9500万円の内訳はどうなっているのか

田中裁判官の判断は・・・

(1)将来の介護費約3940万円 

 女性の介護費を1日あたり8千円とし、女性の平均余命年数を掛け合わせるなどして算出。

(2)事故で得ることのできなかった逸失利益約2190万円

 専業主婦の女性が入院中に家事をできなったとして月額約23万円の基礎収入を平均余命の半分の期間、得られなかったなどとして計算した。

(3)けがの後遺症に対する慰謝料2800万円

 後遺障害慰謝料 「赤い本」の1級。

この結果について記事より・・・

 これらに治療費などを加え、母親に対し、女性側へ約3500万円、女性に保険金を払った保険会社へ約6千万円の支払いを命じた。特に女性が意識が戻らぬままとなっていることで、慰謝料などが高額となり、賠償額が跳ね上がった。  交通事故弁護士全国ネットワークの代表を務める古田兼裕弁護士(第2東京弁護士会)は、今回の判決について「高額な賠償額だが、寝たきりで意識が戻っていない状況などを考えると妥当」と評価。ただ、「自転車だから責任が軽くなるとはいえないが、11歳の子供の事故で親がどれほど責任を負うかはもっと議論していく必要がある」と話す。

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 私は最初に被害者さんの後遺障害の予断、つまり想定等級を定めてから着手、必要な検査計画を立てます。多くの場合、読み通り(ニヤリ!)となりますが、あいにく検査結果にでないこともあります。

 もちろん、それは回復が進んだことでもあるので、喜ばしいことかもしれません。しかし障害は僅かであっても残存しているのです。これが等級の認定を得なければ、事故後の賠償・補償上、存在しないもの=0 とされるのです。

・わずかに残った可動域制限

・検査数値に出ない排尿障害

・画像所見となる時期を逸したMRI

・中途半端に回復した視力、聴力・・・

・何度も手術をして薄くなった線状痕

      

 回復への努力をしたことは当然賞賛すべきことです。しかしケガの痛みに苦しみ、数度の手術に耐え、血の出るようなリハビリに取り組み、結果として補償面で振るわない結果となってしまう・・・実に悔しい思いです。

 一定期間は治療・リハビリに専念し、回復を目指します。そして症状の回復度合いが一定、もしくは一進一退となる時期を見定めて症状固定とし、後は賠償問題に取り組むべきです。長期にわたり回復努力を続け、中途半端な障害を残してしまうと、障害の基準以下となって等級が認定しづらくなるのです。これは賠償金目当ての「早期治療打切り」を言っているのではありません。症状固定日を正しく策定すべきと主張しているのです。

 私たちは回復と補償についてバランスの良い解決ロードをひきたいのです。そのためにできるだけ早期の相談を強く訴えます。

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 (まず前日の記事を読んで下さい)

 

<若手弁護士A先生> クレサラ方式の解決・・・う~ん、考えさせられますね。大量受任と早期解決、確かに事務所を経営する以上、経営効率は大事です。しかし依頼者に対して誠実な仕事とは言えませんね。

<秋葉> では誠実な仕事でありながら早期解決を達成している事務所を紹介します。

 (C先生) C先生とは3年以上一緒に仕事をしています。交通事故を専門に受任しており、とくに14級9号を大量に解決してきました。C先生は赤本の満額獲得を必須目標として取り組んでいます。14級9号での平均的な賠償獲得額は赤本基準で300万前後です。   C先生は最初に損保会社に賠償提示を行い、損保の回答が「先生、訴外交渉なら提示金額の70%~80%でどうでしょう?」とくれば迷わず、「請求額から歩み寄る気はありません。交通事故紛争センターの斡旋にふしましょう」と宣戦布告します。また請求額や争点の性質からから裁判を選択することもあります。対して損保会社は「うっ、この事務所は(妥協解決に)乗ってこないな・・・」と印象を持ちます。  それではと、損保会社は紛争センターにおいて全力で応戦してきます。しかし紛争センターの性質上、斡旋弁護士は既に認定された後遺障害等級を審議なく踏襲する傾向にあり、細かな論点も時間の関係から避けがちです。もちろんC先生、ここでも妥協的な斡旋なら裁判を辞さない姿勢を堅持します。およそ月1回合計3~4回の協議でほぼ赤本基準の斡旋案に落ち着きます。損保側は紛争センターの斡旋案を尊重する立場なので、余程の反論がない限り飲みます。まれに審査会に進みますが、大きな変更は極めて限られたケースとなります。

 費用対効果で見ると、交渉解決なら1~2か月で解決のところ紛争センターの斡旋により3~4か月解決が伸びてしまいます。しかし依頼者が手にする賠償金は、8割の妥協的交渉解決に比し60万ほど増額します。3か月解決が遅れる事と60万、どっちがいいか?依頼者は迷わず60万を待ちます。

 こうしてC先生は100件を超える事案を紛争センターで解決させました。さて、こうなるとある変化が起きます。損保側は「C弁護士は赤本満額を譲らない→紛争センターに持ち込まれるので面倒だし時間の無駄→しょうがない満額支払うか」となります。C先生は主要損保からこのように評価されます。こうして早期交渉解決で満額獲得できる=実力ある弁護士となったのです。  現在C先生は受任の70%を交渉にて満額獲得しています。譲らない損保社には裁判、紛争センターの斡旋解決へ進めます。それが残りの30%になります。通販系損保も支払いを渋るので30%に入ります。結果としてクレサラ方式事務所に劣らない解決スピードとなりました。こうして交渉力(実力)と早期解決(経営効率)の両方を実現しているのです。    経営効率主義のクレサラ方式解決事務所:β事務所と赤本満額解決主義の実力交渉C先生、同じ交通事故弁護士でも違いが生じるのです。損保会社はこのC先生を手ごわい相手と感じ、逆に昨日のβ事務所へは足元を見た対応を続けます。そして依頼者は迷わずC先生を選ぶべきです。

 さて、A先生はどちらの道を進みますか?

