会社で働く方たちは協会けんぽと組合けんぽという言葉をきいたことがありますよね? 全国健康保険協会(通称=協会けんぽ)と健康保険組合(通称=組合健保)があります。 協会けんぽは適用事業所である中小企業等で働く従業員やそのご家族が加入している保険です。保険料率は各都道府県や標準報酬によって決まり、事業主と被保険者の負担割合は折半になっています。 組合健保は政府に代わって健康保険事業を行う公法人であり、厚生労働大臣の許可を得て設立されます。1つの会社で700人以上の従業員がいる場合か、同じ業種の会社または同じ地域の会社が集まって3000人以上の従業員がいる場合に設立できます。 1、協会けんぽの場合、協会けんぽのサイトに「協会けんぽについて」→「個人情報保護」→「保有個人情報の開示請求について」→「診療報酬明細書(レセプト)の開示について(ご本人用)」をクリックすると、必要書類の欄に請求書のPDFデータがありますので、それをダウンロードして記入します。具体的には全国健康保険協会支部長の欄には、所属する支部を記入します。お手元の保険証の下の保険者名称の欄に支部名が記載されています。診療年月には開示を希望する期間を、診療報酬明細書等区分には病院の名称、所在地を記載し、必要な区分に〇をつけます。開示する書類は年度ごと(毎年4月1日から翌年3月31日まで)によって手数料300円(収入印紙)がかかります。 2、請求は窓口・郵送どちらでも可能ですが必要書類が多少異なるので、注意が必要です。窓口であれば、「診療報酬明細書等開示請求書」、「身分証明書」を、郵送であれば「診療報酬明細書等開示請求書」、「身分証明書のコピー」、「住民票(請求の30日以内のもの)」を用意し、全国健康保険協会の所属する支部に提出します。 3、その後、開示請求手数料の納付書が届きますので、その金額を納付し、領収書の写しをFAXで送信するとスムーズに進みます。その後決定の書類が届きますので、開示請求の意思と方法(閲覧かコピー請求)を示します。コピー請求の場合、開示書類の枚数によって該当金額を切手同封で支払うと、無事にレセプトが届きます。 組合健保の場合は、協会けんぽと流れはほぼ一緒ですが、申請書類様式が各組合よって異なりますので、ご自身が所属されている組合のホームページ又は会社の事務の方に聞くことが望ましいと思います。
年間100人に及ぶドクターとお会いしています。お医者様と言っても同じ人間、色々な性格の先生がいらっしゃいます。何の商売でも中身は人間です。
さて、本日、同行した整形外科の先生は、以前から良い評判を聞いておりました。本日お会いして、噂以上と感激しました。膝を受傷した被害者さまが手術を終え、リハビリのために選択した個人開業医です。
まず、受付の事務の方はにこやかで親切です。リハビリ室は明るく、理学療法士の先生は、常に患者に言葉をかけながら熱心に作業、技術の高さをうかがわせます。看護師さんも明るくキビキビ動き回っています。
そう、これらは”良い病院”の特徴です。
そして、いよいよ院長先生の診断です。扉を開けて名刺を出すと、立ち上がり会釈をして受け取ってくれました。このような礼儀正しい医師は100人に2~3人です。
そして、肝心の診断ですが、まず、説明がゆっくり丁寧、MRI画像を示して患者の理解を促しています。そしてなんと、触診で前病院には記載のなかった、「後十字靱帯損傷」を診断、ストレスXPを実施していました。本来、膝の動揺性を診断するにあたって、「ストレスXP」は私達がしつこく熱心に先生にお願いして、ようやく実施されるものです。それを初診時から・・!
人格を備えたドクターは、診断力も兼ね備えているケースが多いように思います。病院全体のホスピタリティ(本来、病院の語源)が高い病院は、このように優れたドクターが存在しています。私達の仕事は、”被害者さんの為になる”よい病院を見つけることでもあります。
行列ができることがうなずけます。
平成10年10月、東京海上から人身傷害特約(保険)が発売されました。以後、各社、ほぼ同内容で続きました。
しかし、従来から存在していた、搭乗者傷害特約、無保険車傷害特約、自損事故特約と”自らの人身事故に支払われるもの”として、補償が被ることになりました。
搭乗者傷害保険は重複して支払われるので問題ないとして、無保険者車傷害と自損事故は調整が必要となりました。損保ジャパンは無保険車傷害を一時期、人身傷害約款に組み込み、また独立させた経緯があり、軽く混乱したと言えます。また、各社、約款に不明記ながら、「人身傷害の金額を超えたら無保険車傷害で支払う」などの社内規定で整理したり、また、請求事故が起きたら、その都度、社内会議で決めていたようです。
人身傷害は最低保険金額が3000万円、最高は無制限です。保険金額は選択でき、最も多い契約金額は5000万円です。対して無保険車傷害は2億円、もしくは無制限が保険金額です。保険金額は選択できず、約款で決められています。
ケガの治療費や休業損害は人身傷害で支払います。なぜなら、無保険車傷害は後遺障害と死亡のみの補償だからです。後遺障害が認定された場合、やはり、人身傷害特約で支払います。それが契約金額を超えた場合、ようやく無保険車傷害からの支払いとなります。
明らかな高額賠償の場合、最初から治療費・休業損害・その他費用を人身傷害から、後遺障害・死亡保険は無保険車傷害からとばっさり分けたケースもありました。 (例2)人身傷害と自損事故が競合した場合
自損事故は死亡1500万円、介護費用200万円、入院1日6000円、通院1日4000円の定額保険なので、支払い保険金は人身傷害の方がほとんどのケースで高額になります。したがって、約款上、人身傷害付きの保険では自損事故特約は消滅しています。 さて、(例1)の実務上の対応もさることながら、人身傷害と無保険車傷害の併存問題について、約款上の整理もしくは統合を各社、進めました。最新約款を確認してみたいと思います。
前置きが長くなりましたが、ここからが本シリーズの主題に入ります。
続き⇒ ③
昨年末から自動車保険の約款をテーマとしたセミナーが続いています。
約款と言えば「難解」、「何が言いたいのか解らない」等々・・約款をじっくり精読してから契約を検討する自動車保険の契約者さんは皆無でしょう。一部の約款マニアは別として、保険会社社員や代理店さんですら、余程必要がないかぎり、約款を開くことはありません。現場ではカラーで解りやすいパンフレットで十分なのでしょう。
さて、被害者救済業を名乗る以上、約款の熟知・活用は私達にとって避けられない重要事項です。
とくに、任意保険に未加入の自動車による被害者さんは、人身傷害特約、無保険車傷害特約が頼りとなります。無保険車の被害者にとって知られざる重大なテーマなのです。
約款解説は毎回長文となり、シリーズ化しますが、まずは以前に使用した表をご覧下さい。自動車保険で自らのケガ・後遺障害・死亡に支払われる主要な補償は以下の通りです。見ての通り、いくつか補償がダブっています。平成10年10月に東京海上が開発、販売をスタートさせた人身傷害特約の登場によってダブりが頻発したと言えます。
明日からの内容について、下表と併せて以下を復習しておくと理解が容易となります。(長いですよ)
契約車 搭乗中 他車 搭乗中 歩行中 自転車 他の交通機関 保険金 計算方法 重複 払い 人身傷害保険 〇 △ (特約で選択) △ (特約で選択) 実額 × 無保険車 傷害 特約 〇 〇 〇 実額 × 自損事故特約 〇 〇 × 定額 × 搭乗者傷害保険 〇 × × 定額 〇※ 保険金支払い方法
実額… 実際にかかった治療費、交通費の他、契約している会社の基準により慰謝料、逸失利益、休業損害を個別に計算する。
定額… 契約時に定めた死亡・後遺障害・手術・入院・通院・その他金額。その金額により入通院は1日当たり○○円、もしくは部位症状別に○○円と決まります。 ※ 重複払い