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 昨年、某法人弁護士事務所にて事務所内研修の質疑応答から・・・

 

テーマ:交通事故の交渉解決について

Q、<若手弁護士A先生> 秋葉先生、保険会社と交渉を開始すると、まず「訴外交渉(裁判をしないで交渉解決)なら赤本の70%、80%でどうか」と回答しくることが多いようです。依頼者の希望で早期解決を目指すなら、多少妥協してもいいのではないでしょうか? 

A、<秋葉> この保険会社への対応如何で交通事故業務における”弁護士事務所の格”を決定づけることになります。実在する2つの事務所のケースから説明しましょう。

(β法律事務所)クレサラ業務(過払い金返還請求等)を中心とした大手法人事務所β、クレサラ業務の減少に伴い、交通事故にも力を入れ始めました。この事務所の交通事故解決はほとんどが交渉解決です。まず賠償金請求書を保険会社に送り、赤本基準の70%位の回答が来ると、それでOKをだして示談成立します。多少は上乗せ交渉をするとしても、難しい交渉一切抜き、超スピード解決です。

 ちなみに追突事故、主婦でむち打ち14級9号の案件について、賠償金を赤本基準で計算すると320万円ほどになります。この7~8割解決ですと230万~260万円です。赤本の満額で解決する金額から60万~90万円少ないことになります。β事務所の弁護士は依頼者に「相手保険会社から250万で回答を受けました。急いで解決するならこの金額です。」と説明します。満額は320万円になることについて依頼者へは言いません。そして多くの依頼者は「(解決の相場がわからないので)先生にお任せします」と答えます。何故なら保険会社は最初150万円位の提示をしてきましたので「100万円もUPした!さすがβ先生」と思います。  こうして簡単に早期示談解決が量産されていきます。事務は弁護士⇒保険会社、相互にFAXや文書のやり取りをおよそ3往復で終わります。そうです似ています、クレサラ業務に・・・。

 毎月、莫大な広告費をかけて交通事故被害者を集め、裁判などを避けてどんどんこの方式で解決していきます。受任量を増やし、獲得金額より処理速度を重視します。経営効率としては良いでしょう。このような事務所に対し、保険会社は「先生、今回も7掛けでいかがでしょうか?」と水を向けてきます。保険会社も赤本満額から30%支払い削減でき、早期に案件処理ができますので歓迎です。それに敵であるはずの弁護士が「これ位の金額で手を打つべき」と被害者を説得してくれる(?)形となり、大助かり。このように損保会社とβ事務所は利害が一致するのです。まるで示し合わせたようなぬるい交渉で保険会社は「β事務所は7割が相場!」との対応をずっと続けていきます。

 なにか腑に落ちない話ですが、早期解決だけは達成しています。しかし一方で赤本の満額を毎度普通に獲得している事務所も存在します。しかも解決スピードも決して劣りません。 (明日に続く)

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 明日は弁護士事務所でひき逃げ事案の引き継ぎです。本件は政府保障事業に申請をかけ、1年の審査の結果、ようやく高次脳機能障害5級が認定されました。今後の保険請求について、弁護士代理による保険を熟知したテクニカルな請求を遂行していくことになります。

 毎年、数多くのひき逃げや加害者が無保険の相談を受けております。ひき逃げの場合、当然ながら相手からの補償は受けられません。そうなるとご自身が加入している保険を総動員し、一番有利な支払いを受けるべく計画的に進めねばなりません。ケースによってたくさんの選択肢がありますが、まず人身傷害特約(以下、人傷)の加入がある場合とない場合で2分します。

1、治療費

<人傷がある場合>  人傷から支払いを受けられます。そして損保は安く抑えるために健保、業務中・通勤中であれば労災の使用を推奨します。通常、交通事故で相手の保険があり、自身の過失がなければ(少なければ)、病院が喜ぶので自由診療を原則とします。しかしひき逃げの場合の健保使用は病院も仕方ないと思ってくれます。したがって健保、労災の使用で大丈夫と思います。損保と病院の合意が取れれば一括払い(損保会社が病院に直接治療費を支払てくれる)も可能です。  相手がいないので求償することがでできず、損保は大変です(損保も最終的に自賠責に対して求償するように政府の保障事業に求償したいのですが、国は民間で払われるものですら控除すべきとして拒否しています。)

<人身傷害がない場合>  健保、労災の使用は必須です。そして政府の保障事業への請求を進めます。政府の保障事業とは相手がいない場合、国が肩代わりして補償してくれる制度です。自賠責保険と同じく国土交通省の管轄で、審査も自賠責調査事務所で行います。厳密に言いますと自賠責の調査・支払事務は民営化されていますが、政府の保障事業の事務は国交省の公務員が行います。  支払い内容は、自賠責保険とほぼ同じと言っていいでしょう。120万円まで治療費や休業損害、入通院慰謝料が確保できます。限度額がある以上、入通院慰謝料の額を確保するために、健保、労災を使用し治療費を圧縮する必要があります。自由診療では健保の2~3倍の費用がかかりあっという間に120万円を使い切ってしまうからです。                                     

★ まず人身傷害特約が入っているかを調べて!

 この保険の適用如何でその後の運命が分かれます。ご自身の自動車に乗っているときだけではなく、他の自動車や自転車、歩行中の交通事故にも適用できる可能性があります。多くの場合、ご自身だけではなく同居の家族、別居の未婚の子も補償対象に含まれます。

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別居の未婚の子の復習 ⇒ 「別居の未婚の子」とは・・・

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