搭乗者傷害(現在は多くの会社で「傷害一時金」と改名されています。あえて旧名で表記します。)のみ、上の3つに加算して支払われます。しかし治療費を人身傷害に、後遺障害を無保険車傷害にと、ケガと後遺障害を別々に請求する場合は重複とはなりません。
つづく
交通事故の相談で重傷者のお話を聞くことがありますが、診断書を確認すると、時折事故から期間が空いてから診断されることがあります。
重症であれば普通、直ぐに痛みや症状を医師に相談し、真っ先に検査をして診断されるはずです。それでも何故、後になってから怪我がわかるのでしょうか。相談者に確認すると、他の部位の治療を優先していたからという理由がよくあげられます。確かに、怪我の部位や重さによっては優先順位が下がる場合もあります。 例えば、腕を骨折している他、頭蓋骨骨折・脳挫傷をしている場合、一命をとりとめるため、頭部の治療を優先し、その他の骨折部位については後回しになることがあります。しかし、それはあくまで命に係わったり他に治療を集中しないと取り返しがつかない可能性があったりする例外的な場合です。
相談者の中には通常見逃さないような場合ばかりでした。何故このような事が起きてしまったのでしょうか。後に病院同行で医師からお話を伺ったり、相談者のお話しを伺ったりしているうちに、以下のようなことが主な理由としてあげられそうです。
① 部位が専門家でないと明らかにならない場合で、担当医師の専門ではなかった場合。
② 相談者が主な症状で頭がいっぱいで他の症状を我慢していた場合。
③ 事故の後に怪我をした場合。
①の理由の場合 この主張はよくあることですが、後遺症(後遺障害)の申請では理由になりません。何故なら、症状を訴えれば、通常の医師であれば専門医に紹介して治療をするよう指示するはずだからです。仮に医師が紹介もせず原因不明のままにするようなことがあればすぐに転院を考える必要があります。
②の理由の場合 結論として、我慢する必要はないので、しっかり医師に伝えてください。①の理由と同様、後遺症(後遺障害)の申請では理由になりません。 何故なら、重傷といえるレベルの怪我の痛みは通常我慢できるものではなく、気づかない方がおかしいからです。それでも期間が空いてから症状を訴えて診断されると、事故と関係ない怪我ではないかと保険会社や調査事務所が疑ってしまいます。
③の理由について 時折、事故と関係ないのに事故で怪我したことにしようとする相談者がおります。そのような詐欺まがいのことをなさると、保険会社は、後遺症(後遺障害)はおろか、治療費の支払いをも打ち切ってきます。仮に事故と関係ある他の怪我の治療費であってでもです。また、後遺症(後遺障害)の申請で、事故で生じた怪我の申請をする場合でも不利に働く恐れがあります。決して嘘はつかず、この場合は我慢して下さい。
年が明けたと思ったら、もう2月です。あっという間にGWになってしまいそうです。
お正月明けから、事務所は全員、ほぼ毎日残業です。労働基準法を守っていますが、かなり厳しい。これが日本経済の現実か?
仕事の性質上、労働法を厳守しなければ、説得力がありません。決められた時間で結果をだす仕事が要求されます。
そのような中、昼食とらずに業務中、スタッフがコンビニでオニギリやスープを買ってきてくれたり、また、夕食を奢ってくれたり・・ボスのくせに部下から施されています。情けないやら有難いやら・・
部下に心配かけるリーダーでは失格ですね。私もリーダー3年目、まだまだビギナーなのです。部下に同じく、毎日勉強、成長しなければなりません。
本日、大雪予報の中、池袋からレッドアロー号で秩父に。幸い小雨に留まり、先ほど無事に帰着しました。
本日のテーマは約款解説:「人身傷害」、それとおまけで「鎖骨の後遺障害」。
受講者の皆様すべてが、食い入るように聞き込んで下さり、居眠りなど皆無、講師冥利に尽きます。さすが、業界トップの皆さまです。(詳しくは掲載許可を頂いておりませんので伏せます)
難しいテーマながら、今まででベストとも呼べる受講者に恵まれ、私も大変勉強になりました。研修会はレジュメ作成から公演まで、毎回、必ず新しい発見があるのです。
懇親会では地元の貴重なお酒をがぶ飲み。お土産に秩父ワインも頂きました。
受講者の皆様はもちろん、諸々御心配り下さったO取締役さま、ありがとうございました。
交通事故外傷、後遺障害の60%を占めるのは頚椎捻挫、いわゆる「むち打ち」です。次に多い傷病名は、腰椎捻挫です。では、その次は? 恐らく「鎖骨骨折」ではないかと思います。
統計では「骨折」のカテゴリーですが、その骨折の中で一番多い部位は経験上、鎖骨です。特にバイクの事故、単なる転倒でもよく折れます。弊事務所でも鎖骨は毎年10件ほど受任があり、ほぼ、全件に後遺障害等級を獲得しています。 鎖骨の障害は、骨折と肩鎖関節の脱臼に二分します。
左のレントゲンは鎖骨の骨幹部が折れて偽関節(結局、くっつかなかった)となったもの。右のレントゲンは肩鎖関節が脱臼したもの健康保険と言っても種類は様々で、国民健康保険、後期高齢者医療制度(国民健康保険)、社会保険、船員保険等があります。まずは、一番多いとされる国民健康保険の開示請求について説明します。
国民健康保険は請求者の住所を管轄する各市町村役場に請求します。残念ながら費用、費用の支払い方法、必要書類等は各自治体によって様々なので、直接窓口へ行くか、電話で聞いてしまうしかありません。後期高齢者医療制度も国民健康保険と同じですが、唯一異なる点は、管轄しているのが各自治体ではなく、広域連合だということです。その点に注意が必要です。
郵送でも申請が可能であれば、HPから書式をダウンロードし、必要事項を記載の上、本人確認書類(運転免許証、健康保険証等コピー)を添付する必要がある場合が多いです。
以前担当した案件では、半身麻痺の依頼者の開示を役所の方に電話で伝えたところ、「本来は直接窓口でしか対応しないのですが、今回だけは特別に」と郵送での申請を許可して頂いたことがありました。別の役所では、「郵送での申請は絶対に受け付けません。その代わり、代理人が直接窓口に来て頂ければ認めます。但し、本人がどうしても来られない事情がある場合にはそのことを証明する書類(診断書等)を持参してください。」との事でした。
このように役所によって、担当者によって対応が様々なのです。開示請求が必要な場合、まず、ご自身の住まいを管轄する自治体に問い合わせることが大事です。
次回は会社員の方必見、社会保険の開示請求について説明いたします。
私達は医師面談を行い、間違いのない診断書を回収します。これが基本業務となっております。しかし、医師の中には患者以外の介入を嫌う先生も当然におります。
本来、医師は治療が本分であり、後の賠償問題には距離をおくべき立場です。しかし、医師の書いた診断書が、賠償問題に非常に高いウェートを占める事は言うまでもありません。さらに、医師は治療者としての立場・視点から記載しますので、時として審査基準にそぐわない内容となってしまうことがあります。そこで、医師と直接に打合せすることが、手っ取り早い手段となります。
そこで、問題となるのは医師との折衝方法です。ほとんどが面談でよい方向へ進みますが、面談を嫌う医師に無理に面談は行いません。手紙のやり取りや、患者本人からの伝達が功を奏すこともあります。つまり、面談は手段であって、目的ではありません。目的は正確な診断書の作成です。
本例も手紙・文章のやり取りで好結果となりました。事務所のメディカル・コーディネーターは現場であらゆる手段に対応できるよう、経験・勉強を積んでいます。
それでも医師面談の励行は基本です。何といっても、その地域の病院情報に精通することに繋がります。「この地域でリハビリできる病院は」、「この先生は後遺障害に協力的か」、「どこの病院で検査可能か」、「この病院に行っちゃダメ!」等々・・病院情報の蓄積こそが、他事務所にはない、秋葉事務所の財産となっています。
14級9号:頚椎捻挫(40代男性・埼玉県)
【事案】
直進道路でバイク運転中、対抗右折自動車と衝突した。直後から頚部痛・手の痺れの神経症状に悩まされる。
【問題点】
相談された日が症状固定時期であったため、まず、いつも通り病院同行を検討した。しかし、相談者のお話しから、主治医は患者以外の人が診察室に入るのを拒むタイプらしい。
【立証ポイント】
相談者は病院に勤務しているので、医師の性格については信用できる情報であった。そこで、病院同行で診察室への付き添いをせず、代わりに手紙をお渡しして、検査や画像所見をお願いさせて頂いた。 また、本件依頼者さんの保険代理店さんはとても顧客想いであり、請求に必要な書類を集めてくれた。おかげで通常の倍以上の速度で申請にあげることができた。
交通事故で腰椎や胸椎を圧迫骨折したという相談を過去に何度か受けたことがあります。交通事故による骨折の場合、MRI画像(特に受傷直後に撮影されたもの)で水分反応がでます。水分反応が強いという事は、その骨折は新鮮骨折といえます。
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初登場! 第2のカプセル怪獣ミクラス=MC佐藤
最近、診療報酬明細書(レセプト)開示請求が必要な場合が多かったのでそのことを記載したいと思います。
診療報酬明細書(レセプト)開示?と思う方が多いと思います。多くの被害者の方は、加害者の任意保険会社の一括対応により支払いなく治療・入通院しているので、診断書・診療報酬明細書(レセプト)、事故証明書等は保険会社の担当者が持っています。ですので、それらの書類を取得するためには、担当者に連絡し、コピーを欲しいと言えば送って頂けるでしょう。
しかし、相手が無保険であったりすぐに一括対応を打ち切られてしまい、ご自身の健康保険や、労災で通院した場合はどうでしょうか・・。
相手が無保険の場合や保険会社が払ってくれなかった場合、それらの書類をご自身で取得しなければならいなのです。今回は稀ではありますが、そのような場合の手続きについて説明いたします。
まずは一番書類がシンプルな労災編です。今回は治療先の病院が労災指定病院であると仮定します。
1、労災で通院している場合、厚生労働省のホームページにある「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」をダウンロードし、記入します。具体的には、行政機関の長の欄には労災指定病院の所在地の都道府県の労働局長を記入し、開示請求する個人情報には通院期間分のレセプトの事を記載します。開示する書類は年度ごと(毎年4月1日から翌年3月31日まで)によって手数料300円(収入印紙)がかかります。
2、請求は窓口・郵送どちらでも可能ですが必要書類が多少異なるので、注意が必要です。窓口であれば、「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書」を、郵送であれば「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書のコピー」、「住民票(請求の30日以内のもの)」を用意し、労働局総務部企画室に提出します。
3、その後決定の書類が届きますので、開示請求の意思と方法(閲覧かコピー請求)を示します。コピー請求の場合、開示書類の枚数によって該当金額を切手同封で支払うと、無事にレセプトが届きます。
次回は健康保険の開示請求について説明いたします。
ある日、交通事故の被害に遭い、日常生活は一変、以後、大変な苦難の日々が続きます。特に頚椎捻挫、腰椎捻挫の被害者さんは「たかが、むち打ちで?」と、その長期にわたる通院に対し、冷めた目で見られがちです。また、相手の保険会社の執拗な治療費打ち切り攻勢に、精神的にも参ってしまいます。事故受傷と関係性の薄い持病が再発し、鬱にもなってきます。とにかく、あらゆる不調が発生してしまうのです。
しかし、それらを”すべて事故のせい”として治療を進めると、後遺障害認定から離れていきます。方々の治療科を受診して、どんどん診断名が増える、ころころ診断名が変わる、結果として一貫性が疑われるのです。
だからと言って、諸々必要な治療を諦めることではありません。事故受傷と直接する症状と間接的な症状を切り分け、直接的な傷病だけは、初診時から一貫して治療を続け、後遺症の審査に備えればよいのです。
「治療」は被害者の努めです。しかし、長期になるであろう治療費の確保の為にも、後遺障害認定を視野にすえて治療を進める必要があります。間違った方向へ進まないためにも、受傷時の直接的なケガとその治療だけは堅持して下さい。
併合14級:頚椎・腰椎捻挫(40代男性・東京都)
【事案】
自動車搭乗中、信号待ちの為一時停車中、自動車が追突し、衝突した。直後から頚部痛・手の痺れ、腰痛、足の痺れの神経症状に悩まされる。
【問題点】
頚椎、腰椎捻挫の診断を受けていたが、メインの整形外科だけではなく、他の整形外科で頸髄浮腫?の診断を受けており、また心療内科や接骨院にも通っていた。
【立証ポイント】
相談された日ではすでに事故から1年7カ月目であったことから、症状固定を急いだ。病院、診療科を複数通っており、一部の病院では頸髄浮腫?、うつ病の診断を受けていた。うつ病は事故受傷と直接つながり辛く、また、頸髄浮腫は内在的(病的)な所見であり、自賠責上の後遺障害としての立証は困難である。仮に症状のみ認められたとしても、それぞれ14級9号が関の山。
そこで、事故当初から一貫している頚椎・腰椎捻挫に絞り、主治医にも頚部痛・手の痺れ、腰痛、足の痺れの各症状及び神経学的所見をまとめて頂いた。
被害者請求後も調査事務所から心因性を疑われ、医療照会をかけられたが、症状の一貫性が評価されて、併合14級が認められた。
接骨院・整骨院は柔道整復師の資格者で営業しています。もう、20年も前から健保や自賠責への不正請求はもちろん、過剰な施術費の請求で保険会社から嫌われています。
優れた手技を持ち、多くの患者を救っている先生も存在する中、大変残念に思っています。
もちろん、医師・病院でも不心得者がおります。しかし、健保扱い停止や逮捕される柔道整復師の数は医師の比ではありません。つまり、どうしようもない位、不正者・犯罪者が多すぎるのです。
一昨年から危惧していた通り、不正な接骨院・整骨院で施術を受けたばかりに、とばっちりを食っている被害者さんの相談が増えてきました。代表的な例は以下の通り、
1、通っている院が、保険金詐欺で逮捕されて ⇒ 保険会社の一括払いがストップ
2、通っている院が、健保から調査が入って ⇒ 健保の使用がストップに
3、通っている院の不正が発覚して ⇒ 審査中の後遺障害が「非該当」となった?
4、弁護士・行政書士に紹介された院に通った ⇒ 後遺障害が「非該当」となった? 1と2は犯罪に巻き込まれたので、不運としか言いようがありません。ただし、通院日の水増しなど、「知らなかった」では済まされず、患者もグル=共犯とされる可能性はあります。保険金詐欺は重罪です。
3と4は後遺障害の審査上の判断なので、一概に院のせいとは言えませんが、明確な所見のない、むち打ち14級などは症状の「信用性」が認定のポイントです。今まで多くのむち打ち14級の案件を見てきましたが、おかしな病院・接骨院等に通っていた被害者さんは、明確な骨折や重傷事案を除き、等級審査上、圧倒的に不利に感じています。
最近、目に付くのは4、のパターンです。これは弁護士・行政書士と接骨院等が提携・顧問など、商売上の繋がりが拡大したことと無縁ではありません。提携によって法律家と院が相互に患者の紹介を行っています。これ自体は何の問題もないのですが、後遺障害等級の審査上、接骨院等での施術では、症状の深刻度は低く判断されます。自賠責調査事務所はもちろん、保険会社はあくまで医師の診断、治療実績を重んじます。やはり、症状が長引いている被害者さんは、医師の診断の下で治療・リハビリを進めた方が安全なのです。
また、接骨院・整骨院では診断書が書けませんので、提携先の院を紹介しつつも、整形外科の受診も月1、2回はキープさせる方法があります。これで、後遺症の審査に備えることができて安心?なのでしょうが・・これも自賠責はお見通し、ある調査事務所の担当者はブログで「アリバイ作りの診察」と断言、やはり、悪い印象を持っているようです。
これは、医療機関と柔道整復の「並行受診」と言い、骨折等の患者を診る場合、医師と院が正しい連携治療を結んでいれば、問題ありません。しかし、自賠社や任意社は、法律家が絡んだ連携関係を、それを誇示した派手なホームページからほぼ把握しています。
数年前であれば、この「並行受診」でも、それなりに神経学的所見があれば、なんとか14級9号は認められていました。しかし、むち打ち患者の多くは神経学的所見に乏しいものです。したがって、「並行受診」は大変不利な印象を持っています。最近の相談者さんで、「○○弁護士に紹介された整骨院に通い、等級は大丈夫と言われたのですが・・非該当になりました(泣)」がちらほら出始めました。非常に残念です。病院でリハビリをしていたら、認定されたであろう被害者さん達だからです。医師に後遺障害診断書を書いて頂くための、「アリバイ作りの診察」は、もう通用していないのです。
すると、この交通事故専門、被害者救済を謳っている弁護士は、大変罪な事をしていることになります。
商売上の安易な提携・顧問関係を院と結んでいる法律家さんは、未だ、この事実を直視できていないのでしょうか。道徳心を持った、そして、手技としての技術が高い院との連携であれば、当然に被害者さんの為になります。しかし、各県で毎月複数の院が処分を受けている今、かなり危険な連携と言わざるを得ません。だからこそ、心ある法律家は医療者との距離をしっかりと保っています。
今後も問題の噴出が続き、法律家と接骨院・整骨院の連携ブームは、被害者の怨嗟の声を残して、いずれ収束すると思います。
通常のレントゲンではわかりにくい骨折箇所を見る場合や、関節等骨組みが複雑になっている箇所の骨折や脱臼を見る場合等で有効な画像がCT(Computed Tomography)です。
長管骨のような長い骨の真ん中を骨折したようなわかりやすい骨折であればレントゲン画像でも骨折部位は確認できます。これに対し、通常のレントゲンではわかりにくい骨折箇所を見る場合や、関節等骨組みが複雑になっている箇所の骨折や脱臼を見る場合等で有効な画像がCTがあげられます。
交通事故相談会等で怪我の内容によってはCTを撮ることを勧めています。また、最近の士業者のHPでもCTを撮ることを勧めている記事が多く見受けられます。
HPや電話、相談会でのアドバイス通りに医者にCTを依頼する方もおりました。しかし、医者によっては、撮る必要はないと言う場合、レントゲンで確認できるから撮らない場合、等を理由にCTを撮ってくれない場合があります。
前者の例の場合、自分の病院にCTが無いから撮れないことが理由となっている場合がありますので、患者がCTを撮れる紹介先を医者に示し、なるべく負担を軽くするようにしてみてください。後者の例の場合、医者によってはレントゲンのみで細部にまで至る骨折箇所を確認できる方もおりますが、保険手続上では医者以外の者も審査しますので、レントゲンよりも骨折状況が確認しやすいCTの方が良い場合が多いです。理解のある医者の場合、撮って頂けますが、どうしても撮らないと言い張る医者もおります。
そのような場合にまでCTを撮らなければならないのでしょうか。
結論として、審査する上で細部に至る骨折状況を確認できるレントゲンであれば、大丈夫です。何故なら、CTは治療上骨折箇所を確認する上で撮るものですが、それはレントゲンでは確認しきれない場合があるからです。この点、CTでなくてもレントゲン上確認誰が見ても確認できるのであれば治療上はもちろん、また保険手続上でも審査に影響はありません。よって、CTでなくても大丈夫な場合があります。
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以前、大結節骨折について触れました。その際、触れた棘上筋についてまとめたいと思います。
棘上筋とは、肩の腱板の一部で、肩の上下運動のメインとなる筋肉です。棘上筋が断裂した場合、肩の外転運動の可動域に影響がでる可能性があります。棘上筋の断裂は、完全に断裂している場合だけではなく、部分的に断裂している場合もあります。完全断裂の場合、縫合手術を行う場合があります。部分的な断裂の場合であれば、手術ではなく、三角巾で外固定し、安静にする方法がとられる場合があります。
肩の可動域制限が後遺症(後遺障害)として残存するか否かは、断裂具合によります。完全に断裂していれば肩をあげる筋肉が損傷しているので、主に外転運動での可動域制限が生じます。一方で部分的な断裂の場合、程度によっては可動域制限が生じないこともあります。その場合には、14級9号、12級13号のいずれかが認定される可能性があります。
以上から、治療方針にしても後遺症(後遺障害)手続きにしても、いずれにしても画像を撮る必要があります。
棘上筋は筋肉ですので、レントゲン画像上でははっきり写りませんが、MRI画像であれば棘上筋が写ります。これで断裂具合を確認できます。なお、前回の大結節骨折でも述べましたが、棘上筋に衝撃を受けて、そのバネのような筋肉に引っ張られることで介達外力タイプの大結節骨折をしていることがあります。骨折により骨片が残り、痛みが続いているかもしれませんので、(3D)CTも撮る必要がある場合もあります。
しかし、医者の中には、レントゲンのみで棘上筋等の腱板損傷を診断する場合があります。ある医者によると、肩峰と骨頭の間が通常より狭くなっていることを指摘して腱板(棘上筋)損傷を勘で診断?する場合があります。しかし、腱板等を専門的に診察している医者はMRIを撮った上で慎重に診断していました。
我々は医者がMRIを撮らずに棘上筋損傷を診断した場合には気を付けるようにしています。当然ですが、「勘の診断名」など自賠責は認めてくれません。ちなみに、今までお会いした専門性を持ったお医者様は様々な検査をした上で慎重に診察しております。
少し難解な話になりますが、自賠責保険の独自ルールとして「加重障害」があります。加重障害とは、交通事故で後遺症を残すケガに対して後遺障害等級を認定はするが、そのケガ以前に既にあった後遺症の影響を考慮するものです。
具体的な計算として、今回のむち打ち事故で14級9号が認定され、75万円が支払われることになりますが、数年前の事故で14級の障害認定があった場合、75万-75万=0円となります。つまり、「既に14級の障害者に14級が加算されても0ですよ」との結果になります。もし、新しい障害が14級を上回る重い障害であれば、差額が支払われます。新しい障害が12級として、224万-75万=149万となります。 交通事故治療中、事故受傷が連続、同じ部位に後遺症が残った場合、
1、2回目事故で、治療が伸びた場合 ⇒ 異時共同不法行為として申請
2、2回目事故で、より悪くなった場合 ⇒ 異時共同不法行為として申請
3、1回目はほぼ治癒で2回目が明らかに重い場合 ⇒ 2日目事故のみ申請
4、1回目事故が明らかに重く、2回目は軽傷の場合 ⇒ 1回目事故のみで申請 多くのパターンが想定できますが、この4パターンの検討からスタートします。最終的に被害者が受け取る賠償金に大きく影響しますので、このような検討は専門家の出番となります。
最も認定を受け易い、最大の賠償金が望める選択をしなければなりません。「加重」は自賠責独自のルールであり、後の賠償交渉では個別具体的な事情を主張すべきです。それを睨んで申請方法を策定する必要があります。医師も保険会社も、(交通事故に精通している弁護士を除き)弁護士ですら、正しい解答を持っていません。相談を早くして欲しいのです。
本例は「加重」を遡る?計画を立てました。ちょっとしたいたずら心です。
14級9号:頚椎捻挫(50代女性・東京都)
【事案】
自転車に乗車し、交差点で一時停車していたところ、右折してきた自動車が衝突してきた。事故直後から頚部から肘、手に至るまでの痛み、痺れの神経症状に悩まされる。
【問題点】
1回目の事故ではそもそも後遺症(後遺障害)申請にあげておらず、2回目の事故では申請したが等級が認められなかった。今回3回目の事故で以前にも増して首の症状が増悪した。1、2回目事故で等級が認められていないことから既往症ではないとしても、症状が重なる点があることは否定しきれない。
【立証ポイント】
当初、2回目事故の非該当を異議申立する相談でしたが、まず3回目事故で等級を申請することにした。受傷時点では衝撃が軽かったが、初期から症状を訴えており、MRIも撮っていたことから調査事務所に症状を信用され、14級9号が認定された。
実は、2回目事故について、3回目の認定後に異議申立てを行うプランを立てていました。遡って14級となれば、「加重」がなし崩しに・・このような職業的興味があったのです。しかし、2回目事故の症状固定日以降、3回目事故までの間に病院に通院していない空白期間があったことから、2回目事故の認定の可能性はなく、断念しました。















